
『ディズニー ツイステッドワンダーランド ザ アニメーション』 シーズン1「エピソード オブ ハーツラビュル」ディア・クロウリー:宮本充さん インタビュー|冗談か本気かわからないセリフに思わず笑っちゃったシーンとは?
ハーツラビュル寮の個性と人間関係の面白さ
──アニメーションでは、新しいキャラクターとして円満雄剣が登場します。彼に対する印象をお聞かせください。
宮本:真っ直ぐで正義感が強く、後輩想いであり責任感もあるキャラクターですよね。そういうものがほとんどない世界に行くというところが良いアクセントになっていますし、阿座上さんも円満雄剣を見事に演じられていました。
実は、セリフをそのまま真っ直ぐに伝えることは、なかなか難しいことなんです。アニメーションでも洋画でも、円満雄剣のような真っ直ぐなキャラクターは難しくて、悪役やちょっとひねくれた役のほうがセリフは言いやすいところがあります。
それを阿座上さんはうまく演じられていたのが、印象に残りました。
──収録は他のボイスキャストさんともご一緒だったと思いますが、現場の雰囲気はいかがでしたか?
宮本:ゲームのときにはみなさんとお会いすることはなかったので、初めましての方がほとんどでした。僕以外のみなさんが若くて、僕1人だけが四苦八苦していましたね(笑)。
でも、やっぱりセリフの掛け合いなど、一緒にできるのはすごく楽しかったです。本当にみなさん真面目で、テストの段階ですでに世界が出来上がっていました。
セリフの長さを調節したり、ディレクターから少し指示があったりしたぐらいで、「若いのにプロだなぁ」と感心した覚えがあります。
──シーズン1はハーツラビュル寮を軸に物語が進みます。ハーツラビュル寮の印象や魅力については、いかがでしょうか?
宮本:ハーツラビュル寮の魅力は、リドル・ローズハートに尽きると思います。厳格な寮長が仕切っていて君臨している姿を、みんなは心の中でどう思っているのか、エース・トラッポラのように反抗したり、トレイ・クローバーのようになだめたりと人間関係もとても面白く、人間臭さが凝縮された寮だと感じました。
個人的な話になってしまい申し訳ないのですが、昔、寮生活をしていたことがあったんです。全国各地からいろいろな人が寮に集まってくるんですけど、入寮した日から毎晩お祭り騒ぎで、個性的な先輩ばかりでした。
「ツイステ」に出てくるハリネズミを見て、先輩から寮歌指導を受けたことも思い出しましたね。寮の歌を指導してくれるんですけど、絶対にやらなきゃいけないことじゃなくて、先輩たちがやりたいからやっているんですよ?(笑)。
夜な夜な歌わされたり、寮を1棟ずつ回りながら歌ったりする習わしもあって、頭の良い人はいつの間にか抜けているんですけど、抜けられない後輩はずっと歌っていました。それをやっているうちに夜が明けてというのがお決まりでしたね。
──歴史のある学生寮はすごい伝統がたくさんあると、よく耳にします。
宮本:これまた不思議なのが、「俺たちが先輩になったらもうやめよう」と言っていたのに、なぜか延々と脈々と続いていくんですよね(笑)。
悪役は主人公と同じくらい魅力的な存在
──個人的な話になり恐縮ですが、宮本充さんといえば『ライオン・キング』のシンバのボイスキャストという印象がとても強く残っています。先日もオンエアされていて、何回見てもいつの間にか引き込まれてしまう作品の魅力を改めて感じました。
宮本:わぁ〜、嬉しいです。オンエアされているのを見るたびに、こんなに若い声だったんだと、今はもう絶対に出ない声で喋ったり歌ったりしていたのでびっくりします(笑)。
──ディズニーヴィランと敵対する主人公を演じられたことのある宮本さんから見て、ヴィランをインスパイア元としている「ツイステ」のキャラクターたちはどのように映っているのか、ぜひうかがいたいです。
宮本:悪役って基本的に魅力的なんですよね。洋画など数々の名作に登場する悪役も極悪人ですけど、すごく魅力がありますし、個人的に、物語の中の悪役はやっぱり魅力がないとダメなんだな、と強く思いました。
『ライオン・キング』のスカーも壤晴彦さんがボイスキャストを務められたんですけど、収録でまったくお会いしたことはありませんが、作品を見たときになんて魅力的なんだろうと衝撃を受けました。
声も良いですし、キャラクターの屈折した表現というか、シンバのお父さんの前では“どうせ俺はダメなやつなんだ”と卑下するシーンは特にすごく面白かったです。
あと、ディズニー&ピクサー作品で、ヴィランになるかどうかはわかりませんけど、『バグズ・ライフ』にホッパーというキャラクターがいて、その声を担当したのも壤晴彦さんなんです。それも面白くて、悪役というものにはどこか笑わせるシーンがあったり、この人を主人公にしたら物語が1本書けるんじゃないかと思わせられたりするところが必要だと思います。
そういう意味では、ヴィランといった悪役は主人公と同じくらい魅力的な存在だと感じます。
──宮本さん自身も悪役を演じる機会が多々あると思いますが、悪役を演じる際に意識されていることはあるのでしょうか?
宮本:基本的には、悪役を演じるときには、自分が悪いことをしていると思わないようにしています。むしろ、良いことをしているぐらいに思っていて、相手を倒すことが慈悲というか、周りの人のためになるという感じです。
自分は極悪人だと意識して悪いことをやっている悪役もいますが、たいていの悪役は自分が悪いことをしているとは思っていないんです。そういう悪役を悪っぽく演じると面白くも何ともないので、そのさじ加減がちゃんとできると悪役は魅力的になります。
その意識は、自分の中でいつも心がけていることです。
ハートの女王の精神を重んじるリドル・ローズハートも母親との関係や幼少期の経験、自分の中の正義や信念があるからこそ、魅力的に映るということですね。
宮本:まさにその通りだと思います。悪役は自分の正義や信念を貫いているだけで、考え方が違うだけなんですよね。第1話のリドル・ローズハートも神聖な入学式を邪魔されているわけですから、彼の行動は決して悪いことではないんです。
──お話を聞いていると、ディズニーヴィランの魅力にインスパイアされたキャラクターたちが織り成す「ツイステ」には、まだまだたくさんの魅力が詰まっているように感じます。
宮本:今回アニメーションを通して、登場するキャラクターの魅力があるからこそ人気があるんだなと改めて感じました。
リドル・ローズハートをはじめとしたハーツラビュル寮の寮生たちに、大魔法士を目指しているグリム、みんなが愛おしい存在ですし、彼ら1人1人がちゃんと描かれているところが人気を集めている理由だと思います。
──最後になりますが、シーズン1におけるディア・クロウリーの1番の見どころ、宮本さん自身がぜひ注目してほしいシーンを教えてください。
宮本:僕が1番見て聞いていただきたいのは、最初のディア・クロウリーの語りです。ゲームのときにも収録しましたが、アニメーションでもう1回録りましょう、ということになりました。
ここは長ゼリフになりますが、ゲームの収録時はできたのに、5年も経過していると息が続かなくて、ハァハァ言いながら録ったのを覚えています(笑)。
僕は長ゼリフが大好きでして、1行ずつやるよりは1ページぐらいあったほうが「お〜!」と思うタイプなんです。そこに魂を込めさせていただきましたので、ぜひ注目してみてください。
[文・福室美綺]
作品情報
シーズン1「エピソード オブ ハーツラビュル」
ディズニープラスで10月29日より独占配信
あらすじ
この世界で伝説として語り継がれてきた偉⼤なる存在が<グレート・セブン>。
ハートの⼥王、百獣の王、海の魔⼥、砂漠の魔術師、美しき⼥王、死者の国の王、茨の魔⼥。
そして<ツイステッドワンダーランド>において、名⾨魔法⼠養成学校として君臨し、これまで優秀な魔法⼠を多く輩出してきたのが「ナイトレイブンカレッジ」。
学園⻑の下には「グレート・セブン」に倣った7つの寮が存在し、それぞれを7⼈の寮⻑が束ねている。
7寮⻑の⼀⼈が<ハートの⼥王>の厳格な精神に基づく・ハーツラビュル寮の寮⻑・リドル・ローズハート。
“真紅の暴君”・リドルは、寮⽣たちを“ハートの⼥王の法律”によって厳格に⽀配し苦しめていく。
リドルはなぜ“暴君”となってしまったのか、彼が囚われているものとはーーー
キャスト
リドル・ローズハート:花江夏樹
エース・トラッポラ:山下誠一郎
デュース・スペード:小林千晃
トレイ・クローバー:鈴木崚汰
ケイト・ダイヤモンド:小林竜之
【サバナクロー寮】
レオナ・キングスカラー:梅原裕一郎
ジャック・ハウル:坂泰斗
ラギー・ブッチ:市川蒼
【オクタヴィネル寮】
アズール・アーシェングロット:田丸篤志
ジェイド・リーチ:駒田航
フロイド・リーチ:岡本信彦
【スカラビア寮】
カリム・アルアジーム:古田一紀
ジャミル・バイパー:二葉要
【ポムフィオーレ寮】
ヴィル・シェーンハイト:相葉裕樹
エペル・フェルミエ:土屋神葉
ルーク・ハント:糸川耀士郎
【イグニハイド寮】
イデア・シュラウド:内山昂輝
オルト・シュラウド:蒼井翔太
【ディアソムニア寮】
マレウス・ドラコニア:加藤和樹
リリア・ヴァンルージュ:緑川光
シルバー:島﨑信長
セベク・ジグボルト:石谷春貴
【ナイトレイブンカレッジ関係者】
ディア・クロウリー:宮本充
デイヴィス・クルーウェル:伊東健人
モーゼズ・トレイン:小山力也
アシュトン・バルガス:竹内良太
サム:木村昴
【その他】
闇の鏡:堀内賢雄
チェーニャ:濱健人
円満雄剣:阿座上洋平
グリム:杉山紀彰
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