
最終回を迎えた今、制作陣がこれまでの旅路を振り返る──アニメ『グノーシア』リレーインタビュー第24回 監督 市川量也さん(domerica)×シリーズ構成・脚本 花田十輝さん×プロデューサー 木村吉隆さん(アニプレックス)
「末永く愛していただけたら嬉しいです」
──第19話以降はアニメオリジナルの展開も増えていきますが、今の流れはどのようにして生まれたのでしょうか。
花田:すごくシンプルに言うと原作ではゲームのシステムを使って行くことになる「トゥルーエンドに行くにはどうしよう?」という話から始まった感じです。そこでまずノーマルエンドの翌日ってどうなっているんだろう、きっとこうなっているよねという推測を重ねていって、物語を組みたてていきました。
最初は僕、「もうテレビアニメの画面にゲームそのままのギミックを出してしまおう」と言ったんです。ゲーム原作のアニメ化の場合『CLANNAD』みたいに無理に繋げなくても別ルート的に提示すれば視聴者は受け入れてくれるからって。けど、それは木村さんが嫌だと(笑)。せっかくアニメにするんだから、一つのお話として繋げたい。という話になって、それで頑張って考えて、今の形になりました。
とはいえゲームではシステムを使って世界線越えてる部分を、物語で越えろっていうお題ですからね。内心「どんだけ難しいと思ってんだよっ! 考える方の身になってくれよ」って思ってました(笑)。
木村:トゥルーエンドのギミックは、最後の最後まで議論しましたね……銀の鍵まわりは、終盤のエピソードからの逆算で第4話を直したりもしています。
花田:「銀の鍵は一体、扉を開けたらどこにいくんだ?」、「開けたら閉じるとはどういうこと?」、「銀の鍵を抜くというのは、どういう行為なのか?」と、ずっとそういう話をしていましたね。
市川:第19話で船を降りるのも花田さんのアイデアでした。
花田:原作ゲームにこの後の船の行き先については断片的に情報があり、軍港に寄るかどうかの部分についても言及があったので、ずっと船内だったこともあり、場面を変えたら面白いかも、と思ってあの形にしました。
ただその影響で、原作でも有名なラキオの「1/2泥棒」のセリフがどうやっても入らない。仕方ないので話に合わせて正直に「2倍泥棒」にして「これで許して」って思っていたんですけど、放送見たら意図を分かって、好意的に受け入れて下さってる視聴者の方が非常に多くて、本当にありがたかったです。
木村:アニメオリジナルのエピソードを作っているところも、その手がかりは原作にあるものがほとんどです。第17話の最後に「ユーリはセツを助けるために大怪我をした」という設定が出てくるのですが、この手がかりはノーマルエンドでしげみちが口にする「ルゥアンではオマエが助けてくれたんだろ?」というセリフです。
本来はセツが乗員たちを救っているのですが、セツの存在が消えたことによって、しげみちの認知では主人公が救ってくれたことになっている。その存在の差替が効くということは、主人公は救助に関わっているのではないか? と。花田さんはそういったところからエピソードを組みたててくださっていて、本当にすごいなと思いました。
市川:原作の余白に対する解釈というか。そこは本当に緻密でした。
木村:あとはやっぱり、最終話のマナンのエピソードですね。原作のトゥルーエンドをなぞりつつ、アニメ『グノーシア』としてのギミックも入っていて。個人的に印象的に残っているのは、マナンを追いつめるときに投票のシーンを追加したことです。
あれは花田さんのアイデアで、アニメ『グノーシア』としての集大成になっているように思いました。これが最後の投票なんだなと思うと、感慨深さもありましたね。
──連載共通の質問を花田さんにお伺いしたいのですが、今回『グノーシア』に関わられる中で刺激を受けたことを教えてください。
花田:『グノーシア』という作品で言うと「このくらい尖っていても、今のお客さんは楽しんで見てくれるんだ」というのがわかったことは、すごく新鮮でした。僕も長くこの業界にいるので、いわゆるイケメン男子や萌え少女みたいなキャラクターでないと受けない時代も見てきたんです。
でも最近はそういう枠をとりはらって、面白いものは面白いという空気がある。作り手のとがった感性に刺激を受けました。それと何より放送を見ていて思うのは、キャストの皆さんがすごく楽しそうなんですよ。SQちゃんなんか、演じていて楽しくてたまらないんだろうなと。いろんな可能性がこれからの作品づくりの中にあっていいんだろうなと思いました。
──最後に、全21話を見届けてくださった視聴者の皆さまに向けて、一言ずつお願いします。
木村:まずはスタッフサイドとして、ずっと面白いと思っていたものを皆さまに見ていただけて、感想をシェアできるようになったことがすごく嬉しいです。アニメとしてできる最大限のもの、自分たちなりの『グノーシア』をやりきれたと思っているので、後悔は一切ありません。
毎週たくさんの方にアニメを見ていただいて、コメントを寄せてくださって、ファンアートを描いていただいて、グッズを手にとっていただいて。まるでお祭りのような日々でした。僕たちにとってアニメ『グノーシア』の経験は、1度しかできないものです。見てくださった皆さまにとっても、これがかけがえのない思い出になっていたら幸いです。
花田:どんなアニメもそうですが、原作を本当の意味でそのままアニメにするのは、ほぼ不可能です。場合によっては主人公を作って、セリフを足して、イベントにもアレンジを加えていかなければなりません。
書いているときは、それに対してお客さんがどういう反応をしてくださるか、とても不安でした。でも結果的に、面白く、楽しんで見ていただけたという感想がとても多くて。すごく嬉しかったですし、ホッとしています。それが一番大きいかもしれませんね。
市川:映像的にも演出的にも、この作品ではさまざまな挑戦ができたと思います。そういう意味では、本当にありがたい作品でした。ワンシチュエーションで、ロジカルな会話劇を映像にしていくのは大変な場面もありましたが、それだけにやりがいがありました。
キャストもスタッフも、みんながアニメ『グノーシア』に本気で向きあってくれました。最後まで見届けてくださった視聴者の皆さまには、心から感謝しています。末永く愛していただけたら嬉しいです。
【配信情報】
ABEMA・dアニメストアにて10月11日(土)より毎週土曜24:00~地上波同時配信
ほか、各配信プラットフォームにて10月14日より毎週火曜正午以降順次配信
※放送・配信日時は変更になる場合がございます
作品情報
あらすじ
“人間に化けて人間を襲う未知の敵”─── 「グノーシア」が船内に紛れこんだことを受けて、乗員たちは疑心暗鬼の中、毎日1人ずつ疑わしい者を投票で選び、コールドスリープさせることを決める。
グノーシアを全てコールドスリープさせることができれば人間の勝利。
逆にグノーシアを当てられなければ、乗員たちは襲われてしまう。
正しい選択が求められる中、なんと主人公・ユーリは、どのような選択をしても、最初の1日目にループする事態に。
はたして乗員たちは正しい選択をすることができるのか?
タイムリープに隠された秘密とは?
そして明らかになる、乗員たちの隠された素顔とは──?
わずかな時間を繰りかえす、一瞬にして永遠のような物語が、いま、幕を開ける。
──それでは、良い旅を。
キャスト
(C)Petit Depotto/Project D.Q.O.






































