映画
安田現象&種﨑敦美が紐解く『メイクアガール』の“心(こころ)”【インタビュー】

個人制作の経験を活かした映画作り。“おばあちゃんのお手玉”のような安田現象作品の原点ーー長編アニメーション『メイクアガール』安田現象監督&種﨑敦美さんインタビュー

 

研究の先に見えた、意外な効率化

──今作のキャラクターデザインには、どんなコンセプトを取り入れているのでしょうか?

安田:0号と明は“らしさ”みたいなものをしっかり受け取ってもらえるように。また、0号は全体的に儚めの色合いにして、“危ういバランスの上に立っている”キャラクター感を演出できたら良いなと。一方の明は、彼は相当特徴的なキャラクターなので、SD化したときに誰なのか伝わるキャラクター造形のバランスを研究したいと思ったんです。

 

 

──研究ですか?

安田:この先のキャラクター表現の糧にするということですね。例えば、目を隠して顔のディテールを減らしてみるとどうなるかとか。ゴーグルをかけることで、それが明の特徴になりましたが、結果的に制作面にも良い影響がありました。

目のアニメーション、表情のアニメーションというものには、それなりの手間がかかります。もっと言えば、明は主人公なので登場回数も多いですから。少人数で長尺の作品を作るにあたっては、このキャラクター表現が上手くハマったと思います。

──明の目を隠すことがコストの軽減に繋がったと。サポートロボットとして本編に数多く登場するソルトについてはいかがでしょうか?

 

 
安田:ロボットとしての可愛らしさを大事にしました。個人的に、人に助けてもらうロボットたちにぐっとくることが多くて。何もできなかったり、失敗したり、外観も可愛いものとして作られていないけど、そこにはとても豊かなキャラクター性が転がっています。その魅力にこちらが勝手にピンときてしまうみたいな。甲殻類や爬虫類を見るときの感情に近いのかもしれません。

そのうえでソルトは、目がふたつあって、口があって、鼻があって、というデザインとも異なり、絶妙に想像を広げられるようなスカートパーツもあって、キャラクター性と無機質さのバランスを探りながら作り上げたデザインになっています。

 

試行錯誤の中でより良いものを作っていける人になりたい

──監督は脚本も手掛けられていますが、物語は『メイクラブ』の時点で完成していたのでしょうか?

安田:そうですね。『メイクラブ』を作る前、ライトノベル作家を目指していた時期があったんですけど、そのときに雑誌への応募用に考えた10万文字くらいの物語がありました。そこで語りたかったことを『メイクラブ』に落とし込んでいます。

その上で『メイクアガール』は、『メイクラブ』を長編映画として作り直す意味を考え、追加した要素をしっかりと見せるための改造を施した作品です。

 

 

──種﨑さんは脚本をご覧になった際、どんなことを感じられましたか?

種﨑:誰に感情移入するか、どこに着目するかによって感想が変わってくるなと。私は最初、台本を読んでも分からなかったんですよ。なにが分からなかったのかはネタバレになるから言えないんですけど、完成したものを見てやっと「何故分からなかったのか」が理解できました。

 

 

──手探りで0号を演じられたのですね。

種﨑:最初は絵を見ても難しい、という状況でした。「お芝居をしたら分かるかな?」と思って現場に行くと、もちろん最初は難しかったんですけど、やっていくうちに「こういうことなのかも」と。その“わかってきた”ものが正解なのかは正直分かりませんが、演じるためには自分の中の正解に従うしかないんですよね。

全体を通して、最初のセリフは特に難しかったです。「これは一体?」という状況だったので、そのシーンの意味を説明してもらったんですけど、それでも難しいなと思いながら演じていて。でも途中から「こうかな?」というものが見つかったので、冒頭のシーンは録り直すことになったんです。

安田:種﨑さんから録り直したいとおっしゃっていましたよね。最初のものとは格段に違うドンピシャなものがでてきて、「あぁ、このセリフはこうあるべきだったんだ」と。僕は声優さんと一緒に長丁場で作品を作るのが初めてだったんですけど、「これがプロか」と思い知りました。

 

 

──最後に公開を楽しみにしている方々へのメッセージをお願いします。

安田:おかげさまで、商業作品1本目を無事に公開できる運びとなりました。第1弾で終わらずに第2弾、第3弾と、今後も作り続けて、試行錯誤の中でより良いものを作っていけるような人になりたいと思っています。そのための第1歩目である『メイクアガール』をよろしくお願いします。

あとはアニメーター4人とモデラー3人しかいない中で、なんとか頑張ってエンドロールを膨らませました。同じ名前が沢山並んでいるので、そこも覗いてもらえると嬉しいです。

種﨑:監督のこれまでの技術と経験と想いが詰まった作品になっています。個人的に、監督の作品を観て応援してきた方、初めて監督の作品に触れる方で感想が変わってくる気がするので、それぞれの楽しみを見つけてほしいです。ぜひ劇場でご覧ください。

 
[インタビュー・撮影/MoA]

『メイクアガール』作品情報

2025年1月31日全国ロードショー!

メイクアガール

あらすじ

YouTubeやTikiTokなど、SNSの総フォロワー数580万超を誇るアニメーション作家・安田現象による劇場用長編アニメーションプロジェクト第1弾が遂に始動!

これまで個人制作の3DショートアニメやMV、企業のプロモーションアニメなどで日本国内のみならず海外からも高い評価を得てきた安田が手掛ける本作は、全編フル3DCGによる“安田現象純度300%”の完全オリジナル作品。制作にあたって実施されたクラウドファンディングでは、目標を遥かに上回る230%超えを達成し、その圧倒的な人気と注目度の高さを証明した。

舞台となるのは、現在より少しだけ先の未来。人々の生活をサポートするロボット・ソルトを開発、製品化することに成功した天才的な頭脳を持つ科学少年・水溜明は、新たな発明がことごとく失敗し、行き詰まりを感じていた。そんなとき友人からカノジョを作れば「パワーアップ」できるという話を聞いて、文字通り人造人間のカノジョ“0号”を科学的に作り出してしまう。プログラムされた感情と、成長していく気持ちの狭間で揺れ動く0号。人と心を通わせることに不慣れな明との間に芽生えるのは“恋”なのか、それとも......?

物語を紡ぐ魅力的なキャラクターを演じるのは、『SPY×FAMILY』アーニャ役や『葬送のフリーレン』フリーレン役など、変幻自在の演技力を輝かせる種﨑敦美(0号役)と『僕の心のヤバイやつ』市川京太郎役を始め、様々な人気作品で主役の抜擢が続く堀江瞬(水溜明役)。安田現象が描く予測不能な展開が待ち受ける超新感覚サイバーラブサスペンスが今、世界へと拡散される────!!

キャスト

0号:種﨑敦美
水溜明:堀江瞬
大林邦人:増田俊樹
幸村茜:雨宮天
海中絵里:花澤香菜
高峰庄一:上田燿司
幼少期の水溜明:日向未南

(C)安田現象/Xenotoon・メイクアガールプロジェクト

 

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