
「初音ミク」は人じゃないからこそ、人に寄り添える。『劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク』連載インタビュー|ボカロP・40mPさん×sasakure.UKさんが語る世代を超えたボカロ音楽と文化
……やはり制作には余裕が必要ですよね(笑)
――本楽曲は、キックオフからタイトル決定、さらに細かな微調整まで含めると、どのくらいの期間で完成したのでしょうか?
sasakure.UK:半年くらいかかりましたね。レコーディングや細かいやり取りを含めると……
40mP:もしかしたら、もっとかかっているかもしれませんね。一曲の制作期間としては、結構長い方です。
お互い、それぞれ別の制作を進めながらの進行だったのですが、少しずつ進めていったのが良い方向に作用したのではないかと思っています。一点集中で作業すると、気にしなくてもいい部分まで気になってしまうことがありますが、他の作業と並行することでフラットな気持ちを保てたというか。
仮に、この楽曲を一ヶ月で作ってほしいというオーダーだったら、もっと様々な部分を削ぎ落としてしまったかもしれません。一度離れて考える時間があると冷静に見返すことができて、「これでいいんじゃない?」と思えることもありますから……やはり制作には余裕が必要ですよね(笑)。
sasakure.UK:身にしみる……(笑)。でも本当におっしゃるとおりで、一晩寝かせるのって大事なんですよね。離れて見ると「意外といいな!」と思えたりするので、今回はじっくり時間をかけることができて良かったなと思います。
――そんな「はじまりの未来」にお二人が込めた想いについて、改めてお聞かせください。
sasakure.UK:春から夏に季節が変わるイメージの楽曲というオーダーをいただいて、シーンを連想しながら制作しました。
「良いことも悪いことも、楽しいことも悲しいことも、すべてを歌にしてくれる初音ミクがいる」という情景を歌にしようと、40mさんとお話ししながら進めていました。
40mP:sasakureさんがおっしゃっていただいたことに加えて、楽曲全体の情景やシーンが、どこかのフレーズから誰かに伝わってくれたらいいなと考えながら制作していました。
この楽曲から、ボカロ楽曲の音楽の良さやボカロ文化がさらに広がっていけば、尚良しかと思います。聴く人にとって、夏の思い出や学生時代の記憶を想起させるようなフレーズがあって、それが伝わってくれたらと思っています。
劇場版プロジェクトセカイ オープニング主題歌
— sasakure.UK (@sasakure__UK) January 28, 2025
"はじまりの未来(Ergo ver)" feat.初音ミク/40mP×sasakure.UK
MusicVideo 公開しました。
あの頃の“君”と、あれからの“君”におくる歌です。
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こんなコンテンツは、ほかにないと思うんです
――改めて、お二人が感じる『プロセカ』の魅力についてお聞かせください。
sasakure.UK:僕自身『プロセカ』を毎日たくさんプレイしているのですが、本当にたくさんの方が楽しめるゲームだなと思っています。
推し活を楽しむ人、僕のようにゲームクリアを目指す人、ゲーム内外で行われるイベントを楽しむ人……これらの方々が『プロセカ』を介して一緒の空間で楽しめるんですよね。みんながひとつの場所に集まれる『プロセカ』が大好きです。
――「初音ミク」についてはいかがでしょうか?
sasakure.UK:「初音ミク」の強みは「人間ではない存在」だという所だと思います。今回の『はじまりの未来』のように俯瞰でセカイを眺めることもできるし、人じゃないからこそ、人に寄り添える存在なのではないかと。
40mP:『プロセカ』も「初音ミク」もVOCALOID文化も、楽曲を作っているクリエイターの存在も大きいと思うのですが、何と言ってもクリエイター陣がミクを愛す気持ちが突出していると思っています。
「初音ミク」は約17年間も存在しているのに、公式からキャラクター性が明言されていないんですよね。だからそれぞれのクリエイターの中に、それぞれの初音ミクがいる。しかもそれぞれのミクが共存できている。リスナーのみなさんも、それぞれのミクの存在を認めている……こんなコンテンツは、ほかにないと思うんです。
これからも無限に広がっていく可能性を持っているし、それが『プロセカ』と「初音ミク」の良いところだと思っています。
――もしこの世界に「初音ミク」がいなかったらと思うと……。
40mP:少なくとも、音楽制作を仕事にはできていなかったと思います。
sasakure.UK:きっと僕も、食べていけてないと思います(笑)。
40mP:同じくです(笑)。
――改めて、「初音ミク」は大きな存在ですね。最後に、お二人がVOCALOIDに出会って感動したことや思い出についてお聞かせください。
sasakure.UK:やはり一番は「色々な人との出会いがあったこと」ですね。こうして40mさんとこうして一緒に楽曲を制作できましたし、ファンのみなさん、関わったクリエイターのみなさんも含めて、初音ミクを通して色々なつながりができて、たくさんの広がりができてよかったなと思います。
『初音ミク「マジカルミライ」10th Anniversary』のテーマソング(『フューチャー・イヴ』)を書かせていただいたときのことなのですが、「マジミラ」の会場に親子で来てくださったファンの方々がいて。親子で推してくれるって、なんだかとても嬉しいなと思いました。
音楽や文化が世代を超えた瞬間を感じられると言いますか、ミクも誕生から約17年経ちましたが、この先も繋がってくれたらいいなと!
40mP:実は僕の小学4年生になる息子がsasakureさんの曲が大好きで。『プロセカ』でもsasakureさんの曲ばかりプレイしてますよ。
sasakure.UK:ええっ!? めっちゃ嬉しい! よろしくお伝えください(笑)。
――まさに世代を超えた瞬間ですね! それでは40mPさんも、感動したことや良かったことについてお聞かせください。
40mP:ひとつに絞るのは難しいのですが……今回の劇場版オープニング主題歌を任せていただけたことでしょうか。『プロセカ』がボカロにとっての発信地のひとつだと思っているので、その映画のオープニング主題歌は人選が難しかったと思うんです。その中の一人に選んでいただけて、「続けてきて良かったな」と思います。
何より、今音楽の仕事ができていることが一番嬉しいですね。曲を作っていられることが幸せだと思う人間なので、いかに音楽を作り続けられるかを常に考えています。もしボカロに出会っていなかったら、今のように24時間音楽のことだけを考える生活はできていなかったと思うから……それが一番ですね。
※「VOCALOID(ボーカロイド)」および「ボカロ」はヤマハ株式会社の登録商標です。
【インタビュー・文:西澤駿太郎】
『劇場版プロセカ』インタビューバックナンバー
「劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク」公開記念フェア
開催期間:2025年1月11日(土)~2025年2月16日(日)
開催場所:全国アニメイト(通販を含む)
フェア内容
期間中「劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク」、『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』関連のキャラクターグッズ・グラッテコラボのご飲食をご購入1,100円(税込)毎にポストカード(全27種)を1枚プレゼント!
※特典はお選びいただけません。
特典(ポストカード全27種)

■注意事項、フェア詳細はこちら
■「劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク」公開記念×Gratte詳細はこちら
『劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク』作品情報
あらすじ
CDショップで聴いたことのないミクの歌を耳にした星乃一歌。彼女はモニターに、見たことのない姿の”初音ミク”を見つけ、「ミク!?」と思わず声に出す。その声に驚いたミクは、一歌と目が合ったものの、ほどなくして消えてしまう。
後日、路上ライブを終えた一歌のスマホに、以前見かけたミクが姿を現す。寂しそうに俯くミクに、一歌はそっと話を聞いてみると、歌を届けたい人たちがいるのに、いくら歌っても、その歌が届かないという。
ライブで多くの人の心に歌を届ける一歌の姿を見て、彼女のことを知れば自分も同じように出来るのではと考えたミクは、一歌のもとにやってきたのだった。ミクの願いに「私でよければ」と微笑みながら一歌は答え、初音ミクと少年少女たちの新たな物語が始まる―。
キャスト
鏡音リン・鏡音レン:ORIGINAL CV BY 下田麻美
巡音ルカ:ORIGINAL CV BY 浅川悠
MEIKO:ORIGINAL CV BY 拝郷メイコ
KAITO:ORIGINAL CV BY 風雅なおと
星乃一歌:野口瑠璃子
天馬咲希:礒部花凜
望月穂波:上田麗奈
日野森志歩:中島由貴
花里みのり:小倉唯
桐谷遥:吉岡茉祐
桃井愛莉:降幡愛
日野森雫:本泉莉奈
小豆沢こはね:秋奈
白石杏:鷲見友美ジェナ
東雲彰人:今井文也
青柳冬弥:伊東健人
天馬司:廣瀬大介
鳳えむ:木野日菜
草薙寧々:Machico
神代類:土岐隼一
宵崎奏:楠木ともり
朝比奈まふゆ:田辺留依
東雲絵名:鈴木みのり
暁山瑞希:佐藤日向
(C)「劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク」製作委員会





















































