『ようこそ実力至上主義の教室へ 3rd Season』主題歌アーティスト・ZAQさん×ニノミヤユイさん インタビュー前編|OPテーマ「マイナーピース」は、「カーストルーム」「Dance In The Game」の“姉妹”
3期連続でOPテーマを担当! 各楽曲に持たせた繋がりや共通点とは
――ここからは楽曲について伺います。ZAQさんのOPテーマは、「カーストルーム」「Dance In The Game」と来て、3期が「マイナーピース」となります。先程、『よう実』でしか見せられない表現という話が出ましたが、ジャズをベースにしているところなど、共通点がありますよね。
ZAQ:まず、「歌詞の中に繋がりがほしい」という発注をいただいていたので、1期のときから引き続き、“蝶”とか“数字”とか、共通したフレーズを入れていきました。
あと、楽器構成の面でも、1〜2期とやってきたことを今回もやっています。ひとつひとつ言っていくとキリがないんですが、BPMを似たような感じのものにする、キックが4つ鳴る、アコギがガシャガシャ鳴る、ピアノが踊りまくるなど、アレンジのイメージは引き継いでいるんです。タイトルも3曲すべて韻を踏んでいて、そこでも続いている感じにしています。
この曲はタイトルから決めて、頭サビにしているんですが、頭サビがサビにはならずDメロになるというのも共通させていますね。
――今回はDメロにもなっていないですよね?
ZAQ:今回はなっていないんですよ(笑)。どうしても3分ちょっとで曲を終わらせたい願いがあって、ガラッと変えたんです。イントロのフレーズを何回か転換で入れるというのは残っているんですが、Dメロはカットしています。
そして、1期がアシッドジャズ、2期がラテンジャズ、今回がロックジャズ、もしくはビッグバンドジャズのような感じで、ちょっとホーンを入れてみたりしているんです。おっしゃる通り、ジャズをベースにしているのも、大事にしているところです。
――ジャズテイストな曲は、アニソンではあまりないから、いいですよね。
ZAQ:ピアノがかなり特徴的ですからね。こういうのがほしかった!って、『よう実』ファンの方に言ってもらえることが一番嬉しいんです。
これはアニソンシンガーあるあるなんですが、「1期は良かったけど、2期は……」という「原点が至高であり最高!」みたいな方っていると思うんです。「カーストルーム」も良いとすごく言われてきたから、それを越えようと思うのではなく、それに続く曲を愛を持って作っていけば、両方愛していただけるはずだと思って、「続きであり姉妹なんだ」と思いながら作っています。
――続いていく楽しみもありますからね。
ZAQ:そうですね。3期は「1年生編の完結」とも言われていたので、歌詞も集大成みたいな感じで作ろうという気持ちがありました。これまでの2曲から歌詞を引っ張ってきて書いたところもあるので、結構ワードは引用しています。ちょっとずるいやり方ですけど(笑)。
――そこを考察するのも面白いんですよ。
ZAQ:こういう意図で書いたんじゃないかって言われて、「その意図はなかったんだけど、そういうことにしておこう」みたいなときはありますね(笑)。
――ニノミヤさんは「マイナーピース」を聴いて、いかがでしたか?
ニノミヤ:1期で「カーストルーム」が流れてきたとき、少年漫画の爽やかさがある感じがしたんです。救いがあるし、手を取り合っていく感じがあったので、すごくいい曲だと感じたんですが、2期で「Dance In The Game」になったとき、めっちゃシリアスになっていて! 突然激しくなり始めたことに衝撃を受けたんです。ZAQさんの踊り狂っている感じがたまらないな!って、私はゾクゾクしてしまって。
そこから3期の「マイナーピース」を初めて聴いたときは、どんどん激しくなる!と思ってテンションが上がりました。私、アップテンポでロックなナンバーがすごく好きなので。
毎話絶対にOPは飛ばさないですし、この前、ライブも見させていただいたんですが、ライブ映えもとんでもなさすぎたんです! 一音出た瞬間から、ブワッと来るんですよ。そういうところも3期のOPにぴったりだったので、すごいなZAQさん!って思いました。特に私はBメロの激しくなるところが大好きです!
ZAQ:〈宣戦布告、戦線動く〉っていう歌詞も中二病っぽいよね?
ニノミヤ:そこがいいんです。
ZAQ:根が中二だから求められなくても書いちゃうんですよね。でも本当にユイちゃんの解釈通りで、「カーストルーム」は、サビもメジャーコードで、歌詞も明るくしていて〈一人じゃ開けない扉の前 君と一緒ならば 自由になれる〉というフレーズが最後にあったりするんです。あれは堀北鈴音のことを言っていて、1期ではツンとしていて、最後は綾小路に対して心を開くので、それを書いたんですね。
2期では綾小路と龍園の戦いを描いていて、今回は坂柳と綾小路の心理戦の部分をニュアンスで描いているんです。どんどん綾小路の狂気が視聴者にバレていく感じも表現したくて、ゾワッとする感じにしていきたいなと思っていました。もちろんカッコよさも曲のテイストとしては引き継ぎつつという感じだったので、素晴らしい解釈です。
ニノミヤ:聴いていると、綾小路がまた何かやらかすのかな?っていう気持ちになるので、本当にすごいです。
ZAQ:でも、軽井沢恵だけは傷つけないでほしい。それだけはずっと思っています(笑)。
ZAQさんが曲を提供するときに意識していることは? 作詞についてお二人が熱くトーク
――ニノミヤさんは作詞もされているので、この場でZAQさんに聞いてみたいことなどはありますか?
ニノミヤ:私、作詞をするときに、作品の世界観と自分のアーティスト性がクロスするところで作りたいと毎回思いながら書いているんですけど、ZAQさんは、自分の世界観を欲張って出したい、みたいなときはありますか?
ZAQ:私もそういった形で作っています。だって、シンガーソングライターをやっているのに、説得力がないことを言ったって意味がないし、自分の感情と作品が伝えたいメッセージが共通するところって必ずあるはずだから、そこから広げていくという作り方を、今もずっとしているかな。
――でも、作家(提供曲)のときは違いますよね?
ZAQ:そうですね。そこでは完全に私を消しています。
ニノミヤ:作家(提供曲)のときは、完全に作品のことだけを考えて、自我を消しているんですか?
ZAQ:うん、消している。
ニノミヤ:それで言葉が出てくるものですか?
ZAQ:例えば、ゲームをすると主人公に感情移入するでしょ? それと同じことというか。この作品の中では、ZAQのことなんて誰も知らないわけだから、溶け込もうとすると自然と主人公になれるんです。その世界に完全に入っちゃうようにしている。
あとはお客さんの顔かなぁ。この曲を聴いたときにリスナーはどう思うのか、「俺たちが見たい、キャラクター/アーティストはこうだ!」っていうのはリサーチしておいて、あとは実際にライブを見たときに、私がアーティストに対して思ったことなども歌詞にしたりします。
私、自分を消して書く提供曲が大好きなんです。絶対に私からは出てこないようなことをキャラクターたちは言ってくれるから。「私についてくれば大丈夫だよ」とか、私は言えないんです。でもキャラクターはそれを言ってくれる。なので、めっちゃありがたいんです。
ニノミヤ:なるほど。
ZAQ:そういう意味で、キャラソンをもっと書きたいんですが、最近はキャラソン自体が減ってきているんですよね……。
――キャラクターもそうですし、ほかのアーティストも、その人ごとのストーリーや、育て上げてきたファンとの絆があるから、面白いですよね。
ZAQ:作家としてのZAQは好きだけど、アーティストとしてはそうでもないって人や、その逆もいたりするんです。そういう現象は、面白いなって思います。
[文&写真・塚越淳一]
CD情報
「マイナーピース」/ZAQ
【発売日】2024年2月28日
【価格】1,320円(税込)
≪収録内容≫
1.マイナーピース
2.39 (ルビ:サントキュウ)
3.マイナーピース (Off Vocal)
4.39 (Off Vocal)
【アニメイト特典】複製サイン&コメント入りL判ブロマイド
「今世大革命」/ニノミヤユイ
【発売日】2024年2月28日
【価格】1,650円(税込)
≪収録内容≫
1.今世大革命
2.メロディー
3.今世大革命(Instrumental)
4.メロディー(Instrumental)
【アニメイト特典】L判ブロマイド
作品情報
あらすじ
3学期を迎え、DクラスからCクラスに昇格した綾小路たちは、林間学校へと向かう。そこで実施されるのは「混合合宿」と呼ばれる全学年合同で行われる特別試験。その名の通り、男女別に分かれ、必ず複数のクラスが混合するグループをいくつか作り、そのグループ単位で採点される試験である。
これまで敵として争っていた他のクラスの生徒たちとも協力しなければ、高得点を得ることができない状況、そして何よりボーダーラインに届かなかったグループからは退学者が出るというルールに慄く一同。波乱を呼ぶ激動の3学期が今、幕を開ける!
キャスト
(C)衣笠彰梧・KADOKAWA 刊/ようこそ実力至上主義の教室へ2製作委員会