ひとつ自分の心を知った猫猫とさらに成長した壬氏がどんな未来を歩むのかーー『薬屋のひとりごと』第2期を悠木碧さんと大塚剛央さんが振り返る【インタビュー】

大人気後宮謎解きエンターテインメント『薬屋のひとりごと』のTVアニメ第2期がついに終幕。楼蘭の覚悟のもと、子の一族の騒動は終息を迎え、ついに猫猫（マオマオ）と壬氏（ジンシ）に平穏が訪れました。

最終話を終えた今回、猫猫役の悠木碧さんと壬氏役の大塚剛央さんにインタビュー！　第2期を振り返ったお話はもちろん、続編に向けた意気込みも伺いました。

ここまでヒットするとは思わなかった!?

──『薬屋のひとりごと』の大ヒットを受けた感想をお聞かせください。

悠木：私はドラマCDから携わらせていただいていて、もうその時から面白かったですし、アニメになったらより多くの人が見てくれるだろうと思っていました。だけど、ここまでとは（笑）。

大塚：（笑）

悠木：業界の方からも「薬屋、見たよ」とよく言われますし、想像していなかったような年代、業種の人が見てくれているという話も聞いています。それは良き原作をちゃんとリスペクトして作り上げたアニメスタッフの愛のおかげだと思うので、そういう意味でも嬉しいです。

──子供から大人まで、年代問わず楽しめるのはすごいことですよね。

悠木：Podcastのお便りにもあったんですけど、小学校の先生が生徒と『薬屋』の話をしているらしくって。あと、娘さんと奥さんが見ていて、自分も追っかけたらハマったというお父さんからのお便りもありました（笑）。年代問わず楽しんでもらえるのは本当にすごいことだと思います。

大塚：僕も人気の作品だということは知っていたので、たくさんの人に見ていただけるんだろうなと思っていましたが、それでも想像の数倍以上の盛り上がりです。地方のイベントに行かせていただいた時は、その場にいる方全員がこのステージを見ているんじゃないかと思うくらいの熱量を感じました。

あと僕も、週に何回も仕事現場などで「薬屋、見ています」と言われます。最近だと、事務所ですれ違った同期とか、違う作品のディレクターさんとか、業界の方にも注目されている作品なんだなと感じます。それは丁寧に作られているおかげで、僕も演じながら早く完成版を見たいと思っていました。

この業界にはまだ超えるべきハードルが残ってる

──物語を振り返ったお話を伺えればと思います。第2期前半は後宮を中心に、様々な謎解きが描かれました。

悠木：子翠との出会いは今になって見てみると伏線だらけでしたよね。だけど個人的には「選択の廟」（第31話）が印象深いです。壬氏の立場に触れるお話ということはもちろんですが、なによりもここが一番猫猫のセリフ量が多かったんですよ。

とにかく大変でした。私も色々な作品をやらせてもらっていますし、モノローグが長いキャラクターも初めてではなく、どれも上手く聞かせる工夫を詰めているつもりです。だけど、このお話は「おぉ！　どうしたらいいんだろう!?」と（笑）。

セリフ量だけではなく、茶と赤と青と緑みたいな言葉が同時に出たり、廟の発音もちょっと言いづらかったりと引っ掛け問題も多かったんですよね。シンプルに難しかったからこそ、出来上がった映像を見た時は「よかった……！　この業界にはまだ超えるべきハードルが残ってる」って（笑）。

大塚：見ている側としては悠木さんなら絶対大丈夫という安心感を勝手に覚えていました。

悠木：本当に？　私は音楽ゲームのハードモードをやっている感覚でした（笑）。

一同：（笑）

　
悠木：『薬屋』の現場はみんな優しく、ミスしてもドンマイっていう空気を作ってくれるんですよね。そのおかげで堂々と挑むことができました。

──どんなテクニックを詰め込んだのでしょうか？

悠木：とにかく言葉の整理・整理・整理でした。そもそも、感情に寄ったセリフはその時の直感とか、みんなのお芝居を聞いてから組み替えないといけない難しさがありますが、逆に、推理していくものは立所を明確にしないと聞いている人が理解できなくなってしまうので、それはそれで大変なんですよね。

しかも、「選択の廟」は進んでいくごとに情報が増えて説明が長くなるから、言葉を立てつつ、その言葉が後ろで引っかかってもらわないといけません。私としては聞きやすさにこだわったところでもあるので、ぜひ注目して見返してもらえると嬉しいです。

──大塚さんはいかがでしたか？

大塚：僕は狩りのエピソード（35話・36話）が印象的です。後宮の外で話が展開するということで、いつもと登場人物が変わっていたり、政治的な話が出てきて、アフレコ現場の雰囲気も今までと違って楽しかったです。あとやっぱり、みなさんがSNSとかで「カエル」と盛り上がっていたところですよね（笑）。

──やはり盛り上がりが伝わっていたのですね（笑）。

大塚：そうですね（笑）。

悠木：作中唯一のセクシーシーンだから（笑）。

大塚：おかしいですね、湯殿のシーンもあったはずなんですけど……（笑）。

悠木：女の子たちのお風呂シーンもあったけど、随一のセクシーシーンは壬氏だから（笑）。

大塚：でもシリアスなシーンでもふっと気が抜けるところがあったりして、アニメ『薬屋のひとりごと』らしさがありましたし、今までの積み重ねのようなお話でもあるなと思いました。

──狩りは後のお話にも大きく繋がる出来事でした。

大塚：そうですね。壬氏がなぜ命を狙われたのかは後ろの話に関わっていますよね。この作品は、そういった伏線を忘れさせるのが上手くて、普通に見ているだけだと次々となにかが起こるから、後々になって「そんなこともあったな！」と思い出すんです。その気付いた時の爽快感も面白さのひとつだと思っています。

──狩りといえば猫猫が牛黄をもらった時の絶叫が印象的です。

悠木：あそこは大塚くんに「人からでる音じゃない」って言われました（笑）。

大塚：言いました（笑）。テストより本番のほうがすごくて。一発OKでしたよね。

悠木：そうそう、許されちゃいました（笑）。やっぱり猫猫からしてみたら飛びつくほど嬉しいものですから。焦らされていたということもあって、周りのことが聞こえなくなっちゃうのはしょうがないよねと思いました（笑）。