
「登場人物それぞれがユーリにだけ心を開く瞬間がある」──アニメ『グノーシア』リレーインタビュー第4回 ユーリ役・安済知佳さん
「ご飯で言う白米になりたいと思っていました(笑)」
──ユーリはアニメオリジナルのキャラクターですが、どんな印象を持ちましたか?
安済:見た目は中性的で可愛らしい印象なんですけど、言葉づかいがしっかりしていて、どこか生真面目なところがあるなと感じました。あまりラフな言い回しをしないところが、ループする世界に真っ直ぐ向き合おうとする芯の強さに通じている気がします。
一方で、ふとした瞬間に“抜け”があるというか、少し不安定なところもあって……。そこが逆に人間らしくて、魅力的だと感じました。
──プレイヤー視点でもあるユーリを演じるうえで、意識されたことはありますか?
安済:完璧でもなく、議論に強いわけでもなく、詰めが甘いとも思える未成熟な感性で、登場人物みんなと対話していく。いつも一生懸命。だから応援したくなるし、登場人物それぞれがユーリにだけ心を開く瞬間がある。
そのピュアな魅力を出せたらいいなと思いましたし、とにかく個性が強い人たちを相手にするので、誰と話しても合う、ご飯で言う白米になりたいと思っていました(笑)。あとユーリ自身も“何も知らない状態から物語に巻き込まれていく”立場なので、私もできるだけフラットな気持ちで臨むことを意識していました。
共演される皆さんが本当に素晴らしくて、「お芝居にきちんと反応していけば、自然とユーリが立ち上がってくるはず」と信じて、全力で飛び込むような感覚で演じていました。
──音響監督とのやりとりで、印象に残っていることは?
安済:台本に「……」がとにかく多かったんです。最初は全部真面目に拾って演じていたんですが、それだと少し頼りない印象になってしまって。「ここはあえて無視していいです」とディレクションをいただいてからは、間の取り方にも少しずつ慣れていきました。
アクションバトルのような派手な演出がないぶん、テンポと緊張感で物語を引っ張っていく必要がありましたし、言葉も難しいので「どこを際立たせるか」を細かくディレクションいただきました。音響監督の納谷さんのディレクションはいつも丁寧で考えも明確で心強かったです。
──第4話まで放送されましたが、物語が進むにつれて、ユーリはどんどん議論が上手になっていきますね。
安済:そうですね。ゲームでは“ステータス”という概念があって、直感やステルスなどの数値が成長していくのですが、ユーリもどんどん成長していくんだなと。
嘘のつき方もどんどん上手くなっていって、「意外とロジカルじゃん」と感じた瞬間もありました(笑)。最初はまっさらな状態で、少しずつ経験を積んでいく。その成長のグラデーションを、ちゃんとお芝居に乗せられていたらいいなと思っています。
──ユーリ以外で、特に気になったキャラクターや、印象に残っているキャラ同士の関係性があれば教えてください。
安済:どのキャラも魅力的で「箱推し」状態ですが、関係性でいうとセツと沙明。沙明の詳細についてはこの先の展開になるので伏せますが、2人の掛け合いのシーンは、作中でもかなりお気に入りの場面なので、楽しみにしていて欲しいです。
あとはしげみちとオトメも好きです。キャストを知ったときは、あまりに(配役が)ぴったりで「それだ!」と思わず声が出ました(笑)。
──もしご自身が『グノーシア』の世界にいたら、どんな立ち位置で動くと思いますか?
安済:グノーシア側よりは、守護天使をやりたいです!自分の発言で引っ張るというよりは、周囲の声を聞いて「誰を守るべきか」を判断する方が得意かもしれません。でもきっとみんなの議論が凄過ぎて、すぐ流されて守るべき人じゃない人を守ってしまうんだろうな……(笑)。
「心地よい苦しみをたくさん味わえた現場でした」
──今回、『グノーシア』の現場に参加して、刺激を受けた点を教えてください。
安済:本当に皆さんすごい方ばかりで……。言葉で戦うこの作品の中で、それぞれのキャラが説得力をもって立っている。その中に混ざって芝居をすること自体が刺激でしたし毎回感情を大きく動かされていました。
刺激が強過ぎて気持ちが持っていかれる日々で、心地よい苦しみをたくさん味わえた現場でした。そしてとにかく楽しかったです!
──本作では“嘘をつく”“正体を隠す”といった、キャラクター自身も“演じる”シーンが多く描かれています。ご自身が役者として役を演じるうえで、大切にしていることを教えてください。
安済:めちゃめちゃあります。最近は特にこれ、も実はあります。でもそれをお客様に知られて、その背景を踏まえて物語やキャラクターを観られるのが苦手で……なので秘密です!インタビューにとても不向きで申し訳ありません……。あ!ある意味、裏側をみせないことが大切にしてることになるのですかね…?
──では安済さんご自身がお仕事の中で「楽しい」と思うのはどんなときですか?
安済:掛け合いの中で、相手のお芝居に思いがけず心を動かされたときですね。前提として常に心は動かしていますが、いい意味で想定外がきた時に、わたしの台詞も想定外の息や感情で言うことになる。そしてそれが想定より正解を叩き出した時の感覚はいつも楽しいです。
──最後に、読者や視聴者の皆さんにメッセージをお願いします。
安済:ゲームをプレイされた方には、「あ、ここ原作では描かれていなかった!」と感じてもらえるような演出が随所にちりばめられています。時間の流れや会話の間に感情がにじんでいて、美術も含めてキャラクターたちが立体的に感じられると思います。
一方で、アニメから『グノーシア』の世界に入った方にとっては、「なんなんだこれは!?」の連続かもしれません(笑)。でも、実はその“謎”こそがこの作品の一番の魅力。「グノーシアって何?」「銀の鍵とは?」と、気になることが次々に出てくると思いますが、ぜひ最後までじっくり追いかけてみてください。
原作者の川勝さんが「このアニメは“ユーリの宇宙”を描いた物語」とおっしゃっていて、その言葉がとても印象に残っています。アニメを観て「グノーシアの世界って面白いな」と思っていただけたら、ぜひゲームでも“自分だけの宇宙”を体験してみてほしいです。
アニメ版では、ここからさらに個性豊かなキャラクターたちが続々と登場しますし、キャストの皆さんのお芝居も本当に素晴らしいので、ぜひ最後まで『グノーシア』の世界を楽しんでいただけたらと思います。
【放送情報】
2025年10月11日(土)より放送中
TOKYO MX 毎週土曜 24:00~
BS11 毎週土曜 24:00~
とちぎテレビ 毎週土曜 24:00~
群馬テレビ 毎週土曜 24:00~
テレビ愛知 毎週土曜 25:45~
MBS 毎週土曜 26:08~
AT-X 毎週月曜 23:30~
【配信情報】
ABEMA・dアニメストアにて10月11日(土)より毎週土曜24:00~地上波同時配信
ほか、各配信プラットフォームにて10月14日より毎週火曜正午以降順次配信
※放送・配信日時は変更になる場合がございます
作品情報
あらすじ
“人間に化けて人間を襲う未知の敵”─── 「グノーシア」が船内に紛れこんだことを受けて、乗員たちは疑心暗鬼の中、毎日1人ずつ疑わしい者を投票で選び、コールドスリープさせることを決める。
グノーシアを全てコールドスリープさせることができれば人間の勝利。
逆にグノーシアを当てられなければ、乗員たちは襲われてしまう。
正しい選択が求められる中、なんと主人公・ユーリは、どのような選択をしても、最初の1日目にループする事態に。
はたして乗員たちは正しい選択をすることができるのか?
タイムリープに隠された秘密とは?
そして明らかになる、乗員たちの隠された素顔とは──?
わずかな時間を繰りかえす、一瞬にして永遠のような物語が、いま、幕を開ける。
──それでは、良い旅を。
キャスト
(C)Petit Depotto/Project D.Q.O.


















































