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中吉虎吉が『異世界レッド』に込めた特撮への愛と絆のメッセージ【インタビュー】

《異世界×戦隊ヒーロー》はまさかのベストマッチ!? 中吉虎吉先生に訊く『戦隊レッド 異世界で冒険者になる』誕生の裏側【インタビュー】

 

アニメ化によって広がった灯悟の一面

──アニメ化のお話が届いたときの感想をお聞かせください。

中吉:連載自体も初めてですし、こんなに早くアニメ化の話が来るとは思っていなくて。現実感があまりなかったです。本当に嬉しかったのですが、それ以上に「どんな反応がくるかな?」という不安な気持ちもありました。以前から客層を選ぶ作品だと思っていましたし、こだわりの強いファンも多いジャンルなので、一歩間違えると大炎上だなと。

──制作にあたって、中吉先生からアニメサイドにオーダーされたことはありますか?

中吉:先程お話した「マキシマム・キズナカイザー」もそうなんですけど、ガジェット系のデザインは全体的にブラッシュアップしていただきたいなと。それこそ、ロボの合体変形機構は全く考えていなかったので、最初に「ちゃんと合体できるようなデザインにできれば」という話はさせていただきました。

 

 

──特撮にゆかりのある方々が集結したスタッフ陣も話題を呼びました。

中吉:本当にびっくりですし、ずっと緊張していました。例えるなら、「モノマネをしていたら、後ろから本物がくる」の連続というイメージです。

──キズナファイブ周りのキャスト陣も信じられないほど豪華ですよね。

中吉:キズナファイブだけでなく、ゼツエンダーの怪人にも錚々たる方々がキャスティングされていて、圧倒されました。キャストだけを見ると、「スーパーヒーロー大戦かな?」と思いますよね。物語の面でも、原作では尺の都合でカットしていた部分を深掘りしていただいて、非常にありがたいです。

──声が付くことによって、キャラクターの幅も広がりますよね。

中吉:自分の中では、特に灯悟のキャラクターが少しお茶目になったと思います。何て言うんでしょう……初期の頃は灯悟の描き方が難しかったんですよ。「コイツがおどけた時にどうするのか、全然分からない」と思いながら、描いていたんです。ただ、井藤さんのお芝居や川口監督のディレクションを聞く中で、「こういう灯悟もありだな」と思えたんです。もしかしたら、原作の灯悟も少しお茶目になるかもしれません。アニメから取り入れられるものは、どんどん取り入れていきたいと思っています。

イドラもすごく可愛かったですね。説明ゼリフも多いキャラクターですし、キャパを超えるとツッコミが若干トーンダウンする部分も、上手く表現していただいて。しっかりとイドラのテンション感と可愛らしさを出していただいて、本当にありがたいです。

 

 

──テルティナとロゥジーはいかがでしょうか?

中吉:ロゥジーは本当に面白い(笑)。落差がすごいですよね。自分で描いていた時はこんなことになるとは想像していなくて、ずっとブースで笑っていました。テルティナは田中さんのお芝居によって、お姫様感が一層アップしたと思います。一方でドスを利かせるシーンはシリアスに演じていただいて、「アップダウンが激しい作品だな」と改めて思いました。

 

“仮面のヒーロー”を出すなら、意味を持たせたい

──アイテム的な部分でいうと、アニメ第07話から登場しているアメンのアイテムも非常にユニークだなと。

中吉:アメンは読み切りを作る前から考えていたキャラクターなんですけど、これも登場させる時に編集さんから反対されたんですよね。「キズナレッドを特別なものにしたいから、別のヒーローを出すと作品の軸がブレるんじゃないか」と。

ただ、“戦隊あるある”だけでずっとやっていくのは難しい気がしていて。であれば戦隊だけでなく、様々なヒーローを登場させたいなと。『仮面ライダーW』『仮面ライダーオーズ/OOO』『仮面ライダーフォーゼ』が大好きなので、フォームチェンジができるヒーローを登場させたいと思いました。

 

 

──アメンの変身者であるラーニヤというキャラクターも、“仮面”がキーワードになっていますね。

中吉:仮面のヒーローを出すのであれば、しっかりとした意味を持たせたいと思いました。臆病で戦いには向いていないタイプの女の子だけど、自分を奮起させるために仮面をつける。そこは『仮面ライダークウガ』から影響を受けた部分です。色々な意味で、自分の趣味が詰め込まれていると思います。

──それこそ、キズナレッドとアメンが並び立つ姿には誰しもワクワクすると思います。

中吉:違うシステムのヒーローが並び立っているのはワクワクしますよね! そういった部分に「わかる!」と言ってもらいたくて、この作品を描いているところがあります。自分としては「これが熱い!」と思って描いているんですけど、読者の琴線にちゃんと触れているのかはいつも不安なんです。ですので、そういう感想が一番嬉しいなと。

 

「絆は剣と似ている」―—キズナシルバーのセリフに込めた想い

──中吉先生自身は、本作のテーマである「絆」という言葉にどんなイメージをお持ちですか?

中吉:それに関しては、キズナシルバーが初登場した回の「剣と似ている」というセリフに集約されると思います。持ちすぎると持て余す。放置すれば錆びる。扱いを間違えば、傷つくし、傷つけてしまう。一度持つと手放しづらくなる。絆が持つ様々な側面をあのセリフに詰め込みました。

──キズナシルバーの立ち位置や特異性は、すごく追加戦士っぽいですよね。

中吉:ありがとうございます。すぐ仲間になってくれないタイプはいいですよね。加えて、キズナシルバーが女の子なのは、灯悟との恋愛要素を入れたかったからです。そういった漫画だからこそできる戦隊の表現も積極的に入れたいと思っています。

 

 

──漫画ならではの表現というのは、キズナシルバー以外にもあるのでしょうか?

中吉:キズナグリーンって身長が2メートルあるんですよ。あれをリアルで演じる人を探すのは、かなり難しいと思います(笑)。

キャラクターを体型で見分けられるように2メートルという設定にしたんですけど、アニメスタッフの方々からは「2メートル!?」とよく驚かれました。見た目の部分でいうと、キズナレッドのデザインは「戦隊よりもライダーやウルトラマン寄り」と言われることがあるんですけど、実際その通りです。それっぽ過ぎると御本家と被りすぎてしまうので、ある程度の違いを出しています。

──思わぬところに円谷プロの要素が(笑)。

中吉:自分の好きな要素を組み合わせた結果ですね。ただ、最近は御本家も毎年すごいデザインが出てきますから。自分の中では「漫画ならでは」と思っていたラインを超えてくるので、「自分はまだまだだな……」と思っています。

 

 

──絆の話に戻すと、作中では、灯悟と敵対する魔王軍の勢力にも“絆”が存在するという描かれ方になっています。

中吉:そこは難しかったですね。色々と悩んだ結果、絆の中にも人を傷つけるものがあるなら、「悪しき絆は断腸の思いで断つしかない」というスタンスに落ち着きました。絆の在り方に関しても、色々模索しながら描いています。

──最後に、原作を読んでいる方、アニメを観ている方へのメッセージをお願いします。

中吉:編集さんと二人三脚で始めた作品が、熱量のあるスタッフ、キャストさんの手でアニメになりました。ここまで来たのは読者の方々が読み続けてくれたおかげだと思っています。その絆に感謝していますし、これから観てくださる方々もアニメを通じて好きになっていただけたらなと。そこから更に絆が広がってくれると嬉しいです。

 
[インタビュー/小川いなり]

 

作品概要

戦隊レッド 異世界で冒険者になる

あらすじ

世界征服を企む悪の組織《秘密結社ゼツエンダー》。
その野望に立ち向かう、絆で結ばれた5人の戦士たちがいた。
そのヒーローの名は、《絆創戦隊キズナファイブ》!!
キズナファイブの5人は、遂にゼツエンダーとの最終決戦へ。
壮絶な戦いの中で傷付いていく仲間たち。
4人の想いを背に、《キズナレッド》は単身《絶縁王》へと挑む。
激戦の果てに敵と相打ちになるレッド。
命を落とした―――かに思われたのだが、気が付くとそこは《未知の世界》だった!
異世界でも困った人々を救うため、真っ赤なヒーローは冒険者となり今日も戦う!
《異世界×戦隊ヒーロー》でおくる、絆の最強英雄譚!!

キャスト

浅垣灯悟/キズナレッド:井藤智哉
イドラ・アーヴォルン:稲垣好
テルティナ・リズ・ワーグレイ・アヴァルロスト:田中美海
ロゥジー・ミスト:大野智敬
ラーニヤ:白石晴香
アジール・アヌマ・ククジャ:古川慎
シャウハ・シェムハザール:白石涼子
アブダビ:吉野裕行
ヴィダン:鈴村健一
万丈寺流/キズナブルー:松風雅也
飛星エミリ/キズナイエロー:菊地美香
堅岡修二/キズナグリーン:土田大
愛沢ツカサ/キズナピンク:小宮有紗
二階堂天理/キズナシルバー:M・A・O

(C)中吉虎吉/SQUARE ENIX・異世界レッド製作委員会

 

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