「何で呼ばれたんだ?」ペックの演技に大苦戦? キャストの苦労が多分に反映された役作りとは?『THE MARGINAL SERVICE』宮野真守さん、森川智之さんらメインキャスト座談会・前編【連載12回】
ライラの元恋人エディの再登場に名塚さんの感想は「かわいそう」
ライラ・キャンディハート役 名塚佳織さん(以下、名塚):ライラ的には第11話で、恋人だったエディが再び登場しましたが、改めてエディはかわいそうだなと思った回でした(笑)。第5話でライラに振られて落ち込んでいる状態なのに、また引きずり出されて。
宮野:ずっといいように使われているだけで(笑)。しかもバックアップのあんなに小さな状態で。
名塚:第5話の収録の時、エディはまた登場するとは聞いていましたが、こういう形で出てくるのは予想外で、エディ役の前野(智昭)さんには「本当にお疲れ様です」という感じです(笑)。
宮野:バックアップのエディもちょっとエロかったよね。ブライアンが「ライラが『ログ』を『イン』欲しがっているんだ」と言ったら、「仕方ないな。一度だけだぞ」って(笑)。
下野:サイラス的にはいろいろと調査していくなかで、重要なキーワードを語ることが多かったんですけど、第9話あたりからちょくちょくライラとの絡みが多くなって。
中村:というか、チューしてたよね? する必要もないのに。
名塚:ただ、したかっただけで(笑)。
ペックがエディのバックアップを持っていたのは殊勲。でも内山さんはセキュリティの甘さも指摘!?
三木:≪マージナルサービス≫のメンバーは全員、セオドアが集めていたり、国連上層部とのつながりもあるので、横のつながりが見えにくい部分がありますが、そもそもメンバーそれぞれに想いや思惑があるので。
宮野:それぞれの想いで判断して動いていますよね。
下野:ボルツなんて、ずっと筋肉のことしか考えていないし。
三木:むしろそこに魅力を感じる(笑)。だからみんなの個性でパズルのピースが合わさるように集まってているので……たぶん(笑)。そんなメンバーがブライアンに来たことによって1つになっていく様子が見えてきたのが第11話のおもしろさかなと。あと組織自体が特異な存在だけど規模的には小さくて。
中村:正直、この人数では≪境界人≫の事件や問題をすべて解決するのは無理だと思うんです。
三木:だから個性的なメンバーを集めたのかも(笑)。
内山:ペックがブライアンの側について、一緒に行動するのは意外でしたが、ペックも≪境界人≫なので、≪境界人≫を隔離・抑圧する体制への反抗意識もあったのかなと。
宮野:メンバー唯一の≪境界人≫だからね。
内山:ここまでペックはギャグ担当みたいに、爆発して木っ端みじんになっても生きているとか、コミカルなシーンが多かったけど、ペックなりにいろいろ考えたり、自分のアイデンティティについて思うところがあったからこういう行動に出たのかなと。また今回はライラからエディのバックアップをこっそり盗んでいたのは殊勲だと思いますが、ライラのセキュリティも甘いのでは?と思ったりもして(笑)。
名塚:ペックがカジカジしたらフタがはずれてしまうくらいだから(笑)。
内山さんのお芝居に中村さんが興味津々。中村さんの入れるアドリブに宮野さんも感心
――ここまで収録で印象深かったことや裏話をお聞かせください。
中村:今の収録スタイルでは特に変わったことはないかも。
三木:全員一緒じゃないですからね。
中村:第2話では先にうっちーが収録していて、音響監督の高桑(一)さんから収録の最後に「気になる点とかない?」と尋ねられたら「うっちーの芝居は正解でしたか?」と。それを第3話くらいまで言ってました(笑)。
内山:僕も気になっていました(笑)。
下野:中村くん、最後の最後までその話をしてたよね。
中村:最終回でも尋ねられたから。「うっちーの芝居、第1話からやり直しませんか?」と。
内山:最後はもういいでしょ!
宮野:僕は収録の最後になることが多いんですけど、中村さんのアドリブが面白くて(笑)。「オフのところ、結構埋めてる!」って。僕もそこに合わせるのが、楽しかったです。ブライアンは巻き込まれるタイプだったから、一緒に収録できたら楽しかっただろうなと思うところがたくさんあって。中村さんがアドリブを自由に入れてくれたものに対して、対話していく楽しさを感じました。
三木:誰と一緒にできるかだよね。俺は玄田(哲章)さんと一緒の時が楽しかった。
中村:玄田さんは騙されて来たんですか?
三木:すごく台本を読み込んできたらしい。役名はわかっていたので、セリフを探してみたけど「ない? ない!?」って。でも楽しそうだった。
森川:でも最終回で「そういうことだったんだ」って合点がいきましたよね。あと作品とはまったく関係ないけど、差し入れが毎回豪華で。
下野:しかもすごい量でしたよね。
森川:僕らは収録の順番が最後になることが多かったので、「余るともったいないので持っていってください」と。どれもおいしかったよね。
宮野:それを毎回期待していた部分もありますよね。トリュフ塩パンがすごくおいしかった。
森川:我慢できずに、帰り道歩きながら食べたこともある。
宮野:学生じゃないんだから(笑)。
三木:俺もやった。どら焼きの時。
下野:おやつなのかな、軽食系なのかなと推測して夕ご飯どうしようかなと悩んだり。
森川:カレーパンなんて、夕飯だよね。
宮野:僕は見越してお昼を軽めにしているから。
楽しかったと語る第3話と第5話のアフレコ秘話
宮野:あと三木さんと森川さんと名塚ちゃんとやった第3話がおもしろかった。
名塚:ラバーのパーティーに潜入した時だよね。
森川:ガヤが楽しかったね。
名塚:ガヤを録っているのに、ずっと笑っちゃって、全然セリフにならなくて。
三木:セリフ言わなくちゃって思っても笑っちゃって。
宮野:久しぶりのガヤで楽しかった。
名塚:この人数でガヤをやることもなかなかないし。
宮野:よりみんなの声も聞こえるし。
下野:あと現場に内山くんが来た時、いつもテンションが高くて。内山くんの着けていたコンタクトが傷ついたらしくて、他にコンタクトをしている人がいなくて共感を得られず、唯一僕がつけているのを知って、「下野さん、気を付けてください」と注意を受けてから収録を始めたのを覚えています。今にして思えば、そんなにテンションが上がることなのかなと。
――第5話で、宮野さんと前野さんと名塚さんが収録していた時、途中で名塚さんの笑いが止まらなくなったことがありましたよね。
宮野:何かツボってたよね? そうだ! ライラが裸だったからだよ。
名塚:そうだ! 裸の絵を見ていたから、丸腰というセリフを丸裸って読んでしまって。
中村:あるある!
下野:僕もその場にいた!
名塚:テストでそうなって、本番では大丈夫ですと言ったのに、全然大丈夫じゃなくて。
宮野:画面を見ると蘇ってきちゃうよね。
名塚:大丈夫と思えば思うほどダメで。私、ゲラなので。
三木:ゲラはキツいよね。
名塚:つらかったですね。特にボルツとロビンのやり取りは。一緒に収録することが多くて、ずっと笑いをこらえる時間でした(笑)。
中村:ボルツは会話になっていないから。
下野:アフレコをただ黙々と進めていければいいけど、やっぱり疑問に思ったことはどうしても口にしたくなって。
中村:ひっかかるんだよね。「どうしてコイツ、まだプロテインの話してるんだ」って。
名塚:最終的には何が正解なのかわからなくなって。
宮野:いいなあ、僕もその会話にも参加したかったな。