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ぼくらの人生を変えたアニメ11選【2020年編】|『ひぐらしのなく頃に 業』

ぼくらの人生を変えたアニメ11選【2020年編】|『ひぐらしのなく頃に 業』懐かしいけど新しくて、切ないけど楽しい、あの『ひぐらし』の世界が帰ってきた

2021年。テレビにかじりつき、画面の中で大冒険を繰り広げるアニメのキャラクターたちに夢を見ていた少年少女だったぼくたちは、いつの間にか大人になっていました。進学、就職、結婚、いろんな出来事があったけれど、でも、それでも、今でも、アニメが好きなのは変わりませんでした。

近年、10周年として大々的に売り出す作品も多くなってきたアニメ業界。今一度、ぼくらの人生を変えたアニメを振り返ってみませんか? 改めて振り返ってみると、これからの10年はとんでもなくすごい作品たちが10周年を迎えていくことに気づくはずです。

アニメイトタイムズでは、「ぼくらの人生を変えたアニメ11選」と題して、2010年〜2020年までの各年から1作品をピックアップし、アニメイトタイムズを代表するライターによる独自見解のもと振り返っていく特別連載を掲載していきます。

今回お届けする連載最終回となる第11回は、2020年から放送されている『ひぐらしのなく頃に 業』です。執筆は米澤崇史さん。

また、記事の最後に読者のみなさんの人生を変えた作品をアンケートで募集しています。あのときのあなたの状況を聞かせてください。きっと、あなたのアニメによって奮起させられた経験が、みんなの希望になることがあると思います。

それでは、連載スタートです!

『ひぐらしのなく頃に 業』

 
■あらすじ
都心から遠く離れ、色濃く残る自然に囲まれた集落──雛見沢村。かつて、ダムの底に沈むはずだった村は、今もなお昔と変わらない姿で、転校生・前原圭一を迎え入れる。 都会で暮らしていた圭一にとって、雛見沢の仲間と過ごす賑やかでのどかな生活は、いつまでも続く幸せな時間のはずだった。一年に一度行われる村の祭り、綿流し。その日が来るまでは…。 昭和五十八年、六月。 ひぐらしのなく頃に。 日常は突如終わりを告げ、止まらない惨劇の連鎖が始まる──。

■キャスト
前原 圭一:保志総一朗
竜宮 レナ:中原麻衣
園崎 魅音・詩音:ゆきのさつき
北条 沙都子:かないみか
古手 梨花:田村ゆかり
大石蔵人:茶風林
富竹ジロウ:大川透
鷹野三四:伊藤美紀
入江京介:関俊彦
北条鉄平:宝亀克寿
羽入:堀江由衣
知恵留美子:折笠富美子

■スタッフ
原作:竜騎士07/07th Expansion
監督:川口敬一郎
シリーズ構成:ハヤシナオキ
キャラクターデザイン:渡辺明夫
助監督:池端隆史
美術監督:井上一宏(草薙)
美術統括:山根左帆(草薙)
色彩設計:小松亜理沙
撮影監督:戸澤雄一朗(グラフィニカ)
編集:丹:彩子(グラフィニカ)
音響監督:森下広人
音響効果:八十正太(スワラプロ)
音楽:川井憲次
音楽制作:フロンティアワークス
プロデュース:インフィニット
アニメーション制作パッショーネ
製作:ひぐらしのなく頃に製作委員会

連載バックナンバー

◆【2010年】『STAR DRIVER 輝きのタクト』
◆【2011年】『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』
◆【2012年】『PSYCHO-PASS サイコパス』
◆【2013年】『Free!』
◆【2014年】『Fate/stay night [Unlimited Blade Works]』
◆【2015年】『響け!ユーフォニアム』
◆【2016年】『ユーリ!!! on ICE』
◆【2017年】『妹さえいればいい。』
◆【2018年】『HUGっと!プリキュア』
◆【2019年】『さらざんまい』

原作ゲームは、2000年代を代表する“ループもの”の傑作

※本記事では、『ひぐらしのなく頃に』に関するネタバレを含んでいるので注意してほしい。

今、『ひぐらしのなく頃に』(以下、ひぐらし)がアツい。

2020年秋から放送中のTVアニメ『ひぐらしのなく頃に業』が、インターネットを中心に非常に大きな反響を呼んでいる。筆者も『ひぐらし』のファンの1人として、SNSで様々な感想や考察を交わしているほど熱中しているのだが、最近アニメにハマったという方は、なぜこんなに『ひぐらし』が盛り上がっているのかピンと来にくいかもしれない。

そもそも『ひぐらし』は、2002年~2006年にかけて、サークル「07th Expansion」がコミックマーケットで販売していた同人ゲームが原作だ。「鬼隠し編」「綿流し編」「祟殺し編」「暇潰し編」で構成される出題編と、解決編とされる「目明し編」、「罪滅し編」、「皆殺し編」、「祭囃し編」をあわせた8つのメインエピソードで構成されており、毎年の夏・冬のコミケットの開催ごとに、新エピソードを収録したソフトが販売されていた。

当時はまだ知名度の低い同人サークルだったため、第1作目の「鬼隠し編」の販売数は非常に少数だったものの、エピソードを重ねるごとに少しずつ販売数を増していき、2004年頃に「鬼隠し編」を公式HPで無料公開したタイミングで一気に人気が爆発。田舎の寒村を舞台としたホラーとミステリーテイストのストーリーが、インターネットのユーザーを中心に大きな話題を呼ぶことに。

『ひぐらし』よりも先に、TYPE-MOONの同人ゲーム『月姫』が大ヒットし、同人ゲームというジャンルが人気を集める下地がすでに存在していたこともあって、またたく間に人気作品へと上り詰める。

筆者が初めて『ひぐらし』に触れたのは、その6作目である「罪滅ぼし編」が発売されたあたりで、ドラマCD化などのメディアミックス展開も始まった頃。すでにゲーマーの間では「『ひぐらしのなく頃に』という面白い同人ノベルゲームがあるらしい」という口コミが広まっていた後だったのだが、筆者もまたたく間に『ひぐらし』に夢中になり、それ以降はコミケの会場で07th Expansionの列に並び、新エピソードが出る度にパッケージを購入したことも思い出深い。

というのも、筆者はバスは1日に数本、電車は通っておらず、近くのコンビニに行くには車が必須……といった、雛見沢に負けず劣らずの超のつくド田舎の出身。限られたコミュニティならではの濃密な付き合いなど、良いことももちろんあったのだが、当然田舎ならでは不便さや納得のいかない伝統などもあり、自分の地元に対する感情というのは複雑だった。

『ひぐらし』の雛見沢も、田舎の環境を基本的には肯定しつつも、その裏側にあるしがらみや閉鎖感など、負の面も含めてリアルに描き出しており、「そうそう、田舎はこういうところあるんだよな~!」と共感できるポイントが多く、深く感情移入することができた。(同時期に筆者は地元を離れたので、懐かしさ的な感情もあったが)

ホラーとミステリー、さらにゲームの構造そのものを生かしたメタ的なストーリーにも、大きく興味を引き立てられた。

物語の前半にあたる出題編では、主人公となるのは前原圭一。雛見沢村に来て間もない圭一は、かつて起こったダム戦争、綿流しの日に起きる失踪事件など、雛見沢の暗部を知ったことで様々な怪事件に巻き込まれていく。この物語の前半部は、ホラーとミステリーのテイストが強く、とくに園崎魅音と園崎詩音に焦点を当てたエピソードである「綿流し編」と「目明かし編」は、その2つのジャンルが見事な融合を果たしたシナリオとして非常に完成度が高かった。

しかし『ひぐらし』の物語はそれだけでは終わらない。基本的に『ひぐらし』の8つの物語は、雛見沢伝統の祭りである「綿流し」が行われる昭和58年6月を舞台とし、そこで起こる異なる惨劇を描いたパラレルワールド的な構造になっている。

しかし物語が進むにつれ、登場人物の1人である古手梨花がそれぞれのエピソードの記憶を引き継いでおり、「綿流し」前後の時間を延々と繰り返す、“ループもの”の作品であることが判明し、物語の本筋も「どうやって惨劇のループを脱出するか」という梨花視点をメインとしたものへと切り替わっていく。

この“ループもの”の構造は、同じ時代のノベルゲーム、とくにギャルゲーと呼ばれる、選択肢によってストーリーが大きく分岐するタイプのゲームでも時折見られた手法だ。近年はライトノベルやアニメなど、様々な分野でループものの作品が作られるようになったので馴染み深い方も多いと思うが、選択したヒロインによってストーリーが変化するギャルゲーは、それぞれのルートが一種のパラレルワールド的な関係性になっており、クリア後に再びスタート時に戻り、別のルートを進めるという構造は、プレイヤー自身がゲーム内をループしているようなものだった。

そのため、“ループもの”のノベルゲームは多くの傑作シナリオを生み出したが、『ひぐらし』も、その時代を代表するループものの1作。リアルタイムでエピソードが更新されていった分、その繰り返す運命を打破した時の感動も一際大きかった。

そうしてメインストーリーが完結した『ひぐらし』だったが、その後はアニメ化・CS機への移植・パチスロ化など様々なメディアミックス展開が行われ、2000年代を代表するシリーズへと広がっていくことになる。

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