秋アニメ『MFゴースト2nd Season』連載インタビュー第13回：諸星瀬名役・八代拓さん｜「（瀬名は）ふてぶてしいというよりも、本当に素直にまっすぐで」

何気ない一言に表れる人間性

──瀬名の純粋なところを意識されたとのことですが、何か印象的なディレクションはありましたか？

八代：難しいなと思いながらやっていたのは、確か登場話数で瀬名が「仕方ないな……」と言うシーンがあって。何気ない会話なんですけれど。人に仕方ないと言われちゃうと、言われた方も「ごめんなさい」と思うことってあると思うんですけれど、瀬名は素直に言えてしまう。

自分の中で独り言として「ああ、そっかそっか、仕方ない」と相手に当てないというのをディレクションでいただいた時に「なるほど。そっか、瀬名ってそういう人なんだ。確かに。すごく瀬名っぽい」とすごく納得した記憶があります。

　
そこの言い方は相手にも当てず、でも独り言すぎると逆に思いつめちゃって、本当にものすごく残念に思ってるような（笑）。

──（笑）。

八代：だから、そこのバランスはすごく難しいと思いながら。でも確かに、これぞ瀬名なのかもしれない……。

何気ない一言なんですけれど、諸星瀬名ってそういう人間なんだと僕は思えた一言。そこは三間さんにディレクションで言っていただいて、すごくハッとさせられた部分です。

そのほかで言うと、レース中の台詞ですね。基本的にレース中の台詞はモノローグなんですが、重心がすごく低くなった時の気持ちが内燃している時の感情、心情の言い方はディレクションで意識づけとしていただいていた記憶があります。

──カナタとのシーンで言うと「同じステージに必ず上がってみせるよ」というのは、相当自信がないと言えないですよね。ただ、実際に映像を拝見させていただいたんですが、自信過剰には聞こえず、純粋に一緒にバトルをしたいという気持ちが伝わってくるようでした。

八代：そうなんですよ。この字面だけ見ていると、いろんな解釈があるんですよね。ナルシズムを感じる人もいるでしょうし、ものすごくストイックな人にも感じられたり。

でも、ちゃんと見ていくと、瀬名って本当に純粋で。俺のことを覚えていてほしいから、覚えてほしいと言うし（笑）。

（カナタと同じステージに）上がってみせる自負もあるし、自信もあるし、そう在りたいと思っているから、それをはっきりと言える。きっと、あまり他意とか裏とかは無いんですよね。

本当に楽しみにしているし、カナタの走りを見るということ自体も多分すごく楽しみで。それはレース中でもちょっと見えるんですけれど、それはまだ先というところで。ただ（そのシーンも）すごく純粋に見るんですよね。

「くそー」という気持ちも当然、同じスポーツをやっている者としては絶対あると思うんですけれど、それ以上に「すげーな、この人」という純粋に感じられる真っ白さというか。そこが諸星瀬名というキャラクターの魅力だなと改めて思いますね。

──この記事が掲載されるのは21話放送後なんですが、21話以降も、瀬名の純粋さといったところも楽しみに、ということですね。

八代：そうですね。スポーツをやっている人は全員そうだと思うんですけれど、プライドももちろんあって。彼の場合は明確にそれを口にするんですけれど。

自分の持っているプライドというのも、もちろん大切にしつつ。自信を持ちつつ、純粋にぶつかっていくところは、この後も楽しんでいただけたら嬉しいですね。

キャラクターや台詞は、さながらレースのように現場が一体となって作り上げる

──先ほど話にあがった「それは仕方ないな…」の台詞は、何回か録り直しされたんですか？

八代：した記憶がありますね。

──この作品に限らずかもしれないんですけれど、こういった何気ない一言のように見えて、実はその一言がキャラクター性を表している台詞というのはあるんですね。

八代：そうですね。それに関しては、自分で「ここの台詞、こう言ったらよりキャラクターの心から出る言葉になりそうだな」と思いながらやる時ももちろんありますし、逆にディレクションをいただいて「あ、なるほど。このキャラクターってこういう時そうなるんだ。ということは、この先はこうか」と指針をいただくこともあって。

役者自身が「こうだろうな」と思うことも大事ですけれど、それと同時にひとつのディレクションをいただいた時に「こういうディレクションが来るということは多分、この先もこのキャラクターはきっと、こうなんだな」と、1つ変わることで全体の解釈が変わったりとか、ピントが物凄く合ったりということは多々あります。

そういった意図がディレクションにあったかどうかは置いておいて、僕にとっては「そっか……それは仕方ないな……」という台詞のディレクションは、ひとつ指針になったかなというのは記憶にありますね。

──それ以降の、チューニングを切り替えて本番で進んでいかないといけないというのは大変な作業ですよね。

八代：そうですよね。冷静になると、なんて作業なんだろうと（笑）。でも、昔、先輩からも「それこそが僕らの仕事なんだよ」と言っていただいたことがあって。

そこで頑固になるのもひとつ、その人の面白さだと思うんですが「あ、そっか。なるほど」となる瞬発力も、確かに現場では試されているのかもしれないなと思います。

ただ、逆に言えば楽しい瞬間でもあって、自分一人では見つけられなかったキャラクター像を発見する瞬間も実はあったりはするので。

そういうディレクションをいただいた時に「あ、そっか。このキャラクターってそういう一面あったんだ」と思う瞬間もあるので、そういう意味でキャラクターや台詞というのも、現場で皆さんと一緒に作っていくものだなと日々思っていますね。

純粋だからこそ瀬名の成長は手が付けられない!?

──まだまだ2nd Seasonも気になる展開が続いていますが、もしも3rd Seasonがあったら、こういう瀬名の一面が見てみたいなどありますか？

八代：どちらかというと瀬名は、カナタのように特筆すべきテクニカルな技があるというより、レースに向き合う姿勢や人柄といった部分が、そのままスポーツの凄さに直結しているようなタイプだと勝手に思っていて。

他の人のプレイを見た時のリアクションが面白いなと僕は思っているんですよね。普通だったら抜かれた時に「くそう！」とか「今はもっとパワーが欲しい」と思ったりとか「また抜き返す！」と思うんです。

けど、瀬名はそういう気持ちのほかに「へー、そうやるんだ！」「そういうやり方があるんだ」と素直に。そういった感情って実は物凄く大事というか、そういったタイプの人は、時間があればあるほど伸びていくというか、手がつけられなくなっていくところがあるなと僕は思っているんですよね。

　
人の技術を純粋に取り入れることができたり感動できたりする人って、穿った見方をしないので、それを上回る術というのを純粋に探っていけるという強みがあると思っていて。

諸星瀬名というキャラクターの才能であったり、凄さだったりという部分はまだまだ片鱗も見えていないかなという状況だと思うので、想像や妄想も含めた言い方にはなりますが、瀬名なりの駆け上がり方というのは僕自身も楽しみですし、皆さんにも楽しみにしていただきたい部分かなと思います。

──まずは2nd Season22話以降をお楽しみに！ということで、ファンの皆さんへのメッセージをお願いできればと思います。

八代：まずは、ここまでご覧いただきまして本当にありがとうございます。やっと、登場ということで、非常に嬉しく思っています。

ここから残り3話ありますけれども、そこで初めて瀬名のレースシーンというのも皆さんに楽しんでいただけるかなと思いますので、そこにも注目してほしいなというのが一点。

また、個人的にもユーロビートが流れる中でレーシングしているアニメーションというのに物凄く熱く、そして手に汗握らされている一人ですので、この先も是非皆さん『MFゴースト』という作品をアニメーションでも楽しんでいただきたいです。

あとはやっぱり……僕は諸星瀬名役ですけど、カナタという男はかっこいいな、と実際に収録現場にいて思ったので、カナタの活躍にも注目していただけたら嬉しいなと思います。

放送・配信情報

TVアニメ「MFゴースト」2nd Season　2024年10月６日より放送開始！
　TOKYO MX　 10月6日より毎週日曜 24：00～
　RKB毎日放送 10月6日より毎週日曜 25：20～
　BS11　　　　 10月6日より毎週日曜 24：00～
　読売テレビ　　10月7日より毎週月曜 25：59～
　テレビ愛知　　10月8日より毎週火曜 25：30〜
　アニマックス　10月12日より毎週土曜 23：30～

Lemino、Prime Videoにて先行配信決定！
他サービスでも順次配信予定

作品概要

キャスト

片桐夏向（カナタ・リヴィントン）：内田雄馬
西園寺恋：佐倉綾音
相葉瞬：小野大輔
ミハイル・ベッケンバウアー：神谷浩史
大石代吾：浪川大輔
赤羽海人：諏訪部順一
石神風神：安元洋貴
沢渡光輝：逢坂良太
八潮翔：田邊幸輔
北原望：芹澤優
坂本雄大：櫻井トオル
大谷洋介：石川界人
ジャクソン・テイラー：中村悠一
前園和宏：宮園拓夢
柳田拓也：坂田将吾
E.ハンニネン：三宅健太
諸星瀬名：八代拓
緒方：畠中祐
リョウ・タカハシ：子安武人
高橋啓介：関智一
上有史浩：細井治
秋山渉：松本保典
武内樹：岩田光央
池谷浩一郎：矢尾一樹
健二：高木渉
奥山広也：阪口周平
小柏カイ：神奈延年
田中洋二（実況）：光部樹
京子：飯田友子
真美：林鼓子
ナレーション：三木眞一郎

(C)しげの秀一・講談社／MFゴースト製作委員会

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