アニメ
武内駿輔×下野 紘が語る、ふたつの『北斗の拳』の楽しみ方【インタビュー】

ただ男たちが熱く戦っているだけじゃない。『北斗の拳 -FIST OF THE NORTH STAR-』も『北斗の拳 拳王軍ザコたちの挽歌』も、根底にあるのは“愛”――ケンシロウ役・武内駿輔さん×ノブ役・下野 紘さんインタビュー

 

『ザコたちの挽歌』は男子校のように、『北斗の拳』は緊張感もある現場に

──それぞれの現場は、どちらも和気あいあいとした雰囲気だったとうかがっています。今、思い返してみると、どんな現場でしたか?

武内:下野さんの現場は、後半の方はおひとりで作業されていたとうかがいました。

下野:そうですね。概ね僕が先にツッコミを入れて、それにほかのザコたちが合わせていくという。

武内:逆じゃないんだ!

下野:「きっとみんなこういうふうにやってくるんだろうな」と想像しながら収録していました。最初は和気あいあいとして、みんなでアフレコをしていました。男だらけの、男子校みたいな収録現場で。ナレーションの高橋伸也さんが来ると、もうヒーローのようになっていて。ザコたちの中でいちばんのヒーローで(笑)。みんな「伸也さん!伸也さん!」ってなっていましたね。本当に楽しかったです。

──武内さんの現場はいかがでしたか?

武内:僕は毎回、違う『北斗の拳』Tシャツを着て行っていました。そうしたら周りの方も「そんなTシャツあるんだ」と反応してくださって。遊佐(浩二)さんにはシンのTシャツをプレゼントさせていただいたんですけど、その場で着てくださったんです。優しいですよね。自分で言うのもあれですが、かなり見守っていただけているなと感じる現場でしたね。

──原先生もいらっしゃったとうかがいました。

武内:そうですね。ラオウもいるタイミングで来てくださったんです。先生の中で、ケンシロウとラオウ、サウザーがすごく重要らしくて。ジャギはそこまでみたいです(笑)。「こいつ、そんなに強くないんだけど、なんで人気なんだろう」みたいな(笑)。

和気あいあいとしていましたが、一定の緊張感もある現場でした。あとは、ザコたちはザコたちで、どう死んでいくかをすごく考えていて。でもあまりに狙ってしまうと「死ぬために生きているわけじゃない」というザコの想いから離れてしまうんですよね。

人生の途中で、突然終わってしまうわけじゃないですか。「死にたくないのに死んでしまった、あべし!」と。その「あべし」にしても、字面を全部母音まではっきり言って死ぬのか。それとも全部がひとつの音にまとまったようなスピード感で言うのか。そういうところを、演者だけではなく、ディレクターさんやスタッフさん、監督も含めてみんなで取り組んでいました。

──そのお話を聞くと、ザコたちに注目しながら観たくなりますね。

武内:ぜひ注目してほしいです。本編ではザコたちを福島潤さん、間宮康弘さんが引っ張ってくださっていました。なかでも潤さんは、現場でのリーダーポジションというか。「潤さんのザコ役を見て、そこについていってほしい」という空気がありました。潤さんは会話的なところがすごく素敵なんです。死ぬときも、意外と大きな声を上げるわけではなくて、「死んだ……ぐはっ」みたいな、引きの死に方。それがすごく素敵なんです。エネルギーとパワー感でいうと、間宮さんもすごいんですよ。溺れるときとか、もう汗が飛び散るような勢いで。

下野:風貌もね。

武内:そうなんです。本当に、ご本人が世紀末みたいなんです(笑)。工業用のチェーンをアクセサリーとしてつけられていて、それをジャラジャラと下ろすところから『北斗の拳』のアフレコが始まるんです。間宮さんのアタッシュケースと、チェーンを見て「あ、北斗が始まったな」と。

 

無骨なだけじゃない『北斗の拳』の愛と美しさ

──武内さんは『北斗の拳』を「壮大な愛の物語」とコメントやインタビューでおっしゃっていました。『ザコたちの挽歌』はおふたりはどのように感じられていますか。

武内:『ザコたちの挽歌』も愛の物語ですよね。

下野:はい、愛の物語です。『ザコたちの挽歌』には、町の人たちも出てくるじゃないですか。町の人たちは町の人たちなりに、その場所を守るために一生懸命頑張っているんですよね。さらに、ノブきっかけでほだされて、世界のルールがちょっとねじ曲がったり、少し平和な雰囲気になったりする瞬間もたくさん生まれています。

さきほどの話と重なってしまいますが、だからこそ、『ザコたちの挽歌』を先に観ると、ザコたちに対して同情というか、愛情というか、そういうものが生まれてしまう可能性があるので……。『北斗の拳 -FIST OF THE NORTH STAR-』を観るときは、『ザコたちの挽歌』のことは一度忘れてください(笑)。それぐらい、愛すべきザコたちがめちゃくちゃいっぱいいます。あと、愛が生まれそうな瞬間もあります。そこはぜひご覧いただきたいです。

──下野さんは、武内さんが出演される『北斗の拳 -FIST OF THE NORTH STAR-』を、今の段階ではどのようなところを楽しみにされていますか?

下野:正直に言うと、僕自身がこれまでの『北斗の拳』をしっかり見てきたわけではないので、そういう意味でも、新鮮な気持ちで観られるかなと。自分の中に『北斗の拳』のイメージはあるんですけど、『北斗の拳 -FIST OF THE NORTH STAR-』は、それとはまた違った雰囲気になるんじゃないかなと勝手に思っています。ぜひ観させてもらって、『ザコたちの挽歌』とは違うものとして、素直に楽しみたいです。

──『ザコたちの挽歌』も、個人的にすごく楽しませていただいています。私自身も『北斗の拳』をリアルタイムで観たり読んだりした世代ではなく、これまではどこか『北斗の拳』というと“男性向けの作品”というイメージが強かったんですが、老若男女楽しめる作品なんだと知るきっかけになりました。

下野:『北斗の拳』はどうしても無骨なイメージがあるから、とっつきにくく感じる方もいるかもしれません。特に女性の方はそうなのかなと。僕のスタイリストさんは女性の方なのですが、その方に『ザコたちの挽歌』を観せたら大爆笑してて。『ザコたちの挽歌』で「ただ男たちが熱く戦っているだけの話じゃないんだよ」というところを知ってもらって、そこから『北斗の拳』を観ていただいて、『北斗の拳』の人間ドラマだったり、そういう部分も楽しんでもらえるようになったらいいなと思います。ただ、何度も言うようですが、本編を観るときには一回忘れてください(笑)。

武内:『ザコたちの挽歌』は、『北斗の拳』が少年漫画だというところも伝えてくれると思うんです。『北斗の拳』は本来青年漫画ではないのですが、作品の歴史も長いですし、知らない方の中には、タバコ片手に読むとか、一杯飲みながら読むような青年漫画というイメージを持っている方もいるかもしれない。でも、全然そうではないんですよね。ぜひ両作品あわせて注目してもらえると、より楽しめるんじゃないかなと思います。

あと、そう! 女性の方に向けてという意味で言うと、メインキャラクターがみんな美男子なんですよ。原先生は常に、最高の美男子を描くことを目標にされているそうです。だからこそ、筋肉も、ただカチカチのプロテクターのような感じではなくて、肌の柔らかさのようなものも感じられるし、しなやかなんですよね。僕自身、正直に言うと『北斗の拳』イコール“男が憧れるような、かっこいい肉体と力強さ”といった印象が強かったのですが、原先生の中には「美しい男性」というイメージがあると知って、なるほどなと思いました。

──“美しい男性”という視点で見ると、ケンシロウの印象も少し変わってきますよね。今回演じるうえで、ケンシロウのどのような部分を大事にしたいと感じていましたか?

武内:僕は声を担当する人間として、ケンシロウの持つ青年らしさのようなものを大事にしたいなと思っていました。ケンシロウは最初から最強の男というわけではなくて、最初は自暴自棄なところから始まって、怒るときはものすごく怒るんですよね。戦いの中でどんどん成長していき、そして、悲しみを背負いながら強くなっていきます。そういうところも含めて、等身大の青年の心のようなものを描けたらいいなと考えていました。

──さきほどおっしゃっていたしなやかさは、最新の技術で作られる今のアニメーションだからこそ、より映えそうですよね。

武内:そこは監督も含めて、すごく力を入れて取り組まれていると思います。たとえば血しぶきに関しても、出版社の方から「原先生の描く血しぶきは美しいんです」というお話を聞いて。確かに、刺激的なものではあるんですけど、汚らしいものを見ている感覚にはならないんですよね。衝撃がすっと入ってくるような、血しぶきの具合というか。今回はそのあたりにも注力して取り組まれているので、ぜひ完成を楽しみにしていただけたらと思います。

下野:血しぶきの話で言うと、こっちはね、すべてが終わったあとだと結構血みどろですけど、その瞬間瞬間はだいぶフレッシュな感じです(笑)。

──皆さんの美学が集結した作品なんだなと、今日おふたりのお話を伺って改めて感じました。ケンシロウとノブが同じ場所にいる場面も観てみたいですね。

下野:そこはもう、『北斗の拳 拳王軍ザコたちの挽歌』第3巻をご覧になっていただければ!

武内:え〜見られるんですか、ウソ〜!? それは買わないと!

下野:(笑)。『ザコたちの挽歌』も『北斗の拳』も、どちらも応援し続けていただければ、もしかするとこの先、『ザコたちの挽歌』のアニメでもそのエピソードが見られるかもしれません。ぜひ今後も、アニメ、漫画ともに楽しんでいただければ嬉しいです。よろしくお願いします!

 
[文・逆井マリ / 写真・胃の上心臓]

 

作品情報

北斗の拳 -FIST OF THE NORTH STAR-

北斗の拳 -FIST OF THE NORTH STAR-

あらすじ

199X年、世界は核の炎につつまれた!!
海は枯れ、地は裂け、あらゆる生命が絶滅したかにみえた……。
だが…人類は死滅していなかった……!!

荒廃した世界の大地の上で、人々は希望を繋ぎ、水や食料を求め必死に生きようとしていた。
しかしその願いは、暴力によって踏みにじられる。
この世界は、力だけがすべてを支配し、弱き者は蹂躙されるのみ。

そんな絶望の淵に、一人の男が現れる。
彼は胸に7つの傷を持つ、伝説の暗殺拳“北斗神拳”の伝承者・ケンシロウ。
婚約者のユリアを奪った宿敵・シンを追い、荒野をさすらう彼は、
虐げられし者たちの叫びに応え、希望の光をともしてゆく。

彼の前に立ちはだかるのは、世紀末の乱世を生き延び、野心と欲望を剥き出しにした強者たち。
略奪と殺戮が渦巻く世紀末、
ケンシロウは人々の祈りさえ届かぬ狂った世界をその拳で切り拓く!

キャスト

ケンシロウ:武内駿輔
バット:山下大輝
リン:M・A・O
シン:遊佐浩二
ユリア:早見沙織
レイ:中村悠一
マミヤ:青木瑠璃子
ジャギ:高木渉
トキ:最上嗣生
ラオウ:楠大典
ナレーション:山寺宏一

(C)武論尊・原哲夫/コアミックス, 「北斗の拳」製作委員会

 

北斗の拳 拳王軍ザコたちの挽歌

北斗の拳 拳王軍ザコたちの挽歌

あらすじ

就職先は…拳王軍でした。

199X年。核の炎に包まれた世界は、生きていくだけでも大変な世界。そんな中、主人公ノブが見つけた就職先は、なんとあの「拳王軍」だった!

志望者よりも死亡者が多い危険すぎる職場で、ノブはいつまで生きていられるのか…!?

ババアに変装したザコや、カサンドラのウイグル獄長、聖帝軍の「汚物は消毒の人」など個性豊かなザコが続々登場!! ザコ死にまくりコメディ☆開幕!!

キャスト

ノブ:下野紘
ザク:拝真之介
バーズ:矢野正明
ナレーション:高橋伸也

(C)武論尊・原哲夫/コアミックス 1983,(C)ザコたちの挽歌製作委員会

 

おすすめタグ
あわせて読みたい

おすすめ特集

今期アニメ曜日別一覧
2026年夏アニメ一覧 7月放送開始
2026年秋アニメ一覧 10月放送開始
2027年冬アニメ一覧 1月放送開始
2026年春アニメ一覧 4月放送開始
2026夏アニメ何観る
2026夏アニメ最速放送日
2026夏アニメも声優で観る!
アニメ化決定一覧
放送・放送予定ドラマ作品一覧
平成アニメランキング