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春アニメ『狼と香辛料』福山潤さん(クラフト・ロレンス役)インタビュー前編

「この作品1回アニメ化しているからすんなり行くんじゃないの」って最初は思ってたんですけれど「まぁそんなはずない」春アニメ『狼と香辛料 MERCHANT MEETS THE WISE WOLF』キャストインタビュー【前編】 クラフト・ロレンス役、福山 潤さん

 

当時としては異色だった『狼と香辛料』を“今の技術”でアニメ化したら、今の人たちにどう受け止められるのかが楽しみ

──福山さんはロレンスをどういうキャラクターだと認識されていらっしゃいますか?

福山:ホロと出会う前までは多分、それなりにちゃんとした商人だったんでしょうけど、特別優秀な商人でもないという。目端は効くけど、おそらくホロに出会ってなかったら、どっかで失敗して手痛い目に遭っていた人っていう印象ですね。

なので、ホロと出会ったおかげで大きな商材にも出会いましたけど、その分経験がない中で失敗を経験して、そこで起死回生の一手とかをあがきながら身につけていって、ちょっとずつ実力がついていくと。

もともと年齢の割にはしっかりした商人だったことは間違いないんでしょうけど、多分ホロと会うことによって、色んな所と渡り合える商人に成長していったという印象ですね。

──では、パートナーのホロについてはどうでしょうか?

福山:一言でいえば神様ですね。

 

 
ただ、信仰があって多くの方々に畏怖と尊敬の念を向けられている間っていうのは一人ではないけれども、忘れられて信仰がなくなっていくにつれて孤独になって、自分のことを誰も知らないというのが寂しいという、人間とほぼ近い価値観を持っている存在で。

孤独というものに対してロレンスもすごく恐怖を持っているんですけれど、でも寿命で死なない人がずっと孤独でいるっていうのは多分その比じゃないんだろうなと。そういう部分で、肉体は超越しているけれども、存在は危ぶまれちゃっている人という印象ですかね。

そういった意味でいえば、寂しい人たちが出会って結びつくというところは、人と人の出会いと基本的には変わらないのかなと思っています。

──福山さんにとって『狼と香辛料』という作品そのものについてはどういった印象がありますか?

福山:当時はいわゆるライトノベルというジャンルの中でもとても異色な作品だったと思うんです。今よりも実体経済がまだ残っていた時代に、ライトラベルっていうジャンルの中でこういう風に経済や人の営み……舞台は異世界みたいな所ではあるけれども、そこで行われている事は人間の歴史と変わらないので、そこにフォーカスを当て、エンターテイメントに昇華した作品っていうのは、すごく斬新な切り口だったと思います。

キャラ人気ももちろんあるんでしょうけれど、それは物語の根本的な部分が面白いから成り立つものでもあるので。だから『狼と香辛料』って、当時では異色な作品だったなぁという印象ですね。

 

 
それを15年経って“今の技術でアニメ化したらどうなるのか?”というところに舵を切ったと僕は勝手に思っているので、今の人たちから見るとどういう風に受け入れられるのかな?というのが気になるところではあります。

15年前にやったことをもういっかい同じようにやっても、映像表現が変わったり、それこそ演じる側の演出が微妙に変わっていってるので、それがどのように受け止められるのかは収録に参加しながらすごく興味があるところではありますね。

──1話を先んじて拝見した時、冒頭ですごいびっくりしたのですが……。

福山:完全なファンサービスですよね(笑)。そこまではアニメでやったことないので。

 

今の若い方たちにも見ていただいて、楽しんでいただけたら幸いですね

──今回はどこまで映像化されるのか、ファンはとても気になると思います。

福山:僕らもこのプロジェクトがどれぐらいのスパンで考えられているものなのか、全く情報がないので、とりあえず僕らが収録してる部分まではアニメがされるんだっていうのが分かってる程度で、この先のことは全く分かってないですね。

特にこの作品が好きな方は原作も全部履修していると思うので、改めて映像を見るにあたってそういった、ノスタルジーだけじゃなくて、地続きなんだよっていうところを伝える最大限であり、最小限でしかできないファンサービスですよね。

 

 

──今作一番の見どころはどこにあると思いますか?

福山:やっぱり映像表現ですよね。とにもかくにも。当時の方たちもものすごくしっかり作って頂いていたんですけれど、今の技術を用いると、いわゆる架空の世界での文化であったりお祭り、風習であったりが、映像ですごく色濃く表現できているので。

これから先いろんなエピソードでも土地ごとのモノが出てくるので、かなり面白く見えるといいますか、映像の進化というのが十二分に発揮されているなぁという印象ですね。

あと「この作品1回アニメ化しているからすんなり行くんじゃないの」って最初思っていたんですけれど、「まぁそんなはずないな」っていうくらいシナリオに落とし込むのが相当難しい作品だなと。ほとんどが会話劇になるんですが、物語背景にある経済状況だとか、状況説明というのをいかに説明しないで会話の中に落とし込むかって脚本作業が大変だと思うので。さらに、そこから脚本に落とし込んだ後、コンテにするっていうのがより難しい筈です。1度やっているからって簡単にいかないというのは収録の初回ですぐ感じました(笑)。

 

 
当時もこのエピソードをTVアニメの限られた尺に収めるのって相当難しいなと感じていたので、今回もやっぱりそれは変わらなかったですね。なので、なるべく急いでいるようにも見えないようにしたいですし、ハイテンポだなあって思わせないように作ってはいきたい。

けれども、どうしても会話って削れない情報なので、それを最小限かつ分かるようにリライトとして作っていくっていうのが、15年前も同じ苦しみをスタッフの方々はしていたんだろうなあって。僕らは用意されて、修正されたものを読むだけなので、そこの苦労はない分、大変そうだなと。

ただ、言葉の処理であったりだとか、理解していないと伝わらないものであったりだとか、十分に練られたものが出てくるので、会話劇としての面白みも強いと思います。

──先ほど他の方とは別の場所でアフレコされていたということなので難しいかもしれませんが、アフレコ現場の雰囲気はいかがでしたか?

福山:そうですね……。僕以外の人たちはみんな楽しくやってましたね(笑)。

── 一緒にお話しされたいとかはなかったのでしょうか?

福山:収録のディレクションブースがあって、ディレクターが座っているのが正面だとしたら、右側に大きいスタジオがあって、そこにみんながいるんですよ。僕はそのスタッフの方たちがいる奥に、1人用のスタジオがあってそこにいるので、みんなとは会話ができないので、するならば音響監督という感じになりますね。なので、みんなが楽しく和気あいあいとしているのがヘッドホンから聞こえてくるなぁぐらいですね。

かといっても過去にもみんな一緒にやっていた人たちでもありますし、他の現場でもよく会う方たちでもあるんで、「まあこういうもんだろう」と思って、はい(笑)。

 

 

──最後に、今作から入られる新しい方たちと、これまで応援し続けてくれているファンの方にそれぞれメッセージをいただけますか? まずは新規の方たちへお願いします。

福山:今すごく便利な世の中で、経済とかも含めてパソコン上でできたり、スマホ上でできたりなんていう中で、着る物1つを取ってしてもとても貴重なものであるという世界の中での商人たちのやりとり。信用が何よりも重要だよっていう部分が、今の世の中だとすっ飛ばしてできちゃう社会になっているので、これを改めて見ていただいた時に、経済の勉強とはまたちょっと違うんですけれど、顔を向き合わせて交渉していく、そして話していくことの大事さがわかるのではないでしょうか。

そして何よりも「1人ってやっぱ寂しいよね」とかそういった単純にわかりやすいものもそこにあったりして。そこから広げられるエピソードごとの山場が点在しているので、固唾をのみながらも「こういった作品が15年前以上からあって、そして今なお根強く支持をいただいているんだよ」っていうのを、今の若い方たちにも見ていただいて、楽しんでいただけたら幸いですね。

 

 

──続いて、ファンの方々へお願いします。

福山:どう言っていいのかが難しいのですが、自分の中でずっとシリアスに向き合ってきた作品なんです。他の作品だと結構楽しさが乗ればいいって言うので、現場でも楽しくやっていろいろふざけたりとかもしながらやってはいるんですけど、この作品に関してはちょっと気が抜けないなっていう部分が多々あって。自分が楽してしまうと、ロレンスとしての見え方もおかしくなっちゃうし、お芝居としての掛け合いが重要だったりだとか。過去にやっているからこそ、昔こんな風にやっていたよなっていう手癖でやるのも気をつけないといけないなとか、そういった、当時はがむしゃらにやっていたものが、今はまた違うアプローチになってくるので。ね。

ただ改めてロレンスという青年を演じる機会を得たので、みなさんがどんどんどんどん次のエピソードを見たいなと思っていただけるようなストーリーの骨組みに組み込まれていたらいいなと思っております。収録も精一杯頑張ってやっておりますので、楽しんでいただけましたら幸いです。

 

作品概要

狼と香辛料 MERCHANT MEETS THE WISE WOLF

あらすじ

若き行商人クラフト・ロレンスは、荷馬車を引く一頭の馬を相棒に、街から街へと商品を売り歩く日々を送っていた。

ある日、黄金色の麦畑が広がる小さな村を訪れた彼は、耳と尻尾を有する美しい少女と出会う。

「わっちの名前はホロ」

自身を“賢狼”と呼ぶホロは、豊穣を司る狼の化身だった――。

彼女の「遠く北にあるはずの故郷・ヨイツの森へ帰りたい」という望みを聞き、ロレンスとホロは北を目指す商売の旅の道連れとなる。

だが行商人の旅には思いがけない波乱がつきもので……。孤独だった行商人と、孤独だった狼の化身を乗せた馬車が、今、騒がしく走り始める。

キャスト

クラフト・ロレンス:福山潤
ホロ:小清水亜美
ゼーレン:浪川大輔
リヒテン・マールハイト:大塚芳忠
ハンス・レメリオ:郷田ほづみ
ノーラ・アレント:中原麻衣

(C)2024 支倉凍砂・KADOKAWA/ローエン商業組合

 

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