
アニメ『北斗の拳 -FIST OF THE NORTH STAR-』前田洋志監督のオフィシャルインタビュー(前編)が公開! 3DCGにおける演出方針、原作・原哲夫先生との話し合いについて語る
2026年6月26日(金)に第1クールの最終話を迎え、2027年に第2クールが放送されるTVアニメ『北斗の拳 -FIST OF THE NORTH STAR-』。
このたび、前田洋志監督のオフィシャルインタビュー(前編)が公開されました!
<以下、公式発表の内容を引用して掲載しています>
前田洋志監督オフィシャルインタビュー(前編)が到着! 「ダイナミックさ」と「臨場感」3DCGで挑んだ令和の『北斗の拳』
不朽の名作である『北斗の拳』が、新たな映像表現により『北斗の拳 -FIST OF THE NORTH STAR-』(以下、『北斗の拳』)として、令和の時代に蘇った。
さまざまな媒体を通して受け継がれてきた『北斗の拳』の魅力を、本作はどのようなアプローチで表現しようとしたのか。第1クールが幕を下ろした今、前田洋志監督に直撃した。
前編では、3DCGにおける演出方針や独自のライティング、そして原作者である原哲夫先生との話し合いについてうかがった。
――第1クール全14話の放送が終わりました。現在の手応えはいかがですか?
『北斗の拳』は非常に長い歴史を持つ作品です。原作漫画があり、昭和版のアニメがあり、その後もゲーム、遊技機、OVAなど、さまざまな媒体で展開されてきました。ファンの方ひとりひとりに『北斗の拳』像が存在する中で、多くの方々に受け入れていただけたことが、まず何より嬉しかったです。いいところに落とし込めた、という点では、大きな手応えを感じています。
同時に、これは身内の話になってしまいますが、スタッフが非常に高い熱量で取り組んでくれました。チームとしてもまとまった形で制作できていて、各ディレクターの皆さんと打ち合わせをしていても、冗談を交わしながら進められる和やかな空気があります。そうした雰囲気も、このチームの財産だと思っていますし、そこにも手応えを感じています。
――今回、『北斗の拳』をアニメ化するうえで、どのようなことを大事にしようと考えましたか?
原作をきちんと作ることが、目標のひとつとしてありました。そのうえで、スタッフ同士でよく話していたのは「ダイナミックにやること」、「臨場感を大事にすること」ですね。実際に『北斗の拳』の荒野に投げ出され、戦いに巻き込まれているような感覚をしっかり出していこうと、スタッフの間で共有していました。
――そのダイナミックさや臨場感を表現する上で、具体的にはどのような工夫があったのでしょうか?
南斗水鳥拳のレイで言えば、彼が攻撃をすると、画面が切り裂かれるようなエフェクトが目の前に迫ってくる。目線としては、殺される側の視点ですね。そういう画が入ることで、視聴者の気持ちがぐっと入り込みやすくなります。
もちろん、細かくひとつひとつ指示を入れていったわけではないのですが、そういうことをやっていこうという意識を共有し、試行錯誤しながら作っていきました。
――今のお話ともつながると思いますが、キャラクターを3DCGで動かすうえで意識されたことはなんでしょうか?
先ほどの話の続きになりますが、原作どおりに作っていこうという意識が、スタッフの共通認識としてありました。その後、原作者の原哲夫先生とお話しする機会を設けていただいたんです。その時点での映像をみていただいたのですが、原先生が「原作なんか無視していいよ、ぶっ壊していい」とおっしゃって(笑)。
――ええっ!?
それよりも、アニメーション、エンターテインメントとして面白いものを目指しましょうとなったんです。我々としても壊していいのであれば、もっと演出的に映像としての面白さを入れていこう、と。漫画としての表現と、映像としての表現はやはり別のベクトルにありますから。ただし、原作の流れは壊さないという制約の中で作っていきました。
つまり、原作のメッセージ性やストーリーはしっかり受け継ぎながら、映像表現としての新しさや面白さを入れていくことが、試みのひとつとしてあります。もちろん、3DCGならではのできること、できないことも考慮したうえで取り組んできました。
――3DCGの表現で、特にうまくいったと感じたのはどういったポイントでしょうか?
やはり北斗百裂拳でしょうか。生みの苦しみはありましたが、試行錯誤を繰り返した結果、最終的にはご覧いただいたような仕上がりになりました。あの表現は、手描きでやろうとすると、とんでもない労力が必要になります。3DCGだったからこそ、何度もトライアンドエラーを重ねることができたという意味で、北斗百烈拳は大きな見どころになったと自負しています。
あと補足すると、今回の3DCG表現で大きなポイントになっているのは、劇画調のキャラクターをしっかり動かしていることです。原先生の絵を現代のアニメーションとして2Dで動かすことは、非常に難しい面があるんです。キャラクターの造形についても、原先生の初期の絵だけではなく、近年の絵のテイストも取り入れています。そうした原先生らしい劇画調のキャラクターを3DCGで動かすということに関しては、かなりうまくいったのではないかと感じました。特に、レイが登場する第11、12話あたりで、その成果がよく出たと思います。
また、原先生の絵を安定して動かせる。これも3Dでのキャラ表現を選んだ理由の一つです。
そもそも劇画作品を作画だけで行うには、時間や人的資源、管理という意味も含めてコストがかかり過ぎてしまうのです。
――劇画調の絵を3DCGで再現することは、やはり作業量の面、表現の面で難しさがあるのでしょうか?
絵をどのように立体化し、どこまでデフォルメするのかという調整が必要です。この点に関しては、キャラクターデザインの久恒(直樹)さんが非常によいところを狙ってデザインしてくださいました。そのデザインをもとに、今度は3Dモデラーの方々がああでもない、こうでもないと試行錯誤を繰り返してくださって。調整を粘り強く続けてきた結果、今の形があります。
一筋縄ではいかなかったのは確かですが、結果として狙っていたところにきちんと到達できたという自信があります。もちろん、久恒さんをはじめ、スタッフの皆さんの努力があってのことですので、本当にありがたいと思っています。
――では、ケンシロウについてもうかがえればと思います。彼のアクションは大きな見どころだと思いますが、モーションやカメラワークに関して、何かルールのようなものはありましたか?
明確なルールというのはなかったのですが、原作の動きの大元のモデルとしてブルース・リーがいると思うので、それはきちんと参考にしていこう、取り入れていこうという意識はありました。
それと、ほかの作品との一番大きな違いで言うと、ライティングですね。普通のアニメーションでは、キャラクターの表情がわかりやすいように、基本的には正面からライトを当てます。本作ではあえてそれをやっていないシーンがたくさんあるんです。顔の半分が影になっていたり、もっと言うと三分の二が影になっていたりする場面もあります。
これは普通のアニメやドラマ、映画でもそうですが、キャラクターの表情がわかりづらくなるので、あまり好まれないんですね。けれども、本作が目指したのはコントラストのカッコよさや、表情のカッコよさ。そのために陰影を濃くつけたり、リムライトという光のまわり込みの表現を取り入れたりしています。体の輪郭に白い光が入るような表現ですね。リムライトを取り入れている作品は多いので、けっして目新しい表現ではありませんが、影面積の多さとリムライトで一味違った雰囲気が出せていると思います。
――たとえば、第5話ではシンとの戦いが始まった瞬間、金色のライティングに変わるような表現がありましたよね? 色や光の使い方が面白いと感じました。
そうですね。原先生にお会いして、『北斗の拳』とはどういうものなのかをうかがったときに、「世紀末の世界なので、現代の常識は通用しない」と、おっしゃっていたんです。誰も彼もが現代の基準から見ると少しおかしくなっていて、世界そのものも壊れている。原作第1話のカラー原稿を見ていただくとわかるのですが、黄色い空や赤い空など、現実では考えられない色彩表現をされています。
本作でも、そうした表現を取り入れようと考えました。日常の色とは全然違う色をどんどん使っています。たとえばシンとの戦いでは金色の世界になり、その前のハート様の場面では緑の世界になる。環境としてのリアルさよりも、心情やその場のイメージを反映した色になるよう工夫をしています。
普通のアニメを見慣れている方からすると、なぜこのシーンが赤いのか、なぜ緑なのかと思われるかもしれません。ただ、音響監督の小沼(則義)さんがSNSでおっしゃっていたように(「何が爆発したか?そういうことはどうでもいいんだよ!南斗獄屠拳だぞ!」という発言)、自分も「そんなことはどうでもいいんだよ!『北斗の拳』だぞ!」という気持ちで作っているところがあります(笑)。光の表現という意味では、そういった色の使い方も本作の面白いところだと思っています。
――ケンシロウは動的な部分ももちろんですが、静的な部分もカッコよさのひとつだと思います。表情や目線の芝居などは、どのように調整されていったのでしょうか。
3DCG作品ということで、キャラクター表現、特に表情の表現には、ある程度の限界値があります。それを克服するため、あるいは補完するために、作画を応用させていただいた部分もあります。
3DCGに限定してお話しすると、表情は緩急で見せています。たとえばケンシロウが怒る場面でも、怒っている顔をずっと映すことはしないんです。冷静なふりをさせておいて、最後の最後、瞬間的にドカンと爆発して、鬼のような形相でパンチを繰り出す。特にケンシロウは表情が読みづらいキャラクターだと思うので、緩急をつけたメリハリのある表情変化によって、彼の心の中を察してもらえるような演出を目指しました。
【後編】も近日公開!!
『北斗の拳 -FIST OF THE NORTH STAR-』作品情報
あらすじ
海は枯れ、地は裂け、あらゆる生命が絶滅したかにみえた……。
だが…人類は死滅していなかった……!!
荒廃した世界の大地の上で、人々は希望を繋ぎ、水や食料を求め必死に生きようとしていた。
しかしその願いは、暴力によって踏みにじられる。
この世界は、力だけがすべてを支配し、弱き者は蹂躙されるのみ。
そんな絶望の淵に、一人の男が現れる。
彼は胸に7つの傷を持つ、伝説の暗殺拳“北斗神拳”の伝承者・ケンシロウ。
婚約者のユリアを奪った宿敵・シンを追い、荒野をさすらう彼は、
虐げられし者たちの叫びに応え、希望の光をともしてゆく。
彼の前に立ちはだかるのは、世紀末の乱世を生き延び、野心と欲望を剥き出しにした強者たち。
略奪と殺戮が渦巻く世紀末、
ケンシロウは人々の祈りさえ届かぬ狂った世界をその拳で切り拓く!
キャスト
(C)武論尊・原哲夫/コアミックス, 「北斗の拳」製作委員会




























