
田北が最も大事にしている「腕、首、目線による上半身のバランスと表現力」がオルガに注ぎ込まれた──劇場アニメ『パリに咲くエトワール』振付・田北志のぶさんプロダクションノート
『ONE PIECE FILM RED』を手掛けた谷口悟朗監督と、『崖の上のポニョ』『魔女の宅急便』などで知られる近藤勝也氏がタッグを組んだオリジナル劇場アニメ『パリに咲くエトワール』が、2026年3月13日(金)より全国で公開中です。
本作の舞台は20世紀初頭のフランス・パリ。画家志望のフジコと、なぎなたの名手でありながらバレエへの憧れを心に秘める千鶴が、異国の地で様々な困難に直面しながらも夢を追いかける姿に夢中になる人が続出。口コミでじわじわと日本中に“パリエト旋風”が拡大しています。
本稿では、バレエ振付を担当した田北志のぶさんによる、劇中の振付に関するプロダクションノートをまとめました。
※本記事は劇場アニメ『パリに咲くエトワール』公式Xに投稿された内容を再構成しています。
“今”のバレエを楽しんでもらうために
「眠れる森の美女」「くるみ割り人形」「コッペリア」の振付は、元ウクライナ国立オペラ・バレエ劇場リーディング・ソリストの田北志のぶが担当した。オファーを受けて脚本を読んだ田北は、自身が16歳の時にキエフにて『ジゼル』全幕デビューを飾ったことから、二人の少女と重なるところもあったという。
物語の舞台は1912年だが、この時代のバレエの映像はほとんど残っていないので、再現することは難しい。また、物語としても歴史を忠実に描くのではなく、あくまでバレエを楽しんでもらいたい作品だということから、現代の振付でいくことになった。3曲ともシーンとして使われるのは一部だが、すべて全曲にわたって振付されている。
オルガに吹き込まれた表現力
ロシア出身の元バレリーナという設定のオルガの踊りは、彼女が勤める店のステージで赤いドレスを着て披露するダンスも含めて、すべて田北の動きがベースとなっている。
田北が最も大事にしている「腕、首、目線による上半身のバランスと表現力」がオルガに注ぎ込まれた。田北は「劇場の4階席や5階席など、遠くから見ても感情が伝わることが大切です」と説明する。
フランスとロシアのバレエの違い
本作のクライマックスとなる「ジゼル」の振付は、ウィルフリード・ロモリが担当した。モーションピクチャーによって再現するために、田北がパリ在住のロモリを訪ね、8日間滞在して彼から教わった。田北は「ロモリさんは演技も踊りもできるバレエダンサーなので憧れでした。
私はロシアバレエですので、フランスの振付はなかなか大変でしたが、ロモリさんは自分の求めるものを明確に指導してくださるので楽しかったですし、学生時代を思い出して懐かしかったです」と振り返る。さらに、「オルガのロシアバレエと、パリ・オペラ座のバレエの違いが一つの作品で見られるのも面白いと思います」と田北。
モーションキャプチャー
本作のバレエシーンは、田北をはじめとする、MYKYTA SUKHORUKOV、根岸祐衣、大城美汐の4人のバレエダンサーの踊りを、モーションキャプチャーで映像に取り込んでいる。4人で40人ほどの群舞も撮ったので、一人が何役も踊ることになった。それを3Dで組み合わせて仕上げている。
夢を叶えるということ
完成した映画を観た田北の感想は、「バレエだけではなく、普遍的な夢や青春、そして今の時代とも重なる戦争についてなど様々なテーマが入っていて、何度観ても楽しめる作品だと思いました」。そして、「夢を叶える」というテーマについては、若い世代に向けてこう語る。
「最近では自分が何をしたいのかわからない人が多いようです。まずは、常日頃から何事においても自分で選ぶということをしなければいけないのではないでしょうか。自分で考えることを続けていけば、好きなことも見つけられると思います。見つかったら、失敗も間違いも経験ですから、恐れずに1回やってみる。すると、自分の長所と短所に気づくことができるはずです。そして、長所を磨く。よくないことはどんどん捨てればいい。先のことは考えず、今という瞬間を大切にしてほしいですね。まさに、フジコと千鶴のように」
記事・構成:岩崎航太
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あらすじ
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(C)「パリに咲くエトワール」製作委員会




























