映画
劇場OVA『フラグタイム』伊藤美来&宮本侑芽インタビュー

かわいいだけじゃない。3分間で揺れ動く少女の距離感を描いた人間の芯を突いてくるような作品──劇場OVA『フラグタイム』森谷美鈴役・伊藤美来さん&村上 遥役・宮本侑芽さんインタビュー

物語が進む中でふたりに現れる成長と変化

──実際に演じることで感じた印象の変化や原作との違いなどはありますか?

伊藤:最初の森谷はあわてたり、いつも焦っている印象があったけど、村上を助けてあげたい、好きという想いの強さから行動を起こしたり、好きな人が嫌がることをしてまで、ストレートに言葉をぶつけて気付かせてあげる姿はカッコよかったし、その強さに憧れました。

宮本:村上は元々、陽キャラだと思っていたけど、実は陽に見せた陰で、森谷は陰に見えて、本当は強いところがあったり、人間のことが大好きで陽の部分もある子なんだなと。だからこそ、運命的に出会って、結びついたのかなとも思いました。

──最初は村上が常に主導権を握って、森谷を引っ張ったり、振り回していたけど、ある出来事から弱さや辛さを見せた村上を森谷が救おうと必死になって。

伊藤:アニメでも急に立ち位置がガラっと変わるんですよね。そこが肝になっている部分でもあり、気持ちの作り方的にもそのシーンは大事だなと思っていたので、「どこまで強く言おう?」と思いつつ、「でも森谷も揺れてるし、村上はもっと揺れてるし」と細かい部分を考えながら演じた記憶があります。

宮本:それは感じましたね。最初は私がテンポ感や雰囲気を作ろうと頑張っていたけど、掛け合いをしているうちに途中から森谷ワールドに引き込まれていって、綱引きに負けたような(笑)。美来ちゃんのお芝居に引っ張ってもらって、村上も開放されたという感覚もありました。

──いつもは冷静な村上が感情をむき出しにするシーンはエモーショナルで迫力がありました。

伊藤:最後はすごかったね。ふたり共、終わった後、「はぁ〜」って。

宮本:出し切った感じで。最後のシーンは結構ピリついてたよね。

伊藤:そこから告白シーンがあったり、感情の動きが激しくて、私達もぜーはー言いながら必死にやりました。

ふたりのお気に入りのシーンは?

──アニメの中でお気に入りのシーンを挙げるとすれば?

伊藤:この作品は日常シーンが多いんですけど、森谷の心の中みたいなシーンが出てきて、それが幻想的な雰囲気で。

宮本:私も絵コンテでそのシーンを見ただけでほろっとしちゃった。

伊藤:現実からかけ離れた世界に一瞬入れて、ファンタジー要素も強いシーンなので、ぜひ見てほしいです。

宮本:私は森谷とふたりで時間を止めて、廊下で寝そべって話すシーンです。他のシーンは場面転換する出来事が起きるんですけど、そのシーンだけはふたりが思っていることをただ話すだけで。村上が「この時間がもっと続けばいいのにね」と本音をぽろっと言ってしまうところは、森谷に心を許し始めたんだなと感じられるシーンなので好きです。

──あと印象的という点ではPVでも公開されている、森谷が時間を止めた後、村上のスカートをめくるシーンでしょうか?(笑)

宮本:「何やっているの?」と思うでしょうね。

伊藤:そして「どういう話なの?」と(笑)。PVの映像を初めて見た時は想像以上にきれいでうれしかったです。キャラの表情も繊細に描かれているし、楽曲がいいところで流れるなと思いました。

宮本:天才的だよね。あと原作にはなかった海辺のシーンがキービジュアルで出た時、「なんて素敵な絵なんだ」と思ったし、PVにもその感じの雰囲気も入っていて。佐藤卓哉監督の前作『あさがおと加瀬さん。』のきれいな雰囲気に加え、『フラグタイム』独特の線画っぽい世界観とrionosさんの音楽も素敵で、今回携わることができて本当によかったなと思いました。

──以前のインタビューでプロデューサーが背景の美しさや、時間が止まっている時の描写が見どころとおっしゃっていました。

伊藤:今、思ったんですけど、ふたり以外時間が止まっている描写をマンガで表現するのってすごいですよね。原作を読んでいる時は気付かなかったけど。

宮本:マンガは止まっている絵なのに、そこに時間が止まっている描写をするのって難しい事なんですよね。

収録はふたりでのプレスコと全員集合での収録と複数回に及ぶ

──収録はどのような形で行われたのでしょうか?

伊藤:一番最初はプレスコの形で、私と侑芽ちゃんの二人だけのシーンを録って、その後に他の皆さんと一緒に3回に分けて収録しました。

──皆さんそろっての収録はいかがでしたか?

宮本:方向性がバシっと決まっていたので、ディレクションが明確だったこともあり、お芝居がしやすくて。恵まれた環境でお芝居できて、うれしかったです。

森谷を気にかける小林にも注目!

──森谷と村上と小林以外はキャスト名だけの発表というのも珍しいですね。その小林は原作よりも存在感が大きくなっていますね。

伊藤:いい子だよね。

宮本:あの子が育った家庭や環境が村上さんにあったらと。小林さんと森谷さんがしゃべっているシーンが、ちょっぴりうらやましくて。フランクにおしゃべりしていて、「そんな素の表情を私以外に見せるの?」と思いながら後ろで見てました(笑)。

伊藤:ちょっとジェラった?

宮本:うん。

伊藤:森谷としては最初の印象はあまりよくなくて、すごくしゃべってくる子だなって。でも小林さんが持つピュアな雰囲気や強引だけどちょっと鈍感な性格が相まって、森谷を外へ連れ出してくれるキャラですね。森谷は村上さんと出会うことで変わっていくけど、小林さんと出会えたから変われた部分もあるので、重要なキャラだなと思います。

──小林が話しかけてくるのをうざがって時間を止めて逃げ出してしまう森谷を見放さないでくれましたからね。

伊藤:何回も逃げているのを嫌な顔をせず、「やっと話せた」と言ってくれて。

宮本:普通だったら心が折れるよね。

伊藤:強いハートの持ち主だと思います。

(C)2019 さと(秋田書店)/「フラグタイム」製作委員会
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