
TVアニメ『フードコートで、また明日。』花田十輝さん(シリーズ構成・脚本)インタビュー|“他愛もない会話”に潜む普遍的なテーマとは
全6話構成で、現在アンコール放送が終了し、各配信サイトにて配信中のTVアニメ『フードコートで、また明日。』。和田(CV.宮崎ヒヨリ)と山本(CV.青山吉能)がフードコートで駄弁っている日常を描き、その中で、ちょっと心が動くようなドラマがあるのだが、一見、アニメとして描くのが難しそうな本作について、どのように映像化していったのか、主要スタッフに話を聞いた。
第3回は、シリーズ構成・脚本を務めた花田十輝さん。
盛り上がりどころを作りながら原作の4本を、どう1話に入れ込むか
──原作を読んだときに、魅力的に感じた部分を教えてください。
花田十輝さん(以下、花田):キャラクターがネガティブなことや、時に毒のあることを言ったり、普通にイケメンやヨーツーバーが好きなところなど、アニメではあまり描かれることがない女性キャラクター像に非常に魅力的に感じ、そこをとにかく大事にしようと考えました。
──シリーズ構成、脚本を書く際に意識したことはどんなことでしょうか?
花田:基本的には、原作で同じページ数で描かれていても、映像化したときに、時間を長く使いそうな話数と、それほどない話数というのが存在するので、原作4本でうまく30分という枠に収まるように、という部分が第一。
あとは、30分とはいえ、やはりどこかに盛り上がる部分がないと散漫になりがちなので、感情の起伏のある話を30分に1話は入れ込む――あたりでしょうか。斉藤さんが出てくる話なんかは、それですよね。ラストに関しては、一度1巻でまとまっている原作でしたので、そこを大切にした感じです。
──今回は会話劇でした。実際に脚本が映像になったものを見て、いかがでしたか?
花田:和田はもうちょっとわちゃわちゃ動き回っているイメージでしたね。山本はまさにシナリオ書いている時のイメージそのままでした。自分の頭の中では和田は多分、もう少し背が低いイメージだったのかもしれません。
なぜ2人で、なぜフードコートなのか――作品に潜むメッセージ
──アフレコで印象的だったシーンはありますか?
花田:原作6話の和田の「おーい待てよー、ゆっくり来てよー」は死ぬほど何度も録り直しした記憶が……。本気かふざけてか、確かに解釈両方あるところなので、難しいところですよね。
──花田さんにとって『フードコートで、また明日。』はどんな作品でしたか? 新たにチャレンジしたことなどはあったのでしょうか。
花田:アニメでは珍しい全部で6話の短期シリーズなので、とにかくサッと軽く見てもらえるよう、力を抜いて書くこと。いい意味でいい加減にざっくりと。というのは他の作品ではあまりやったことのない新しい挑戦だったかもしれません。
──最後に、アニメ『フードコートで、また明日。』のファンの方へ、メッセージをお願いします。
花田:他愛もない2人の会話劇ではありますが、なぜこの2人なのか、なぜフードコートなのかを考えたとき、実は「自分の居場所はどこなのか」という、とても普遍的なテーマを実にシンプルに分かりやすく語っている作品でもあると思うので、そんなことも考えながら見返してもらえたら嬉しいと思います。
[構成・塚越淳一]
作品情報
あらすじ
クラスではそれぞれ⼀⼈きりで過ごす和⽥と⼭本は、別々の⾼校に通っているものの、毎⽇のようにショッピングセンターのフードコートに集まっている。
と⾔っても、何をするでもなく、ただただたわいもない話をして、笑ったり、泣いたり、怒ったり……。
そんな⼆⼈のゆるい放課後を、少し覗いてみませんか?
キャスト
(C)2024 成家慎一郎/KADOKAWA/フードコートで、また明日。製作委員会






























