
「アニメならではの可愛らしさがたっぷり詰まったキャラクターになっていると思います」──アニメ『グノーシア』リレーインタビュー第12回 SQ役・鬼頭明里さん
舞台は宇宙を漂う一隻の宇宙船、星間航行船D.Q.O.。人間に擬態した未知の存在「グノーシア」を排除するため、乗員たちは毎日1人ずつ、話し合いと投票によって“疑わしき者”をコールドスリープさせていきます。
しかし、主人公・ユーリは、どんな選択をしても“1日目”に戻ってしまう──そんなタイムリープの渦中にいました。
極限状況の中で交わされる会話を通じて、少しずつ明かされていく乗員たちの本音や秘密。信じるべき相手は誰なのか。何が正しい選択なのか。繰り返されるループの先に待つものとは──。
そんな謎に満ちた物語を彩るキャラクターたちを、キャスト陣はどのように演じたのでしょうか。
第12回目は、SQ役の鬼頭明里さんにアフレコ現場でのエピソードや演技に込めた想いを伺いました。
「これは強烈だな!」って思いました(笑)
──原作やシナリオを読んだときの印象を教えてください。
鬼頭明里さん(以下、鬼頭):最初に「グノーシアって人狼系のゲームらしいよ」という原作の情報を聞いて、「ひとりでプレイできる人狼って、どういうこと!?」と驚きました(笑)。でも台本を読んでみたら、ループする物語の中でキャラクター同士の関係性が少しずつ変わっていって……。
「どこまでが真実なのか分からない」という感覚もすごく新鮮で、「これは一筋縄じゃいかないぞ……」と思いましたね。登場人物もみんなクセが強くて(笑)、読んでいるうちにどんどん引き込まれていきました。
──SQは第1話から、ユーリにとっても印象的なキャラクターとして登場します。最初にビジュアルを見たとき、どんな印象を持ちましたか?
鬼頭:初めてSQを見たのは、ゲームのパッケージだったんですけど……「これは強烈だな!」って思いました(笑)。(SQの)グノーシア化したときの表情、一度見たら忘れられないですよね。パッと見ただけで、ただ者じゃない感がありました。
──実際に演じてみて、印象は変わりましたか?
鬼頭:はい。収録を重ねていくうちに、「あれ、意外と一途なところもある?」と感じるようになって。特にユーリとの関係では、可愛らしい一面が見えてきたりして。表面的には飄々としているけど、実はすごく繊細で、周りをよく観察している子なんじゃないかなと思いました。
最初は「ちょっと怪しい人」という印象から始まると思うんですけど、回を重ねるごとに少しずつ好感度が積み重なっていきますよね。気がつけば「可愛いな」って思う場面がどんどん増えていくような。
セリフのないところでの仕草だったり、ちょっとした表情の変化だったり、そういう細かな部分にも“らしさ”が出ていて。アニメならではの可愛らしさがたっぷり詰まったキャラクターになっていると思います。
──セリフの言い回しにも、彼女らしい独特のクセがありますよね。
鬼頭:そうなんです。SQは本音を見せないタイプで、冗談や嘘もさらっと言っちゃうので、「これは本心なの?嘘なの?」っていう“読めなさ”があるんですよね。
演じるうえでも、ふわっとさせたり、ちょっと余白を持たせたりして、どこかつかみどころのない子になるように心がけていました。台本どおりに言っていても、自分の中では結構“遊ばせてもらっている”感じで(笑)、そこがまた楽しかったです。
──演技で意識したことや、音響監督とのやりとりで印象的だったことはありますか?
鬼頭:普段はしっかりした役や真面目な子を演じることが多いので、「崩してOKなので自由にやってください」と言っていただいたのが新鮮で。アドリブを入れたり、テンポをわざと外してみたりと、いろいろ挑戦させていただきました。
何度かそのまま採用されたときは「えっ、いいの!?」と驚きましたが、とても楽しかったです。台本の中でも「death」と「デス」が混在していて、英語表記のときはちょっと強調して発音しました。微妙なニュアンスを使い分けるのは、面白かったですね。
“言葉を投げる相手”をしっかり意識する
──SQ以外で、特に気になったキャラクターや、印象に残っているキャラ同士の関係性があれば教えてください。
鬼頭:レムナンが好きです。あのビジュアルと、あの怯え方のギャップがたまらなくて(笑)。「なんでそんなに怖がってるの……?」って思っちゃうくらい。SQとしては、いじりがいのある相手だなって思っているかもしれません(笑)。
大塚さんの怯えの演技がすごいので、SQとレムナンの掛け合いは視聴者の皆さんに楽しんで欲しいポイントですね。
──お気に入りのシーンや話数があれば教えてください。
鬼頭:やっぱり第11話ですね。SQの“本領発揮回”だと思うので、ぜひみなさんにも楽しんでほしいです! ほとんどずっとしゃべっていて、セリフがない時にも自由に動いていることが多いので。
どこか飄々としているSQの、ふとした瞬間に素の表情が見えるような場面もあったので、“緩急”を演じるのがすごく楽しい話数でもありました。
──もしご自身が『グノーシア』の世界にいたら、どんな立ち位置で動くと思いますか?
鬼頭:きっと留守番です(笑)。私、嘘をつこうとすると顔に出ちゃうタイプなので、たぶん騙す前に自爆しちゃいます。
──逆に「このキャラが味方だったら心強い!」と思うのは?
鬼頭:夕里子さんです。何があってもぶれなさそうだし、背中を預けたら絶対に守ってくれそう。ラキオも好きですけど……よく話す分、すぐコールドスリープされそうで、ちょっと怖いかな(笑)。
──今回、『グノーシア』の現場に参加して、刺激を受けた点を教えてください。
鬼頭:安済知佳さんの演じるユーリが本当にすごくて……女の子でも男の子でも、どちらと捉えても自然に聴こえるんですよ。声を低くして無理に作っている感じじゃなくて、あくまでナチュラルなんだけど、ちゃんと芯が通っていて。
もともとどんな役でもしっかり演じ分けていらっしゃる印象はあったんですけど、今回も改めて「うわ、やっぱりすごいな」と思いながら聴いていました。すぐ近くでそのお芝居を体感できるのは、本当に刺激的でしたね。
──本作では“嘘をつく”“正体を隠す”といった、キャラクター自身も“演じる”シーンが多く描かれています。ご自身が役者として役を演じるうえで、大切にしていることを教えてください。
鬼頭:“言葉を投げる相手”をしっかり意識することです。そのセリフが誰に向かって、どんな感情で発せられているのか。準備の段階から、自分の中で曖昧にしないようにイメージしています。セリフ自体が同じでも、相手によってニュアンスがまったく変わってくるので。
──準備の仕方そのものも、声優のお仕事を始めた頃と比べて変わりましたか?
鬼頭: 変わりますね。昔は「全部準備しておかないと不安!」とガチガチに固めて臨んでいたんですが、今はあえて余白を残すようにしています。
出演作品が増えるにつれて、単純に準備にかけられる時間に限りがあるという事情もありますが、それ以上に、現場で演出を受けてから動いた方がキャラとして自然に反応できると感じるようになって。
もちろん作品や収録スタイルにもよりますが、「ここまでは準備して、ここからは現場で作る」と、自分なりに線引きしながら取り組んでいます。
──視聴者の皆さんへ、最後にメッセージをお願いします。
鬼頭:原作ゲームの時点で人気の高い作品でしたが、アニメもその魅力をしっかり受け継いだ内容になっていると思います。私たちも収録しながら「ファンの方にもきっと満足してもらえるはず」と思いながら演じてきました。
これから先、まだアニメで描かれていないイベントやエピソードも登場してくると思いますし、初めて『グノーシア』に触れる方にも「こんなに新しいアニメ作品があるんだ」と感じてもらえるはず。第11話まででもいろいろな展開がありましたが、まだまだ物語はここからです!
【放送情報】
2025年10月11日(土)より放送中
TOKYO MX 毎週土曜 24:00~
BS11 毎週土曜 24:00~
とちぎテレビ 毎週土曜 24:00~
群馬テレビ 毎週土曜 24:00~
テレビ愛知 毎週土曜 25:45~
MBS 毎週土曜 26:08~
AT-X 毎週月曜 23:30~
【配信情報】
ABEMA・dアニメストアにて10月11日(土)より毎週土曜24:00~地上波同時配信
ほか、各配信プラットフォームにて10月14日より毎週火曜正午以降順次配信
※放送・配信日時は変更になる場合がございます
作品情報
あらすじ
“人間に化けて人間を襲う未知の敵”─── 「グノーシア」が船内に紛れこんだことを受けて、乗員たちは疑心暗鬼の中、毎日1人ずつ疑わしい者を投票で選び、コールドスリープさせることを決める。
グノーシアを全てコールドスリープさせることができれば人間の勝利。
逆にグノーシアを当てられなければ、乗員たちは襲われてしまう。
正しい選択が求められる中、なんと主人公・ユーリは、どのような選択をしても、最初の1日目にループする事態に。
はたして乗員たちは正しい選択をすることができるのか?
タイムリープに隠された秘密とは?
そして明らかになる、乗員たちの隠された素顔とは──?
わずかな時間を繰りかえす、一瞬にして永遠のような物語が、いま、幕を開ける。
──それでは、良い旅を。
キャスト
(C)Petit Depotto/Project D.Q.O.















































