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- 逆井マリ
- 神奈川県横浜市出身。音楽フリーペーパー編集部を経て、フリーのライターとしてインタビュー等の執筆を手掛ける。

本作には、他にも個性的なキャラクターが勢揃い。キーを握っていそうなキャラクター・音楽科教員の三原木逢生(CV.浪川大輔さん)、さらに第2話までの時点ではまだ謎につつまれていたバンド「Dis=Cord(ディスコード)」の、もうひとりの“ベートーヴェン”であるロスト・ベートーヴェン(CV.八代拓さん)、ロスト・ヴィヴァルディ(CV.佐藤拓也さん)、ロスト・シューマン(CV.村瀬歩さん)。
現場の雰囲気について話が及ぶと、「浪川さんが一人ずつ話しかけてくれるんですよ」と内田さん。特に安部さんは初のメインキャストでのアニメ出演とあって緊張をされていたそうですが「本当に優しい先輩方ばかりで。その姿から学ぶことも多かったです。見守ってくれる温かさを感じていました」。“浪川さん”の話題となると客席からクスクスと笑い声が響き、内田さんや伊東さんが「なぜ笑っているんですか……?」とすかさずツッコミを入れる場面も(「普段から伝説的なエピソードがありますから」とフォローする冨田さん)。
伊東さんは「安部 瞬くんの緊張を察したのか、浪川さんがテストが終わったあとに“1回も噛んでないじゃん”って声を掛けに来てくれていたんですよね。外から聞いていたらふざけた語調に聞こえるかもしれないんですが、その一言がめちゃくちゃありがたいですよね。」と浪川さんが先生のような眼差しで接してくれたことを絶賛。
続けて内田さんは、「このバランスの中に浪川さんがいらっしゃるというのがすごく大きいことなんです。キャストの組み合わせが絶妙で、すごく良い収録現場でした」と振り返りました。すると伊東さんが「座長は内田雄馬さんですしね、やっぱり」と返し、それを聞いた内田さんは「座長が内田雄馬なんですか!?」と驚いた様子でリアクション。キャスト同士の掛け合いに会場に笑いが起こります。
その一方、「座長が内田雄馬ってなんてありがたいんだ、と感じる瞬間がありました」としみじみとした様子で伊東さん。さらに「最終話のアフレコ後、ハイタッチを求めてくれたこともすごく嬉しかった」と言うと「えっ、なんかはずかしい(笑)。そういえば、とっと(伊東さん)とここまでガッツリと、コンビとして組んだのは初めてで。そういう意味でも、我々の中でもドラマがありました。一緒に作品を作れるって運というか、縁というか。このひとと一緒なら、どうやって作っていけるかな?と考えることもあります。すごく楽しかったです」と、感慨深い表情を浮かべました。
キャスト陣のやりとりからも、和気あいあいとした収録現場の様子がうかがえたところで、本作の音楽のお話へ。オープニングテーマは内田さんの「シンギュラリスト」。内田雄馬名義では初となる音楽制作ブランドElements Gardenが楽曲をプロデュースしています。“シンギュラリティー”という意味合いがタイトルに込められていると明かし、音楽やいろいろなものが進化していく中でも、自分の手で前向きなパワーや、何かを掴み取っていく意思をテーマにしたと言います。
「上松さんと作品でご一緒させていただく機会はあったのですが、今回はじめて内田雄馬名義の曲を作っていただきました。上松さんのサウンドってものすごくパワフルで、なによりも耳に残る。気づいたら口ずさんでしまうんだけど、いざ収録するとやたら難しい(笑)。キャッチーさと難易度が合ってないっていう」
そう語ると、伊東さんが「でも、それって信頼感ありきだと思うんですよ。内田雄馬ならこれくらいいけるだろうということで、こういう曲を書こうと思われたのだろうなと。上松さんと内田雄馬との掛け算がバッチリハマってる」と、そのパワフルな歌唱力を熱弁し、安部さんと石毛さんの二人も深く頷くと、「せ、宣伝の方?」と照れる内田さんでした。
エンディングテーマは本日のキャスト4人によるGran★MyStarの「BEYOND★CLASSIC」。作曲クレジットがすごいことになっています、と冨田さん(作詞:上松範康(Elements Garden)、作曲:Ludwig van Beethoven/Wolfgang Amadeus Mozart/Frédéric François Chopin/Franz Liszt/上松範康(Elements Garden)、編曲:藤間 仁(Elements Garden))。偉人たちが残してきた名曲フレーズが散りばめられています。
伊東さんはエンディングテーマについて、「熱さがありつつ、世界観が壮大です。この作品にはたまに笑えるシーンもありますが、物語の根底には重みがあり、その空気感が楽曲によく表れていると感じました」と解説。さらに、「かなりおどろおどろしい部分もありますし、この作品がどこへ向かうのか……? ミステリー的な要素を含んでいるのでは?と想像しながら聴くことが聴けるんじゃないかなと思っています。また、アニメーションのテーマソングだからこそ、答え合わせができるところがあると思うんです。エンディングも、ぜひ毎話欠かさずに聴いてほしいです」と楽曲をより楽しむヒントを教えてくれました。
安部さんは「この4人のグループは全員がボーカリストなんです。4人の声がひとつになったとき、どうなるんだろう?とレコーディングのときに思っていましたが、すごくまとまりのある仕上がりになったと思います」とコメント。「ひとつの声としてしっかりと調和しているのに、それぞれのキャラクターの声としても感じられる、不思議な仕上がりになっています。ショパンだと思えばショパンに聴こえ、モーツァルトだと思えばモーツァルトに聴こえる。でも、一本の声として調和しているんです」と、その独特な仕上がりを説明しました。
それに頷いたのが石毛さん。「アニメ本編の収録を終えてからレコーディングをしたので、演者側にもより一層のまとまりがあったように思います」と振り返りました。
さらに、「冒頭の“共鳴の福音-Gospel-”という部分は、ショパンとリストは一番低音パートを担当していました。ショパンが低音担当なんだと驚きましたが、それがすごく心地よい響きになっていました」と安部さん。
内田さんは「4人で歌うということもあって、どう混ざり合うのかが重要でした。ハーモニーは音楽の大切な要素ですし、本作を象徴的なものだと思っています。だからこそ、ハーモニーの作り方には特にこだわりました。みんなの感情を浴びるようにして取り組めたのが良かったです」と、楽曲への想いを語りました。
また、キャラクターそれぞれが歌う挿入歌についての話題も挙がり、その難易度の高さにキャスト陣が盛り上がる場面もありました。楽曲のキーや歌唱スタイルについて語り合う中で、それぞれが感じた挑戦や工夫について言及。現在、キャラクターソングはリリックビデオが公開中です。
大盛況の中、あっという間に終了の時刻に。イベントは、キャスト陣からのメッセージで締めくくられました。
石毛さん「収録自体は1年前だったので、ついに公開が近づいてきて嬉しく思っております。クラシックを題材とした物語ということで、敷居が高そうな印象があるかもしれませんが、誰もが知るクラシックの名曲がたくさん散りばめられています。4月5日からの放送を楽しみに、そして応援いただければ幸いです」
安部さん「今日に向けて、いろいろな方が準備をしてくださり、そして皆さんが楽しみに待っていてくださって。いよいよ、もうすぐ始まります。ついにその時がきたんだなと、自分もワクワクしています。これから一緒に世界をエモらせていきましょう!」
伊東さん「観ていただいて分かると思うのですが、完全に実況向きの作品です。リアタイで観たほうが絶対に面白いです! 我々も4月からの放送に向けて、宣伝だったり、取材をうけたりしています。頑張れることは頑張りつつ、ぜひ皆さんにもオンエアを見ていただき、2話までを先に観ていただいた方にもぜひ盛り上げてもらいたいです。これから一丸となって、盛り上がっていけたらと思います。これから先も宜しくお願いします」
内田さん「何も考えずに、誰かと観ても、ひとりで観ても、楽しめる作品だと思います。どんな見方をしても、面白かったな、と思える作品なんじゃないかなと。音楽の持つパワーって本当にすごいと思うのですけども……上松さんたちと作った今回のこの作品は、皆さんに元気を届けられるような、そういうパワーのある音楽で彩られています。放送を楽しんでいただきつつ、もしよろしければ……! ぜひその感想に、“#エモる”や“#クラスタ”をつけて盛り上がって欲しいです!」
作中のエモるを2025年に流行らせたいと提案するなど、最後まで和やかなムードのイベントとなりました。
TVアニメ『クラシック★スターズ』は2025年4月5日よりTOKYO MX・BS11にて放送スタート。内田さんが歌うオープニングテーマは「シンギュラリスト」は4月2日にシングルとしてリリース、本日のキャスト4人によるGran★MyStarの「BEYOND★CLASSIC」は、Character Song Mini Album『BEYOND★CLASSIC』は、5月21日(水)に発売予定です。
アニメイトタイムズでは今後、インタビューもお届け予定です。お楽しみに!
文・逆井マリ

神奈川県横浜市出身。既婚、一児の母。音楽フリーペーパー編集部を経て、フリーのライターとしてインタビュー等の執筆を手掛ける。パンクからアニソン、2.5次元舞台、ゲーム、グルメ、教育まで、ジャンル問わず、自分の“好き”を必死に追いかけ中。はじめてのめり込んだアニメは『楽しいムーミン一家』。インタビューでリアルな心情や生き方を聞くことが好き。
