「ひろがるスカイ!プリキュアLIVE2023 Hero Girls Live ~Max!Splash!GoGo!~」『ひろプリ』ライブリレーインタビュー! キュア・カルテット工藤真由さん【連載第12回】
キュア・カルテットとして歌える喜び
──今回はキュア・カルテットとして『キボウノチカラ~オトナプリキュア’23~』のEDテーマ「雫のプリキュア」を歌われています。本作では、『Yes!プリキュア5』『Yes!プリキュア 5GoGo!』の、のぞみ(三瓶由布子さん)たちの大人になった姿が描かれるとのこと。お話を聞いたときはどのような思いになりましたか?
工藤:まず「のぞみちゃんが大きくなるの!?」って驚きからのスタートでした(笑)。でも私自身ものぞみちゃんたちと一緒に成長して今があります。昔があるから今がある……その等身大の物語の曲に声を乗せられることは、本当に嬉しい限りです。
しかもソロではなくて、キュア・カルテットとして。私の中でキュア・カルテットは特別な存在なんです。5周年の時に、4人でミュージカルショーに出演して、その中で色々なことを教わりました。その4人で一緒に歌えるということがとても嬉しいです。
──昨年のリレーインタビューで宮本さんが「あの完璧なおふたり(五條さんとうちやえさん)と一緒に歌う時、“私たちはどうしたらいいんだろうか”という話を工藤さんとしていた」と教えてくれて。
工藤:いつも反省会をしていたんです(笑)。ふたりで試行錯誤していました。その中で、すごく覚えていることがあって。
ある大きなイベントに参加した時に、私の声が出なくなってしまったことがあったんです。でもその時は「プリキュア5、フル・スロットル GO GO!」(『Yes!プリキュア5 Go Go!』OP)をフルで歌う予定でした。
でも1番の段階で全然声が出なくて……そしたら2番でみんなが出てきてくれて、一緒に歌ってくれたんですよ。何も言わずに、3人がステージに上がってくれたんです。
まさしくプリキュアだと思いました。「仲間が助けに来てくれた!」って。キュア・カルテットのメンバーは絆が強いように思います。
──皆さんの信頼関係が伝わってくるエピソードですね。
工藤:『プリキュア』に携わるようになってからの1年目は、正直あまり記憶がないんです。初めてのことだらけでしたし、「みんなに楽しんでもらいたい!」という思いが強すぎて、とにかく必死でした。
でも2年目になった時に「(自分も)楽しもう!」という気持ちに変わりました。そう思えたのは、五條さん、うちやえさんからいろいろなことを教わったおかげです。もちろん佳那子の存在も大きかったです。本当にたくさん話し合いました。
──五條さんにお話をうかがったときに、ライブでは“楽しさ”を大切にされているというお話をされていたんです。うちやえさんにそのお話をしたら、「その五條さんのマインドがみんなに受け継がれていってる」というお話をされていて。
工藤:そうですね! まず自分が楽しまないとお客様を楽しませられないなと気づきました。それは昔から思っていたことではあったんですが……パワーをあげたいのに、お客様からパワーをもらっているんですよね。ミュージカルショーで「プリキュア頑張れー!」の声を聞くと、自分が励まされてしまって。その声を受けて「頑張るよ!」と。
「自分が楽しむ!」と決めてからは、とにかく楽しむことを私も大事にするようになりました。緊張はもちろんするんですけど。
──うちやえさんは、ライブは「緊張すると思います」と(笑)。
工藤:(笑)。うちやえさんは結構緊張しいとうかがっています。五條さんとうちやえさんは、本当にいいコンビと言いますか(笑)。2人がいるだけでも場が和みます。佳那子もほわんとしている感じなので、すごく良いバランスなんですよね。今日(取材日)、ひさしぶりに会って……。
──お久しぶりだったんですね。
工藤:4人で集まったのは久しぶりでしたね。昔に戻った感じがしました。根本的なところは変わってないので一瞬で戻れてしまいます。こうやって4人で会えて、歌えているということがいちばん嬉しいですね。
──本当に素敵な関係性だなと思います。先程うちやえさんに「キュア・カルテットはどんな存在ですか?」とうかがったところ、「同志であり、仲間であり……」と、特別な存在であるということをおっしゃっていて。
工藤:嬉しい! 本当に家族のような存在なんですよね。全くみんなバラバラなんですよ。性格も歌い方も全然みんな違う(笑)。
──うちやえさんもおっしゃっていました(笑)。
工藤:全然違うんですけど、一緒にいるだけで安心するし、トラブルがあったとしても「このメンバーなら大丈夫だろう」という安心感と信頼感があります。
──その絆はライブでも発揮されるんだろうなと、今から楽しみです。
工藤:「LIVE HOUSE Circuit!」は声出しもできるとのことで楽しみです。
今まで溜めてきたこの5年分のプリキュア魂を込めて、思いっきりフルスロットルでいきたいなと思っています!
──その後は「ひろがるスカイ!プリキュアLIVE2023 Hero Girls Live ~Max!Splash!GoGo!~」(以下、「プリキュアライブ」)が控えられています。
工藤:どうなるんだろう!って今から楽しみです。当時プリキュア歌手が7人の時でも多いと思っていたんです。 今は全員で18人ですよね。18人もいるんだって(笑)。20年ならではですよね。実はプリキュア歌手のLINEグループがあって。
──あ、おうかがいしました! 全員入ってらっしゃるんですか?
工藤:はい。北川(理恵)さんがつないでくれたりして、全員が入っています。私がずっと歌わせていただいていた時に……心がけていたわけではないんですが、「五條さんから受け継がれたプリキュア魂を大切にみんなに伝えていきたい」という使命感があって。
それと、只野(菜摘)さんや青木(久美子)さんたちが描かれている歌詞を「私たちが歌で伝えていければ!」と強く思っていました。
それを私の中ではプリキュア魂と呼んでいます。自分なりに、そのプリキュア魂を池田 彩ちゃんや茂家瑞季ちゃんたちに教えていたつもりでした。
それがつながっているな、と感じますね。でも、今歌っている石井あみちゃんや吉武千颯ちゃんにはまだ会ったことはないんです。だからLINE上で「こんにちはー」という感じで(笑)。会ってはなくても、つながりを感じていて。なんだか不思議ですよね。温かい。
──『プリキュア』シンガーの皆さんには、その「つなげていきたい」「受け継いでいきたい」という思いをそれぞれ強く持っている印象があります。
工藤:『プリキュア』の温かな空気感がそう思わせるのかもしれませんね。きっとそうやって、つなげていってくれているのかなと。新しく『プリキュア』歌手として入った方も、すぐ馴染んでいるような感じがします。
15周年の時にもリハーサルで「はじめまして」の方がいたんですけど、本番の時には仲が良くなっていて。『プリキュア』シンガーもファミリーなんだなと思いますね。
「プリキュアライブ」では、みんなでまた新しい空間を作れるんじゃないかなと。とにかく楽しみです!
大人向けのビタミン剤
──「雫のプリキュア」を聴かれたときはどのような印象がありましたか?
工藤:キュア・カルテットの曲は<プリキュア>という言葉が散りばめられていたり、楽しくてノリが良かったり、というイメージがありました。
でも「雫のプリキュア」は、『キボウノチカラ~オトナプリキュア’23~』の曲というだけあって、曲調も少しオトナっぽいというか。またひとつ成長したプリキュアの曲だなと感じています。
私が『プリキュア』をはじめてから今までの過程も思い出すかのようでした。「わかる、わかる!」「大人になってからわかる歌詞!」というような言葉がたくさんあって。
大切な言葉がたくさん詰まっている曲だなと思いました。涙って結構マイナスなものの印象がありますけども、すごく前向きで……。
──先程おっしゃっていた「オープニングを聴くと泣いてしまう」の涙に近いものがあるように思います。
工藤:そうそう! さらにキュア・カルテットの4人の声!という感じもして。できあがった音を聴いたときに「やっぱりキュア・カルテットだな」と思いました。やっぱり4人が集まるとこの音色になるんだなと。
──<目醒めるとき 強くなる瞳に 一粒 光の雫がこぼれた>という最初の言葉からも、しなやかな強さを感じました。大人の応援歌になるんじゃないかなと思います。
工藤:冒頭から掴まれますよね! 大人の応援歌、まさに私もそう思います。仕事をしている人が聴きたくなるような曲というか、大人向けのビタミン剤的な存在になるんじゃないかなって。少しでも「頑張りたいな」「明日から頑張ろう」と思ってもらえたら、それだけで嬉しいです。
大人になっていくと、状況だったり、仕事だったり、いろいろと変わっていくことがあると思うんです。でもやっぱり「根本は変わっていないよね!」ってことを、この歌を聴くと分かるんじゃないかなと。
──レコーディングはいかがでしたか?
工藤:レコーディング自体ひさしぶりだったんです。だから少し不安もあったんですよ。「今の私で歌ったらどういう感じになるんだろう?」と。
でもやっぱり昔に戻るんですよね。それでいて、今ならではの私の歌い方にもなる。声質は変わらないからこそ、『プリキュア5』の時の私も、等身大の私も出ているのではないかなと思います。
『プリキュア5』から数えても16年経っているので、16年間の重みじゃないですけど(笑)。それがきっと、この歌で表現されているんじゃないかなと。この歌がみんなの支えになったらいいなと思います。
──工藤さんは何番目にレコーディングされたんでしょうか?
工藤:3人目かな。先にうちやえさんと佳那子が歌っていていたので「この声だー」「佳那子だー」とか思いながら(笑)。レコーディングしていて「やっぱり楽しいな」「改めて歌が大好きだな」と実感しました。
──作家陣の方たちも、多分愛を込めて作られた曲なんだろうなと。
工藤:高木さんには本当に久しぶりに会って、いろいろな話もしましたね。「あの時はこうだった」などの昔話をしつつも、曲に込めた思いも聞いて。昔一緒に曲を作っていた人たちに会えるのも『プリキュア』ならではだなと思いました。
──工藤さんと宮本さんの歌われている一節がとても印象的でした。
工藤:本当ですか? 嬉しい。
──それと同時に考えさせられる言葉でもあるなと。
工藤:私も歌詞を見た時にびっくりしていて。もしかしたら昔の私たちであれば、その意味がちゃんとわかってなかったかもしれない。でも今だからこの言葉に対しての大切さが理解できるなと。
捉え方は人それぞれで違うと思うんです。それはそれでいいんだろうなと。「<正直ないのちが>ってなんだろう?」と少しでも考えてもらえたら、きっとまた世界が変わっていくんじゃないかなと思っています。