
『天幕のジャードゥーガル』第6話「メルゲンの民」を振り返り|ジャダ石が結んだドレゲネとシタラ、ふたりが起こす”嵐”とは
2026年7月4日(土)より放送がスタートしたTVアニメ『天幕のジャードゥーガル』。トマトスープ先生による人気漫画を原作に、総監督・山田尚子さん、監督・Abel Gongoraさん、アニメーション制作・サイエンスSARUという豪華スタッフで描かれる歴史ドラマです。
第6話「メルゲンの民」では、前回シタラを救ったドレゲネの過去が描かれました。25年前、政略結婚によってメルキト族へ嫁いだドレゲネが、そこで出会った人々とどのような時間を過ごし、長い間、モンゴルへの憎しみを抱き続けてきたのか。その原点が明かされます。
「まるで30分の映画のよう」と話題を集めたほか、日本を代表するアニメーター・アニメ監督の安藤雅司さんが作画監督としてクレジットされ、大きな注目を集めた第6話を振り返ります。
「物」だったドレゲネ
当時のドレゲネは、自分のことを、「毛皮や宝石のように交換される物」だと語ります。政略結婚によってメルキト族の長・ダイルへ嫁いだ彼女は、確かに美しいものの、その冷めきった表情からはどこか諦めのようなものが感じられました。しかし、ダイルの娘・クランや、その友人であるクルトガンらと日々を過ごすなかで、少しずつ変化が訪れます。
メルキト族の慣習や文化に触れ、ときに戸惑い、ときに笑い合いながら過ごしていくドレゲネ。そうして彼女は、新しい生活そのものを愛するようになっていくのです。その姿は、第1話でファーティマやムハンマドと出会い、「知」を学びながら居場所を見つけていったシタラとも重なります。
異国の地で、大切な人々と出会い、新しい生活を愛する。しかし、その穏やかな日々が永遠には続かないことを、私たちはシタラの物語を通して知っています。だからこそ、ドレゲネたちが過ごす何気ない時間が、より一層尊く感じられるのです。
モンゴルと戦い続けたメルキトの者たち
ダイル率いるメルキト族は、長年モンゴル族との争いを続けていました。しかし、チンギスが長となってから、そのパワーバランスは崩れ、メルキト族は徐々に追い詰められていたようです。ドレゲネがこの地へ嫁いできたのも、モンゴルとの交渉を進めるためでしたが、その願いもむなしく、窮地へと立たされていきます。
未来を占う儀式で、メルキト族の敗北を悟るダイル。運命は変えられない。それでも民だけは救いたいと考えた彼は、娘・クランをチンギス・カンへ献上することを決断しました。その話を聞いたドレゲネは、「この子は私とは違う」と反対します。かつて政略結婚によって人生を翻弄された、自身の過去が重なったのでしょう。しかし、クランは自ら「民を救うために行く」と決意を固めます。
やがてメルキト族はモンゴルへ降伏し、多くの民の命は救われました。一方で、クルトガンら一部の者たちは、なおも抵抗を続けます。族長であるダイルは女や子どもたちをオゴタイら身分ある者へ託し、自らは奴隷に堕ちることを選びました。
ドレゲネは当初、弓による狩猟や独自の言い伝えを持つメルキト族を「野蛮」だと口にしていました。争い、殺し、奪ってきたダイルたちは、たしかに野蛮なのかもしれません。ダイルの少し崩れた言葉遣い、その声色や表情、そしてドレゲネや民たちへ向ける眼差しは、終始どこか朗らかなものでした。
わずか1話の登場ながら、ダイルやクランの人物描写は非常に厚く、思わず感情移入してしまいます。「野蛮」とは一体何なのか。そんなことを考えさせられるエピソードでもありました。
「ふたりなら、嵐も起こせましょう」
ダイルは別れ際、小さなジャダ石を餞別としてドレゲネへ手渡し、「笑って生きなさい」と言い残して去っていきます。しかし、その夜、最後の争いが始まります。
なんとダイルは、ドレゲネたちのこれからの生活を保証した後、自ら奴隷になるのではなく、クルトガンたちとともに反乱を起こしたのでした。メルキトのプライドをかけた戦いは、あっけなく鎮圧され、ダイルたちは命を落とします。そしてドレゲネは、ダイルを討ったオゴタイの妻となり、生きながらえることになりました。
それから、ドレゲネは、嵐を呼ぶとされるジャダ石を肌身離さず持ち続け、モンゴル帝国に動乱が訪れる日を待ち続けたのでした。そんな彼女の前に現れたのが、同じジャダ石を持つシタラ。ドレゲネの過去を聞いたシタラは、自らの身の上を語ります。そして、「知恵がございます。ふたりでなら、嵐も起こせましょう」と語りかけるのでした。
巡り合ったふたりは、これからどのような「嵐」を巻き起こすのでしょうか。
[文/タイラ]
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作品概要
あらすじ
復讐の絆で結ばれた二人が、地上最強の帝国に嵐を起こす――。
母を亡くし、故郷からも遠く引き離された幼い少女・シタラは、
学者一家の心優しい奥方・ファーティマに拾われる。
「勉強して賢くなれば、どんなに困ったことが起きたって何をすれば一番いいのかわかるんだ」――
ファーティマの息子・ムハンマドの言葉に心を揺さぶられたシタラは、
"知"の可能性と大切さを知り、教養を深めていく。
いつの日にか、ムハンマドに追いつくことを夢見て……。
その頃、皇帝チンギス・カンによる地上最強の「モンゴル帝国」が日に日に勢力を拡大していた。
その歴史のうねりは、ついにシタラの住む街をも巻き込んでいく。
帝国の第四皇子トルイによってすべてを奪われ捕虜となったシタラは、
ただ一つ残った“知恵”を駆使して王族に取り入り、帝国を内側から崩壊させようと決意する。
奥方から受け継いだ"ファーティマ"を名乗って。
心に復讐の炎を宿しつつ、表向きは帝国に仕える身となったシタラはある日、第三皇子オゴタイの第六妃ドレゲネと運命的な出逢いを果たす。彼女もまた壮絶な過去を抱え、心の内に帝国への深い恨みを秘めていた。
シタラとドレゲネ。
出逢うはずのなかった二人が手を取り合うとき、運命が大きく動き始める
キャスト
(C)トマトスープ(秋田書店)/天幕のジャードゥーガル製作委員会































