
幼いけど、上級妃。思っていた以上に強かった里樹妃と気持ちをリンク――『薬屋のひとりごと』第2期、里樹妃を演じる木野日菜さんにインタビュー
幼いけど、上級妃というバランス感覚
──演じられる里樹妃は第1期の第5話から本格的に登場しました。気高い上級妃たちの中では異色の存在で驚いた人も多かったと思います。
木野:本来、その場にいないような子が急に出てきてびっくりされたと思います。初登場のセリフは「フン」だったんですよね。ほかの妃にはない幼さが前面に表れていて、視聴者の目を引くキャラクターでしたね。
──最初は生意気な性格なのかなと思いきや、生い立ちを知れば知るほど気になるキャラクターです。
木野:可哀想な生い立ちですよね。普通は信用できるはずの侍女たちにいじめられているなんて。里樹妃は冷や汗を垂らしたり、緊張しているシーンが多くて、私も緊張しながら演じていました。
──猫猫のおかげで少し状況が良くなって、視聴者としてはスッキリしました。
木野:毒見役の河南に意地悪されていましたが、そこで猫猫が圧をかけてくれて(笑)。そのあと心を入れ替えた河南が、第2期からもそばにいるようになって。それこそ第2期の第13話では湯殿で転んだ里樹妃の肩を支えてくれました。そういうシーンを見ていると、「里樹妃にもこういう人が近くにいてくれるようになったんだ」と嬉しくなりました。
──設定的には、先帝の妃であり、現帝の妃でもあるという複雑な立ち位置のキャラクターです。
木野:理解が難しくて、猫猫が説明してくれるところとか何回も見返しました(笑)。改めてすごい世界観ですよね。
──演じるにあたってはいかがでしたか?
木野:ため息ひとつでもディレクションを重ねていただいたりして、最初はかなり探りながら作っていきました。里樹妃は上級妃の中で一番幼いけど位や立場は高いので、そのバランスが難しいんです。最初は少し幼くなりすぎてしまって、「もう少し上の立場で」とディレクションをいただいたりしたので、その都度、やりすぎていないかを調整しながら収録しました。
──上級妃ですけど、年齢的には少女ですものね。
木野:そうですね。上級妃であろうとして頑張っている姿を表現できたら良いなと思って演じています。
──では、ひとつのセリフを何パターンも録ったり?
木野:大きく、激しく、小さくみたいなものではなく、極小から小になって中になる、みたいな。そういう刻んでいく調整が多くて難しかったです。
──すごく大変そうなキャラクターです。
木野:特に第38話の長台詞は、今まではそんなに長く話すシーンがなかったからすごく緊張しました。あと、「湯殿(ゆどの)」は“ゆでん”と読むのかな?と思ったらほかにも難しい漢字があって(笑)。携帯片手に調べながらだったので、台本を読むのにも結構時間を割きました。
最初は「宦官(かんがん)」もなんて読むんだろう?から始まって、そこから調べてみたらこういう人たちなんだと。そういう意味では、一つひとつ知っていく毎に深みが増していく面白さがあるなと思いました。
──里樹妃はコミカルなシーンを担うこともありますが、都度、アドリブなどは入れているのでしょうか?
木野:アドリブはあまり入れていないです。やっぱり上級妃なので、リアクションは控えたほうが良いのかなと。ただ、等身大の女の子に戻るときは結構アドリブの指示がありました。
あと息だけのシーンですね。毒が入ったスープを飲もうとするところは緊張しながらも一つひとつ息を入れた覚えがあります。
──収録は常に緊張感を持っていたのですか?
木野:第1期はガチガチでした(笑)。分散収録でしたし、里樹妃の出番が少なかったということもあって、上手くこの世界観に馴染めるのかと。私自身、こういう世界観の作品にあまり出たことがなかったから、なおさら「これで合っているかな?」とドキドキでした。でも里樹妃もずっと緊張しているんですよね。びくびくしていたり、汗を垂らしているシーンも多いので、こちらも演じていてすごく肩がこりました(笑)。
──(笑)。ある意味、役とリンクしていたと。
木野:そうですね。第2期はリラックスできていたんですけど、第1期はそういうところでリンクしていたのかもしれません。
──第2期はみなさんと一緒に録られていると思いますが、実際に掛け合いをした感想をお聞かせください。
木野:やっぱり掛け合いができたことが嬉しかったですし、絶大な信頼を受けている方々とお芝居ができるのはすごいことだなと思います。演じていて居心地が良く、楽しかったです。
里樹妃は思っていた以上に強い子
──第37話、第38話では、再び里樹妃にスポットが当たりました。
木野:私としても、あれから里樹妃はどうなったのかと考えていました。そんな中、河南という唯一信頼できる人と一緒にいられる環境になっていたのはすごく嬉しかったです。あと、猫猫に対しての反応が少し柔らかくなった気がします。助けてもらったからなのかもしれませんが、そのおかげで等身大の女の子の部分を多く見ることができました。
そして第38話では里樹妃のお母さんのお話がありましたが、私としては「返して」というシーンとか、お母さんのことを話しながら泣くシーンは感情をどれくらい出して良いのかわからなかったので、台本や原作・コミックスを何回も読み返しました。
これまでの里樹妃は感情を抑えていたところがあるので、誰かに強く言い放つことがなかったんですよね。そういう意味ではこの第38話で彼女の強さが見られたんじゃないかなと思います。
ただ収録では「もっと激しく、ワンワン泣いてください」とか、鏡を取り返すシーンでは「リミッターが外れたように叫んでください」と言われて。それを受けて、私が思っていた以上に里樹妃は強い子なんだなって感じましたし、それだけ一生懸命演じたので楽しんで見ていただきたいです!
──鏡のシーンは溜まっていたものが吐き出されるような迫力でした。
木野:お母さんへの気持ちは、みなさんも共感できる大切な部分だと思うんですよね。自然と涙が流れるところとか、その気持ちがよくわかったおかげで自分の中からスラスラとセリフが出てきました。演じやすかったですし、すごく感情を込められたのかなと思います。
──今後の放送を楽しみにされている方々へメッセージをお願いします。
木野:第2期も『薬屋のひとりごと』をご覧になってくださってありがとうございます。ミステリーあり、恋愛あり、とたくさんの魅力が詰まった作品が第2期になってより世界観を増しました。新たに明らかになったことや、まだわからないこともあります。この先、どんどん楽しくなっていくので、ぜひ最後まで楽しんでいただけたら嬉しく思います。
[取材 MoA]
作品概要
あらすじ
妃、そして帝の御子を狙った事件が再び起きないよう警戒をしながら、日々を送っていた。
先帝時代からの重臣を父にもつ新たな淑妃・楼蘭妃の入内、壬氏の命が狙われた、前代未聞の未解決事件、そして消えた容疑者・翠苓。
不穏な空気が晴れない中、外国からの隊商、さらには無理難題な要求をする特使も来訪。宮中にはさらなる暗雲が立ち込め始めていた。
猫猫と壬氏を待ち受ける新たな難事件。それらは、やがて国をも巻き込む一大事件へと発展していくー
キャスト
(C)日向夏・イマジカインフォス/「薬屋のひとりごと」製作委員会














































