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映画『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』神谷浩史(ガンマ1号役)インタビュー

映画『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』ガンマ1号役・神谷浩史さんインタビュー|僕が一番好きなキャラクターは、ピッコロさんなんです

彼らが絶対にいいものにしてくるというのはわかっていること

ーー今作で再び『ドラゴンボール』のアフレコ収録に参加されてみて、いかがでしたか。『ドラゴンボール』の独特な空気感みたいなものはあるんですか。

神谷:普通に考えたら、『ドラゴンボール』はレギュラーメンバーだけで話を作れてしまうものなんです。長く続く作品になればなるほど、当然そういう感じになっていくんですよ。そこに新しいキャラクターとして登場して、メインキャラクターに関わっていくというのは、すごくプレッシャーだし、「どうしたら馴染めるんだろうか?」と思うんですよね。

長く続く作品になればなるほど、ゲストとして参加するのはすごく緊張するものなんですけど、でも鳥山先生がデザインしてくださったキャラクターで、鳥山先生が台詞を構築してくださったということを考えると、そこにいて当たり前なんですよね。だから、僕は何も考えずに、このビジュアルで「スーパーヒーローだ」と言っているのであれば、そうだろうなと思うし、答えは1つしかない感じになってくるんですよ。

『ドラゴンボール』や『Dr.スランプ』(※6)も読んでいましたから、鳥山先生が作り出す世界というものが自分の中に方程式として成り立っていて、そこに当てはめていくと、おのずと答えが出てくるという感じになってくるので、すごく迷ったりとか、すごく悩んだりとかは特になく、現場に行って、僕が「ガンマ1号はスーパーヒーローなんですよね。彼なりの正義を持っていて、そこに堂々といれば成立しますよね?」と言うと、監督が「その通りです。お願いします」とおっしゃっていただきました。

アフレコじたいは、マコさん(孫悟空、悟飯、悟天役の野沢雅子)と一緒に収録をさせていただいたので、すごく楽しかったですね。


※6『Dr.スランプ』:『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて1980年~1984年に連載された鳥山明によるコミックス。


ーーガンマ2号役の宮野真守さんやDr.ヘド役の入野自由さんなどの他のキャストさんとはアフレコは別収録だったんですよね。

神谷:そうです。すでに声が収録されている状態だったんですけど、「こんなふうにやるんだ」ということでもなかったな(笑)。マモちゃんにしろ、ミユにしろ、10年以上の付き合いになってきているので、彼らが絶対的にいいものにしてくるというのは、わかっているわけですよ。

彼らはやっぱりエンタメが好きだし、常に新しいところに身を置いて、自分を磨いている存在なので、その彼らが『ドラゴンボール』というところに集められて、僕が想像する以下のものをやるわけがないんですよ。

ーー信頼感みたいなものですか。

神谷:信頼というか、それが当たり前なので「だから、そうだよね」と……。それでも、すでにアフレコされている音を頼りに、僕は自分の役を作っていったところもありますね。

『ドラゴンボール』ならではの感覚

ーー『ドラゴンボール』は当時リアルタイムで見ていたんですか。

神谷:そうですね。『ドラゴンボール』は当時水曜日の7時からフジテレビで見ていました。『ドラゴンボールZ』の始まったタイミングぐらいが中学生ぐらいで、塾に通っていたのでTVアニメのAパートだけ見て、Bパートが見られないまま時間が過ぎていくという感じでした。

アニメーションというものは、子どものものだと僕は思っているので、自分が大人になるにつれて、卒業していくタイミングだったんですよね。だから、好きだったけれども、塾に行かなきゃいけないから見られないというところもあって、そのタイミングで徐々に卒業していきました。

だから『ドラゴンボールZ』ぐらいまでは知っているけど、それ以降はTVアニメを見ていないんです。ただ、『ドラゴンボール』がすごく不思議なのは、見ていない、読んでいないのに、話を知っていたことです。周りはみんなコミックスを読んでいるし、何となくみんなが話していることが聞こえてきているからか、「次の敵はセルとか、今は魔人ブウ(※7)と戦っているんでしょう」というようなことは知っているんですよね。

あの感覚はたぶん『ドラゴンボール』しかないでしょうね。自分の歴史を紐解いてみても、読んでいない、知らない、触れていないのに、情報として入ってきて知っているというのは『ドラゴンボール』ぐらいだと思います。それ程世の中に影響力があったし、自分も影響を受けていたんでしょうね。


※7魔人ブウ:魔導師ビビディが生み出した魔人。


ーー『ドラゴンボール』の中で、好きなキャラクターを教えてください。

神谷:僕が一番好きなキャラクターは、ピッコロさんなんです。生まれた構造もすごく面白いじゃないですか。地球に流れ着いたナメック星人が神様になるために、自分の悪意の部分を切り離してピッコロ大魔王になり、それが悪いことをしているものだから、孫悟空が倒していなくなっていったキャラクターですけど、最後の力を振り絞って口から吐き出した卵の中から生まれた分身ですよね。本来であれば神様が切り離した悪の部分、悪の塊ですから、その悪であるというのが大前提なんですよ。

そのイメージが僕の中ですごく強いので、独特の緊張感を持ったキャラクターとしてピッコロさんがいるなと思っていたので、すごく特殊なキャラクターなんですよね。でも、何で独特の緊張感を保ち続けていられているのかと考えると、やっぱりピッコロを演じている古川登志夫さんの力がすごく強いんじゃないかなと思っています。

古川さんのちょっとニヒルな声で役の特異性みたいなものをアプローチされていて、敵なのか、味方なのか一見わからない。でも、根の部分は悪い人じゃないところもしっかり見えてくる。古川さんの声って、そういう声なんだと思うんです。。

他の作品になりますけど、『機動戦士ガンダム』(※8)のカイ・シデン(※9)という役も古川さんが演じています。一年戦争を戦っていく中で、カイ・シデンはちょっと皮肉屋でずっと軽口を叩いていた男として登場しますけど、戦場に赴いて、必死になってガンキャノン(※10)を使って「俺だって、俺だって」と言いながら、引き金を引く。そんな彼の姿を見ていたので、敵だか味方だか、味方の中にいるけれども、いつ寝返るかもしれないという特殊な緊張感を持っているキャラクターを成立させる、古川さんはそういう魅力的な声なんだろうなと思うんですよね。

だから、ピッコロというキャラクターも見た目、性格、そして古川さんの声というのが合わさって、すごく魅力的なキャラクターになっているような気がします。


※8『機動戦士ガンダム』:1979年から放映された日本サンライズ制作のロボットアニメ。
※9カイ・シデン:アニメ『機動戦士ガンダム』シリーズに登場する架空の人物。CVは古川登志夫。
※10ガンキャノン:「ガンダムシリーズ」に登場する架空の兵器。有人操縦式の人型ロボット兵器・モビルスーツの1つ。


ーー子どもの頃からピッコロが好きだったんですか。

神谷:そんなことは思っていなかったんです。大人になって見てからピッコロが好きになりました。子どもの頃は誰が好きと言ったら、孫悟空(※11)が好きに決まっているんですよね。大人になってくるにつれて、「悟空って、やべぇ!」って思うようになるじゃないですか。あいつは戦闘民族以外の何物でもないから、自分よりも強いやつと戦うためだったら、地球をもピンチに追いやるみたいなところがあるんです。

※11孫悟空:『ドラゴンボール』の主人公で、地球育ちのサイヤ人。

ーー孫悟空は考えてないところがありますよね。

神谷:そう、何も考えてない(笑)。あいつは「強いやつと戦えればいい」というやつなので、「こいつ、やべぇな!」っていう(笑)。

でも、ピッコロは悟空とバランスを取るために、もうちょっと考えがしっかりしている部分が見え隠れしてくるところがあります。でも、ちょっと間の抜けているところもあったりして、そういうところのバランスがピッコロはとっても良かったんでしょうね。

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