
「ここから4人の物語が始まっていく」『映画名探偵プリキュア!不思議な庭と2人の秘密』キュアミスティック/小林みくる役・本渡楓さん×キュアアルカナ/森亜るるか役・東山奈央さんインタビュー
真逆のアプローチ? お互いのお芝居から感じる魅力
ーーお互いのお芝居のご印象についても伺いたいです。まず本渡さんから見て、東山さん演じるキュアアルカナはいかがですか?
本渡:攻撃を受けたり、ピンチになったり、高いところから落ちたりするときに「キュアアルカナはどんな声を出すんだろう?」って、テレビシリーズの台本を読みながらいつも考えてしまいます。キャラクターらしさを保ちながら、気合いを入れるところは入れる。でも強いからこそ余裕もあるだろうし……と。現場で奈央さんのお芝居を聴いて、「(うなずきながら)うんうん、なるほど、これか」といつも思います。
東山:合ってる?(笑)
本渡:合っています!もちろんです! 私は普段のお芝居では、キュアミスティック/小林みくるとして、絵に負けないように振り幅をつけて、「おりゃ!」って思いつくまま遊ぶことも多いのですが、そうすると、アニメーターさんも、それに乗っかってくださるかのようにどんどん絵が激しくなって。そしてまた、そこに負けじとお芝居を返しています。だから最終話は一体どんな状態のみくるになっているのか、自分でもわからないくらい。もしかしたら、ゲル状態になっているかもしれない……。
ーーゲル状(笑)。いいお話ですね。
本渡:……そう思うと、キュアアルカナは私とは真逆のアプローチなのだと。キュアアルカナという存在や、背負っている過去の重さがあるからこそ、お芝居の作り方もまったく違う。「なんて難しい役どころなんだろう、改めてすごいな」と、毎週感じています。
東山:そうなんだよね。抑えている、というのとも少し違って。普段生活しているときも、内側ではいろいろなことを考えて感情が渦巻いていても、それが表情にはあまり出ない方っているじゃないですか。キュアアルカナも淡々として、無機質な雰囲気に見えるところはあるんですけど、中にあるものはすごく熱かったり、ものすごく優しかったり、一生懸命だったりする。ただ、感情表現が小さい子なんだと思っています。
とはいえ、要所で「ここで彼女の生き様を出さなかったら、何のためのお芝居なんだろう」と感じる場面も出てくるんです。そういうところで自分のお芝居を抑えすぎてもいけないし、出しすぎてもいけない。そのバランスは毎回難しいですね。
ーーその塩梅はどのように調整されているのでしょうか。
東山:最終的にはマイク前での肌感覚に任せる部分もあって、「思ったより感情が出ちゃったな」「思ったより出なかったな」「思いがけないニュアンスになっちゃった」ということもあります。今回の映画ではキュアアルカナになったことで、キュアアルカナ・シャドウの頃とはまた違って、ひとつ荷物を下ろしたような、少し身軽になったキュアアルカナとしてのお芝居になっています。
ーーでは東山さんは本渡さんのお芝居のどんなところに魅力を感じていますか?
東山:本渡ちゃん、本当にすごいです。マジで職人さんです。
本渡:本当ですか!
東山:本当です!
本渡:嬉しいので、そのまま受け取らせていただきます。
東山:(笑)。以前、現場でお話したときに「そんなに準備をしている人間ではないですよ」と謙遜されていたんですけど、時間をたくさんかけるという意味での準備とは違うのかもしれませんが、質のいいチェックというんでしょうか。感覚に優れた役者さんであることは間違いなくて、お芝居を聞いていてもそれが伝わってきます。たとえば変身バンクは、映像自体は同じでも、そのときの物語や感情の流れを受けて、アプローチをしようとしているのが分かるんです。
本渡:嬉しい…。
東山:ちゃんと聞いてるよ。そうやって毎回違うものを表現してくれるからこそ、キャラクターが生き生きしてくるし、「今度はどんなキュアミスティックが見られるんだろう?」って、こちらもワクワクするんですよね。みくるの魅力を、お芝居がさらに後押ししているなと感じています。
ーー映画では、おふたりの組み合わせで行動する場面もあります。
本渡:このふたりが一緒に行動するとは思わず、私も驚きました。
東山:ね。この映画ならではの組み合わせかもしれない。
本渡:今後もあったらいいですよね。
東山:うん! これをきっかけに、また絆を深めていけたらいいよね。
“ダメダメ”から考える、自分を好きになること
ーー今回の映画には、「バツ印事件」を引き起こす“ダメダメ”が登場します。私自身、親として子どもに「ダメ」と言ってしまうことも多くて、考えさせられるところがありました。親子で観る方には、どんなところを受け取ってほしいですか?
本渡: かりんちゃんは自信が持てなくて。常に誰かと自分を比べてしまい、「自分なんてダメダメだ」と思い込んでしまっているのです。でもそこに注目して観てもらうと、周りにいる自分を大切に思ってくれている存在に気づくことができるかもしれません。「そこまで自分を責めなくてよかったんだ」と感じてもらえるのではないかと思います。見てくださる皆さんが、少しでも自分自身を認めてあげられる「このままの自分でもいいんだ」と思ってもらえたら、とても嬉しいです。
東山:自分の気持ちが落ちているときって、一つひとつのうまくいかないことが、すごく大きくのしかかってくることがありますよね。本当はそこまで落ち込まなくてもいいことまで、心が全部受け止めてしまう。かりんちゃんもそうですし、お子さんも、子ども心ながらに、誰かと比べて落ち込んでしまうことがあると思います。一方で、お母さん、お父さんも、周りと比べて「自分は親として足りないんじゃないか」と責めてしまうことがあるかもしれない。そう考えると、どの世代にも刺さるものがある作品だと感じました。
“ダメダメ”がバツ印を貼ることで、物事が止まったり、壊れたり、本来の動きができなくなったりします。それも、誰かに「ダメ」と言われることで、自分らしく動けなくなってしまうことの象徴のように見えました。自分ひとりでは、そのバツ印を剥がすのは難しいかもしれないけれど、仲間がいれば、できるかもしれない。何気ないシーンではあるんですが、あんなにバツ印が貼られたとき、みくるやポチタンが一生懸命助けようとする姿からも、そうした温かさを感じました。
ーー映画を観た子どもたちに、どんなことを感じてもらえたら嬉しいですか?
東山:「名探偵プリキュア!」の映画なので、最初は謎解きのオンパレードのような作品になるのかなと思っていたんです。でもアフレコの冒頭で映画プロデューサーさんから、「テレビシリーズで謎解きをたくさんやっているぶん、映画では“プリキュアらしさ”の濃度を上げた物語にしています」と説明がありました。
目の前にいる誰かを救いたい。そして、誰かの応援が力になるという、これまでの『プリキュア』の歴史が詰まっているような、“プリキュアらしさ”を強く感じる映画になっていると思います。テレビシリーズの「名探偵プリキュア!」が見せてきたアプローチとは少し違いますが、「この作品も『プリキュア』の系譜のひとつなんだ」ということを、色濃く感じていただける内容になっているはずです。
本渡:今回は映画オリジナルキャラクターのかりんちゃん、アラン、レインの3人がとても大きな鍵を握っています。なかでも、かりんちゃんは本当にいい子です。お菓子作りが得意な、ごく普通の女の子。でも今はSNSやAIも発展して、いろいろな情報が簡単に目に入ってくる時代。「あそこに行ったんだ、いいな」「おしゃれだな」「かわいいな、かっこいいな」と。それが「いいな」で終わればいいけれど、素敵なものを目にしたことで逆に「私にはできない」「私は全然ダメだ」と、自信をなくしてしまうこともあると思います。
そういう気持ちで落ち込んでしまう人は、今の世の中すごく多いと思いますし、私自身、他人事ではないと感じることがあります。今回の映画ではそうした気持ちも描かれているので、映画を観終わったときに「これでいいんだ」「こういう自分でいいんだ」と思えるような答えをキュアアンサーをはじめとしたプリキュアが示してくれる。ひとつの解決の糸口を見せてくれるような作品だと感じています。
ーー今の時代だからこそ、より身近に感じられるテーマでもありますね。
本渡:小さいお子さんには、今は少し難しい部分もあるかもしれません。でも少し大人になったときにふと思い返して「あの映画って、こういうことを言いたかったんだ」と気づいてもらえたら。そして、自分自身を好きになるきっかけや、あと押しになってくれたら、それだけで私は嬉しいです。
子どもの頃に好きになった作品や映画って、大人になったときにふと思い出したり、心の中にずっと残っていたりすることがあるかと思います。私自身がそうなので、この映画を観てくれた皆さんのなかのそのひとつにこの作品がなってくれたら、こんなに幸せなことはないです。
[インタビュー/逆井マリ 撮影/小川遼 編集/小川賢人]
本渡楓さん
[ヘアメイク/横山雷志郎(Yolken)]
東山奈央さん
[ヘアメイク/鈴木彩]
映画『名探偵プリキュア!不思議な庭と2人の秘密』作品情報
あらすじ
なぞの生き物・ダメダメ調査のつもりが・・・
ここはどこ?
ある日、街でウワサの「バツ印事件」が発生!
バツ印をつけられると大切なものが動かなくなったり、
使えなくなったりして、みんな困っているみたい…。
そんな「バツ印事件」を追うあんたたちの前に
妖精の依頼人・レインが現れる。
彼の依頼は、「ダメダメからかりんを守って欲しい」というものだった!
レインに案内されてたどり着いたのは、
まるで夢のように綺麗な場所「かりんの庭」。
そこで出会った少女・かりんと、彼女を見守る妖精のアラン。
アランとレインはかりんのことをとても大切に思っているみたい。
かりんと仲良くなったあんたたちは、早速調査開始!
ところが!平和な庭にも、突然ダメダメが現れて…。
ダメダメって一体なに!?
不思議な庭に隠された秘密とは・・・?
そして!「キミとアイドルプリキュア♪」と
「わんだふるぷりきゅあ!」も駆けつけるよ!
「名探偵プリキュア!」と一緒に、バラバラのヒントを
つなげてナゾを解き明かそう!
そのナゾ、映画館でキュアット解決!
キャスト
小林みくる/キュアミスティック:本渡楓
帆羽くれあ/キュアエクレール:長谷川育美
森亜るるか/キュアアルカナ・シャドウ:東山奈央
咲良うた/キュアアイドル:松岡美里
蒼風なな/キュアウインク:髙橋ミナミ
紫雨こころ/キュアキュンキュン:高森奈津美
プリルン/キュアズキューン:南條愛乃
メロロン/キュアキッス:花井美春
犬飼こむぎ/キュアワンダフル:長縄まりあ
犬飼いろは/キュアフレンディ:種﨑敦美
猫屋敷ユキ/キュアニャミー:松田颯水
猫屋敷まゆ/キュアリリアン:上田麗奈
ポチタン:加藤英美里
シュシュタン:礒部花凜
マシュタン:羊宮妃那
ジェット先輩:梶裕貴
かりん:鬼頭明里
アラン:島﨑信長
レイン:内山昂輝
ダメダメ:西村真二 きょん(コットン)
(C)2026 映画名探偵プリキュア!製作委員会



































