OVA『最遊記外伝』第参巻キャスト陣ロングインタビュー

遂に最終巻!そして『最遊記』へと続く物語――OVA『最遊記外伝』第参巻出演の関俊彦さん、保志総一朗さん、平田広明さん、石田彰さん、東地宏樹さんにロングインタビュー

 峰倉かずや先生の大人気作『最遊記外伝』のOVAがフロンティアワークスから全3巻でリリースされる。既に、第壱巻「桜雲(おううん)の章」、第弐巻「散華(さんげ)の章」は発売中で、残すは、2011年11月25日発売の最終巻となる第参巻「萌芽(ほうが)の章」のみとなった。

 最終巻の発売も待ち遠しい中、先日、アフレコが行われ、関俊彦さん(金蝉童子役)、保志総一朗さん(悟空役)、平田広明さん(捲簾大将役)、石田彰さん(天蓬元帥役)、東地宏樹さん(敖潤役)に、アフレコ終了後インタビューを行った。『最遊記』の始まりとも言えるストーリーが完結するということで、キャスト陣も感慨深い様子。たっぷりとお話頂いた。


●最終巻を迎えての感想は…「寂しい」

――いよいよ最終巻の収録が終了したということで、収録を終えての感想をお願いします。

関俊彦さん(金蝉童子役/以下関):全3巻で終わってしまうのがもったいないような気がします。10巻とはいわないまでも、6巻くらいまで出来たらよかったなぁと思います。見ている人も、「3巻で終わっちゃったの?」と感じるのではないかと思うくらい、いい作品なので、収録が終わってしまって寂しいです。

保志総一朗さん(悟空役/以下保志):早かったですね。1巻目で久しぶりにアニメの『最遊記』を演じることが出来たので、正直「もう終わりか…」と。外伝はエピソード的に切ないお話だったので、そういう意味でも寂しさがあります。

平田広明さん(捲簾大将役/以下平田):想像していた通り、捲簾の出番はさっぱりしたものでした。後は、みんなに任せた!という感じでしたね。捲簾は第弐巻がメインだったので…。天蓬との回想シーンで、今回初出し、というシーンがあったのでそれは嬉しかったです。全3巻通じて、悟浄&八戒よりも捲簾&天蓬の関係性の方が濃いのかなと感じました。

石田彰さん(天蓬元帥役/以下石田):最終巻は、天蓬としてはある意味、見せ場である戦闘シーンがあるんですが、その中でもモノローグは淡々としていたなぁという気がします。それが、天蓬らしいんですけどね。
今回でOVA『最遊記外伝』は完結しましたが、『最遊記』という作品を全て通してみると、外伝があることで『最遊記』の4人には、前世から繋がっている"絆"があることがはっきりと分かりますし、観る人にとって4人のキャラクターがより補強されていくと思います。

東地宏樹さん(敖潤役/以下東地):僕は『最遊記』本編は登場していないので、外伝のみの参加になりますが、役どころとしてはユーザー目線に近くて、ストーリーテラーみたいな立ち位置だと思います。僕もこの作品に参加させてもらって、可哀想とか切ないという気持ちもあるんですけど、この作品には仲間の良さだとかカッコよさ、キャラクター同士の関係性というものがきっちり描かれていて、僕もその一員になれたかな?と思えたので、収録は気持ちよかったです。関さんもおっしゃっていましたけど、もっと長くやれたらよかったなぁという寂しさはありました。『最遊記外伝』は面白い所と真剣な所が、いいバランスで入っていますし、時々ふざけているけど、でもやっぱりカッコいいなぁと思いました。ギャップ萌えですね(笑)。でも切ない所もある、というのが作品の魅力かなと思いました。


――印象に残っているシーンや台詞などはありましたか?

関:金蝉にとっては、最後、悟空と別れてしまうシーンが何と言っても中心になるので、あの辺りが演じる上では難しい所でしたし、印象に残っています。

保志:一番印象に残っている台詞は、金蝉が悟空に「次は俺がお前に手を差し出すから」という台詞です。これまで『最遊記』をやってきて、三蔵たちを知っているからこそ、あの台詞が未来から過去へと時代を遡って、色々な想いが一気に自分の中に来たので、すごくグッときました。三蔵一行たちがいるから、金蝉たちの切ない結末もまだ納得できますけど、それでもやっぱりどうしようもない切なさというのが残ったので、あの台詞は本当に印象的です。

平田:やっぱり2巻ですね!天蓬が走り去り際に悟空に微笑むシーンです。ちなみに3巻にも回想として使用されているそうです。ずるいなぁ(笑)
 峰倉先生のうまい所なんですけど、直接は描かれていないんだけど、会話からキャラクター同士のそれまでの関係性が見えてくる――それまでどういう関係だったのか、どういう生活だったのか、相手の立場や背負っているものなど、非日常的な場面になった時、どこかにそういう匂いが感じられるので、素晴らしいと思います。細かいバックボーンを知らなくても、台詞のやりとりで直ぐに分かるので。僕は何年も『最遊記』にお世話になっているから感じられるけど、東地君も自然と入ってきてくれて、会話が成立したので、峰倉先生が描く人間関係の見事な所だなと思います。

石田:エンディングで金蝉、悟空、天蓬、捲簾の4人と三蔵、悟空、八戒、悟浄の4人がオーバーラップするシーンで、悟空でかくなったなと思いました(笑)。「あれ?」って思って、収録用の映像を繰り返し観てしまいました。悟空というだけで、変わらず悟空なんだろうと思って、このシリーズをやってきたんですけど、外伝の時はこんなに小さかったんだって知りました。天蓬のシーンは凄惨なシーンしかないのですが、事が終わってから「あぁ、たばこが美味しいなぁと思って」という台詞が印象的です。そのフリとして捲簾との会話で「生きているって感じるのはどんな時?」「たばこが美味しいと思う瞬間ですかね」というのが冒頭にあって「たばこが美味しいと思っている時が、俺生きてるなぁと思うんだよ」っていう話から、さっきの台詞に続くので、その台詞があるから(天蓬は)死んでいるけど、その先で満足した生き方、死に方をしたんだねっていうことにも繋がっていくと思います。

東地:役柄的に傍観していて、色々と語っている立場なのですが、最後の方で独り言のように静かに言う台詞があります。すごく責任があるな…と思いながら一生懸命やらせて頂いたので、そのシーンです。

関:敖潤は魅力的なキャラクターなんですよ。もし僕が敖潤の立場なら直木賞でも獲ろうかなぁと思っちゃいますけど(笑)、金蝉たちのための鎮魂歌として、真摯に金蝉たちの歩みを記録してくれているので、いい人です。

●敖潤は書記担当!?

――そんな敖潤というキャラクターについてどのように思われましたか?

関:自分の使命感を分かっている人です。敵対する関係ではあったんだけど、対峙したり戦ったりすることで敵なのにお互いの中で信頼関係があるような感覚がありました。もし、2人が同じような立場にいたら、すごく仲良くなれたんじゃないかなって思います。だからこそ、『最遊記』本編で登場するジープへ繋がっているのかなと。
ふと感じる信頼関係が過去(外伝)でも存在していて、それが現代(本編)へ向けて描かれていると思ったら…4人の絆と敖潤との関わり合いというものが、本編に繋がるように匂わせて作っている感じがして、峰倉先生は凄いなと改めて思いました。

保志:最初、敖潤が出てきた時はあまりいい印象じゃなくて、何で『最遊記』でジープとして仲間になれるんだろうって思っていたんですけど、外伝を終えたことで、敖潤は悪い人ではないんだというのがようやく分かりました。最後に、もっと近くで四人を見てみたいみたいなことを言ってくれているので、今さらですけど、ジープの存在に納得出来たなって思いました。これで全部が繋がったなって。

平田:僕はずるいなって思いました(笑)。悪役なら悪役に徹してもらえたらいいのに、こちら側のことも理解してくれたり、大人な雰囲気を醸し出したりしていて…。しかもいい声だし、東地君はずるいなって思います。カッコいい役だったなぁ~許せん!(笑)

石田:書記担当みたいな感じですね(笑)。語り部として僕らの意志を後世に伝えて下さってありがとうございます、って思います。下手な関わり方をさせてしまったために大怪我をさせてしまって、すみません(苦笑)。


――東地さんから見た金蝉一行の印象はいかがですか?

東地:キャラクターが1人1人うまく分けられていて、この面子でこれをやるということに凄いなという印象を受けました。皆さん、キャラクターがぴったり合っていて、しかもそこでの掛け合いが面白かったですね。いざという時には助け合うし、彼らは本当に絆で繋がっているんだと感じさせる、緩急ある魅力をこの作品には凄く感じました。


――『最遊記外伝』完結記念として、演じられたキャラクターへ一言、メッセージをお願いします。

関:人生の目的を何も見いだせずに生きてきた金蝉が、悟空との出会いから自分の人生の目的、生きる意味みたいなものを見つけていくことで、"生きる"ということのエネルギーのようなものを体験できたことは、金蝉にとってよかったと思います。
生きている年数が長いからすごいんじゃなくて、短い年数でも生きていると感じられる時間の密度が濃ければ、その人間は凄く生きたということだと思うんです。それを経験できた金蝉にお疲れ様と言いたいですけど、金蝉の気持ちを考えた時、彼はそれを気付かせてくれた悟空や捲簾、天蓬達にお礼を言いたいんじゃないかなって思います。

保志:他の3人とは違って、悟空は記憶を消されて一人だけ生き残るという悲しい結末ではありますが、500年後にはまた新しい出会いがあるからと、未来への希望を教えてあげたいですね。500年間、腹をすかせて待っていてね、絶対、三蔵が手を差し伸べてくれるから、待っていてくれればいいことあるからね、って言いたいです。

平田: 捲簾は一行の中では、真っ先に命を張って戦った人ですから偉いと思います。僕だったら真っ先は嫌だなぁ(苦笑)。彼は人の犠牲の上に立って生きるというのが、自身の美学に反するのかなと思います。人の犠牲の上に立つくらいなら、人の礎になった方がカッコいいって思っている感じがします。もしかしたら、何かを背負って生きるのが苦手なのかもしれないけど。そういうのを背負って越えて行けるのは金蝉であり、捲簾より天蓬な感じがしますし。でも天蓬も捲簾もお互い軍人ですし、一度、行くと決めたら振り向かないんでしょう。

石田:ご愁傷様でした。痛かったろうなって思います。天蓬がそうなるまでに斬り倒してきた追っ手も相当いたと思うので、彼だけが痛かったわけではないだろうと思うんですけど、ああいう描き方をされてしまうと痛かったんだろうなって…ただ、その後、先に逝った捲簾とは合流出来たようなので、そこは救いかなと思います、またあの世で仲良く、悟浄・八戒として転生してくるまでの間、気心の知れた仲間と楽しく暮らしてもらえればと思います。

東地:金蝉たちのことや事件のあらましをきちんと記録してね、と言いたいです。



●「第参巻を見た後、『最遊記』第1話を見てもらえたら…」

――ありがとうございました。最後に第参巻の発売を楽しみにしているファンへのメッセージをお願いします。

関:とても好きだった作品なので終わってしまうのがとても寂しいんですが、CDドラマで外伝を演じた時に、最後に三蔵が登場して、岩牢に閉じ込められている悟空への台詞が一言、あったんです。なのでOVAでも最後に三蔵が出てくるのかな?って思っていたら、それがなくてホッとしました(笑)。最後の演出は違いますが、CDドラマとOVAを是非、聞き比べてほしいなと思います。
また、外伝を演じきってみると、不思議と『最遊記』の第1話を見たくなりました。この外伝の結末の後に続くのが『最遊記』第1話ですから。もしそういう気持ちをファンの人にも持ってもらえれば、成功だったかなと思えるので、皆さんにも第参巻を見た後、『最遊記』第1話を見てもらえたらなと思います。

保志:あっという間の三巻で、見る方もあっという間に見終わってしまうと思うんですが、何回も見たくなるくらいの出来映えですし、関さんもおっしゃる通り過去の『最遊記』を見たくなる気持ちになります。金蝉たちの想いを感じながら、三蔵一行の旅の様子を見ることによって、より『最遊記』の世界にどっぷりはまれると思うので、楽しんで頂ければと思います。

平田:皆さん、既にどういう展開になるかというのはご存じでしょうから、アニメーションとして存分に楽しんで頂ければと思います。そして、第参巻のオーディオコメンタリーは金蝉一行でやることになりましたので、多分、すごいことになると思います。ドラマCDなどのおまけトークで4人のぐだぐだなトークを聞いて頂ければ分かると思いますが、それ以上にぐだぐだになるのではないかと思います(笑)。そこら辺を楽しみにして頂いて、本編とのギャップを楽しんで頂ければと思います。僕はオーディオコメンタリーを頑張ります!

石田:やっと、外伝最終巻のアニメが完成しました。コミックスが出てからアニメーションとして完成を観るまで相当、長いことかかりましたけれども、皆さんをお待たせしただけのものにはなっているのではないかと思います。今回のシリーズをファンの方には、是非楽しんで頂きたいですし、そして『最遊記』本編のアニメーション復活を祈って頂けたら嬉しいです。宜しくお願いします。

東地:今回参加させてもらって、面白い作品だなと思いました。以前CDドラマをやらせて頂きましたけど、それがOVAという立体的になって出来上がったのを見させて頂いて、改めて面白いなって思ったし、いい仕上がりになっていると思いますので、楽しみにしていて下さい。というか、楽しんで下さい。
<取材:文:奥村寿代>


OVA『最遊記外伝』リミテッドエディション(全三巻)

【発売時期】
第壱巻 桜雲(おううん)の章:発売中!
第弐巻 散華(さんげ)の章:発売中!
第参巻 萌芽(ほうが)の章:2011年11月25日発売

【価格】
各巻 9,975円(税込)

<スタッフ>
原作:峰倉かずや(一迅社「Comic ZERO-SUM WARD」)
監督:葛谷直行
シリーズ構成:峰倉かずや
脚本:代々木一
キャラクターデザイン・総作画監督:原田峰文
アニメーション制作:Anpro
製作:最遊記外伝製作委員会

<出演>
金蝉童子:関俊彦
悟空:保志総一朗
捲簾大将:平田広明
天蓬元帥:石田彰

西海竜王 敖潤:東地宏樹
観世音菩薩:五十嵐麗
二郎神:石井隆夫

李塔天:稲葉実

発売元・販売元:フロンティアワークス


※キャラクターの漢字の表記について
一部、Web上で表記出来ない漢字については、代用文字及び仮名にて表記しております。


OVA『最遊記外伝』公式サイト
峰倉かずや.NET
株式会社一迅社



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