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音楽
『星合の空』劇伴担当のインストゥルメンタル・バンドjizueインタビュー

TVアニメ『星合の空』劇伴を担当したインストゥルメンタル・バンドjizueインタビュー

様々な家庭環境のもとでもがきながらも、ソフトテニス部で友情と絆を知り、仲間と手をとりながら少しずつ成長していく──。TVアニメ『星合の空』に登場する少年たちの複雑な心の色、繊細な物語をひと際引き立たせているのは、京都を拠点に活動するインストゥルメンタル・バンドjizue(ジズー)。12月25日(水)にjizueが手掛けた劇伴/OP&EDをまとめた音楽集『TVアニメ「星合の空」ORIGINAL SOUNDTRACK』が発売される。

jizueはハードコア、ロック、ジャズを内包した叙情的でスリリングなサウンドを持ち味とし、ベテランともいえるキャリアと実力を兼ね備えたバンドだが、劇伴担当は初。どんな想いで音を紡いだのか、ギターの井上典政さん、ピアノの片木希依さんに教えてもらった。

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劇伴はjizueの新境地であり真骨頂

──jizueが劇伴を手掛けられるのは今作が初めてとうかがっています。アニメ『星合の空』の劇伴のオファーがあったときはどう思われましたか?

井上典政さん(以下井上):いやーもう、やっときたかと。

片木希依さん(以下片木):ワハハハ、「やっときた」って(笑)。

井上:インストバンドなので劇伴はいつかやりたいなと思っていましたし、僕らの仲のいいバンドのfox capture planが劇伴を手掛けていたので話を聞いていたんです。そんなタイミングでお話をいただけたので本当に嬉しかったです。

片木:私もそうですね。個人的に映像の音楽をやりたいなと思っていたのですごく嬉しかったです。

──もともとアニメに興味を持たれていたんでしょうか。

片木:私は菅野よう子さんが好きなのでサントラをよく聴いていたんです。お話をいただいたあとに(菅野さんが劇伴を制作された)『坂道のアポロン』などを改めて観たら「こういう使われ方をしているんだな」って。映像と見ることで気づくことがたくさんありました。あと……私はハライチが好きなんです。ハライチの岩井さんがめっちゃアニメお好きじゃないですか。岩井さんのラジオを毎週聴いていて情報をそこから仕入れてました。

井上:僕はアニメはほとんど観ていなくて。

片木:えっ。『ママレード・ボーイ』も? 『ご近所物語』も観てなかった?

井上:観てない。みんなが見るような少年アニメは見てたけど、テレビすらあまり見ないという生活なので……なんかすみません(苦笑)。

──いえいえ(笑)。でも “だからこその劇伴制作の楽しさ”がありそうです。

井上:ありましたね。だからアニメにとっては今までにないようなアプローチができてるのかなと思っています。jizueというサウンドを詰め込んだ劇伴がすごくいい形で『星合の空』にハマったんじゃないかなと思います。

──“jizueのサウンド”って言葉にするとどういうものだと捉えてますか。

井上:僕が意識するのは違和感と耳に残る旋律。その二つは絶対に曲に入れたいなと思っているんです。違和感というのは、拍の取り方であったり、極端に音数が多かったりとか……“なにこれ?”って一瞬耳を傾けさせるもの。あと、僕らは田舎育ちなので、田舎ならではの温かさ、自然の雄大さようなものが出ているような気がします。

片木:違和感と対比するようなメロディの美しさがjizueの強みだと思います。jizueの曲ってどの曲もサビは絶対に“歌えるメロディ”なんですよ。耳と心にポンと届くようなものと、その違和感のバランスが面白く届いたらいいなと思っています。

──jizueらしさを内包した劇伴は、どのように作られていったんですか?

井上:打ち合わせの段階で「こういう曲が欲しい」というリストをもらって、それに合わせて作っていったんです。監督からは「jizueの音楽をそのまま作ってくれたらいいです」と言ってもらって。それでいったん自分の好きなように作ってみました。「怒られるまでは好きなものを出してみよう」と。でも自分たちを主張しすぎるのはいい方向に転ばないなと思うので……言われたことはその倍以上に返しつつも、jizueの良さは殺さないように、限界まで自分たちのやりたいことを押し通した感じです。それをすごく気に入ってくださっていたようなのでよかったなと。

──基本的には井上さんが音を作られているんでしょうか。

井上:そうですね。僕らは生バンドではあるんですが編成にこだわりはなくて。今回のトラックに関しては僕だけで全部のパートを打ち込んで作ってる曲がほとんどなんです。それに対して欲しい音があれば「こういう音が欲しい」とお願いしてデータで送ってもらっています。僕はエンジニアもしているので、レコーディングからミックスまでできるんです。音を足したり引いたりといくらでもできるというのも強みかなと思っています。

──今回の発売されるサントラには全38曲が収録されています。ここまで一気に音を手掛けるのは普段のバンド活動のなかでは珍しいと思うのですが……。

井上:そうですね。はじめお話いただいたときは「50曲くらい」と聞いていて。アニメの劇場を作ったことがなかったのでどういうことかわからなかったんです。

僕らが曲を作る感覚って1曲3分~4分のものなので、(フルで)50曲作らなければいけないのか、それは大変かもしれない!とちょっと追い込まれていたんですが、ふたを開けたら短くても問題ない曲が多くて。僕は曲を作るときにフレーズから広げていくことが多いので、短い曲であれば比較的出やすいんです。だからサラサラと作っていけましたね。“こういうシーンで使いたい”“こういう感情のものです”などと細かく教えていただけたので、そこを僕らで掘っていけたかなと。

──それぞれの曲に思い入れがあるのは承知ですが、特に印象深い曲があれば教えていただきたいです。

井上:僕は3曲目「W -星合の空-」と4曲目「ickle」がすごく好きで。アニメでこれどうやって使われるんやろ?って思ったのが「W -星合の空-」でした。jizueのなかでも攻めてるような曲。試合のシーンで使われる曲なんですが、すごくマッチしてる。僕らの音源にも入れさせてもらったくらい好きな曲です。

──3曲目「W -星合の空-」と4曲目「ickle」、それぞれ違った方向に振り切った曲ですよね。

井上:まったく真逆ですね。いただいたテーマが“淡々とした日常”だったんです。そうした平凡な日常って当たり前すぎて意識しないものじゃないですか。でもそれが在ることって実はすごく幸せなことだなと思い、めっちゃ優しい曲作ろうと。それでアコギにして。ピアノって冷たくなりがちなのでピアノの音は使わないでおこうとか、音色から考えていきました。

──優しい曲なんですけど、リズムが少し変わっていて、それこそ“違和感”があります。

井上:実は変拍子なのでずっと聴いていると「何拍子なの?」ってなるはずなんですよ。でも違和感なく聴けるというか。全部がうまくハマった曲だなと思っています。jizueでここまで優しい曲ってやらへんかなと。今後やっていきたいなという思うような曲ができました。

──新しい発見がある制作だったんですね。

井上:基本は全部挑戦ですね。僕らは管楽器を入れたことがなかったんですが、1曲、僕の大好きなトランペッターにお願いしたんです。京都で酒屋をやっているかたなんですが……。

片木:お酒好きなミュージシャンが京都にきたらその飲み屋に絶対に行く!というようなところです。京都の『ポン』という飲み屋なんですが、まさに先日20周年のフェスを京都でやってjizueも出させてもらってきたところなんです。

井上:ドクター長谷川というオーナーなんですが、彼のトランペットがめっちゃ好きで1曲吹いてほしいと思って作った曲があるんです(「sole male)。ドクターはアニメが大好きなんですよ。「アニメのサントラに自分の名前が載るなんてひとつ夢が叶ったわ、ほんまにありがとう」と言ってくれて、こちらこそありがとうございますと。

──いいお話です。

井上:ひとりの夢を叶えました(笑)。

──管楽器を入れてのレコーディングはいかがでしたか。

井上:やっぱりいい味が出ますね。jizueではできないような……ジャジーなサウンドにもなりますし作っていたトラックにもマッチしましたし、狙い通りやなって。それが結構暗めのシーンで使われるものだったんですよね。ドクターに「気持ち悪い旋律が欲しいんです」と伝えたところ、うまく応えてくださって。曲としてもかっこいいし、シーンで使われてもすごく映えるんじゃないかなと。

あと39曲目の「euphoria」は、ラスト(「籠の中の僕らは TV size ver.」)に向かう曲としてすごく好きな曲で。ピアノ1本だけの曲なんですよ。メロディがすごく好きで。アニメで使われているシーンもすごく好きで。悲しく聴こえる瞬間もあるんですけど、温かいシーンでも使われていて、どっちにもいける曲なんだなと。

──どんなお気持ちで弾かれた曲なんでしょうか。

井上:いえ、これは(片木さんの)ピアノのフレーズをつなぎ合わせて作ってるんですよ。

──なるほど。「僕だけで全部のパートを打ち込んで作ってる曲がほとんど」とおっしゃっていましたが、ピアノもそうなんですね。

片木:そうなんです(笑)。「何番から何番までのピアノを送ってくれ」って言われて、いっぱいでも自分の素材から、自分からは生まれないであろうアイデアが広がっていくのは楽しいですよね。

『星合の空』を見て感じたこと

──アニメでご覧になられていかがでしたか。

井上:最初にアニメは全然見ないと言いましたが、『星合の空』は観てます。毎回感動させられるというか。上手につかいはるなぁと。「このシーン、めっちゃ合ってるやん!」って。毎回流れてしまうたびににやけてしまいますね。

片木:他のアニメよりも色合いが淡いというか。独特の雰囲気があって音楽とマッチングしてるなと。

──『星合の空』はソフトテニス部が舞台ですが、jizueの男性陣はもともとサッカーをやられていたと他のインタビューで拝見しました。アニメを観ながら当時のことを思い出す瞬間などはありますか。

井上:中学、高校はそんなに強くないサッカー部だったんです。だから「ああ、ありそうだな」ってシーンがすごくあって。部室もすごくリアル。「僕らにもああいう救世主のような子が現れたら強くなれたのかな」と考えたりしました。残念ながら救世主は現れず、ずっとダラダラやってしまったけど。でも……本当に青春ですね。戻れるのであれば、当時に戻りたいなって。

──片木さんはずっとピアノ一筋なんですよね。

片木:はい。高校も大学も音楽の専門で、バンドをやるのはjizueが初めてだったんです。共通の友人を介して出会って。それまでは個人プレイで自分の演奏に点数がつくような状態。基本的には“全員ライバル”の学校生活だったので、チームプレイってバンドが初めてだったんです。乗り遅れた青春をバンドで味わっています。本当に部活みたい。だから『星合の空』を見ていると青春時代がああいう部活っでいいなぁってすごく思いますね。

──劇伴制作を経てjizueのなかで得たものというのはありますか。

井上:僕は制作のスピードがめちゃくちゃ上がりました。あと単純に僕らのことを知らない人がいっぱい聴いてくれるわけで。いろいろな意見を聞けることで自分たちにとってプラスになったなと。新たな広がりもできたと思います。今後も映像と絡めた音楽をやっていきたいという思いがあるので、僕らにとってはプラスになったことしかない。昔から知っているひとには「こういうこともできるんだ」って思ってもらえたら嬉しいですしね。

片木:アニメファンのひとってネットと近いところにいるから、その声がリアルに届きやすいというか。「映像にすごく合ってる」という声があると凄く嬉しいです。いろいろな声が聞けて良かったです。いろいろなバランスをとりながら14年間、15年続けてきて、一個世界が広がったことでネクストステージに行きやすくなったなって思います。

──jizueの考えるネクストステージというのは?

片木:それこそ映像と何かやりたいねって話はこの間のjizue会議でも出ていて。自分たちなりの方法でまた何かできたらいいねと。

──最後に、アニメイトタイムズの読者に最後にメッセージをお願いします。

片木:jizueはインストバンドなので歌詞がないんですが……その分1曲、1曲に想いやストーリーを込めて作っています。映像との相乗効果をアニメの世界の中で楽しんでいただけたら嬉しいです。あと、ライブにぜひ遊びに来てほしいです!「W -星合の空-」はライブでも演奏させていただくことがあるのですが、ライブだとスリリング感が20倍くらいになるので弾いててもハラハラします(笑)。ぜひ体感しに来てください。jizueのライブは年齢層も幅広いので気軽にどうぞ。

井上:『星合の空』の魅力、そのなかで使われている音楽の世界観をサントラで聴いて楽しんでいただければなと。パッとシーンが思い浮かぶような曲ばかりなので、これを聴きつつ『星合の空』を楽しんでいただければと思います。あとタイトルに暗号を込めているので……その辺も解読していただけたらと思います。

──何かヒントはあるんでしょうか?

井上:ないです(笑)。サントラを買ってトラックリストを見ないと分からないかな、とは思います。タイトル一個一個にちゃんとした意味があるので、それも踏まえて答えを探してもらえたら嬉しいです。

[インタビュー・文/逆井マリ]

CD情報

発売日:2019/12/25 発売
アニメイト特典:L判ブロマイド


※特典は無くなり次第、終了とさせて頂きます。ご了承下さい。

アニメ『星合の空』作品情報

傷ついた僕らの、柔らかい時間(とき)

イントロダクション

舞台は廃部寸前の男子ソフトテニス部。キャプテンの新城柊真は、転校してきたばかりの桂木眞己をソフトテニス部に誘うが・・・。様々な想いや悩みを持つ少年たちをソフトテニス部を舞台に描く、オリジナルテレビアニメーション。

放送情報

2019 年 10 月 10 日(木)より、TBS・SBS・BS-TBS ほかにて放送開始予定

TBS:2019 年 10 月 10 日(木) 深夜 1:58~
SBS:2019 年 10 月 22 日(火)深夜 2:25~
BS-TBS:2019 年 10 月 12 日(土) 深夜 2:00~
TBS チャンネル 2:2019 年 10 月 20 日(日) 深夜 1:30~
2019 年 10 月 27 日(日) 深夜 1:00~ *再放送

配信情報

https://www.tbs.co.jp/anime/hoshiai/onair/

スタッフ

原作・脚本・監督:赤根和樹
キャラクター原案:いつか
アニメーションキャラクターデザイン・アニメーションディレクター:高橋裕一
副監督:三宅和男
場面設計:竹下美紀
色彩設計:中山久美子
美術監督:志和史織
美術設定:藤井一志
動画検査:又野貴菜
CG ディレクター:生原雄次
撮影監督:頓所信二
編集:木村佳史子
音響監督:明田川仁
音響制作:マジックカプセル
音楽:jizue
音楽制作:フライングドッグ
アニメーション制作:エイトビット

キャスト

桂木眞己:花江夏樹
新城柊真:畠中 祐
雨野 樹:松岡禎丞
布津凜太朗:佐藤 元
曽我 翅:豊永利行
竹ノ内晋吾:佐藤圭輔
月ノ瀬直央:小林裕介
石上太洋:天﨑滉平
飛鳥悠汰:山谷祥生
御杖夏南子:峯田茉優
ほか
 
公式サイト
公式Twitter(@hoshiaino_sora)

 

主題歌情報

◆オープニング主題歌
タイトル:水槽 アーティスト:中島 愛
発売日:2019 年11月6日
品番・価格:VTCL-35308 /1,400円+tax

【星合盤】
M-1:「水槽」作詞:新藤晴一 作曲:矢吹香那 編曲:トオミヨウ
M-2:「髪飾りの天使」作詞・作曲:吉澤嘉代子 編曲:清 竜人
M-3:「夏の記憶」作詞・作曲・編曲:三浦康嗣
ほか Inst 曲含む計 6 曲収録

 

 
【本好き盤】
M-1:「髪飾りの天使」作詞・作曲:吉澤嘉代子 編曲:清 竜人
M-2:「水槽」作詞:新藤晴一 作曲:矢吹香那 編曲:トオミヨウ
M-3:「Kailan」作詞・作曲:Cayabyab Raymundo Cipriano 編曲:西脇辰也
ほか Inst 曲含む計 6 曲収録

 

 
◆エンディング主題歌
タイトル:籠の中の僕らは アーティスト:AIKI from bless4
発売日:2019 年 10 月 30日
品番・価格:VTCL-35301 /1,200円+tax

M-1:「籠の中の僕らは」作詞・作曲:Motokiyo 編曲:河合英嗣
M-2:「さなぎ」作詞:AIKI 作曲:MariC 編曲:山口俊樹
ほか Inst 曲含む全 4 曲収録

 

Blu-ray&DVD情報

第1巻2020年2月26日発売予定
■Blu-ray 20,000円+tax

 
■DVD 18,000円+tax

 
第2巻 2020 年 4 月 22 日発売予定
■Blu-ray

 
■DVD

 
<本編 DISC>
収録話:第 1 話~第 6 話
映像特典:PV 集/TV-CF 集 デジタルギャラリー(各種イラスト・イメージボード、他)
音声特典:オーディオコメンタリー(2 話分)
封入特典:特製ブックレット

<仕様>
キャラクター原案:いつか 描き下し三方背ケース
キャラクターデザイン:高橋裕一 描き下しインナージャケット

<特典 CD>
公式サイト限定版:ドラマ CD 異世界編
アニメイト限定版:ドラマ CD ダンスコンテスト編

Blu-ray&DVD 発売に際し、商品予約特典ならびに商品購入応募キャンペーンの実施が決定! 詳しくは公式サイトをチェック!
※上記特典、仕様は第 1 巻のものとなります。収録内容、仕様は変更となる場合があります。

(C)赤根和樹・エイトビット/星合の空製作委員会
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