
「歴史」はひとつボタンを掛け違えるだけで大きく変わってくるもの|冬アニメ『Unnamed Memory』Act.2 ヴァルト役・梶裕貴さんインタビュー
オスカーとティナーシャは見ていて応援したくなる
──物語の中心人物であるオスカーとティナーシャの印象を教えてください。
梶:『Act.1』のティナーシャは、固い口調で一見は気難しそうに見えますが、気を許した相手には、たまにタメ口になってしまうあのギャップが非常に可愛らしくて。知れば知るほど、その可愛らしさにハマっていく“沼キャラ”だと感じています(笑)。そんなティナーシャですが、ご存じの通り、大陸でもっとも強大な力を持つとされている魔女でもあって。
ところが、そんな強大な力を持つ存在に臆することなく、対等…どころか、むしろちょっと上手に立って対峙してしまえるのがオスカー(笑)。毅然とした態度で構える器の大きさは、誰もが惚れ込んでしまうところなのかなと。会話の内容や雰囲気などから、城の人たちがオスカーを信頼しているのは手を取るように伝わってきましたし、ティナーシャが彼に興味を持ち始めたのも、塔の最上階に到達した武力に加えて、そんな人間力の賜物だったのだろうなと感じましたね。ティナーシャに本気で結婚を申し込み続ける姿もカッコよかったです。
──しかし、時を超える魔法球が発動し、オスカーは400年前の世界へと跳ばされてしまいます。
梶:そのうえで、例え今の自分が消えてしまうとしても、彼女に起きる悲劇を見過ごせず、問題を解決することで歴史を変えたオスカーの愛は本当に深い。『Unnamed Memory』というタイトルはそういうことだったのかと唸りましたね。オスカーの存在を認識していないティナーシャの姿を見たときはちょっと寂しい、グサッと来るものがありましたが、その後、さほどの時間を必要とせず馴染んでいく二人は、まさに運命のカップリングなんだろうなと感じました。応援したくなる二人です。
同じことを考えるのは無理だとしても、相手を知ろうとする気持ちが大事
──ここまでのお話を聞いてみて、本作は「歴史」がひとつのテーマとなっていると感じました。
梶:そうですね。現実世界においても、例えば争いが起きるときといい、そこに「過程」や「歴史」といったものが存在する訳で。たとえ、その争いを過去に戻って止められるとしても、じゃあどこまで遡って、どうすれば本当の解決になるのか、なんて誰にもわかりませんし、もしも新しい「歴史」が始まったとしても、それはそれで、また考え方や思想の違いが生まれて、衝突してしまう可能性だってある。全員がハッピーエンドを迎える未来を作り出すというのは、不可能に近いほど難しいことなのだろうなと、改めて感じています。そして、それこそが「歴史」なんだろうなとも。でも、だからこそ、相手を知ろうとする気持ちだったり、共感できずとも理解しようと努力することが大事だと思うんです。
──なるほど。
梶:本作に関わって、より強くそう感じましたね。物語のなかで、彼らも新たな真実にぶつかっては心を痛めます。でも、そのうえでどうするべきか悩み、向き合っていくんですよね。これは、見ている僕たちにとっても同じこと。ファンタジー要素や専門用語の多い作品ではありますが、学びもたくさんあるアニメだと感じています。
──アニメから学べることって、いっぱいありますね。
梶:こういった作品のテーマや本質って、実は、僕たちが生きていくうえで大切な何かが詰まっていることが多いと感じていて。アニメから教わることは、本当にたくさんあると思います。
──本日は貴重なお話ありがとうございました。最後に、本作の今後の見どころを教えてください。
梶:本作は、キャラクターの立場によって「歴史」や起きている出来事の見え方、捉え方が違ってくる作品だと感じています。そのなかで、僕が演じるヴァルトは、実は「歴史」に終止符を打とうとしている人物。なぜそういった考えに至ったのか、どうやってそれを成し遂げようとしているのかは、どうか今後の物語をご覧になって確かめていただければと思います。
そして、『Act.2』を最後まで見届けた後に、あらためて『Act.1』から振り返ってご覧いただきたい。きっと思いもよらぬ発見があったり、以前とは違った感情がわき上がるシーンとたくさん遭遇するのではないかと思うので。『Unnamed Memory』は、繰り返し楽しんでいただくことでこそ、その真価を発揮する作品だと感じています。
[取材、文、撮影・M.TOKU]
作品概要
あらすじ
その忌まわしい過去はオスカーによって改変され、世界は“⻘き月の魔女”が存在することのない新たな時を刻み始めた。
ティナーシャはトゥルダールの女王に即位し、やがて⻑い眠りにつく。
すべての苦しみから自身を救い、愛を告げて消滅していったオスカーと
遠い未来で再び出会うために......。
そして、400年後――書き換えられた世界のオスカーがトゥルダールを訪れる。
目覚めたティナーシャとの間に、共に過ごしてきた思い出は何ひとつない。
消え去った世界で結ばれたことさえ知らぬ二人は、ここからどんな物語を紡いでいくのか――。
キャスト
(C)2022 古宮九時/KADOKAWA/Project Unnamed Memory





































