
adieu(上白石萌歌)が表現する、自分の“好き”を信じることの美しさ――TVアニメ『本好きの下剋上 領主の養女』第2クールEDテーマ「Wanna me」インタビュー
「Wanna me」に込めた"私はこうありたい"という信念
──では、作品から離れてご自身の心情や気持ちに重なる部分はありますか?
adieu:歌詞の中に“誰かがわたしを知る前に わたしは わたしを知っている”というフレーズがあるのですが、このワードは自分のなかでもしっくりくる言葉です。adieuも誰かに知られる前に自分でこうありたいなという気持ちがあって。adieuの活動は来年で10周年を迎えるなかで、どんどん新しい環境に置かれたりすると、「一体自分って何なんだろう?」と思うこともあったり、人と比べてしまうこともあったのですが、改めてこれまでの道を振り返った時に「やっぱり自分が自分のことを一番知っているんだな」と感じたんです。自分が今まで歩いてきた道が自分を作っているわけですし、「自分は自分のままでいいんだ」と自信をくれるところが、この曲にはあります。
──それはもしかしたら、この曲を作詞・作曲したのがシンガーソングライターの柴田聡子さんというのも大きいかもしれないですね。柴田さんがadieuの楽曲を手がけるのは今回が4曲目なので、adieuの活動に対する理解度も深いでしょうし。
adieu:そうだと思います。ただ、この曲は柴田さんが普段ご自身の音楽で紡がれているものとは、また違うテイストの世界がある気がしていて。個人的に柴田さんが書かれる楽曲は、自分の生活の半径に近いもの、人の仕草とか心の機微みたいなものを表しているイメージが強いのですが、「Wanna me」はそれとはまた違った視点から歌詞を書かれていて。冒頭の“どこか遠くの知らない星の 見慣れない空の下だとしても”という部分は異世界に転生したローゼマインそのものだと思いますし、そういうアプローチが個人的にすごく新鮮だったので、この曲にある大きな世界観を自分なりに体現できたらいいなと思います。
──先ほど本が好きとおっしゃっていましたが、せっかくなので『本好きの下剋上』にかけて、思い出の一冊があれば教えていただけますか?
adieu:宝物のように愛している本がたくさんあるのですが、そのなかでも本を好きになるきっかけになった一冊があって。それが小学4年生の頃、両親に買ってもらった谷川俊太郎さんの『ゆう/夕』という詩集です。それまでは言葉に対してあまり興味を持っていなかったんですけど、その本は詩集としても絵本としても楽しめる内容だったので、触れているうちに谷川さんの書く言葉、平仮名の使い方やリズミカルな詩の響きに惹き込まれていって。言葉のリズムがつい音読したくなるようなもので、難しくて意味がわからない部分があっても、「自分が大人になった時にこの難しい詩をどういう風に読むんだろう?」と好奇心が生まれたりもしました。谷川さんの紡ぐ言葉が私に言葉の素敵さを気づかせてくれたので、これからも小説やエッセイを含め谷川さんの作品を読み続けると思います。
──余談ですが、谷川さんは日本で最初のアニメソング「鉄腕アトム」を作詞した方でもありますからね。最後に『本好きの下剋上 領主の養女』のファンに向けてメッセージをお願いします。
adieu:何よりも私自身がアニメの続きをすごく楽しみにしていますし、「Wanna me」は、この作品で描かれている「信じる」ことや純粋な「好き」という気持ちの美しさに寄り添えればと思って作った曲なので、アニメを観終わった後にこの曲を聴きながら「今日はこんな気持ちになったな」というのを大切に振り返っていただけると嬉しいです。
[文・北野創 / 撮影・小川遼]
Wanna me / adieu 楽曲情報
【発売日】2026年7月29日
【価格】
初回生産限定盤:7,000円(税込)
期間生産限定盤:1,500円(税込)
作品情報
あらすじ
ひとりの少女の情熱が世界を動かす――
魔力を持つ貴族が支配する<エーレンフェスト>
書物なき世界で本作りに奮闘するマインだったが、
その身に秘めた強大な魔力が陰謀を招く。
下町の家族や仲間を守るため、彼女は領主の養女・ローゼマインとして生きる道を選ぶ。
大切な家族と別れ、自分の名前さえ捨てて――
常識の通じない貴族社会で、本への情熱と家族への想いを胸に、
ローゼマインの闘いが始まる!
キャスト
(C) 香月美夜・TOブックス/本好きの下剋上製作委員会2026






























