
『破産富豪 The Richest Man in GAME』小野賢章さん&岡本信彦さんインタビュー|“破産”したいのに大成功してしまうペイ・チェンと、何も知らず能天気なマー・ヤン、対照的な二人が作り上げるゲームを楽しんでほしい
『孤独の砂漠ハイウェイ』のシーンで大きな衝撃を受けた
──(取材時点で)第6話まで収録が終わっているとお聞きしましたが、印象的なシーンやお気に入りのシーンを挙げていただけますか?
岡本:一番最初にカタルシスがあったのは、ペイ・チェンが作ったゲームをリリースした時です。ここまでの流れでこの世界のルールやおもしろさが理解できて、一発すごいパンチをもらったような衝撃を受けました。「なるほど!? こういう感じで進んでいくんだ!」とわかって、とても楽しかったです。
マー・ヤンはほとんどしゃべっていなくて、ほぼペイ・チェンのセリフでしたけど(笑)、横で聴いていて気持ちよかったです。でも賢章くんはきっと大変だったと思います。リアルなペイ・チェンだけでなく、想像の中の自分も出てくるし、しかもテンションのアップダウンも激しいし。
小野:僕が個人的に好きなのは、新たなゲームを作ろうとマー・ヤンと会議をしているシーンです。二人で一緒に内容や枠組みを決めていく企画会議は演じていても楽しかったし、「僕もあの会議の場にいられたら楽しかっただろうな」とうらやましさも感じました。まだ実現する前の段階で想像や理想を語り合う時って一番楽しい時間だと思いながら演じていました。
二人はいろいろなところで話し合いますが、なぜか船頭さんが漕ぐボートで川下りしながら話し合っている時もあって。最終的に転覆してしまうところもおもしろかったです。収録も誰がしゃべっているのかわからないくらいセリフをかぶせ合ったので大変でした(笑)。
岡本:実はそのシーンも僕らは同じ場所にいるのに別々に収録しました。
小野:セリフがかぶっているので一緒には録れないので。
岡本:船頭のおじさんは別日の収録だったので、どんな感じになったのか楽しみです(笑)。
──「滕達社」を敵視する、社員を解雇しまくる黒幕の正体も気になりました。
小野:黒幕の正体も明かされていないし、そもそもペイ・チェンに「財産変換システム」の話を持ち掛けたリッチェストも「一体誰なの?」という感じだし。今後彼らの正体や謎が明かされるのか楽しみです。でもあんなにわずらわしいリッチェストなのに、たまに存在を忘れたり、ペイ・チェンがタイムリープしてやってきたことを忘れる瞬間があって。
しがない社畜みたいな人生を送っていたのに何でタイムリープしたのかも謎だし。
岡本:第1話でタイムリープした時、「リッチェスト」と書かれたTシャツを着ていたよね。
小野:それは気が付かなかった!
──もしかしたら伏線なのかもしれませんね。
岡本:本当に伏線なのかはわかりませんけど、「もし夢オチだったらイヤだな」と思ったりして。
小野:確かに夢オチはちょっと(笑)。でもそれらを忘れるくらいペイ・チェンが行動した結果、会社が大きくなっていく過程は見応えがあります。
「ここでこれが欲しいな」という期待を裏切らない気持ちよさがある作品
──映像をご覧になった感想をお聞かせください。
小野:クオリティーがすごく高いなというのが第一印象でした。それにちょっと懐かしさを感じるところもあって。
岡本:確かに!
小野:メリハリもあるし、キャラクターの表情も豊かなので、わかりやすいし、演じていて楽しいです。
岡本:テンポもいいよね。素敵だなと思ったのは、ペイ・チェンが作るゲームは、(現実世界に)実際にありそうで、リアルな時間軸で動いている感じが楽しいです。演出も新鮮で、メタ的におもしろかったです。
──コミカルなシーンや演出は昔の香港映画みたいな感じを思い出しました。
小野:「こんなことが起きそうだな」と思うとその通りになるというか、予想できるんですよね。「ここでこれが欲しいな」という期待を裏切らないのが気持ちよくて。最初のゲーム制作にまつわるお話でそんな流れを見せてからのその後の展開がまさにそうで。早く破産して大金を手にしたいのに、失敗するために作ったクソゲーが意図しない出来事が加わって売れてしまって、ペイ・チェンが全然上手くいかないのを見たら、「次に作るゲームもきっと売れちゃうんだろうな」と想像して、やっぱりその予想通りの結果になる気持ちよさがありました。
──ペイ・チェンがゲームの評価を落とすために仕組んだ作戦が、ゲーム実況者やイラストレーターに好意的に取られてしまうところもいいですね。
小野:それはペイ・チェンが持つ不思議な能力なのかな?(笑) 現実でも「この人についていこう!」と起業したばかりの小さな会社の社長と行動を共にして成功する話をよく聞きますが、ペイ・チェンも人を引き付ける魅力があるんだろうなと思います。
──実際に事務所の社長をされている岡本さん的には、ペイ・チェン社長はどう見えていますか?
岡本:素晴らしいと思います。欲しい言葉をそのまま言ってくれて、周りの人の心にスマッシュヒットしている感じがします。また、バズるきっかけになったゲーム実況者もイラストレーターも現状に不安や不満を抱えているところで、あえて裏の裏まで考えさせるクソゲーを作ったり、イラストを自由に任せたりという行動がピンポイントに刺さるという運の良さ、はたまた運の悪さなのか(笑)。でも求められている言葉を口に出せるのは才能だと思うし、熱意をどれだけストレートに伝えるのかもわかりやすいし、ペイ・チェンって発する言葉が上手だなと思います。
イラストレーターからカードゲームのキャラクターの絵を上げるシーンで「何であんなにクオリティーを高くしたんだ」と怒って電話したけど、(イラストレーター側は)どんな理不尽なことを言われても気にしないし、もう手遅れで。なぜならペイ・チェンを信じ切っているし陶酔しているから。なので、言葉の力がある人なのかなと思いました。
──マー・ヤンが成功しそうな提案をすると、やめさせてむしろ失敗する方向に誘導されているのに、なぜか納得させられちゃって。
岡本:マー・ヤンはおバカなので、いつも「そうか!」と納得しています(笑)。でもペイ・チェンは当たっていることも結構言っているから納得させられてしまうのかも。
また、奇をてらわないのもいいですね。「破産してお金持ちになります」というゴールに向かって、一本道をただ走っていくのは気持ちいいです。
──小野さんはペイ・チェンみたいな人がいたら、ついていきたいと思いますか?
小野:いやあ……どれだけ熱意を伝えてもらえるかによるかな。今の自分だとついていかないかも(笑)。自分がもっと若くて学生時代だったら「何かおもしろそう」とついていったかもしれません。
──今の小野さんはまず疑っちゃいますか?
小野:そうですね。僕はATフィールドが結構厚めなので、初対面の人はまず疑って信じませんね(笑)。そんな人見知りなところがあります。でも学生時代のようにエネルギーと無限の可能性があったら、ノリと勢いでついていっちゃうかもしれません。
思い通りにいかずやきもきしているペイ・チェンと、能天気なマー・ヤン、対照的な二人を楽しんでほしい
──もしペイ・チェンとマー・ヤンのようにお二人で一緒にゲームを作るとしたら、どんなジャンルのゲームを作りますか?
岡本:作れるのかな? 賢章くんはFPS(ファースト・パーソン・シューター=一人称視点のシューティングゲーム)が得意だから作ってほしいけど、作るのは難しそうだし。
小野:たぶんムズいですね。
岡本:僕は堀江 瞬くんとやっていた番組の企画でボードゲームを作ったことがあるけど、アナログだからできたことだと思うし。そもそも開発資金はどれくらいかかるんだろう? どういう系のゲームを作りたい?
小野:そうですね……でもシンプルなほうがいい気がします。ターゲットを子供向けにして、すぐ対戦できるような。それこそ『破産富豪』じゃないけど、めっちゃ楽をして、小学生でも買えるゲームを作りたいですね。
岡本:モデリング(ゲーム上の立体物を制作する作業)とかもあえて適当でね。
小野:さすがに10円だと利益が出ないから100円くらいにして。みんなで放課後とかに遊んで、クラスで1位は誰なのかとか、流行らせてほしいからクラスランキング機能も付けます。「お前が1位だ!」って。
岡本:小さなコミュニティの中で、「アイツ、スゲーんだぜ!」ってなったりしてね。
──最後に、本作の全体的な見どころと、ご自身のキャラ的な見どころのご紹介をお願いします。
小野:ペイ・チェンのサクセスストーリーで、物語がスピーディに進んでいくし、今何が起こっているのかもわかりやすいので、観やすいアニメかなと思います。ペイ・チェンがいつも失敗するように仕向けているのに、なぜか思い通りにならない様子をおもしろがっていただけたらと思います。
僕自身も、ペイ・チェンが今後この状況をどうしていくのかを楽しみにしています。
岡本:ペイ・チェンが成功者として駆け上がっていく様子と、彼を取り巻く環境の変化が見どころの1つです。きっと個性的な登場キャラも増えていくし、ペイ・チェンの「破産したい」という気持ちに対して、会社の規模はどんどん大きくなってしまう、その反比例している感じがおもしろいと思います。個人的にはペイ・チェンがどんなゲームを作って、会社を破産に導こうとするのかも楽しみで。彼のアイデアもゲーム好きからするとおもしろいなと思うし、話の軸になっていくと思います。
そんな中でもマー・ヤンはきっと成長しないし、全然ダメなままだと思います(笑)。でも実はペイ・チェンが成長して豊かになっていくことで、一番恩恵を得るラッキーボーイじゃないかなと。ペイ・チェンと一緒に焼肉を食べるシーンがありますが、ペイ・チェンが思い通りにいかなくてやきもきしているのに、その理由を知らないマー・ヤンはいつも能天気で、お腹いっぱいに焼肉を食べていて。そんな二人の対照的なところと、おバカだけどどこか憎めないマー・ヤンの愛嬌やかわいらしさを愛でてもらえたら嬉しいです。
作品情報
あらすじ
大学時代にタイムリープした冴えない社畜、第二の人生の成功のカギは起業して“赤字”を出すこと!?
パッとしないサラリーマン、ペイ・チェンは、ある日上司からの命令で深夜まで残業を強いられていた。すると突然、スマホの画面が光りだし、気が付くと学生時代へとタイムリープしてしまう。
何が起こったのか混乱するチェンの前に、財産変換システム・通称「リッチェスト」を名乗る謎のキャラクターが現れ、チェンに資金を提供して金持ちになるチャンスを与えると提案する。
“社畜人生”を抜け出し、金持ちになれると大喜びするチェン。
しかし、リッチェストが示したルールは極めて特殊で、金持ちになるためには“ある条件”を満たす必要があった――。
キャスト
(C)bilibili 閱文動漫 改編自閱文集團旗下起點讀書小說《虧成首富從遊戲開始》 作者:青衫取醉











































