
すべてが芝居の楼蘭。だけど猫猫、小蘭との時間はウソじゃない――『薬屋のひとりごと』第2期、子翠/楼蘭役・瀬戸麻沙美さんインタビュー
なにも言われなくて逆に不安
──第45話、猫猫が「楼蘭」ではなく「子翠」と呼んだ時の間と表情が印象的です。
瀬戸:子翠は「子翠」と呼ばれて「なあに?」と振り返るまでにもいろいろと思考していたんでしょうね。演じるうえではあの間をどう読み取るのかが重要でした。
──あの状況でも猫猫と話している時は子翠でいられたのかな、と思いました
瀬戸:この舞台の中では、猫猫って異分子なんですよね。子翠は猫猫のことを頼りにしているから、耳を傾けるんじゃないかなと思います。
──子供たちも任せていましたからね。
瀬戸:猫猫は意外と情に弱いところがあるから、最後は絶対に責任をもって頼まれたことを全うしてくれるんです。子翠はそこを見抜いたうえで任せたのかもしれませんね。
──ここまで、演技についてディレクションなどはありましたか?
瀬戸:実は楼蘭になってからほとんどディレクションがありませんでした。私としては第44話から楼蘭の立ち回りが始まるということで、色々と準備しつつ、現場でのディレクションに柔軟に対応していこう!という気持ちだったんですけど、なにも言われなくて逆に不安になりました(笑)。
長沼総監督いわく、今回のキャスティングは、子翠というよりも楼蘭ができる人を探していたらしいんです。だから最後のシーンに向かってきちんと差をつけていくために、第2期での子翠の登場シーンでは、テンションをもっともっと上げて!とディレクションいただいたりもしていました。そこでしっかりとキャラクターを作っていったので、最後の楼蘭の演技については任せてくださったんです。私としてはなにも言われなくて驚きつつも、大立ち回りは猫猫や壬氏との会話の流れを大事に調整しました。
──大立ち回りにあたって、具体的にどんな準備を?
瀬戸:楼蘭の発言はすべて芝居なので、そこに突発的な感情はないんですよね。だから全部準備してから演じるのが正解かなと思いました。ただアフレコって一緒に録る人がいると掛け合いの中でなにかを言いたくなるんですよね。楼蘭はなにを言われても変わらない人なので、現場ではあまり影響を受けないように注意しました。
──神美との掛け合いは(神美役)深見梨加さんの演技に負けないように?
瀬戸:そうですね、私の課題は神美の覇気に負けないことでした。でも第47話はたまたま深見さんとは別録りだったんですよね。絶対に影響されてしまうと思っていたので正直ホッとしました(笑)。
最後の大立ち回りに「めっちゃ喋るやん」
──そして第47話、楼蘭の最後の大立ち回りが描かれました。
瀬戸:コミカライズ版で読んだ時は「めっちゃ喋るやん」って驚きました! しかも、あの量の言葉をなにも見ないで言えてしまう楼蘭はすごいなと思いました(笑)。
──そこですか(笑)。
瀬戸:役が決まっている作品を読んでいる時って、どうやろうかと考えちゃうんですよね。中々ページが進まなかったり、戻して読んだりしちゃって。今回のシーンもセリフ量がすごかったので、どこが使われて、どこがカットされるんだろうとか考えました。
──読んでいて、演技プランはどのように考えましたか?
瀬戸:最後に笑うところはどうしようか悩みました。なぜ楼蘭はあそこで笑ったのか、それはすべてをやり切った達成感からなのか、それとも外が寒すぎて笑ってしまったという可能性もありますね。
──寒すぎて?
瀬戸:目の前のことに集中していたから、急に外に出て、研ぎ澄ましていた感覚がブレて笑っちゃったんじゃないかなって。あの笑いは演技には見えなかったんですよね。
そもそも笑いって変幻自在なんですよ。面白い時はもちろん、力が抜けた時だったり、逆に悲しいときに笑っちゃう人だっています。だから自分なりに笑いについて考えて演じたところでもありますね。
──最後に壬氏との会話もありました。
瀬戸:ここに至るまで、壬氏さまも様々な真実に気付き始めたからこそ、楼蘭をただの悪人として責めてはいないんですよね。だからあのやり取りもヒーローと悪のぶつかり合いとかではなく、互いに正義があって、壬氏もそれをわかっているから願いを受け入れたんだと思います。
──最後にここまでの物語を見届けた方々へメッセージをお願いします。
瀬戸:本当に衝撃的な第47話でした。みなさんも心が動かされたかと思いますが、猫猫から渡されたものが希望に繋がっていたりもするので、ラストの第48話も楽しみにしていてほしいです。
【インタビュー・MoA】
作品情報
あらすじ
妃、そして帝の御子を狙った事件が再び起きないよう警戒をしながら、日々を送っていた。
先帝時代からの重臣を父にもつ新たな淑妃・楼蘭妃の入内、壬氏の命が狙われた、前代未聞の未解決事件、そして消えた容疑者・翠苓。
不穏な空気が晴れない中、外国からの隊商、さらには無理難題な要求をする特使も来訪。宮中にはさらなる暗雲が立ち込め始めていた。
猫猫と壬氏を待ち受ける新たな難事件。それらは、やがて国をも巻き込む一大事件へと発展していくー
キャスト
(C)日向夏・イマジカインフォス/「薬屋のひとりごと」製作委員会
















































