
『転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます 第2期』小市眞琴さん&ファイルーズあいさんインタビュー|「王道展開だけどご都合主義じゃない」「ロイドとグリモの掛け合いに注目」
ロイドとグリモの掛け合い
──小市さんは第1期でお気に入りのキャラはいましたか?
小市:私はグリモももちろん大好きです! あと第1期だとクロウも好きでしたね。最初は言葉を発することが呪いになっていて話せなかった彼が、ロイドによって「しゃべっていい」となったあとの姿。本当に可愛かったです。ミニマムサイズになった時も愛らしいし、大きい姿の時もとにかく可愛くて。暗殺者ギルドの中でも間違いなく癒しキャラクターだなって思いますね。ちょっと弟感があるのも魅力的で、バビロンの弟のような感じがまた良いです。
──ちなみに、グリモについても好きということなんですけど、ロイド的には結構雑に扱っているところも……。
ファイルーズ:ほんとだぞ!(グリモの声で)
小市:(笑)。最初は実験動物みたいな感覚でいましたが、徐々にロイドも愛着が湧いてきているんだろうなというのを感じました。
ロイドってあまり物事に驚かないので、大きな魔術を見た時やギザルムのような強敵と対峙した時でも、「すごいね」と軽く反応するくらいで終わってしまうことが多いです。その点でグリモは驚いたり、「嘘でしょ!」とリアクションしてくれる担当なので、視聴者にとっても敵の存在感が伝わる大事なキャラだと思います。
──対して、ファイルーズさんはロイドをどう見ていましたか?
ファイルーズ:ロイドの魅力といえば、一貫性があるところですね。彼の言動にはブレがなくて、見ていて清々しい感じがします。普通の人だったら理解しづらいような行動や考えでも、彼にとっては当たり前のようにこなしている。その一貫性が美学として宿っていて、突飛でちょっと奇想天外な言動でも応援したくなる魅力が彼にはありますね。
──それぞれご自身が演じているキャラクターについては、どう考えていらっしゃいますか?
小市:ロイドって根底に「魔術が好き」という気持ちがあって、そこを原動力にすべての行動をしています。彼は圧倒的な力を持っているので、簡単に敵を倒せる能力を持っている。ある意味、「なんだこいつ」というくらい強いんですけど、ロイドはその強さではなく、魔術の探求そのものに情熱を注いでいるんですよ。
だからこそ、他のことをすべて犠牲にしてでも魔術に没頭する姿には応援したくなる魅力があって、すごく好きになれるんですよね。自分の美学に反するものに対して怒りを見せるところもそうです。その「魔術への純粋な愛」が時に戦闘で冷酷な一面を見せるギャップを生み出していて、そういう部分も含めて本当に魅力的だと感じました。
ファイルーズ:グリモは最初の頃と比べると、キャラクターがだいぶ変化していると思います。第1期の初期は受動的というか、「仕方がないからロイド様に仕える」という感じだったんですよ。でも、後半になるにつれてどんどん能動的になって、「この人のために自分が何かできることをしたい!」という気持ちが現れていて。健気さも感じられるし、勇敢な姿も見せてくれるので、その成長がとても素敵だと思います。
また、第2期ではとあるキャラクターとの掛け合いがあって、その中で「何百年も生きてきた知性のある生き物」という一面も感じられる場面があります。そこでは、知的で大人っぽいセリフ回しもあり、そういうところに彼の魅力が詰まっているんです! ぜひ注目していただきたいポイントですね。
──演技面ではどういった印象がありましたか?
小市:第1期はロイドが活躍するシーンが本当に多かったんですけど、第2期では周りのキャラクターにスポットの当たる部分が増えるので楽しみですね。ロイドってずっと一貫していて、第1期を通してそれは変わらないなと感じていました。でも、第2期になると周囲のキャラクターが成長していく様子が描かれています。例えば、グリモもそうですが、彼は強さ的にはずっと変わらない、本当に強い存在なんですけど、内面的な成長が見られるんですよね。
暗殺者ギルドのキャラクターたちも、第2期にかけて考え方や強さがどんどん変わっていく印象です。ロイドはそれを見守りつつ、「魔術楽しむぞ!」という姿勢でいい意味で変わらずに、その中にいる。そして、第1期ではロイドが魔術を楽しむ様子がすごく伝わってきて、それが本当に楽しかったという印象でしたね。
あと、シルファや他のキャラクターたちからのラブアプローチをくぐり抜けながら、ロイドが魔術を楽しむという、特に前半部分にポップなシーンがたくさんあって、そういった部分ものびのびと楽しめたという印象があります。
──やはり、先ほどにも出ましたが魔術の解説シーンなど、アニメならではの部分があると思いますが、そこについてはいかがでしたか?
小市:魔術の解説は確かに多くて、長台詞が大変だった部分もありました。
ファイルーズ:大変そうだった……。
小市:(笑)。でも、その解説のときにファイちゃんが演じるグリモがちょっとしたミニ会話を挟んでくれるんですよ。
ファイルーズ:「これですぜ!」「これなのか!」みたいな、コメディ要素のある掛け合いが入るからね。
小市:そうそう! それがあるおかげで、楽しい雰囲気になっていて。解説の合間にそういうアドリブ的な要素がプラスされているので、やっていても楽しかったですよ。
ファイルーズ:第1期だと、ロイドが大人になった姿(ロベルト)の演技が本当に素敵だったなと思いました。
小市:本当!? ありがとうございます! 嬉しい……。
ファイルーズ:うんうん。ベースのキャラ作りがある中で、またひとつ歳を重ねた姿を急に演じることになって、すごいなって思いました。どうでした?
小市:ロイドの地盤を作り、アルベルト兄さんの声を聞いて、その中間か……と考えて作っていきましたね。そうやって悩みながらやっていたので、よかったと言われて嬉しいですね。
ファイルーズ:あれは恋しちゃうよ……!
──台詞もモノローグだけでなく、戦闘中の呪文などもあって切り替えが大変な部分も多かったと思います。
小市:実は、呪文は先に収録したんですよ。最初に明夫さんが収録しているのを見ていて、「大変っすね〜」みたいに対岸の火事のように思っていたんですが、自分も録ることになって(笑)。
ファイルーズ:私は同一キャラを演じているから、明夫さんのあの渋い声に合わせて収録しないといけなかったんです。ヘッドホンで明夫さんの声を聞きながら同時に話すのはすごく大変でした。
小市:魔術の詠唱を読むのが難しい場面も多かったですよね(笑)。でも、できたら達成感もありました。
第2期の注目ポイントは?
──また、グリモはリアクション担当としての役割も非常に印象的でしたが、演じるうえで意識されたことは?
ファイルーズあい:先ほどもお話ししましたが、グリモは成長のグラデーションがあるキャラクターですよね。最初はロイドに対して「畏怖」の感情を抱いていたのですが、それがだんだんと「敬愛」や「親愛」に変わっていく。その変化を意識して演じました。
それに加えて、リアクション担当としての役割がありますので、出し惜しみせず、とにかく叫びまくって汚い音域も使いまくりました(笑)。視聴者の皆さんの代弁をする役目として、全力を尽くしたつもりです。
──ある意味、視聴者の感想に近い立場ですよね。
ファイルーズ:感情が豊かすぎて「うるさい」とみなさんに言われているのも知っています(笑)。それも光栄なことですよね。
小市:でも、あれだけの演技をしているのにグリモから外れずにちゃんとグリモなのがすごいですよね。
ファイルーズ:嬉しい……! 実はこういった毒々しい言葉も使うような棘のあるマスコット的なキャラクターってずっと演じてみたかったんです。
小市:グリモは後半にギザルムにやられて、ロイドのほうにぴょーんって吹っ飛んでいったりするじゃん? ああいうの、なんかちょっと悲しいよね。「痛かったよね? 大丈夫〜?」ってなる(笑)。
ファイルーズ:グリモは可哀想&可愛いんだよね。私も別にいじめたいとかじゃないんだけど、グリモのお尻をぺーん! って叩きたい(笑)。
小市:わかる!
ファイルーズ:いじめたいというか、いじりたい(笑)。本当に痛がるようにするんじゃなくて、ぺーん! ってやって、「ぎゃー!」って言われるくらいに感じ(笑)。グリモはそういう愛おしい魅力がある。
──本当は強いはずなんですけどね(笑)。
ファイルーズ:そうなんですよ。これが明夫さんボイスならそうはならないんですけどね(笑)。私の時は叩きまくってください。
──それでは、第2期についてさらに伺いたいと思います。脚本や新キャラクターなどを見た際の感想はいかがでしたか?
小市:私は脚本そのものというよりも、映像を見ながらチェックしていました。その時に感じたのが、やっぱり原作や漫画の迫力、ポップな面白さがそのまま引き継がれていることです。さらにそれをアニメとしてうまく落とし込む工夫がされていて、「第1期の時よりもキャッキャするシーンが増えてるのかな?」と思うくらい、楽しい雰囲気が感じられました。
単純に登場人物が増えたことで、アニメの画面上も賑やかになっていて、暗殺者ギルドも含め、イーシャやサリアなどの新キャラクターが加わって、みんながわきゃわきゃと楽しげにしている様子がさらに楽しくなりそうだなと思いました。ジリエルも登場しますし。第13話では、美しい存在としての描写が中心ですが、第14話以降の活躍も楽しみにしていただきたいです。
──そんな中で、ロイド自身の変化や成長も第2期に見られる部分があるとお伺いしました。その点についてはいかがですか?
小市:ジェイドの空間転移の能力を自分の中に取り込んで使えるようになったんですが、ただ自分のために使うのではなく、ジェイドへの敬意をもって「悪用はしない」と誓っているんです。第1期では、そんなこと言わなかったと思うんです。ロイドにとって、初めて自分と同じくらい魔術が好きだと感じる相手だったのがジェイドなんですよ。きっと「この人ともっと話してみたかった」と思う気持ちがあった中で、その能力を大切に扱おうとしているのが、第2期のロイドの新しい側面だと思います。
──確かに人への敬意が見える部分は第1期ではあまり描かれなかった新鮮な要素ですね。一方でロイドの「魔術を楽しむ」という姿勢は変わらずですね。
小市:はい、そうですね。ロイドってやっぱり基本的に、自分が取り込んだ力をどんどん試して楽しむという姿勢が魅力的ですが、今回はジェイドの力に関して慎重でありながら、それでも魔術を極めたいという姿勢は変わらないです。
教会を訪れて神聖魔術を習うことも含めて、彼の魔術への探求心は不変ですね。相変わらずの部分と、少しずつ見える新たな側面が両方描かれているのが第2期の魅力だと思います。
ファイルーズ:第2期の脚本では暗殺者ギルドのみなさんにスポットが当たり、彼らが平穏を手に入れて自分らしく輝く姿が描かれているのがとても胸に残っています。彼らは今まで当たり前のことが当たり前にできない環境で育ってきた人たちでした。それをロイドが自然体のまま「当たり前」を与えてくれ、さらに自分たちの選択肢を自由に行使できるように導いてくれたんです。
先ほど小市さんもおっしゃっていましたが、新たなキャラクターが加入したことで、王宮、サルーム王国がさらにわちゃわちゃ賑やかな雰囲気になりました。アフレコ現場もすごく楽しい感じで、少しメタ的な話になりますが、細かい別撮りが増えるなど制作面でもいろいろと工夫がされています。音の重ね合わせが増えているので、視聴者の皆さんも見ても聞いても楽しめる仕上がりになっていると思います。
アフレコブースも、登場キャラクターが増えたことで人が入りきらないこともありました!シーンごとに分けたりすることもありましたが、それでもスタッフのみなさんが掛け合いを大事にするためにスケジュールを調整してくださいました。おかげで、温度感を大事にしながら収録に臨むことができました。
グリモとジリエルにはとある共通点がありまして……。演じている森久保さんとたくさんコミュニケーションを取ることで、息ぴったりに仕上がりました。毎回アフレコでは席が隣になることが多く、セリフの掛け合いで阿吽の呼吸ができたと思います。ぜひその点を楽しみにしていただけたら嬉しいです。
──小市さんは収録中に特に交流があったキャストの方はいらっしゃいましたか?
小市:そうですね、ファイちゃんともよくお話ししましたし、高橋李依さんも隣になることが多く、おしゃべりしていました。
それから堀江さんはお話ししてみるとすごく考えが似ているところがあって、なんというか、「兄弟役になるべくしてなった」という感じがしますね。
ファイルーズ:私は小市さんとも読書好きという共通点があって、かなり勉強熱心なところがロイドっぽいなっていつも思っていました。アフレコの合間なんかにそういうお話で盛り上がることも多いですね。
──それでは、最後にこれから第2期を観ようかなと思っている方々へメッセージをお願いできますか?
小市:第1話をこれから観る方や、これからシリーズに触れてみようと思っている方々には「本当に楽しい作品です」とぜひ伝えたいです。コメディとして非常に面白い部分が多いですし、声優のアドリブも随所に活かされています。他の作品ではここまで挑戦しないだろうと思うくらいのエンターテインメント要素が満載です。
そして第2期では、暗殺者ギルド編から流れを汲む教会編に突入し、明るいだけでなくシリアスなパートも増えてきます。笑って、泣いて、癒されて、といった感情を楽しめるアニメになっていると思いますので、ぜひご期待ください! 第2期から観ても楽しめますが、第1期で描かれた部分もぜひご覧いただけたら嬉しいです。
ファイルーズ:第2期はバトルシーンの動きの細かさやアクションのド派手さがすごいので、そこもぜひ注目してほしいです。またロイドだけが戦うという構図ではなく、周りのキャラクターたちがそれぞれの想いを胸に戦うシーンがたくさん描かれています。第1期とはまた違う魅力を感じていただけると思います!
あと、イーシャの歌についても触れておきますね。原作を読んでいる方は、「どうなるんだろう」と期待されているかと思いますが、その期待を裏切ることはありません! ぜひ楽しみにしていてください!
小市:それに加えて……神聖魔術が登場しますが、それも非常に綺麗な演出になっています! 原作を読んでいる方が「どんな表現になるのだろう」と思っている部分をしっかりと魅力的に映像化していますので、ぜひお楽しみに!
[インタビュー/MoA]
作品情報
あらすじ
魔術を深く愛しながらも、血筋と才能に恵まれずに非業の死を遂げた“凡人”の魔術師。
死の間際に「もっと魔術を極め、学びたかった」と念じた男が転生したのは、
強い魔術の血統を持つサルーム王国の第七王子・ロイドだった。
過去の記憶はそのままに、完璧な血筋と才能を備えながら生まれ変わった彼は、前世では成しえなかった想いを胸に、桁外れの魔力で“気ままに魔術を極める“無双ライフをエンジョイする!
ロードスト領でのギザルムとの戦いで見事勝利したロイド達。
魔術への探求心が止まらないロイドが次に目を付けたのは『神聖魔術』!
神聖魔術を習うため、教会を訪れるロイド達だが……?
原作シリーズ累計発行部数800万部突破の異世界魔術バトルファンタジーアニメが、いよいよ新章の“教会編”に突入!
キャスト
(C)謙虚なサークル・講談社/「第七王子」製作委員会











































