
桜河の面白さにつながっていると感じた桜河の“裏腹さ”の多さ──TVアニメ『鬼の花嫁』連載インタビュー第9回 鬼山桜河役・島﨑信長さん
桜子は“切ない”
──音響監督とのやり取りや、収録現場で印象に残っていることはありますか。
島﨑:まず準備段階から、すごく丁寧な現場なんです。台本をいただいたあとに修正が入ることもあるのですが、ただ文言を変えるだけではなく、「この尺だと表現しづらいと思うので、ここはこうしましょう」といった形で、音響監督をはじめ、事前の段階からすごく細かく整えてくださっていて。こちらがきちんと表現しやすいように準備してくださっているんだ、というのが強く伝わってくるんです。
だからこそ、その誠意にこちらも応えたいと思いますし、実際にパフォーマンスをしてからディレクションをいただく以前に、もう準備の段階で背筋が伸びる感覚がありました。「こちらもちゃんと返さなければ」と自然と思わせてくれる、といいますか。
先輩から後輩までいる座組ではありましたが、変に緊張して萎縮するのではなく、みんながひとつ背筋を正すような空気があって。そういう意味でも、とても素晴らしい現場だと感じています。
──共演者の皆さんのお芝居から、刺激を受けたことがあれば聞かせてください。
島﨑:まず、早見沙織さんはやっぱりすごいなと改めて思いました。柚子って、役どころとしては一見、何も特別なものを持っていないように見える子じゃないですか。でも、ああいう“普通”を普通にやるのって、本当に難しいんですよね。
足しすぎても違うし、引きすぎても違う。その塩梅がすごく難しいのに、早見さんはまったくあざとくならない。どこかピュアで、言葉にちゃんと説得力がある。すでにたくさんのものを持っている方なのに、そのうえで“普通”を自然に成立させているのが、本当にすごいなと感じました。
それから、玲夜の父と母のおふたり(石田彰さん・福圓美里さん)も印象的でした。登場すると一気に空気が変わるんですよね。ぱっと見はパワフルで仲のいいご夫婦なんですけど、ただ浮かれているだけではなくて、現当主たちなのだと伝わるものがにじんでいる。あの存在感があるからこそ、シーン全体の色が変わるんだなと感じましたし、自分も将来的にこういうことができる役者になりたいなと思わされました。
──本作ではたくさんのキャラクターが登場しますが、ご自身の役以外で気になるキャラクターや、好きな関係性があれば教えてください。
島﨑:桜子です。桜子って本当に切ないんですよ。もちろん今の桜子自身は、自分の考えで動いて最良の選択をしているんだと思うんですけど……立場があるからこそ、“そう思い込まざるを得なかった”部分もあるんじゃないかな、と感じるところがあって。
桜子は本当に努力して、努力して、今の姿になった人だと思うんです。最初から完璧だったわけではなくて、いろんなものを背負いながら今の桜子になった。だからこそ、その切なさも含めて、とても印象に残るキャラクターですね。
桜河自身も、そんな自分のあり方をどこかで理解しているからこそ、表に出さないまま見つめているものがあるんじゃないかなと感じました。
──ここからは、作品にちなんだ質問です。あやかしは本能で花嫁を選びますが、島﨑さんご自身は直感を日常の中でどれくらい大事にされていますか?
島﨑:僕は、いわゆる神がかった“ひらめき”のようなものだけが直感だとは思っていなくて。むしろ日常で使っている直感って、それまでの経験や積み重ねを、すごく短い時間で判断しているものなんじゃないかなと思うんです。
たとえば料理でも、最初から勘だけで味付けできるわけじゃないですよね。でも、経験を積んでいくと「たぶんこのくらいかな?」と判断できるようになる。それって直感っぽく見えるけれど、実は経験の積み重ねに基づいているんだと思っていて。
役者として現場でとっさに判断することもそうですし、人と話していて「この話は今はしないほうがよさそうだな」と思うことも、全部そうだと思っています。
そういう意味での直感──失敗も含めて自分が積み重ねてきたものから導き出された感覚は、結構信じているかもしれません。もちろん外すこともあるし、そのたびに修正もしてきましたけど(笑)。年々精度は上がってきていると思うので、自分の中での信頼度は高いですね。
──本作は、柚子と玲夜の出会いから始まるロマンスが大きな軸になっています。ご自身のこれまでを振り返って、「この出会いが自分を変えた」と感じるような大切な出会いがあれば教えてください。
島﨑:今はもう、ひとつに絞れないですね。昔は、初めて主役を務めた作品のような、わかりやすい節目を挙げていたんですけど、年を重ねるにつれて、どの出会いも自分にとって大きかったんだなと思うようになりました。
どの作品も、どの役も、どの現場も、ちゃんと自分の中に何かを残してくれているんですよね。共演者の方との出会いもそうですし、今回の現場でもまた新しい気づきをたくさんもらいました。
そうしたひとつひとつの積み重ねが、今の自分の役への向き合い方につながっているんだと思います。
だからこそ、毎回きちんと心を砕いて作品に向き合うことが大事なんだろうなと感じますし、そうして向き合った出会いは、きっと次にもつながっていく。今はそんなふうに思っています。
──最後に、第8話までご覧になっている視聴者の皆さんへメッセージをお願いします。
島﨑:第8話までご覧いただき、ありがとうございます。ここまででもかなりいろいろなことが起きていますし、それぞれの思いが複雑に絡み合ってきているタイミングだと思います。
柚子と玲夜の関係が少しずつ形になっていく一方で、周囲の人物たちもそれぞれの立場や感情を抱えながら動いていて、物語の見え方も少しずつ変わってきているんじゃないでしょうか。ひとつの出来事が別の誰かの思いともつながって、世界が少しずつ広がっていくところにも、この作品の魅力を感じています。
この先、物語がどう動いていくのか。柚子と玲夜の関係はもちろん、周囲の人物たちが何を抱え、どんな選択をしていくのかも含めて、最後まで見守っていただけたらうれしいです。
『鬼の花嫁』作品情報
2026年7月4日(土)24:30~よりTOKYO MX/BS11ほか全国12局にて順次放送中!
dアニメストア・ABEMA・U-NEXT・アニメ放題にて地上波同時・最速配信!
その他プラットフォームでも順次配信開始
あらすじ
優れた能力と容姿を持つ“あやかし”は日本の中核を担っていた。
そんな絶大な権力を持つ“あやかし”は本能で運命の「花嫁」を見つけることができ、その「花嫁」に選ばれることは女性の憧れであり、名誉なことだった。
平凡な高校生・東雲柚子は、妖狐の花嫁である妹・花梨と比較され、家族にないがしろにされながら育ってきた。
ついに心が破れた日、柚子は偶然、類まれなる美貌を持つひとりの男性と出会う。
「見つけた、俺の花嫁」
彼の名は鬼龍院玲夜、“あやかし”の頂点に立つ鬼だった。
──この出会いから、柚子の運命が大きく動きだす。
キャスト
(C)クレハ・富樫じゅん・スターツ出版/「鬼の花嫁」製作委員会
































