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『劇場版プロセカ』sasakure.UK×じんが主題歌に込めたそれぞれの想い【連載インタビュー第7回】

「みんなが好きに歌える合唱曲」『Worlders』が導く、音楽と歌が生まれる条件『劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク』連載インタビュー|ボカロP・sasakure.UKさん×じんさん

『Worlders』は“自由な合唱”。それぞれが歩む道が交差して「セカイ」になる

――続いて、じんさんが作詞・作曲を、編曲をTeddyLoidさんが担当されたエンディング主題歌『Worlders』についてもお聞かせください。

じん:『Worlders』という言葉は、訳すると「セカイ人」となりますが、造語です。「透明だったものに意味を付けていく」というテーマ付けのもと制作した一曲になります。

改めて、『プロセカ』オリジナルキャラクターとバーチャル・シンガーの26人が一緒に歌うって、すごいことだなと。合唱曲的なイメージがパッと浮かんだのですが、僕は学生のころ、あまり合唱曲が好きではなくて。人と何かをやるのがすごく苦手だったんですよね。

その中で「自分なりの合唱曲ってなんだろう?」と考えて、「一人ひとりが好きに歌える」というテーマにたどり着きました。声が重なり合うことを強制されない、自由に伸びやかにそれぞれらしく歌って、それが一曲として完成する。このような意味での「合唱」にしたいなと。

「みんな」「仲間」「チーム」という価値観に縛られることなく、それぞれに自分の道があり、それがたまたまクロスして、すごく大きなものに見える……そもそも世界って、そういう風にできているのではないかなとも思ったんです。そんな「自由な合唱」というイメージで作りました。

――sasakure.UKさんは『Worlders』を聴いて、いかがでしたか?

sasakure.UK:歌詞にも登場しますが、音楽って「ドレミファソラシド」から出来ているんだなあ、と改めて考えさせられました。タイトルが複数形というのも大好きなポイントですね。僕の曲も「トンデモワンダーズ」「アンチグラビティーズ」みたいに複数形がつくタイトルが多いんですよ。

あと、今の合唱のお話を聞いて、歌とは自分と他者がいるからこそ生まれるものなんだなと改めて感じました。「音楽ってなんだろう?」「歌ってなんだろう?」と思いながら『はじまりの未来』を作っていたのですが、やっぱり大切なのは歌を届けたい人、歌を聴いてくれる人の存在。『Worlders』もそこに焦点を当てて作っている感じがして……。

じん:奇しくも同じ構えでしたね(笑)。

sasakure.UK:ですね(笑)。『Worlders』、とっても良い曲です……! 

僕は、合唱を学生時代に経験してきたので、『Worlders』のコンセプトにとても親近感を覚えました。


――最後の質問となりますが、お二人にとって、「初音ミク」とはどのような存在でしょうか。

sasakure.UK:ミクは「人間ではない」ことが強みですし、魅力的なポイントだと思っています。『はじまりの未来』を歌うミクのように、俯瞰で世界を眺めることもできるし、『Worlders』を歌うミクのように、人の傍に寄り添える存在にもなれる。これはミクが「人間ではない」からこそではないかと思っています。

……実は『はじまりの未来』の制作中に、プライベートでとても悲しいことがあったのですが、この曲が自分に寄り添ってくれて、支えになっていたな、と。当時を振り返って、改めて感じています。

じん:初音ミクをはじめとするバーチャル・シンガーは、「人間の感情を宿さない存在」なのではないかと思っています。感情を宿さない、ということは、物語の語り部として、音楽と物語を繋ぐのにふさわしい存在だと思うんです。そんなミクたちと一緒に、自分も「物語のある音楽」というのを作ってきました。

でも、様々な悩みから作品を作れなくなってしまった時期がありました。ただ、そんなときも初音ミクだけは歌ってくれるんですよね。例えば僕が方向を変えて、「物語を宿さない音楽をやりたい」ってなったとしても歌ってくれる。自分がどんなふうに変わったとしても、ハッキリ自分の音楽を映してくれる、という意味で、自分の映し鏡のような存在だなと思いました。

このような経験もあるので、いつか自分で「ボーカロイド」を作ってみたい、とも思いますね。「自分が思ったことを宿す存在」というものを誰かに届けてみたいなと。僕と同じように、なにか鬱屈としているというか、人生の中で「何かを作る」タームになる方々がいらっしゃるとしたら、その方たちへ向けて、僕が思ったこと、見てきたものを宿した「ボーカロイド」のような存在を実現させてみたいです。

――いつか、じんさんが作り上げたボーカロイドを、sasakure.UKさんが使って楽曲を制作する、なんて未来が来てほしいなと切に思いました……!

じん:実現したら、めちゃくちゃ幸せなことですね!

sasakure.UK:今のじんさんのお話を聞いて『NEO』やったら、また感動して泣いちゃう……!

じん:ありがとうございます(笑)。〈こうやって唄うんだよ〉ってね(笑)。

――素敵なお話の数々をありがとうございました! インタビューは以上となりますが、何か告知などはございますか?

じん:2月19日(水)にアルバム『BLUE BACK』を発売します! ちょうど『ステラ』が発表されたころくらいからの楽曲をたくさん収録しているので、皆さん、聴いてね!(笑)

sasakure.UK:僕は4月11日(金)に、僕のバンドの「有形ランペイジ」がBillboard Live YOKOHAMAでライブをします! おいしいご飯も食べられるので、ぜひそちらも楽しみに来てくれたら嬉しいです!(笑)

※「VOCALOID(ボーカロイド)」および「ボカロ」はヤマハ株式会社の登録商標です。

【文:篭法 インタビュー・編集:西澤駿太郎】

『劇場版プロセカ』インタビューバックナンバー

|連載:01

「Leo/need」野口瑠璃子 × 礒部花凜 × 中島由貴

|連載:02

「MORE MORE JUMP!」小倉唯 × 降幡愛 × 本泉莉奈

|連載:03

「Vivid BAD SQUAD」秋奈 × 鷲見友美ジェナ × 今井文也 × 伊東健人

|連載:04

「ワンダーランズ×ショウタイム」廣瀬大介 × 木野日菜 × Machico

|連載:05

「25時、ナイトコードで。」楠木ともり × 田辺留依 × 鈴木みのり × 佐藤日向

|連載:06

ボカロP:40mP × sasakure.UK

|連載:07

ボカロP:sasakure.UK × じん

|連載:08

ボカロP:DECO*27

|連載:09

監督:畑博之 × 脚本:米内山陽子

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『劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク』作品情報

劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク

あらすじ

「キミのことを、教えて。そうすれば、歌がわかるのかもしれない」

CDショップで聴いたことのないミクの歌を耳にした星乃一歌。彼女はモニターに、見たことのない姿の”初音ミク”を見つけ、「ミク!?」と思わず声に出す。その声に驚いたミクは、一歌と目が合ったものの、ほどなくして消えてしまう。

後日、路上ライブを終えた一歌のスマホに、以前見かけたミクが姿を現す。寂しそうに俯くミクに、一歌はそっと話を聞いてみると、歌を届けたい人たちがいるのに、いくら歌っても、その歌が届かないという。

ライブで多くの人の心に歌を届ける一歌の姿を見て、彼女のことを知れば自分も同じように出来るのではと考えたミクは、一歌のもとにやってきたのだった。ミクの願いに「私でよければ」と微笑みながら一歌は答え、初音ミクと少年少女たちの新たな物語が始まる―。

キャスト

初音ミク:ORIGINAL CV BY 藤田咲
鏡音リン・鏡音レン:ORIGINAL CV BY 下田麻美
巡音ルカ:ORIGINAL CV BY 浅川悠
MEIKO:ORIGINAL CV BY 拝郷メイコ
KAITO:ORIGINAL CV BY 風雅なおと
星乃一歌:野口瑠璃子
天馬咲希:礒部花凜
望月穂波:上田麗奈
日野森志歩:中島由貴
花里みのり:小倉唯
桐谷遥:吉岡茉祐
桃井愛莉:降幡愛
日野森雫:本泉莉奈
小豆沢こはね:秋奈
白石杏:鷲見友美ジェナ
東雲彰人:今井文也
青柳冬弥:伊東健人
天馬司:廣瀬大介
鳳えむ:木野日菜
草薙寧々:Machico
神代類:土岐隼一
宵崎奏:楠木ともり
朝比奈まふゆ:田辺留依
東雲絵名:鈴木みのり
暁山瑞希:佐藤日向

(C)「劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク」製作委員会
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