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ユニット結成のキッカケとは? OxTインタビュー【前編】

2ndシングルはTVアニメ『オーバーロード』OP曲! オーイシマサヨシ&Tom-H@ckの豪華ユニット「OxT」インタビュー【前編】

 2015年7月からスタートした話題のTVアニメ『オーバーロード』。そのOP曲「Clattanoia」を担当するのはOxT。OxTは『ダイヤのA』、『月刊少女野崎くん』の主題歌でおなじみのオーイシマサヨシさんと、『けいおん!』、『ミカグラ学園組曲』など様々なサウンドクリエイトで知られるTom-H@ckさんの超強力ユニットで、本作が2ndシングルとなる。8月26日にシングルが発売されるのを記念してアニメイトではOxTのロングインタビューの模様を2回に分けてお届けする。前編となる今回はOxT結成の経緯、『オーバーロード』の印象、OP曲「Clattanoia」の制作秘話を語ってもらった。

●結成のきっかけは『ダイヤのA』! 本腰入れてユニット活動へ

――まずOxT結成のきっかけや経緯を教えてください。

Tom-H@ckさん(以下、Tom):自分名義でアニメ『ダイヤのA』のOP主題歌を担当させていただくことになったんですけど、残念ながら僕は地獄が見える歌声と言われているため(笑)、ボーカリストを探すことになって。オーディションでオーイシさんの歌声を聴いて、一緒にやりたいなと。

オーイシマサヨシさん(以下、オーイシ):Tom-H@ck featuring大石昌良として「Go EXCEED!!」をリリースしてから1年半くらいやらせていただきましたが、名前が長過ぎるのとぬぐえないコラボ感がちょっと(笑)。今後も一緒にやっていくことになるから正式にユニットにしたほうがいいんじゃないかとTom君からも提案してくれて。

Tom:OxTというユニット名で、より深く活動することになりました。


――一緒にやりたいと思うほど、リスペクトし合える関係なんですね。

オーイシ:相性は悪くはなかったです(真剣)。

Tom:何ですか、その言い方?(笑)グルーヴが合うのか、合わないのか、わからないと最初から言ってたよね(笑)。

オーイシ:Tom君と一緒にやっていると楽しいですね(笑)。

Tom:こちらこそ、お互いから得るものも多いですから。


●「Tom君は僕を照らしてくれる光」byオーイシさん

――パートナーの音楽性や素晴らしさを語るとすれば?

オーイシ:Tom君ならではの音楽観がしっかりあって、『けいおん!』時代からクリエイターとして尊敬していました。一緒にやってみると、アンサンブルやアレンジも個性的で、僕もギターを弾きますがTom君にしか出せないギターサウンドもあって。また彼が得意なデジロックに僕の声がどう料理されるのかもいつも楽しみなんです。

Tom:僕が感じたオーイシさんの印象は、できないことがない万能型でしかもどれも高いレベルで表現できるアーティストだなと。歌もギターもソングライティングも、頭の回転も早くて。そして歌声やパフォーマンスなど人をひきつける魅力もありますね。歌い方も幅が広いので、どれも魅力的で選ぶのに困ることもよくあって。でもオーイシさんに委ねることでいい音楽ができるという信頼感、安心感もあって尊敬してます。だからこそ、いろいろやらせたくなって、結構無理してもらうことが多くて申し訳ないですけど。

オーイシ:確かにちょっとこれ厳しいなと思う時はあります(笑)。Tom君と一緒にやっているとこの歳になっても練習が必要な曲が多々あるんです。でもそれって幸せなことで、ある程度、キャリアを重ねると慣れや固まってしまい、ボーカリストとして練習や成長することを辞めてしまう人も多いんですけど、「オーイシ君ならこのキー出るでしょ?」と渡されて、「いやそこ届けへんよ」と言いながらも必死に練習して。今回のもそうで、例えば英語詞をしっかり発音しながらうまく乗せられるかに取り組んで。彼との音楽制作にはいつも学びがあって、あくなき探究心にあふれているので貴重です。そして彼は僕にとっての光なんです。

Tom:えっ? それってどういう意味?

オーイシ:僕はそれぞれその人にしか照らせない光の角度があると思っていて。今までの音楽活動の中で見えていなかった部分を、アニメの現場でたくさんのスポットライトを浴びさせていただくことで発見できて。Tom君は僕にとってスポットライト、光の1人なんです。
Tomさん:そう思ってもらえてうれしいです。


――OxT結成後の反響はいかがでしたか?

オーイシ:デビューシングルとなった「KIMERO!!」に関しては『ダイヤのA』のED曲で、『ダイヤのA』に音楽的に携わってきた2人が久々に帰ってきたという祝福・歓迎ムードが大きかったですね。

Tom:門出となる記念すべき1曲目を、2人が出会ったきっかけとなる作品の曲で、ファンの方に祝福していただけてうれしかったです。

オーイシ:だから『ダイヤのA』以外の曲で、OxTらしさを出していかなきゃという第一歩が今回のシングルなんです。

Tom:実際、前作からすごく幅が出ていると思います。

オーイシ:僕のことを、アニメ『月刊少女野崎くん』のOP曲「君じゃなきゃダメみたい」で知った人も「同じ人なの?」と驚くんじゃないかな。友達からも言われたくらい(笑)。僕にとってはしめしめで、僕らがクリエイトする音楽は作品の役に立てる曲にしたいということがコンセプトで、作品によって雰囲気や世界観が変わっていくことが一貫したポリシーなんです。それができる引き出しの多さを今回は提示できたかなと思っています。


●『オーバーロード』は完全な理論武装と男心くすぐる作品!

――『オーバーロード』の原作やアニメをご覧になった印象は?

オーイシ:まずは原作を読まなきゃと1巻を購入したらハマってしまって、翌日にはアマゾンで全巻ポチってました(笑)。

Tom:2人共、最新刊の9巻まで持ってます。

オーイシ:印象は「主人公、そっちかい!」と。魔王が主人公になっている作品は他にもあるけど、主人公のアインズが悪の大王というのが斬新で。その設定にまず引きつけられて、そしてアインズの部下である階層守護者のアルベドやシャルティア、アウラ&マーレなどかわいいキャラ達に萌えて。アニメを見たら、原作の要素をうまく抽出していると思いました。またアインズ役の日野聡さんの声の変わり方などコミカルさもより楽しめて。

Tom:僕は全部乗せ定食みたいな豪華な作品だと思いました。恐怖や狂気もあるし、萌え、ギャグ要素もあって。原作でも数十ページに1回、すごいつかみどころがあり、計算し尽くされていて、理論武装もしっかりされているのでちゃんと納得できて、そして男心をくすぐる部分もあって、完成度の高いエンターテイメントだなと思いました。見せたいところ、おいしいところがいっぱいある作品ゆえにアニメ化するのは大変ではないかと思いましたが、バランスよく作られていて感心しました。あとPVが公開された時も、良い意味で裏切られて、アニメが始まってからはアニメ版オーバーロードの世界観にも魅せられています。


――ネットゲームのプレーヤーである会社員がいきなり異世界に投げ出され、魔王として君臨する様は時に滑稽で、時に恐ろしいですね。

オーイシ:初っ端から寂しいじゃないですか?

Tom:うん。あれはせつないね。

オーイシ:心血注いでいたネットゲームのサービスが突然終了して。実はうちの母親もアニメを見てくれて、当然、ネトゲに関する用語などまったく知らないし、ゲームの中で起こっていることも理解できていないけど、悪の大王がいろいろやらかすアニメとして楽しんでいるようで。それは絵や劇伴がフォローしている部分も大きいんでしょうね。

Tom:1話の一番の見どころはヘロヘロさんが手描きだったこと。リアルタイムで見てて爆笑しちゃった。

オーイシ:こんなところに手間かけて(笑)。監督やスタッフさんの気合がこちらにも伝わっていたので、それがちゃんと現実のものになっているなとも思いました。


●ラウドロックにゴシック&クラシカルなどをクロスした異色作「Clattanoia」

――「Clattanoia」は『オーバーロード』のOP曲ですが、アニメの制作サイドからオーダーはあったんですか?

Tom:ハードなサウンドで現代的な要素が欲しいというオーダーがありました。

オーイシ:世の中では流行っているラウドロック系と、OxTらしさをクロスして。

Tom:ただのラウドロックじゃない部分、例えばアッパーなビートからBメロで3拍子になったり、ギターのアプローチもよく聴くとラウドロックではなくて。ボーカルも様々な表情をしていたり。ちなみにオーイシさんが作曲、編曲を僕が担当しています。


――「Clattanoia」を作るにあたってのテーマやイメージは?

オーイシ:ラウドロックというテーマがあって、そこにゴシック系やクラシカル、物々しい感じの音階を入れて、展開したらおもしろくなるかなと。


――ちなみに曲名の意味は?

オーイシ:(骨が)カタカタ鳴るという“clatter”と、偏執病を意味する“paranoia”を掛け合わせた造語です。でもネイティブの方の間では認められているカッコイイ造語みたいです。


●キャッチーな歌詞とボーカルに、Tomさんの七色ギターが炸裂!

――サビ始まり→Aメロとすごいスピード感で押しまくったと思ったら、Bメロでテンポが落ちるところによく出ています。

オーイシ:TVサイズの1分半の中で疾走感がある「動」の部分とまがまがしく厳かな「静」の部分もある、メリハリがある楽曲が欲しいという希望もいただいたので、そこからアイデアにつながりました。


――サビメロも歌詞の後の“イエイイエイイエー”がすごく耳に残るんですよね。

オーイシ:ありがとうございます。実は思いつきなんですけどね(笑)。ただこのアニメの視聴者だったらどんなOP曲がいいと思うかなとは常に考えていて。今は作品数が多いので、本放送前に流れるPVやCMなどで見ようか判断する人もいると思うので、OP曲も作品を盛り上げたり、イメージ付けができるようにといつも心がけていています。だから自然とキャッチーさも意識してますね。

Tom:オーイシさん作曲によるメロディーの力がハンパじゃなく、かなり完成度が高かったので、僕はプラスアルファ的な要素をアレンジで付け加えた感じですね。


――Tom-H@ckさんのギターもカッコよくて、かなり効いてますね。2番の入る前のギターが笑い声に聴こえるギミックがあったり。

Tom:よくそこまで聴いてくれましたね。

オーイシ:最初、あそこはサンプリングかなと思ったら、ギターと聞いて驚いたくらいで。

Tom:オーイシさんのデモにも笑い声が入ってたよね? Bメロだったけど。

オーイシ:そう。僕のはサンプル音源で、ネットで、「悪魔 笑い声 素材」と検索して(笑)。

Tom:ワウエフェクターを使うのは海外のトップギタリストがよくやる手法なので違ったやり方ないかなと考えて、ギターの高音域スクラッチ的なものを入れてみました。


●ボイスエフェクトが妖しい雰囲気&デジタル空間を演出!

――オーイシさんのボーカルにボイスエフェクトをかけるアイデアは?

Tom:2人でボイスエフェクトが合う曲調だねと話していて。ただ一番効果的に響くのがどこなのか考えました。

オーイシ:一番印象的なサビ頭の4小節はボイスエフェクトをかけるけど、全部かけるとくどいからA、Bメロはかけてません。

Tom:OxTではレコーディング前に僕の家に来てもらって仮歌を録る、プリプロ的な手法をとっているんですけど、Aメロに入っているすごく高いオクターブの声は、プリプロで録った仮歌を1オクターブ機械で上げてみたら雰囲気が良くてこの方向で行こうと。本番のレコーディングでは機械を使わず、すごく高い1オクターブ上で歌ってもらって、それをかぶせて。

オーイシ:超音波みたいな。

Tom:でもAメロでオクターブ上のボーカルがあるのとナイのとでは全然印象が違うと思います。それも加工から生まれたアイデアの1つでした。

オーイシ:作品がゲームの中、仮想空間のお話なので、デジタルエフェクトっぽい感じは出したいねというところも2人で話していて。


――テンポや雰囲気が変わるBメロのコーラスもおもしろいですね。

オーイシ:オペラみたいな。あれ単体で聴くとおもしろいので聴かせてあげたいくらい。

Tom:あそこは何声も重ねてますからね。

オーイシ:上から下まで5つくらい。

Tom:ああいうのもラウドロックにはないですよね。

オーイシ:あれはハロウィンチックというかヘビメタっぽいかも。


●カラオケで歌ったら地獄が見える? アンデッド化確実!

――歌詞も“仮面の淵へ 手を掛けどただ骨が鳴るのみ”や“慄く者に無慈悲を振り降ろせ”などアインズらしさが随所に出ていて。

オーイシ:作詞のhotaru君は『ダイヤのA』の楽曲の頃からよく歌詞を書いてもらってますが、作品の世界観をバッチリ表現してくれました。しかも1日で書き上げてくれて。僕自身は歌いやすいなというのが第一印象で。


――テンポも超早く、譜割もきつそうな曲なのに?

オーイシ:僕が提出した時から譜割がきつかったので(笑)。曲を作った時に入れたデタラメ英語や韻を拾ってくれたので仮歌からかけ離れることなく言葉を落としてもらっているので歌うのが楽でした。といいつつ、僕がプロデュースしたアニソンイベント「ANI-CUBE 002」で歌ってみたらやっぱりきつくて。僕が「Clattanoia」化しそうになりました(笑)。サビも高いし、カラオケで歌ったら何人かアンデッド化しちゃうんじゃないかな?

Tom:1回、半音下げて録ってみたけど、響きがキャッチーじゃなくなったんで。「フックがないね」と結局、元に戻しました。

[後編へ続く]



■OxT「Clattanoia」
発売日:2015年8月26日
価格:1,200円(税別)
発売:KADOKAWA

>> OxT公式サイト
>> TVアニメ『オーバーロード』公式サイト

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