
『卓球少女 -閃光のかなたへ-』戸松遥さんインタビュー|ディン・シャオは、ストイックな他の部員に比べ、ふわふわして自由にやっていいキャラ。だからこそ“憎めない愛嬌”を大切に演じた
事務所の後輩3人と一緒に掛け合えたのは、貴重で嬉しい経験
──本作は、4人のメインキャラクターを中心に物語が進んでいきます。ディン・シャオの同級生となるジャン・ルオイ(CV:夏川椎菜)、ワン・ルー(CV:雨宮天)、リ・シントン(CV:麻倉もも)の印象や魅力などを教えてください。
戸松:コロナ禍の影響で、しばらく少人数での分散収録が多かったのですが、この作品のアフレコの時は、みんな揃って収録ができたんです。ナンちゃん(夏川さんの愛称)たちとも実際に掛け合いができたのですが、3人とも初めて聴いた瞬間から役のイメージにぴったりでした。別の作品で一人一人と共演したことはあるのですが、3人一緒にアニメで掛け合うのはなかなかない経験だったので、すごく嬉しかったし、楽しかったです。
役柄の印象としては、ジャン・ルオイとワン・ルーは、卓球に対してすごくストイック。二人ともけっこう重めの過去を背負いながら卓球に向き合っているので、ディン・シャオみたいにパッと見、何も考えず「わーい!」ってやっちゃっている人は、イラッとされちゃうんですけど(笑)。そこの対比が面白かったです。ディン・シャオに対しては、二人くらい厳しめに、ピシャリと言った方がちょうど良いというか、観ていて気持ちいい気もします。
リ・シントンは、本当に卓球が大好きな卓球オタク。卓球について話す時、めちゃくちゃ早口になるシーンが何度もあって。「好きなものを語る時はそうなるよね」って共感できました。道具についてもすごく詳しいし、卓球という存在そのものが本当に好きなんだなということが伝わってきます。ビジュアルも含めて、マスコット的な感じもありますよね。三者三様な個性がすごくあって、見ていて面白い3人でした。
──3人を演じるのは、事務所の後輩である夏川さん、雨宮さん、麻倉さんですが、お三方の普段の姿と演じるキャラクターに重なるところを感じましたか?
戸松:天ちゃんはアフレコの時、よく台本に何かをメモしているんですよ。覗くのもあれなので、何を書いているのかは分からないんですけど(笑)。その場でひらめいた事とかを書いているんですかね? スマートな感じで台本に何かを書いている姿は、クールな時のワン・ルーに重なる感じがします。
ももちゃんとリ・シントンには、キャラを作る必要もなく、地のままでいけちゃうんじゃないかってくらいのシンクロ感がありました。原音の声ともすごく似ていたし、本当にぴったりの役だなって思います。
逆に、ナンちゃんは、これまでに共演してきた作品では可愛い役が多かったので、ジャン・ルオイの芝居感は、あまり聞いたことがなかったです。「こういう引き出しもあったんだ」と、新たな一面も見えた一日になりました。
──アフレコは一日で終わったのですか?
戸松:はい。丸一日、夜まで時間をかけて録る劇場版は、コロナ禍以降だと私は初めてで、すごく懐かしかったです。しかも、誰も欠けることなくみんなで録れたのは、本当にすごいことだと思います。
──多くのキャラクターが登場する作品なので、一人二人くらい別録りになることは、普通にありそうです。
戸松:そうなんですよ。しかも、平日のアフレコだったのに全員揃った事にびっくりしました。一緒にいる時間が長い分、みんなで頑張って作ったという絆みたいなものが生まれるのは、劇場版ならではの良さだし、好きなところだったりするんです。終わった後、「お疲れさまでした!」って、自然と拍手が起こったりして。すごく濃くて楽しい一日を過ごすことができました。
──その濃い一日の中で、特に印象的な出来事があれば教えてください。
戸松:(後輩の)3人とは関係の近い役柄ということもあり、一緒に座らせてもらっていて。空き時間には、ずっと雑談したりしていました。それで、お昼休憩のとき、そのスタジオの近くに私が以前から気になっていたお店があったから行ってみたくて。でも私、初めてのお店に一人で入れない人間なんですよ。
──そうなのですか? 少し意外でした。
戸松:けっこう場所見知りするので、誰かを誘わないと行けないタイプなんです。でも、みんなそれぞれのお昼の過ごし方があるだろうし、ポジション的に先輩の私が声をかけて、「あ、じゃあ行きます」みたいに気をつかわせるのも悪いし…と思っていたら、(スタジオの中で)天ちゃんとバッタリ会って。自然と「お昼行く?」「行きます!」みたいな会話になり、二人で向かおうとしていたら、エレベーターでナンちゃんとも出会えて、気になっていたお店に二人が付き合ってくれることになったんです。食後に、先輩として「ここは私に奢らせて」って言ったのですが、そのお店はお会計に現金しか使えなくて。その日、私のお財布には、2000円しか入っていなかったんです(笑)。
──キャッシュレス生活に慣れていると、やりがちな失敗ですね(笑)。
戸松:二人が気をつかって「大丈夫です、割り勘にしましょう」と言ってくれたのですが、本当に情けなくて……。これからは現金を持ち歩くようにしよう、と思いました(笑)。
卓球に興味がなかった人にも観て欲しい作品
──改めて、戸松さんが感じた『卓球少女』という作品の魅力を教えてください。
戸松:きっと、卓球のことに詳しい人がこの作品を観ると、「この選手、すごいな」と技術的なところにも勿論気付けたりすると思うんですが、卓球というスポーツは老若男女を問わず、いつでも始められるし、そういう意味ですごく入口のハードルが低いところも魅力だと思っています。それはこの作品も同じで、卓球を全然知らない人が観ても、卓球の面白さが伝わると思います。
でも、ただの遊びではなく、部活として卓球をやっているので、すごく体育会系な一面も描かれているし、「そうなんだ」と思うような発見もあります。個人的には、いろいろな種目の体力測定をしているシーンで、卓球もいろいろな部分を鍛えていく必要があるスポーツなんだろうなと改めて実感しました。私と同じように、詳しくない人が見ても、いろいろな発見があって面白いと思うので、ぜひ卓球に興味がなかった人にも観て欲しい作品です。
──卓球というスポーツの入口にもなる作品ということですね。
戸松:そう感じました。それに、「遊びじゃないんだ!」みたいな熱い気持ちで、一つのスポーツと真剣に向き合っている彼女たちの姿は、精神的な部分でもすごく刺激にもなると思います。
──戸松さんご自身は、何かのスポーツに対して真剣に向き合った経験はありますか?
戸松:私はそういうところから、ずっと逃げてきた人生なので(笑)。でも、私自身の話ではないのですが、通っていた学校には全国大会などに行くような部活がいくつかあったんです。そういう部活に入っている友達たちって、肉体や技術的なことだけじゃなくて、メンタル面でもすごく鍛えられているなって感じていました。私の母校は中高一貫だったので、全国大会などを目指して競う部活に6年間も入って極めていく子たちって、やっぱり強いんですよね。
──競技者として強いだけでなく、人として強い?
戸松:はい。そういうものを乗り越えてきた人たちは、社会に出てからも通用する何かを得ているんだろうなってことは、すごく感じます。私の性格上、自分も何かをやっておけば良かった、とまでは思えないんですけど(笑)。大人になってからも、「すごく良いな。一生の武器になるだろうな」と思うことはあって。彼女たちも青春や遊びの時間を犠牲にして、四六時中卓球のことを考えながら過ごしているんだなと思うと、それはすごいことだなと。この年齢の時にしかできないことでもあるので、まぶしくて、羨ましさを感じたりしました。
──最後に、読者の皆さんに向けて、メッセージをお願いします。
戸松:卓球というスポーツは、日本でもすごく馴染みがあるスポーツなので、たぶん全然やったことがない人でも見たことはあるだろうし、絶対に知っているスポーツだと思います。そういう意味では、本当に誰が見ても楽しめる作品です。卓球に対しての向き合い方が、それぞれのキャラクターによって違ったりするところもすごく面白いので、「自分はこの子みたいなタイプかな」とか考えながら観て頂くのも楽しいかなと思います。
その中でディン・シャオは、かなり飄々として自由なキャラクターなので、卓球部の空気がちょっと重くなりそうな時、良い意味でも悪い意味でもガラッと変えてくれる子。そこで、クスッと笑ってもらえたら嬉しいですね。視聴者さん的には、「もー」とか「あちゃー」みたいな気持ちになるかもしれないんですが、そこがちょっと憎めなくて、ディン・シャオらしいなという気持ちで、温かく見守ってあげてください(笑)。
劇場アニメ『卓球少女 -閃光のかなたへ-』
5月16日より絶賛上映中
あらすじ
気持ちを入れ替えて新しい生活を始めるため、実家のある中国東北から遠く離れた杭州の高校に通うことに。
そこで、学業・スポーツともに秀でた優等生のワン・ルー(王麓)、明るい性格で卓球オタクのリ・シントン(李新桐)、フリーダムな問題児・ディン・シャオ(丁晓)らと出会う。
過去の敗北が心の傷になっているルオイは、それでも再びラケットを手に取る。
一方、実力はあるのに卓球チームへの参加を避けるワン・ルー。
卓球に対する様々な想いを抱える4人は、互いのプレーや考えに刺激を受けながら、自分自身の中の卓球に対する想いと向き合っていく。
すべては、青春をささげたあの試合で後悔しないために――。
キャスト
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