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『サクラ大戦』ダンディ商会正月公演「初夢の男たち」開催!

『サクラ大戦』ダンディ商会正月公演「初夢の男たち」開催! 広井王子さんが見せる「夢のつづき」がここにある!

2020年1月3日(金)から5日(日)まで、遊園地「浅草花やしき」内に新設された立体多目的ホールの浅草花劇場にて、「サクラ大戦歌謡ショウより~『初夢の男たち』大帝国劇場支店花やしき支部劇場」が開催されました。

蓋を開けてみれば異例尽くしの内容で、「サクラ大戦歌謡ショウ」の時代から新春公演といえば初笑いのドタバタ喜劇が定番でしたが、今回は人間なら誰しもが陥りやすい「魔が差す」状況を、教訓も込めた人情話として描いています。

しかも、第一部は劇作家・金田金四郎(演/螢雪次朗さん)の一人芝居が中心、第二部は女優・影山今日子(演/久野綾希子さん)のコンサートを中心に構成。どちらもゲーム『サクラ大戦』を出自とするキャラクターがメインで出演しているわけではないのに、『サクラ大戦』の舞台として非常に見応えがありました。

広井王子さん自身の想いが、金田金四郎の口を借りて出たような台詞の数々。影山今日子役で出演した久野綾希子さんの、ミュージカルスターとしての本領を発揮した圧巻のステージ。

それを初詣の客で溢れ返る浅草で観ると、まるで『サクラ大戦』の太正時代の華やかな帝都に来ているような感覚になりました。


 

広井王子さんが見せる「夢のつづき」がここから始まる

▲お正月らしく、ダンディ商会による新年の挨拶と鏡開きからスタート
 
「サクラ大戦歌謡ショウ」の頃から名物となっているのが、掃除人広井(演/広井王子さん)の長い前説。観劇の諸注意を説明するだけの普通の前説と違い、観客を歌謡ショウの世界に導く役も兼ねているので、前説=広井王子トークショウのような面白味がありました。
 
今回はその前説が10分超という過去最長に及んだのですが、ここで語られた広井さんの想いを受けて本編の第一部、第二部を観ると、前説が本編の重要な前振りになっていたことがわかります。
 
1997年から24年間、劇場の掃除人を続けてきた掃除人広井ですが、第1回「サクラ大戦歌謡ショウ」を母親が観に来たという想い出の逸話から、『サクラ大戦』誕生へと繋がる経緯を語ります。
 
広井「それまで僕の仕事に興味もなかったし、元々18で家出したので母親とも音信不通だったんですけど、その母親が観に来て『あなた、こういう仕事やっているの。いいわね』って褒めてくれたんですね。母親に褒められたのはその1回だけだったんだけど、その母親から子供の頃に聞いた話があるんです。
 
そこのスカイツリーの下辺りにうちの実家があるんですが、1945年3月の東京大空襲で焼野原になったんですよ。そういう歴史の中で僕は生まれまして、その母親が終戦後すぐ、アメリカ軍のG.I.のジープから流れてくるジャズを聴いて『ああ、終わった。ほっとした』っていうんですね。
 
それが『ラバーカムバック・トゥミー』と『センチメンタル・ジャーニー』。この2曲は母親がずっと英語で口ずさんでいました。
 
母親はそのとき18歳。青春の真っ只中にずっと戦争があったけど、2曲のジャズで希望を見つける。歌にはそんな力があるのか、素晴らしいなと思ったんですね。
 
そんな話を想い出すうちに、『もしかしたらゲームの中にも歌をいっぱい入れたらば、希望の光が見えるんじゃないかな』な~んていうふうに簡単に思ったんですね。
 
それは僕の夢かもしれないけど、そんな話を(田中)公平さんやセガの方たちにしていったら、『それやろうよ!』っていう話から『サクラ大戦』は生まれるわけです。
 
でもそれを長く続けていくと、夢って錆付くんですね。もうひとつ先の夢を見つけないと、劣化していってしまう。想い出になってしまう。そうしないためにも次の夢を見つけて、僕はたぶん見果てぬ夢を見ていくんだろう。
 
僕がここをやり始めたのも、夢をつづけていきたい、新しい夢をもう1回作れたらいいなっていうことで、ダンディ団のショウに参加させてもらっています。
 
このダンディ団のショウは、ゲーム『サクラ大戦』から発生していない。歌謡ショウから発生しています。だからゲームに出ていない人ばっかりです。歌謡ショウの中で新しいキャラクターをどんどん作ったように、ここからもまた新しいキャラクターがどんどん生まれる。
 
これは僕がNetflixを観ていて思いついたことで、要は横へ広げていく。縦堀はしない。横へどんどん新しいキャラクターを作って『えっ、コイツとコイツ、不倫してたの!?』みたいな。役者たちも知らなかったみたいな。
 
そうして広げていって、まったく新しいキャラクターがたくさん生まれて歌もいっぱいできたならば、たぶん明治座も(新橋)演舞場も夢じゃないなと思っています。それが見果てぬ夢(笑)。
 
来年は掃除人をやって25周年です。今度はゲームとも歌謡ショウとも関係なく、そこから飛び出した『掃除人25周年記念ショウ』というのをやってみたいなと思っています。
 
このトークだけで2時間(笑)。お客さんも大変だこりゃ(笑)。いっぱいゲストも入れてね。そういうのも面白いかなと考えています」
 
前説の中で、広井さんは現在のご自身の立場から夢を語りました。今回の公演のタイトルは「初夢の男たち」。歌謡ショウファンが見たかった初夢、夢のつづきの一片をチラリと見せられた気分です。

▲「さっきカンナさんに似た人からチラシを渡された」と言い、田中真弓さん、伊倉一恵さん、高乃麗さんらが出演する舞台コーネンキーズ「都電荒川線三ノ輪橋商店街 壱倫荘の女たち」の宣伝もさらっと入れる掃除人広井

人生のどん底で大金を拾ったとき、人は正直でいられるのか……?

▲大掃除に精を出す金田先生
 
舞台は大晦日の浅草。蓄えはないものの、半月前に書いた正月公演の脚本料が今日入るはずなので、ギャラの使い道に想いを馳せる劇作家・金田金四郎(演/螢雪次朗さん)。
 
浅草の洋食屋ヨシカミでステーキ、東京会館の影山今日子ナイトショー観劇など、久々の豪遊の妄想に浸っていると、木っ端矢次郎(演/武田 丞さん)が血相を変えて飛び込んできます。

▲ダンディ商会の団員研究生から、武田 丞さんが出演。横山智佐さんの「サクラ大戦真夏のフェス」にもダンスが上手すぎる学生として連続出演しており、今後の活躍に期待できる若手です
 
矢次郎は金田先生が正月公演用に自信作「恋時雨、忠太郎」を書き上げた月形千十郎一座の若手座員ですが、なんと月形座長が脚本が気に入らないから降りると言い出したそうで、金田先生に仲裁を求めに来たのでした。
 
しかし金田先生にも劇作家のプライドがあり、脚本にケチをつける役者はいらないと突っぱね、激昂して矢次郎も追い返します。
 
落ち着いた後、おもむろに身の上話を始める金田先生。二十歳そこそこで旅芸人の一座にいた頃、年末公演のギャラをすべて座長に持ち逃げされ、東北の田舎町に放り出されて途方に暮れたこと。
 
そこを地元の劇作家が正月の村芝居に客演させてくれることになり、どうにか助かったこと。
 
厳しく理不尽なことも起こる芝居の世界と、「地獄で仏」のように助けてくれる人も現れるという人情話が観客の心に深く刺さります。

▲写楽の浮世絵のような表情で見得を切る金田先生。絶妙なタイミングで客席から声がかかり、観客との阿吽の呼吸にも大満足
 
さらに金田先生が語るには、30年も昔の若い頃にはいっぱしの人気役者だったこともあるそうで、自ら白粉を塗りたくり、月形座長に替わって主人公・番場の忠太郎役を務めてみせると見得を切ります。
 
生き別れになった母との再会を望みながら旅を続ける旅烏の忠太郎の物語「恋時雨、忠太郎」。その一節を一人芝居で演じきり、いぶし銀の役者ぶりで観客を魅了した金田先生ですが、そんな自分自身も18歳で家出をし、以来母親とは会っていないと、忠太郎と重なる過去を吐露します。
 
それは広井さんが前説で語った自身の過去とも重なるため、台詞の中に本物の想いが混じり、言葉が重くなります。これこそ『サクラ大戦』が培ってきた、フィクションの中に本物を入れて独特の魅力を生み出すテクニックです。

▲同じくダンディ商会の団員研究生から、成尾公生多さんが出演。金田先生の化粧顔に驚いて飛び退いたり、顔芸で無念さを伝えるなど、全身全霊の芝居で魅せます
 
ひとり正月公演にやる気を燃やす金田先生のもとへ、三富座の村上源一支配人(演/成尾公生多さん)がやってきて、正月公演が中止になった旨を告げます。
 
公演が中止になった場合、規定では劇作家に支払われる脚本料は5円。そこに餅代(正月用の餅を買うわずかなボーナス)を上乗せして、7円を置いていく村上支配人。さりげない描写ながら、太正時代の芝居小屋の状況や人の心遣いがよく伝わります。
 
しかし、大卒の初任給が50円の時代、あわよくば120円のギャラを期待していた金田先生は、たちまち年越しも危い懐具合に追い込まれてしまいます。

▲7円(現代の感覚では3万円程度)でこの先しばらく暮らさなければならなくなった金田先生。帝国歌劇団の華やかな舞台を支える劇作家も、実態はこんな感じという、太正時代の市井の生活感が生々しい
 
場面変わってダンディ団の西村ヤン太郎(演/西村陽一さん)が、ベロムーチョ武田(演/Velo武田さん)が夏に金田先生に50円貸した件について、改めて問い詰めます。
 
ベロは、いつも台本で世話になっている金田先生に対して強引に借金を取り立てるのは気が引ける様子を見せますが、そこは鬼になって取り立てろと西村のアニキが厳命。金田先生の家に乗り込みますが、あいにく留守のようで、出直すことにします。

▲鬼の面を被ってハイテンションで客席を回るベロに、西村のアニキが「武田! ……恥ずかしくないか?」とポロリ。それに「だいぶ慣れてきました」と応えたベロに、観客は拍手喝采!
 
7円しか手持ちがないのに、ヨシカミでプチ豪遊し、残り1円50銭しかなくなってしまった金田先生。いっそ死んでしまおうかと、首に縄をかけて台に登るところまで追い詰められてしまいます。
 
最期に自分の人生を想い返していると、唐突に生と死の狭間の世界の住人ダス・モルテス(演/松原剛志さん)が歌いながら登場。死神のようなダスが現れたから死にたくなったんだと、ダスに八つ当たりをする金田先生ですが、人の寿命を命の蝋燭の炎として見ることができるダスは、金田先生はまだ当分大丈夫だと太鼓判を押します。

▲金田先生の悲壮感を余所に、ダンディボスから電報で正月公演への出演を依頼されたと言い、ボスの家を探すダス。空気を読まない死神のマイペースぶりが笑いを誘います
 
挙げ句、去り際にエコーまでつけて「どんなことがあっても、生きていたほうがいいシ。死んで花実は咲かないシよ」と告げていくダス。死神から命の保証をしてもらうような形になった金田先生は、偶然あるものを拾います。
 
それは汚い財布でしたが、中には1000円もの大金が入っていました。死のうと思っていた金田先生は、それを懐に入れてしまいます。

▲生活が苦しければ、魔が差すこともある。綺麗事では済まない「生きる」現実を突きつけられる
 
思いがけず大金を手にした金田先生。ところがそこへ梅松が現れ、自分はあなたの妻で、そのお金は夢だからおとなしく返しなさいと諭します。
 
金田先生は「夢じゃない! 夢じゃない!」と抵抗しますが、業を煮やした梅松が首筋に手刀一閃。崩れ落ちる金田先生を見下ろしながら梅松がかつらを脱ぎ、西村ヤン太郎として「夢にしちまおうよ、金田先生」と告げます。

▲おふざけの女装キャラだったはずの梅松が、突如金田先生の前に現れ、最後にはかつらを脱いで正体が西村だと明かす。虚構と現実があやふやになる、ちょっと不思議なシーンとなりました
 
ベロに起こされた金田先生は、大金入りの財布がなくなっていたため、ベロに詰め寄ります。しかし、大金なんて夢だとベロにも諭され、金田先生も未練はあるものの諦めムードに。
 
すっかり意気消沈した金田先生に、ベロは夏の借金の話を切り出します。ギャラが入らず、拾った大金も消えた金田先生には、もちろん借りた50円を返すアテなどありません。
 
そこで提案として、ベロは自分が改めて50円を貸すから、それで借金を一旦返済してほしいと切り出します。いつも台本で世話になっている金田先生に、渡世人のベロが見せた粋な計らいでしたが、金田先生はそのまま50円を懐へ入れてしまい、借金の催促は無視。
 
さすがにそれは道理が通らないと詰め寄るベロに対し、倍にして返すからもう50円貸してほしいと金田先生がねだります。

▲ヤクザな自分に天下一の劇作家が頭を下げちゃいけないと、もう50円を貸すベロ。その50円で借金を返済し、残った50円でやっと年が越せると喜ぶ金田先生。社会の裏道を歩む者が情けを見せ、社会的名声を掴んだ者が情けない姿を晒す。『サクラ大戦』の太正時代に人の息吹を感じるのは、人が持つ粋と薄暗さの両面をしっかり描いているからこそ!

舞台が一気に華やぐゲストコーナー

ここまで金田先生を中心に男だけの舞台だったので、ゲストコーナーで花組や星組の女性キャストが現れると、場内が一気に華やかになります。

▲公演初日の1月3日(金)は薔薇組の“女優”丘菊之丞(演/松野太紀さん)が登場。第一部では「ウチャ!喜びの歌」をベロと歌い、第二部では薔薇組と西村ヤン太郎の歌「美しきものたちよ」を披露しました

▲公演初日の1月3日(金)は薔薇組の“女優”丘菊之丞(演/松野太紀さん)が登場。第一部では「ウチャ!喜びの歌」をベロと歌い、第二部では薔薇組と西村ヤン太郎の歌「美しきものたちよ」を披露しました

1月4日(土)の公演では李紅蘭(演/渕崎ゆり子さん)が中国語で新年の挨拶をしながら登場。やはり帝国歌劇団メンバーが現れると盛り上がり方が違うのですが、紅蘭が話し始めるとその愛らしさに会場もすっかり和んでしまいます。

▲「みなはんのこの一年が、より良いものになりますように」と、OVA『サクラ大戦 轟華絢爛』ED曲「時代の列車」を披露する紅蘭。苦しいときに寄り添い、一緒に立ち上がろうと力をくれるような応援歌で、こうしたメッセージ性を持つのが『サクラ大戦』が名曲揃いと言われる理由
 
1月5日(日)の公演ではジェミニ・サンライズ(演/小林沙苗さん)が登場。名前の通りテキサスの太陽のような明るいキャラクターで、周囲をたちまち笑顔にしていきます。また紐育ではクリスマスのほうが盛り上がり、新年は1日だけ祝って2日からは普通の日になるという話にも、楽しみながらちょっとした勉強にもなる広井さんの脚本らしさが出ていました。

▲ダンディボスが年越しにあたって本物の野鴨を使った鴨南そばをご馳走するからとジェミニを誘ったところ、本当に東京に来てくれたので感激するボス。ところが「カモン! カモン!」と熱心に誘うからだとジェミニが言い、カモンと鴨南の聞き間違いだったことが判明。まぁそれはそれとして、一緒に鴨南そばを食べに行くことに

▲ボスから1曲頼まれ、快く「ボクノユメ」を披露。ジェミニは素直ないい子です
 
場面は再び金田先生の家。いまだに財布を拾ったのが夢だったとは信じられず、諦めきれない金田先生のもとへ、上野黒門町の牙鉄と名乗る男が訪ねてきます。

▲黒門町の牙鉄は、横山智佐さんが上野水上音楽堂で開催する『サクラ大戦真夏のフェス』で生まれた上野の大親分のキャラクター。それがダンディ商会公演にも登場したわけで、これが広井さんが語る「横へ広げていく」展開かもしれません
 
牙鉄は、自分が4日前に落とした財布を、中身に一切手をつけず交番に届けてくれた金田先生にお礼がしたいとのこと。わけがわからない金田先生ですが、どうやら梅松が手を回して、「金田金四郎が財布を拾い、交番に届けた」ことにしたようです。
 
もしも黒門町の大親分の財布をネコババし、それがバレていたら、命がなかったかもしれない。梅松は命の恩人だったのかも……と改めて肝を冷やす金田先生。
 
そして牙鉄からお礼だと渡された包みを開けると、500円(現代の感覚で200万円相当)もの大金が入っていたのです。1000円入りの財布を拾ってくれたお礼に半金を置いていった牙鉄の義理堅さ。真っ正直に生きていれば、必ず報われる。
 
日本人が持つ美徳が『サクラ大戦』にはさりげなく込められてきました。楽しませながら、心にちょっとした教訓を残す。
 
今回もまさに『サクラ大戦』らしい舞台になったわけです。


 
▲休憩前には恒例の3分間ショッピング。歌謡ショウの頃から担当してきた紅蘭はさすがに慣れたもので、グッズを「これや!」と掲げ、値段を明かす際は「でも、お高いんでしょう?」と煽り、最後は「めざせ、完売!」の決め台詞。またこのコーナーは観客の写真撮影OKということもあり、ジェミニも流行のインスタ映えポーズなどで応えていました

影山今日子ナイトショーという名の久野綾希子無双

休憩を明けて第二部。まずスーツ姿でめかし込んだ金田先生が現れ、満員の客席の間を歩きながら、自分の席を探します。

牙鉄からの礼金のおかげで借金を返済し、大ファンの影山今日子のナイトショーも観に来ることができたと語り、観客ともアドリブでやりとりする金田先生。

この演出により、劇場内が東京会館となり、自分たちも影山今日子ナイトショーを観に来た『サクラ大戦』世界の住人になるのです。この没入感は生の舞台でしか味わえません。

そして歌姫・影山今日子(演/久野綾希子さん)が「ラバーカムバック・トゥミー」を歌いながら登場。広井さんが前説で話した母親の想い出の曲です。

客席から歓声が上がれば、それも太正時代の観客が歓声を上げているように感じる。誰もが声援ひとつ、拍手ひとつで『サクラ大戦』世界に関わることができる。すごい空間になっています。

▲久野さんといえば紐育華撃団の副司令ラチェット・アルタイル役でもあるわけですが、今回は歌姫・影山今日子という新キャラクターでの出演

▲続いて「クライミー・リバー」。ミュージカルのリアル大スターだった久野さんの歌唱力と表現力に、改めて圧倒されます
 
2曲を終えて、影山今日子の自己紹介トークとなります。それによると今回は7年ぶりの東京会館公演で(久野さんのサクラ関連イベントへの参加は「サクラ大戦 紐育星組ショウ2014 ~お楽しみはこれからだ~」以来)、元は大きな劇団で主役を重ね、大人気スターになったが退団。その後、好きな歌を自由に歌ってロングリサイタルを開いている歌姫とのこと。
 
影山今日子の経歴はほぼ、久野綾希子さんそのもののようです。
 
ジャズを2曲続けたので、3曲目はシャンソン「水に流して」。好きな歌を自由に歌った後、素敵なゲストとしてダンディ団のボス・団耕助(演/園岡新太郎さん)を招きます。

▲久野さんと園岡さんは劇団四季で共演を重ねた戦友。それがサクラの舞台で再び共演するようになったため、2人が並ぶと特別な空気が流れます
 
台本には、影山今日子と団耕助の関係は「古い友人」としか書かれておらず、細かいところは2人に丸投げ。そこでボスが自分で考えた設定を明かします。
 
昔、影山今日子が銀座でリサイタルを開こうとした際、ほかの興行主から横槍を入れられ困っていたところを、ダンディ商会が助けた。
 
そんな格好いい過去を勝手に作り、それで進んでしまう大らかさもダンディ商会公演らしさです。

▲「ゴッドファーザー ~愛のテーマ~」を歌い上げるダンディボス

▲生と死の狭間の世界の住人ダス・モルテスが「千の風になって」を披露。絶妙すぎる選曲です

▲ダスの歌の後は3人でトーク。紐育星組の舞台にラチェット役で出演していた久野さん(今回は影山今日子役)と、巴里花組の舞台から生まれたダスは、今回が初共演。ダス役の松原剛志さんにとっても、大先輩と歌で共演できたことは大変貴重だったようです
 
サクラのカンパニー(一座)の中で最年長ということを気にする影山今日子が、人の寿命がわかるダスに、自分はまだ大丈夫かを訊ねます。ダスは、とても一番年上には見えないと若々しさを讃えた上、おもむろに頭上に浮かぶ命の蝋燭に目をやり、ドラム缶ほどのぶっとい蝋燭が見えるから大丈夫だと太鼓判を押します。

▲生と死の狭間の世界の住人に、寿命はまだ当分大丈夫と言われるのは、どんな名医の診察より安心かも?
 
さらにボスが前々から思っていたこととして、「影山今日子さんと、紐育にいる知り合いのラチェットさんがよく似てるんですけど」と切り出します。
 
影山今日子は「世の中には、自分と瓜二つの人が3人いる」とはぐらかしますが、客席からの熱望もあり、ラチェットの「夢よ」を歌います。

▲高音域の圧倒的な声の響きは、まさにラチェット無双!

▲せっかくだから3人で一緒に歌おうと、ミュージカル・コメディの楽しいナンバーである「エニシング・ゴーズ」を歌とダンスで魅せます
 
影山今日子ナイトショーのアンコール曲は、「メモリー」。ミュージカル『キャッツ』のテーマ曲で、久野さんが初代グリザベラ役として歌った伝説のナンバーです。

▲ラチェット役ではなく、影山今日子役だからこその自由な選曲の結果、まさかの「メモリー」。本物のミュージカル界の大スターが繰り出す大サビからの盛り上がりを聴けば、広井さんが語った「歌には力がある」という言葉の意味がよくわかります

▲影山今日子ナイトショーの後は、『サクラ大戦』の定番曲「檄!帝国華撃団」。1月4日公演は紅蘭中心、1月5日公演はジェミニを中心に熱唱!

▲「ゲキテイ」の後はゲストの歌。1月4日の公演では、紅蘭らしい楽しい曲の中から「ひらめきの歌」を披露

▲1月5日の公演では、今回は影山今日子役とはいえ、久々の久野さんとの共演ということで、ジェミニがはしゃぎます

▲ジェミニとラチェットが揃っているため、「サクラ大戦 紐育星組ショウ2014 ~お楽しみはこれからだ!~」以来の「カリプソ・ラチャチャ」を歌唱。大河新次郎に替わってダンディボスが盛り上げます

▲最後は全員で三本締め、全国のサクラファンに敬礼、さらにジェミニの場合は「摩天楼にバッキューン!」まで付けて締め

▲オーラスはダンディ団3人で「ダンディブギ」
 
今回の公演は、出演者の事情も色々あった上で、広井さんが逆にチャレンジする機会にしたように感じました。
 
「サクラ大戦歌謡ショウ」を観ていないと誰だかわかりづらい劇作家・金田金四郎の独演が多くを占めた第一部。ラチェット・アルタイル役ではなく、影山今日子という久野綾希子さんをイメージした新キャラクターのパフォーマンス力を最大限活かした第二部。
 
それを盛り上げるサクラファンという観客も含めて、広井さんがやってきたことの成果がここにあり、夢のつづきに向けてもう一度腰を上げるモチベーションにもなった気がします。
 
いい初夢を見せてくれた舞台でした。
 
[取材・文/帝劇スタ夫]
 
サクラ大戦ドットコム
ダンディ商会(公式)Twitter (@dandyshokai)
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