
『東島丹三郎は仮面ライダーになりたい』連載インタビュー第4回:島村一葉役・鈴村健一さん 前編|「この役を僕がやらないでどうする」――鈴村さんにとってのV3はヒーローof ヒーロー
体の筋肉がV3になっているか
ーー丹三郎やユリコとの違いとして、一葉は全く仮装せずにV3をやっています。
鈴村:あれは格好良いですよね。スーツアクターの高岩成二さんという平成仮面ライダーを長く演じてこられた方がいらっしゃるんですけど、仮面ライダーの姿でなくともポーズをとると、「あ、これファイズだ!」って雰囲気が自然に出てくるんですよ。
ーーすごい……!
鈴村:要するに体の筋肉がV3になっているかどうか。一葉にもその時の高岩さんに近い感覚があると思います。いわゆる“なりきり”というのは、姿形ではなく、その存在になれる“筋肉の使い方”なんじゃないでしょうか。
ーー変身の掛け声や「ブイスリャー!」というセリフについては、どのように演じられていますか?
鈴村:できる限り、オリジナルのV3をトレースしたいと思って演じています。僕なりというか、“一葉なり”のV3を取り入れる感覚です。
「V3」という言葉を単体で言う時も、僕はあえて「ブイ゛スリー」って言うようにしています。“イ”が強いんですよ。宮内さんの独特な、力強い言い方を意図的にトレースしていて。誰にも指摘されたことはないし、演出からも何一つ言われてないんですけど、勝手にやっています(笑)。
ーー(笑)。視聴者の方の中には気づいている方もいらっしゃると思います。
鈴村:気づいてほしいですね。この作品が決まる前から、たまに飲み会とかでやっていましたから(笑)。何十年も練習してきたので、言い慣れています。
ーーお話を伺って、一葉を演じるのは鈴村さん以外いないと改めて感じました。丹三郎との掛け合いではどんなことを意識されていますか?
鈴村:2人はいきなり戦ったりもするんですど、ある種のシンパシーを感じている気がします。多分「同じヤツいた!」って思ってるんですよね。言葉を交わさずとも、「ライダーってこうだよな」という感覚レベルで分かり合えている。仮面ライダーの話題で、お互いに言い合う感じでもなくて、それが逆に特撮オタクっぽいなと。
ーーと言いますと?
鈴村:僕も特撮オタクの知り合いが沢山いますけど、あまり多くは語らないんですよ。例えば、「ストロンガーの奇械人ワニーダみたいだよね」って話を振ったら、「ああ、分かります」みたいな(笑)。“それが何だったのか”までは話さないんです。既に共有しているものがあるので、それだけで一緒に笑い合える。その感じが、丹三郎と一葉の関係にもあると思います。
ーー言葉にはしないものの、内心では喜んでいるのかもしれませんね。
鈴村:言葉にはしないですけど、嬉しいと思いますよ。丹三郎なんかは、一人で山ごもりしているくらいだったので、同類と出会えたことは嬉しかったんじゃないでしょうか。そうでもないと、この先ずっと一緒にいるような関係にはならないですよね。
ショッカーの登場によって、うねり始める物語
ーーアフレコ現場では、鈴村さんが『仮面ライダー』に関する知識を共有されていたと伺いました。具体的にはどのようなやり取りがあったのでしょうか?
鈴村:小ネタの範囲ではありますけど、ライダーマンには「ヤー!」というセリフがあって、斉藤壮馬くんに「言い方があるんだよ」って教えたりしていました(笑)。
ーーそれは小ネタなのでしょうか?(笑)
鈴村:実際に本番でもやってくれたのですが、「忠実なんですけど、三葉っぽくないです」と言われていて……「ごめんね」って(笑)。
あとは、「ショッカー戦闘員」のイントネーションですね。“ショッカー戦闘員”ってワンワードで言いがちなんですけど、「当時は“ショッカー・戦闘員”みたいな、間に中黒がある感じの言い方だったと思います」と指摘させていただいて、それは全編で統一されていました。
ーー最後に、序盤の見どころや楽しみにしてほしいポイントをお聞かせください。
鈴村:僕も初めて原作を読んだ時は、「これはどんな話なんだ?」と思っていました。「ただひたすら仮面ライダーになりたい人が、街で騒動を起こす物語なんだろう」と予想していたら……実際にショッカーが出てくる訳ですよ。「えっ、現実の世界にショッカーがいるの? この世界においても『仮面ライダー』ってフィクションでしょ?」と。原作でも理由は明かされていないですけど、「ショッカーがいる」という事実はこの物語の最大の謎でもあり、大きな軸になっていきます。そこから“戦う対象”が生まれていく。その先でどう展開していくのか、物語のうねり方も含めて、前半の見どころになってくると思います。
[インタビュー/小川いなり]




































































