かもめの「道を切り開く」「自由」「希望」といった象徴を曲全体で感じてもらいたい──TVアニメ『シンカリオン チェンジ ザ ワールド』新エンディング主題歌「Seagull」山本彩インタビュー
ジェイアール東日本企画・小学館集英社プロダクション・タカラトミーの3社が原案となる『シンカリオン』シリーズの最新作、TVアニメ『シンカリオン チェンジ ザ ワールド(以下、シンカリオンCW)』。
本作のエンディング主題歌は、豪華アーティストが実在する新幹線をモチーフにしたタイトルで主題歌を書き下ろす“UTA-RAIL♪PROJECT(ウタレール プロジェクト)”として展開されています。
meiyo、THE ALFEEからバトンを受け継いで、11月3日(日)の放送では山本彩さんの新曲「Seagull(読み:シーガル)」が新エンディング主題歌としてお披露目されました。
本稿では、「Seagull=かもめ」というタイトルの通り、西九州新幹線「かもめ」をモチーフにした楽曲について、「かもめ」というテーマをどのように楽曲へ落とし込んだかの制作裏話をはじめ、好きなキャラクターや新幹線での過ごし方などを山本彩さんにお話を伺いました!
かもめの「道を切り開く」「自由」「希望」といった象徴を曲全体で感じてもらいたい
──今回のエンディング主題歌の依頼がきた時の感想を教えてください。
山本彩(以下、山本):『シンカリオン』シリーズはストーリーに青春らしさが詰まっている作品なので、以前からそういった作品と自分の楽曲は親和性があると思っていました。実際にお話をいただいた時は、そんな自分のイメージとも重なって凄く嬉しかったですね。
──今回の「Seagull」という楽曲は西九州新幹線「かもめ」をテーマに書き下ろしていますが、新幹線を楽曲で表現するとしたら「疾走感」と「爽快感」の2パターンがあるかなと思います。今回は特にサビで大きく広がる雄大さや爽快感のある楽曲ですが、この表現にしたきっかけが何かあったのでしょうか?
山本:『シンカリオンCW』という作品に触れて、キャラクターたちが壁にぶつかったり、それを乗り越えて新たな道を切り開いていくという前向きなメッセージを感じていたのが大きいですね。
かもめは「道を切り開く」「自由」「希望」といった象徴を持っている鳥なので、それを歌詞だけでなく曲全体で感じてもらえるのが良いなと思って。楽曲のサビで前向きな言葉を歌っているので、そこが一番明るくなるように楽曲を作りました。
──エンディング主題歌に決定した時のファンの反応を見ると「爽快感のある楽曲になりそう」と予想している方が多くて、さすが山本さんのファンという感じでした。
山本:読まれていますね(笑)。
──楽曲に関してアニメ側から何かオーダーはありましたか?
山本:それが、オーダーはほとんどなかったんです。「エンディング用の楽曲なので、アコースティックでゆったりした雰囲気をイメージしています」といったお話をいただいた程度だったので、自分なりの「かもめ」のイメージでやらせていただこうと思いました。
──実在する西九州新幹線「かもめ」がテーマになっていますが、過去のタイアップ楽曲と制作面で何か変化はありましたか?
山本:テーマが西九州新幹線「かもめ」なんですけど、同じ名前の鳥もいますよね。普段は1つのテーマを元に深掘りして楽曲を書いているので、今回は様々な切り口で書ける可能性があるのは少し難しかったです。
あとは「かもめ」というテーマが具体的過ぎて(笑)。それをどう楽曲に落とし込もうか、というのはありましたね。
──加えて『シンカリオンCW』は新幹線・ロボット・中学生などといった複数の要素が絡んでいるので、なおさら楽曲に落とし込むのが難しそうですね。
山本:いつも私がやっていることなんですけれど、1つ大きなテーマがあったとしたら、そこからマインドマップ(※1)のように連想する言葉やシチュエーションをとにかくたくさん書き出すことにしているんです。
そこから関連性や結びつきが深そうなものをピックアップしたり、パズルのピースを埋めるような感覚で楽曲を完成させることが多いです。
※1 マインドマップ:脳内の考えを紙などに視覚的に書き出す表現方法の一つ
──そのマインドマップのなかで、どんな言葉やシチュエーションを書き出したか覚えているものはありますか?
山本:サビの「ほんの少しの風で 何万キロも先へ」という歌詞に関して、「かもめって渡り鳥だけど、どれくらいの距離を移動しているんやろ?」と思って調べた時に、あの小さな体で国を超えて何万キロも移動することを初めて知ったんです。
それはこの「Seagull」という楽曲を書いていく時にポジティブな要素として活かせると思って、サビの一番重要なところに取り入れました。
これまで「かもめ」という鳥にあまり着目したことがなかったので、このテーマをいただいてからは色々と調べましたね。
──今回のようにテーマが事前にしっかり決まっていた方が曲は作りやすいですか? それとも完全にお任せの方が良いですか?
山本:何かしらはあるとやりやすいですね。普段はタイトルを先に決めてから曲を書き始めることが多いので、最後にタイトルを決めた曲は難航していることが多い気がします。
タイトルとか何かしらがあって、そこから広げて書いていく方が自分的には合っているのかなと思います。
みんな好きなんですが、やっぱり1番はヤマトですね
──今回の「Seagull」の歌詞は「僕」が主体なので、作品ファンとしては主人公・大成タイセイの目線なのかなと思って聴いていました。中学生の目線や歌詞にする時はどのようにイメージしていますか?
山本:どちらかと言うと年齢的な目線というよりは、ストーリーや場面の目線みたいなことを意識しています。
何かに立ち向かったりぶつかった時に、自分と仲間の力で乗り越えていくところが『シンカリオンCW』という作品の醍醐味の一つですが、こういった要素は年齢とか関係なく大人も同じだと思っています。作品を見た時にそれを感じたので、中学生の目線にしたというわけではないですね。
──目線で言うと、今回のエンディング映像はビーナ視点なのも印象的です。エンディングの映像をご覧になった感想はいかがですか?
山本:シリアスな場面から段々と明るい場面に切り替わる流れが、とても丁寧に表現されていて凄くジーンときました。
あとYouTubeのコメント欄でもビーナのファンの方が、ビーナの登場シーンをタイムスタンプでまとめていて、改めてファンの熱量の凄さを感じました(笑)。
──作品についても伺いたいのですが、推しというか気になるキャラクターはいますか?
山本:私はヤマト(西大路 ヤマト)が好きです。ヤマトが登場するとちょっとギャグ要素が多くなって「あれ?同じアニメ?」みたいなくらい良い意味で作品の雰囲気が変わるので、そんなところはキャラクターとしても好きですね。
──以前、別のインタビューで「わんこ系」について熱く語っていたので、テン(魚虎テン)にいくかなと思ったらヤマトなんですね。
山本:テンちゃんも好きですね。もちろんアカネも好きですし、みんな好きなんですが、やっぱり1番はヤマトですね。あと、キャラクターデザイン的な話になるんですけど、八重歯や三白眼が好きなので(笑)。そういう意味ではビジュアル的にも好みなキャラクターです。