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アニメ『やが君』声優対談:高田憂希&寿美菜子が選ぶベストシーン

TVアニメ『やがて君になる』高田憂希さん&寿美菜子さんロング対談│エチュードに見出した希望と侑と燈子に贈るはなむけの言葉

2018年10月〜12月に放送されたTVアニメ『やがて君になる』。本作は月刊コミック電撃大王で連載されている仲谷鳰先生による漫画を原作とした作品です。

この度、アニメイトタイムズでは、小糸侑役・高田憂希さん、七海燈子役・寿美菜子さんの対談企画を実施。アニメ前半を振り返った前回に引き続き、今回は後半となる第7話〜第13話(最終話)までのベストシーンをピックアップしていただきました。

※TVアニメ最終話までのネタバレを含みますのでご注意ください

☆TVアニメ前半の振り返りはコチラからチェック!

アニメイトタイムズからのおすすめ

燈子の心の内と侑に生まれた気持ちに向き合った後半戦

――昨年12月にTVアニメは最終話を迎えましたが、放送を終えた心境についてお聞かせください。

小糸侑役・高田憂希さん(以下、高田):第一に「この先が気になる!」という気持ちが大きいです! 原作が続いていることもあり、TVアニメとしてはオリジナルシーンを踏まえて一区切りとなりましたが、とても素敵な最終話になったように感じています。

正直、生徒会劇をアニメでお見せできないことに対して最初は少し不安もありました。でも最終話の水族館のシーンで生徒会劇の一部をアドリブを入れながら行うことにより、劇のワンシーンとして侑の本音……もはや告白と言っても過言じゃないようなセリフを燈子さんにぶつけるシーンが生まれて。そこはアニメならではのシーンだと思いますし、演じることができてとても嬉しかったです!

七海燈子役・寿美菜子さん(以下、寿):私は最終話を終えて寂しさが一気に募っています(笑)。ありがたいことに素敵なキャスト・スタッフのみなさんとご一緒させていただきましたし、終わった後に「毎週会えなくなるなんて寂しいね」という話も挙がったので、みなさんにそう思っていただける現場に巡り会えたことを嬉しく思いました。

また、原作も続いている中で燈子の気持ちがどこに着地するのか気になっていたところ、最終回では侑の言葉によって救われたと言いますか。「あぁ、良かった」と思えるシーンがあったので、最初に台本を読んだときは泣けてきて。ただ、その気持ちがあったからこそ最終話のアフレコに挑めたんだと思います。

――前半の締めくくりとなる第6話では、侑と燈子の関係性が大きく変化した場面がターニングポイントとなりました。その後の第7話の収録に臨むにあたってはどのような心境だったのでしょうか。

高田:前半の締めくくりとなる第6話の河原のシーンでは、燈子さんの気持ちを分かった上で侑が自分の気持ちを閉じ込めるという決断が見られました。それを踏まえながらも、後半では燈子さんと接する際、最初の頃と変わらない侑の気持ちで演じていきたいと考えていて。

もちろん第6話を経て、侑の中での気持ちの揺れは第1話と比べて大きくなっていると思います。でも、その気持ちをあえて仮面で隠すように、気持ちを閉じ込めながら燈子さんと話す感覚を大事にしながら演じました。

侑の見え方としては第1話の雰囲気と変わらない方がいいと思いますが、内に秘めた感情は絶対に違うので。後半はその差を引き出していきたいと思いつつ演じました。そのため第7話からはもどかしい気持ちが私の中でより大きくなっちゃいましたね……(苦笑)。

――寿さんはいかがでしょう。前回のインタビューでは、あえて原作を読まずに収録に臨んでいるとお話しされていましたが、後半に向けて意識的に演技を変化させたことはありましたか?

寿:第6話までは侑との向き合い方や恋についての発見がありましたが、第7話以降は燈子のバックボーンがフィーチャーされていることが多いため、“生徒会劇を通しながらお姉ちゃんを見る”といった彼女が抱えているものと向き合う姿が後半では描かれています。

そのため気持ちを吐露をするときの燈子を演じる上では“しっかりした人”というより“妹としての顔”を大事にしながら収録を進めていきました。

――生徒会長や優等生のような凛としたイメージの燈子ではなく、あくまで妹としての燈子を意識して臨んだわけですね。

寿:そうですね。妹としての顔が出てきたと思うポイントを見逃さないようにして、妹の要素を出すように心がけていました。逆に侑といるときの表情は柔らかくなるように心がけていたので、改めて振り返るとメリハリをつけるようにしていたことが多かったのかもしれません。

寿さんが考える燈子と沙弥香の関係性

――ここからは第7話〜最終話まで、おふたりが考えるベストシーンをピックアップしていただきます。まず第7話ですが、冒頭では侑がこよみに「七海先輩って、どういう人なの?」と聞かれて、燈子の魅力について考える侑が描かれました。

高田:客観的に見ていると、やっぱり燈子さんのことが好きなんだなって思いますよ。それにこよみちゃんは質問が鋭いですよね。もちろん、生徒会劇の脚本を書くためではありますが、着眼点がさすがです! 後々、沙弥香さんにモノローグで「叶さんって、本当に何も知らないのよね......?」と言われるくらいですから(笑)。

また、第7話では沙弥香さんと都さんの会話シーンがありました。ふたりのやり取りにどこか切なさを覚えつつ、より沙弥香さんのことが好きになったシーンです。

前半の沙弥香さんは自分の考えや気持ちを表に出す機会が多くはなかったので、都さんに燈子さんへの好意を打ち明けたことによって「こんな風に思ってたんだ」と自覚できたシーンだったと思います。なので、第7話は沙弥香さんと都さんのやり取りが私の好きなシーンです。

寿:たしかに第7話は沙弥香のターンって印象だったよね。私は終盤で燈子と沙弥香がテストの答案を見せ合う場面がベストシーンです。燈子の「沙弥香がいてくれてよかった」というセリフが印象的でした。

それまで燈子は、沙弥香に対して素直に話しかけるような会話もあれば「沙弥香にこう言えばこう動いてくれる」と分かりながら言っていることも多いように感じていたんです。でもこのシーンは燈子は素直に友達として、沙弥香という人間に対して感謝しているシーンだと感じたので、それまでで一番純粋に会話ができたシーンだと思います。

また、これは個人的な想像ですが、これから先も燈子と沙弥香の関係性が崩れることはないと思うんです。燈子と侑の場合、何かがきっかけになって連絡を取らなくなってしまうことも考えられると思っていて。

でも燈子と沙弥香の関係は、沙弥香自身が踏み出さない限りずっと続いていくと思います。もちろん沙弥香としては苦しいのかもしれませんが、燈子としてはその関係を保ったままでいてくれたらいいなと願っています。

――そんな沙弥香を演じる茅野さんの演技はご覧になっていかがでしたか?

寿:みんながゾクッとするようなシーンをあえて強く言うわけでもないのに怖いと感じさせられるのは、茅野氏が演じるからこそ作り出せる絶妙なバランスなんだろうなと思って見ていました。

高田:それこそ第6話で沙弥香さんが「私が無邪気に信じてるとでも思った?」と侑に言ったシーンは、隣のマイクに立っていたこともあって、本当にゾクッとするような感覚を覚えたんです。でもここで侑は負けてはいけないと思って侑と同じ気持ちで立ち向かいましましたが、後からオンエアを見たときに「やっぱり愛衣さんはすごいな」と実感しました。

燈子と沙弥香、沙弥香と侑、侑と燈子

――第8話では沙弥香が中学時代に付き合っていた先輩と偶然出くわしてしまうシーンから始まりました。

寿:沙弥香と話していても先輩にあまり悪気がないところがまた罪ですよね~(笑)。あと紫陽花について3人がお互いに何色が好きかを聞いていく演出もお気に入りのエピソードでした。

高田:それに侑と燈子さんが帰り道で雨宿りをするシーンもありましたね。そこで燈子さんの目が……!

寿:「その嬉しいって、どういう意味」ってセリフ、目が笑ってないんだよね。第2話の侑に続き、今度は燈子さんの目から光が消えてしまいました(笑)。しかも、その前にはふたりの楽しそうなシーンがあったじゃないですか。相合い傘でイチャイチャして、肩が濡れる濡れないで信号を1回見送って……どんだけだよ~って(笑)。

高田:イチャイチャしてましたね~! 幸せな時間でした!

――傘を取り合っているときの侑の「やーだー」というセリフからは、心の底からその時間を楽しんでいるように感じられました。

高田:最初はどんなニュアンスを込めようか考えていましたが、きっと観ている人達は幸せになるようなシーンだと思ったので、妹っぽい侑が出るといいなと思って演じさせていただきました(笑)。

寿:めっちゃ可愛かったよ~!

高田:ありがとうございます!(笑)

寿:ちなみにキャラクターの顔が映っていないシーン全般は、比較的自由に演じても大丈夫だと現場で言っていただいています。とはいえ、普段はなるべく指定されたタイミングで話すようにしていますが、このシーンに限っては本当に自由に演じさせていただきました。

それだけ幸せな場面だと思いますし、一緒に笑っている和やかなシーンがあったからこそ、燈子の目の光が消えたときの怖さはより増したように感じました。ただ、あの帰り道のやり取りは燈子にとっても嬉しかったんだろうなと思いますし、私のベストシーンでもありますね。

高田:そんな嬉しそうな燈子さんが小さい頃の話をしたりと、侑にしか話さないことがあって彼女自身もすごく嬉しかったと思います。どこかで「そっか、私にしか話せないんだ」と考えている気持ちがあったんじゃないかなって。

だからこそ、気持ちが舞い上がってたこともあって、つい「嬉しかった」という言葉がこぼれてしまったと思うんですよね。普段の侑なら決して言わないような言葉だと思うので、なおさらその時間が楽しかったんだろうなと感じました。

――では高田さんのお気に入りのシーンは?

高田:先ほどのシーンもお気に入りですが、個人的には沙弥香さんと侑のシーンが特に好きなんですよね。それまでは燈子さんや生徒会の活動を介して話すことがほとんどで、ふたりが面と向かって話すシーンは多くなかったように感じていて。

侑がドキドキしながらも沙弥香さんをお誘いしてファーストフード店でポテトを分け合うという……なんていいシーンなんだ、と(笑)。

――ラジオでもお話されていましたけど、あのタイミングで沙弥香を誘う侑のハートは強いですよね(笑)。

高田:本当に強いですよね! 今回ばかりはさすがに緊張が窺えましたけども(笑)。「よく誘えたね、偉い!」と思いながら観ていました。

――このシーンを演じる上ではどのように侑の気持ちを組み立てていったのでしょうか?

高田:侑が沙弥香さんを誘ったのは、この前のシーンの「佐伯先輩と仲悪いの?」という堂島君の一言がきっかけになりました。だから生徒会としての雰囲気が重くなるのは嫌だなと思いつつ、純粋に沙弥香さんとふたりで話してみたいという気持ちも侑の中にあるのかなと解釈して演じました。

また、侑は緊張していたとして、その気持ちをあまり表に出さない子だと思うんですよね。それにこのシーンの場合は「自分の行動や発言次第で沙弥香さんが誘いを受けてくれないかもしれない」とか色々なことを考えているような気がしていて。

だから、あえて何気なく誘ってみたものの、最終的に沙弥香さんが侑の気持ちに気がついて「なんか、後輩に気を遣わせちゃったみたいでかっこ悪いわね」と受け止めてくれました。そこで侑の気持ちを汲んでくれる沙弥香さんは本当に大人だなって思いました。

そして、一番最後のシーンでは燈子さんのことを厄介だと言う沙弥香さんと「同感です」と答える侑のやり取りもあって……そのシーンも含めてお気に入りです!

寿:燈子役としては幸せな気持ちになりました(笑)。ふたりはこう言ってるけど、燈子のことを思ってくれているんだと感じられて。きっと慕ってくれているからこそ出てくる言葉だと思います。

最大級のエロ峠、キーワードは「体育倉庫」

――そして体育祭が描かれた第9話。こちらはかなり高い峠がやってきましたね……!

寿:エロ峠(※)ですよね!(笑) 第8話が終わった時点で「来週はすごいシーンがありますので……!」と監督をはじめ、先生や編集のクスノキさんからも予告がありました!

※エロ峠:槙聖司役の市川太一さんが何気なく収録中につぶやいた一言。キャストをはじめ、スタッフの間でも用いられている。主に、侑と燈子がイチャイチャするようなシーンで「わりと今日はエロ峠でしたね」「峠を越えていきましょう」のように使われているとのこと(Webラジオ「やがて君になる~私、このラジオ好きになりそう~」第3回より)

高田:原作を読んでいたので、このシーンが描かれるのはもちろん分かっていましたが「ここまでしちゃうんだ……!」と思って。なんと言っても体育倉庫にいる侑とふたりきりになるために、燈子さんが扉を閉めたところから始まりましたからね(笑)。

寿:動物的燈子になっていたからね! 「早く欲しい!」みたいな(笑)。

――しかも燈子はノールックで扉を閉めて侑に近づいていって(笑)。

高田:個人的には「最初からそんなシーンを見せられちゃったら体育祭に集中できなくなる!」と思っていました(笑)。

ちなみに、いつもリアルタイムで放送を実況してくださる方がたくさんいらっしゃるからだと思うんですけど、そのときはTwitterで作品のハッシュタグ以外に「体育倉庫」がトレンド入りしていたんです!(笑)

一同:(笑)

高田:最初に「これなんだろう?」と疑問に思ったものの、やっぱり全部「#やがて君になる」に付随していたから「これだ!」と思って(笑)。そんな驚きの出来事もあったので、第9話では「体育倉庫」が印象に残っています(笑)。

――(笑)。そんな冒頭のやり取りも見られつつ、ついに体育祭当日を迎えました。

寿:体育祭ではやっぱりリレーをしているシーンが好きなんですよね。個人的な話をすると“みんなで頑張る系”の作品や展開にとても弱くて、そういうシーンを観るとすぐに泣いちゃうんです! だから「みんなが力を合わせて頑張ってる~(泣)」と思いながら演じていました(笑)。

――最初は上手くいかなかった侑と沙弥香も、第8話のラストで見られたように完璧にバトンを渡すことができましたね。

寿:「ちゃんとバトンを渡せた~!」って感動しました! そんな侑と沙弥香の成長も含めて、みんなが頑張ってひとつのことを成し遂げる。それは燈子にとっての理想形だったと思うんですよね。

燈子からすれば、生徒会で頑張っている姿はお姉ちゃんとしての完璧なイメージがあると思うので、みんなが頑張った末に良好な関係性を築けたことは彼女にとってひとつの願いだと思いましたし、そういう意味でとても印象的なシーンでした。

――リレーで燈子が走るシーンは、侑の見ている世界が真っ白になってふたりだけの世界として描かれていました。

高田:あのシーンには燈子さんのカッコ良さがにじみ出ていて「やっぱり素敵だな~!」と再確認できました。しかも、あんなに素敵な演出で表現してくださるのはアニメならではのポイントだと思います!

また、個人的には侑と槙君の会話も印象的でした。自分は恋愛感情を持たない人間だと会話の中で侑が再確認して「今はもう、寂しくないかな」と言っているものの、槙君が「......君は、僕とは違うと思うけどな。だってさっきのは......」「寂しくない人のする顔じゃないよ」とモノローグで語っているシーンはどこか切なさも感じられました。

槙君は侑の心情の代弁者のような気もしているので、なおさら彼の存在は大きいですし、本作に必要不可欠なキャラクターだと改めて思ったマイベストシーンです。

――決して踏み込み過ぎないところは槙の魅力的なポイントですよね。モノローグでは核心を突いているものの、あえて侑には言わなくて。

高田:そうなんですよね。そこは“観客として”という彼のポリシーが反映されているような気がします。あとは体育祭と言えば沙弥香さんと都さんの会話も良いですよね~!

寿:ね~! このふたりのコンビすごい好き(笑)。

高田:箱崎先生が参加する教員リレーを観に来た都さんに対して、沙弥香さんが「暇なのかな、この人......」と考えていて(笑)。沙弥香さんも都さんの前だと安心しているというか、今までになかった新しい表情が見られていいですよね〜!

――そんな体育祭が終わると、ついに体育倉庫で燈子と侑のエロ峠が描かれます……!

寿:このエロ峠が私のベストシーンなんですけど、まさか燈子が自分の上に侑を座らせるとは思わなくて! 「本当に燈子は今まで誰のことも好きになったことないのかな?」と思うくらい、自然な流れで侑を導いて(笑)。侑がキス寸前で踏みとどまったと思いきや、燈子自身からグイグイ迫るという……(笑)。

しかもキスをした後、台本には「......はぁはぁ......(我に返り)ご、ごめん! 侑が嫌なら、もうしない......から」と書いてあって「そんなに!?」「息切れるほど!?」と思うくらいすごい勢いでキスしているんだなって驚きました(笑)。

一同:(笑)。

寿:ただ、それだけ侑のことを大事に思っているからこその行動ですよね。侑の本心かどうかはさておき、最終的に受け入れてくれたことも燈子にとっては嬉しかったんだと思います。自分だけじゃないという安心感もあったのかなと。でも最後の侑のモノローグで切ない気持ちにもなりました。

高田:自分からは燈子さんに向かっていかないという、侑のブレーキも見られた重要な回でしたよね。改めてふたりの心の距離感を確認できました。

――そういう意味でもTVアニメの中では最大級のエロ峠でしたよね。

寿:そうなんですよね。ふたりの心の距離を燈子が一気に詰めたように感じました。ちなみに収録では、燈子と侑が物理的に近い距離にいることもあって、ずっとウィスパーボイスでドキドキしながら演じていたことを覚えています!

――ちなみにTwitterでは先生と編集のクスノキさんからこんな裏話が……(笑)。

寿:ついついそう言ってしまうほどの回だったんですよね(笑)。私の中では、自分のセリフを言い終えたとしても、シーンが区切られていないときはそのままに立っているようにしているんです。

例えばラストだと「気持ちいい......だって」「侑ってば」と言った後は侑のモノローグが続くので、その時点で席に座ってもいいんですけど、作中ではその時間が続いているので、侑の心模様が語られている隣でそわそわ待っていて。

だから終わった直後は、恥ずかしい気持ちなのかすら自分自身では分からないものの、無事に峠を越えられたこともあって声が出てしまったんです(笑)。

みんなもエロ峠の収録の間は、ノイズをたてないように息を呑みながら集中して見てくれていることも分かっていたので、その空気を解くような魔法の言葉だったんだと思います。総じてこの第9話は、色々な意味でだいぶ高いエロ峠でした(笑)。

“ざわざわ”する侑と“安心”する燈子

――第10話ではついに生徒会劇のシナリオが完成して、本格的に動き出すことになりました。

寿:第4話から最終話まで、話の半分以上が生徒会劇を軸に動いているんですよね。劇に消極的な侑がいれば、逆に燈子は自分の願いを叶えるために動いていたり、生徒会劇をきっかけに出会うキャラクターもいる中で、ついに第10話で本格的に動き始めた印象を受けました。

また、燈子的には劇を通してお姉ちゃんを見ているからこそ、お父さんに無理をしなくてもいいと言われて怒ってしまうシーンもあって……そこもまた若いなって思ったんです。

もし槙君みたいなタイプだとすれば、微笑みながら「うん」と言って受け流せたかもしれませんし、いわゆる“大人の対応”という扱いになると思います。でも燈子はなんだか言っても妹なので、素直に「なんでそんなこと言うの?」「どうして分かってくれないの?」という感情が大きく出てくるのかなと。

だから、最初の方にお話しした第7話以降の妹である燈子、お姉ちゃんを通しての燈子が特に色濃く出ていたのが第10話だったと思います。そんな燈子を侑が揉みほぐしてくれるので、改めて侑の優しさを実感したエピソードでした。

――激昂して部屋に戻った燈子が侑に電話をかけるシーンですね。

高田:お互いが電話をしている中で、それぞれモノローグのセリフが対照的なんですよね。「安心する」と言っている燈子さんと「ざわざわする」と言っている侑。ただ、その延長線上には好意があるんだけどな……という複雑な距離感がまた切ないですね。その電話のシーンは私もお気に入りです。

寿:電話のシーンって特にお芝居が楽しいんですよね。

――と言いますと?

寿:電話って話している相手が何をしているか分からないじゃないですか。寝っ転がりながら話している人や作業しながら話している人も多い中で、相手が何をしているのか考えながら電話をしている。

多分、燈子は侑のすべてを知りたいと思いながら電話しているんだろうなと思いました。電話って間や声のテンションだけが頼りじゃないですか。だから「侑ってばちゃんと聞いてる?」と聞くところも、侑のテンションが変わっていくからこそ、燈子も心配して聞いていて。

それがふたりの関係性を表していると同時に、ふたりだからこそ生まれる会話だと感じました。最初の第1話とか第2話じゃ絶対にこんな電話にならなかったはずですし、ここまでの関係を築けたと考えると演じていて楽しかったです。だから私のベストシーンは、燈子の妹らしい反応が描かれた上で侑との電話で心がほぐれていく後半のシーンです。

高田:侑としては菜月ちゃんとの会話も好きなんです。同級生とリラックスしている侑を演じること自体が久しぶりだったと思います。また、侑は燈子さん以外の第三者と話しているときに色々な気持ちに気がついているような気がしていて。

燈子さんの話をしているときに侑は「自分勝手なんだよ。あの人、選挙とか劇とか、自分で全部決めちゃって」と言っていましたが、それって珍しいことだと思うんです。そんな侑に対して菜月ちゃんは「今、侑に余裕がないなら、悪いけど、ちょっと嬉しい」と、侑を知っている人からすれば珍しいことを言っているんだと気が付かせてくれました。

そういう風に言ってくれる侑と菜月ちゃんの関係は魅力的だと思います。学校が違うのに会って色々なことを話せる友達がいるのは素敵ですし、このふたりの会話がお気に入りのシーンですね。

「いくつになっても考えていることを言葉にしてくれてありがとう!(寿)」

――生徒会劇に向けての合宿が第11話で描かれましたが、こちらのベストシーンは?

寿:私の考えるベストシーンは燈子と侑と沙弥香のお風呂シーンです。女子同士で探り合うあの空気感が「分かる!」と思って(笑)。侑が「こういうのは躊躇わないのが大事!」「探り合いタイムが発生する前に、先手を打つに限る」と考えていたのはお風呂あるあるで、とても共感しました!

それは実際に私自身、銭湯や旅館に友達と行っても絶対に意識しちゃうので「いくつになっても考えていることを言葉にしてくれてありがとう!」と、清々しい気持ちで台本を読み進めていきました(笑)。

そこからみんながお風呂に入ることに対してドキドキしているシーンもそうですし、燈子の「侑......思ったよりある」という心の声も演じていて楽しくて。というのも燈子だってひとりの人間ですし、完璧に見えるけど完璧になり過ぎないように心がけていることもあって、毎話で燈子の遊べるところを探しているんです。

そんなちょっとした隙を作るポイントを探している中、このシーンは楽しそうだと思ったのでテストで演じてみようと思って。もしダメだと言われたら元に戻そうと思っていましたが、OKが出たので私の考える演技プランで収録させていただきました。

高田:私は、燈子さんと沙弥香さんが話しているところを見つめる侑が印象的でした。きっと今までの侑は、ああいう目で燈子さんと沙弥香さんを見つめることはなかったと思うんです。

だからその視線は自分の中で気持ちが芽生えたからこそ向けたものだと思っていて。この視線は複雑な感情が入り混じっているんだろうなと思いつつも、改めて三角関係が見え隠れしたシーンだと感じました。

――さらに新キャラクターとして、燈子の姉と関わりがあったOBの市ヶ谷知雪も登場しました。燈子は市ヶ谷から姉に似ていないと言われてしまいましたが、その言葉は彼女にとって死の宣告のようなもので。

寿:あのセリフを聞いたとき、自分の中でも本当に衝撃を受けました。第12話でそのセリフを思い出しているシーンではその衝撃はより強くなり、お芝居も苦戦しながら進めていったんです。

自分の信じていたものが正しいわけじゃないのかもしれない。でも何を信じていいのかすら分からない。燈子の芯のない部分がそこで表れてしまったので、一気に不安になったと思います。

これまで生きてきた燈子の目的でもあったので、その目的がズレていたという不安や焦りがすべて第11話に詰まっているように思いました。それを引きずったまま花火のシーンに繋がっていくので、そこも含めて燈子はまだまだ発展途上の人間なんだと再確認できた回ですね。

――また、花火をしているときに燈子がモノローグで「その優しさを使い尽くしてしまうのが怖い」と言っていたシーンも印象的だったと思います。

寿:第10話で「やり過ぎちゃったかも」と思うところも反省としてあると思いますし、避けられているかもしれないと思う中で、第11話では侑との距離感を測っているところがあるのかなと。

申し訳ない話ではありますが、例え沙弥香に対して優しさを使ったとしても回復できる見込みが燈子にはあると思います。ただ、侑とはそれっきりで終わってしまうかもしれない。終わりが見えているからこそ踏み出せず、時間を置きたいと考えている部分もあると思います。

だからそんな切なさと幸せの両方が兼ね備えられたモノローグだと感じました。5カットも跨ぐモノローグはそう多くありませんし、丁寧に演じたいと思って収録に臨みました。

高田:これを聞いてるときはすごく切なかったですね。今だったら侑としては言ってほしいと思いますし、何かを抱えているんだろうなと察したものの「沙弥香さんに言っているのかな……」と気がついたときの複雑さもあって、ラストの侑の視線に繋がるんですよね。

侑が抱えるもどかしさを詰め込んだ「ばーか」

――生徒会劇の練習が続く第12話ですが、先ほど寿さんが言っていたように市ヶ谷の言葉を引きずったままの燈子が印象的でした。

寿:やっぱりそこが私にとってのベストシーンですね。堂島君に「すげ............」と言われるほどお芝居に入り込んでいると同時に、市ヶ谷先輩から言われた「澪と七海さんは、あんまり似てないな」という言葉を思い出していて。そこで徐々にセリフの圧力が増していくお芝居がとても難しくて、何回も録り直していただきました。

今までも燈子は急に沸点に達するようなことがありましたが、今回は特に感情を爆発させる演技のバランスが難しかったですね。そこは燈子の妹だからこその一面が出ていると思います。役の思いと自分の思いを重ねて出しちゃうところを、思い切りリミッターを外したように演じさせていただきました。

――燈子が演じる役も自身とリンクしている部分があるからこそ、セリフに本音が入り混じっていて。

寿:そうなんですよね。そういう意味で本当にこよみはすごいと思いますし、あの役が言っているセリフは燈子に突き刺さるものしかなかったと思うんです。それが第13話にも繋がっていきますからね。だから「気が付けば息も出来ない」というサブタイトルは、まさにその通りだと思いました。

――高田さんはいかがでしょう。

高田:第12話は本当にたくさんあって……ひとつひとつ挙げていくと、まず侑が自宅に燈子さんをお誘いするシーン。勘付いていた侑が「ちゃんと守ってるんだから、先輩も信じてください、わたしのこと」と言った思い切りの良さが見えるシーンはお気に入りですし、お互いにベッドに寝転んで燈子さんが思っていたことをポツポツと喋って侑が受けれるシーンも好きなんです。

寿:そこもエロ峠だと思う! むしろこっちの方がエロい!(笑)

高田:(笑)。寝っ転がって髪をいじっているあのシーン、すごい良いですよね! でもそこで燈子さんに「侑は、私のこと好きにならないでね?」と改めて言われて、見送った後の侑の「先輩のばーか」が突き刺さりましたね。

その直後、こよみちゃんに劇の結末を変えようと言っているシーンも、ラストのモノローグで「それでも......あの人を変えたい」と言っているシーンも好きで……もう後半すべてが好きなんです(笑)。

寿:燈子役としては「侑カッコいい!そこまで思ってくれてありがとね」と思いました!

――侑のモノローグのような言葉がセリフとして表れている貴重なシーンですよね。ちなみに侑としてはそのシーンをどのように意識して演じられたのでしょうか。

高田:燈子さんには自分自身のことを好きになってほしいという気持ちが侑にはあるんじゃないかなと思っていて。お姉ちゃんの存在が大きいことはベッドに寝転んでいるシーンで改めて確認できたので“悔しい”という感情と“好き”を届けたい気持ち。そのもどかしさをすべて詰めて思いっきり「ばーか」と言いました。

こんなに大きく言ってもいいのかなと思ったんですけど、ディレクションで「もう遠くに行っているから大丈夫、思いっきり言って」と言われて全力で吐き出したセリフでした。感情を言葉に出さないタイプの侑がつい出してしまうほど気持ちが昂ぶっていたんだろうなと思います。

――では高田さんのベストシーンは後半すべてのシーン?

高田:そうですね。こよみちゃんとの会話も含めて、全部好きなシーンです。

エチュードに込められた侑の気持ちと、燈子の……

――そして、侑と燈子の水族館デートが描かれた最終話です。

寿:私の中では、デートの終盤で描かれた侑と燈子のアニメオリジナルの掛け合いがベストシーンです。エチュードとして色々な話が展開されていく中で、侑の「選ぶ必要があるんでしょうか?」という言葉は、個人的に救われたような気持ちになりました。

侑が「私は、ここに来てからのあなたしか知らない。でも、あなたの癖を知っている。あなたの好きな小説家も、あなたの好きな花の色も」という綺麗な言葉を通して思いを伝えてくれました。

「知らないんです。あなたしか......」と言われたときも、燈子的には「だからと言って……」と感じる部分はあると思います。お姉ちゃんが亡くなってから、ずっと自分の首を絞めている存在は簡単に剥がれることはないので。

ただ、今までの燈子だったら目線を合わせて「私はそういうものなの。私はそういう人間だから」と言っていたと思います。でも目を合わせずに「私は誰かを選ばなきゃいけない。だって私には記憶がないのだから。私には何もないのだから」と言うところは、侑のおかげで燈子の心がだいぶ動いていることが分かる大きなポイントだと思います。

個人的には侑に対して「あともう少し、お付き合いをお願いします」と思いつつ、ここから少しずつ燈子は動いていくんだと、そんな希望が垣間見えたシーンでした。

今回は原作が続いている中での最終話だったので、残念ながら劇のシーンなど気になるところが見られませんでしたが、侑にも、燈子にも幸せが見えて、このシーンからはふたりの可能性が感じられました。

高田:私もまったく同じところがベストシーンです。ここは(作中での)アドリブということもありますが、今の侑の燈子さんへの精一杯の告白だと思っていて。

「知らないんです。あなたしか......」と告白を受けたときの燈子さんはどんな表情なんだろうと思った先に、誰かを選ばなきゃいけないと視線を逸らされた後の侑の「そうですか......」というセリフ。ここは一番切ない気持ちでした。

でも先ほど美菜子さんに、このやり取りを希望だと言っていただいたけて本当に嬉しかったです。侑としては切なさを感じるんですけど、たしかに言われてみれば「私は誰かを選ばなきゃいけない」というセリフは、今までの燈子さんならきっと目を見て言っていたはずですよね。きっと心が揺れ動いたところが……(寿さんと目を合わせながら)見られたんだと思います。

ここからどこに行くのかが今後の展開の肝になると思いますし、だからこそ私はこのシーンが一番大好きです。

また、第12話で侑がこよみちゃんに言っていた「まるでこの劇の時間に、意味がなかったみたいだ......」というのは、まさに燈子さんと出会った侑が、自分との時間や生徒会の時間を無意味なものにしてほしくない。過去のためのものにしたくないという気持ちがあったんじゃないかなと思って。

なので、このシーンは演じる側として特に気持ちを入れたシーンでもありますし、みなさんの心の中にも残っていてほしいシーンですね。このふたりがどうなっていくんだろうという気持ちと、でもきっと希望に溢れているような終わり方が良くて、続きが気になる最終話でした。……ここまで話していて泣きそうです(笑)。

高田さんと寿さんから、侑と燈子へ向けて

――最終話の収録を終えたおふたりが考える本作の魅力についてお聞かせください。

寿:最初のアフレコのときに“好きになるってどういうことなのか”という話をスタッフチームがしていました。作中では“好き”という感情が色々な方向に向いていて、その形が色々とあって。それこそお姉ちゃんに対する気持ちも“好き”だと思いますし、決して「女の子同士だから面白かった」ということではないと考えています。

人間関係における“好き”について、改めてみんなが考えて、共感して、驚いて。そんな感情が『やがて君になる』の中にあるからこそ、アニメの中ではその“好き”という矢印を大事にして演じてきたので、人を好きになる気持ちについて作品を通して考えてもらえていたら嬉しいなと思います。

高田:人を好きになるってすごく大変なことだと思います。好きになった後もプラスなことだけじゃなくてマイナスなことも考えたり、気持ちが揺れ動くことや辛いこともたくさんあって。

でも最終話まで侑を演じて、改めて人を好きになるって素敵なことなんだと思いました。それこそ辛くなってしまう感情も全部含めて自分なんだと感じましたし、それらの感情を持っている人って魅力的だと改めて気が付きました。

原作が続いていく中でふたりの関係性も気になるところではありますが“好き”という感情に対するキラキラした気持ちを、ぜひみなさんにも持っていただけたらなと思います。もちろん“好き”は素敵な気持ちであり、辛いこともありますが、必要な感情なんだと感じてもらえていたら嬉しいです。

――では最終話まで寄り添ってきた燈子と侑に言葉をかけるなら?

寿:燈子を演じるにあたって「自分に抱えきれるかな」と不安に感じていました。私はありがたいことに、家族みんながいる家庭環境で育ってきました。でも燈子が抱えている気持ちに寄り添える人間でありたいという思いを抱えながら演じてきたつもりです。なので、そこで燈子に少しでも良かったと思ってもらえていたら嬉しいですね。

これからどうなっていくのかは仲谷先生次第ですが、ここまで侑が動いてくれることに対して燈子がどのように切り開いていくのか。彼女自身がどのように変わっていくのかによって物語は広がりを見せると思います。

アニメの最終話を終えた私からは「燈子、良かったね」「これからは燈子自身も頑張ってね」と、このふたつの言葉を贈りたいです。

高田:侑の人生の中で、燈子さんとの出会いはかけがえのないものになっているはずですし、ここまで頑張って寄り添ってきた侑は偉いと思います。

侑の中に生まれた気持ちは、彼女がようやく持てるようになった感情です。“好き”について悩んでいたところから始まったと思えば、いつの間にか燈子さんの手を引いて「あなたはこの中から選ぶんじゃなくて、あなた自身の魅力があるんだ」と伝えられるくらい、侑は魅力的な人間に成長しました。

侑が手に入れた感情はこの先の人生で誇っていいものだと思うので、これからも侑らしく、まっすぐ生きてくれたら私はそれだけで幸せです。

そして、侑に様々な感情をもらった私からは「今、あなたが持っている気持ちを大事にしてね」と伝えたいです。

[企画・取材・文/鳥谷部宏平]

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