映画『銀魂 THE FINAL』杉田智和さん＆阪口大助さん＆釘宮理恵さんインタビュー｜終わる終わる詐欺もこれで最後ーー終わった気がしないけどこれが15年の集大成

演じる可能性も考えて距離を離さずに

――このチームでまだまだやり続けたいという想いや寂しさは感じられましたか？

杉田：僕の人間性だと思うんですけど、卒業式やお葬式で泣くタイプではないので、よく怒られます。自分が演じたキャラの誕生日にお祝いもしないし、血が通っていないのかなと言われますが、そうではなくてもっと違う方に目が行ってしまうんですよね。「この後、どうしよう？」と。「祭りの後、この街はどうなるんだろう？」とか「後始末は誰がやるんだろう？」とか。

物語を盛り上げるためのエモーショナルなものを強要されるけど、僕は必要ないと思っているし、物語が完結してお話が終わろうとしているけど、作品の中の時間は動き続けるし。

記事にはしにくい話だとは思いますけど（笑）。ヒドい人間ですね。僕は。

阪口：そんなオチかい！　ビックリするわ！（笑）　僕は自分自身をドライな人間だと思ってましたけど、やっぱり寂しいなとは思いますね。

なんせ15年ですし、ヘタをすれば親よりもこのメンバーと会っているんじゃないかと思うくらいなので、それが集まらなくなるというのは寂しいですね。

収録の時間がルーティンに組み込まれていましたし、収録がない時期もあったけど、ここまで続けてきたし、僕自身ここまで続いた作品はないので。

まだ収録するものがあって、3人で集まることもあるけど、すべてが終わった時に何か感じるかもしれません。今は“ちょっと寂しい”にとどまっていますね。

釘宮：私もドライなので、どんなことでも永遠に続くことはないと思ってしまいますし、この映画は希望がある終わり方だなとさえ思っています。

現実を直視したくない気持ちの裏返しかもしれないし、「誰でも希望が持てる終わりだよね」と自分に思い込ませようとしているのかもしれないけど、それは作品として素敵なことじゃないかなと思います。

自分が好きなように想像できる可能性を残してくれているから、今はあまり寂しさを感じないです。でもイベントなどがあったら気持ちが高まって、「（涙声で）みんな、ありがとう！」となると思うんです。私、泣き虫なので（笑）。

もし誰かが亡くなってもお空の上で見守ってくれていると思うタイプなので、いつでも会いたくなったら会える人たちがいるととらえています。タイミングがあれば、ゲームとコラボしたりとかがあってもおかしくない作品だと思うので、自分から切り離しすぎない距離感は持っていたいなと思います。

そう思わなくても自然に立ち返れるくらいの長い付き合いなので……（笑）。

――今回は、3人一緒にアフレコされたそうですが、収録中に印象に残っている出来事は？

杉田：その質問、みんな聞きたがりますよね？　何でだろう？　ハプニングが起きなきゃいけないという強迫観念にとらわれがちですが、そんなことはめったに起きないし、そんなプレッシャーはやめてほしい（笑）。コメディ作品ほど、現場はまじめに誠実に収録しているし、ふざけてしまうと完結しないので。

収録方法はだいぶ変わったけど、自然と収録に入れました。最後に高松（信司）音響監督から「悔いはありませんか？」と尋ねられたけど「ないですね」と答えました。作品は生き続けるし、時間は流れ続ける。

別のお仕事でナレーションに起用してくれた理由として、「家族をあげて、万事屋さんが好きなんです」と言ってもらえることが今でもあるので、ちっとも終わった気がしなくて。

アニメのレギュラーや映画としては終わるけど、『銀魂』が終わってしまうわけではないし、現場的にも普遍的なものという認識が身についていると思います。もし違ったら僕を殴ってください。

阪口：ちょくちょく殴られているな（笑）。

僕は至って普通だったんですよ。そういう空気を作ってくれたのかもしれないけど。誰のあいさつがあるわけでもなく、自然にスタートしたし、特別だったのは万事屋3人しかいなかったことくらいで。

ただ僕らを仕切るアクリル板が邪魔で、隣りにいるくぎみーの雰囲気が感じ取れなくて。いつもは新八と神楽が声を合わせるときははずすことはないのに、今回は合わせにくいなと感じました。

釘宮：阪口さんとはいつも両手を使ってせーのという感じで合わせています。でも今回は、アクション自体はわかるけど、いつもなら空気の振動でタイミングを計っているところがまったくできず、おもしろいくらい合わなくて（笑）。いつもより大きくアクションして、やっと合うくらいだったので、だいぶ感覚は違いましたね。

違うのはそれくらいで、いつも通りの収録でした。時間が空いてまた収録が始まってもおかしくないくらいで、今までも休みがあって、ポンと収録が入るというサイクルだったので、それに体が慣れているからかもしれません。