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『シンカリオン チェンジ ザ ワールド』鈴木寿広チーフプロデューサーインタビュー

新しい『シンカリオン』とは何なのかをもう一度ゼロからやってみよう――『シンカリオン チェンジ ザ ワールド』ジェイアール東日本企画 鈴木寿広チーフプロデューサーインタビュー

 

中学生の頭の中ってものすごいと思う

――この『シンカリオン チェンジ・ザ・ワールド』に向けてシンカリオン自体のデザインを検討する際に、苦労したりこだわった部分はありますか?

鈴木:これは本当に難しいんですよ。新幹線というベースがあるので、まず色は決まってしまいます。また、シンカリオンは胸に先頭車両を置くのがデザインのポリシーのでもあるので、そうすると変形の仕方も決まってしまい、そんなにデザインをいじれないんです。

その中でどうやって今までのシンカリオンとの違い出すかを考えて、前作『シンカリオンZ』では在来線と合体させました。今回は「シルエットを大きく変えたい」というテーマがありましたが、同じように電車と合体させるとデザインがあまり変わらなくなってしまう。

何か大きく変えられるものがないかと考えた時に、鉄道と一緒に活躍する工事車両というところに行きついた結果、今回のシンカリオンのデザインが創られています。

 

 

――そういうことだったんですね。ストーリーについてもお伺いさせてください。過去のインタビューで作品テーマを第1期は「親子の絆」、第2期は「友情」と仰っていましたが、今回の『シンカリオン チェンジ ザ ワールド』のテーマは何でしょうか?

鈴木:確かに第1期は親子の絆や関係、第2期は友情をちゃんと描いてきました。今回はそういった大名目を掲げているわけではなく、主人公たちが中学生というのがひとつのポイントかなと思っています。

大人に成長していくタイミングなので、中学生の頭の中って色々なことに悩んだり苦労したりしてグルグル回ってものすごいと思うんですよ。

テーマとは違うかもしれませんが、友達との関係もそうですし、家族の関係とかそういったものを描こうというのはあります。

――脚本を拝見しましたが、タイセイ、アカネ、リョータの三人がすぐに仲良くなるわけではなく、色々と葛藤や衝突を通して絆が深まっていく過程が描かれていたのが印象的でした。

鈴木:中学生ってそうじゃないですか。簡単に友達を作れる人もいれば、時間をかけて友達になる人もいる。そんなの簡単と思えそうなことを、勇気を出さないと中々できなかったりもしますし。

アニメを見てくれる中学生が共感してくれたり、もう少し年齢が上の人や僕たちのような大人が「そうだったよね」と共感できるような話になっていると思いますね。

 

 

「チェンジ ザ ワールド」は「今までと世界を変える」という自分たちの決意

――過去に何度かイベントに参加しているファン目線の質問で恐縮ですが、質問コーナーで「0系や200系のような初期型シンカリオンを見たい!」という希望が出た記憶があります。こういったファンの希望が叶う可能性はありますか?

鈴木:新幹線である限りは劇中に出そうと思えばできると思うので、もちろん可能性はあると思いますよ。これ以上は言えないかもしれないな(笑)。

――そんな匂わせだけでもファンは喜ぶと思います。

鈴木:ただ、『シンカリオン』の要素の一つとして、例えばホームに停車している新幹線を見て「これがシンカリオンに変形するのか」と想像してもらえることがあります。実際に運行している車両でないとそういった楽しみが減ってしまうので、その点で中々やりにくいというのはあります。

――「可能性は、ゼロじゃない!」というやつですね。

鈴木:まさに「可能性は、ゼロじゃない!」ですね(笑)。

 

 

――ちなみに西九州新幹線「かもめ」は運用開始が『シンカリオンZ』の放送終了後だったので、玩具やショートWebノベライズのみの登場となりました。こういった放送していない期間に運用開始や発表があったり、玩具のみの展開だった新幹線が登場する可能性はありますか?

鈴木:それも可能性はあると思います。ただし、たしかに放送終了後に玩具で登場したシンカリオンも幾つかありましたが、基本的には『シンカリオンZ』のくくりでの玩具展開なので、あれがそのまま出てくることはありません。

例えば西九州新幹線「かもめ」などが本作に出てくるか否かで言うと、出てくる可能性はあるかなというところですね。

※編集部注:タカラトミーから発売中の『シンカリオン』の玩具は『シンカリオンZ』から『シンカリオン チェンジ ザ ワールド』に切り替わる際に、型番も「シンカリオンCW」と別シリーズ扱いになっている

――玩具の話でもうひとつ伺いたいのですが、エヴァンゲリオン2号機が玩具で先に「シンカリオンZ 500 TYPE EVA-02」として展開されていましたが、今回も『エヴァンゲリオン』や『ハローキティ』のようなコラボの予定はあるのでしょうか?

鈴木:もともと『シンカリオン』という作品は原作のないオリジナル作品として始まっているので、いろいろなコラボをしながら多くの人たちに見てもらえたら良いなという想いでやってきました。あと、シンプルに僕が『エヴァ』が大好きだったので、やりたかったというのもあったんですけど(笑)。

 

 
ただ、今回はコラボは積極的に考えていません。これまではそういったコラボもシンカリオンのひとつの要素としてやってきたと思います。しかし、今回は過去のシンカリオンを引きずらないという方針があったので、コラボ要素も引きずらないでシンカリオンそのもので勝負していこうという気持ちがあります。。

――その方針でいくと、過去シリーズに登場した発音ミクや月野メーテルのような、他作品コラボのキャラクターも今回は出さないということですか?

鈴木:もちろん宣伝的なタイアップやコラボとかはあるかもしれませんが、アニメ本編でのコラボはあまり考えていないですね。

――お話を伺っている限りでは、過去シリーズ以上にシンカリオン濃度が濃いめの1年間になりそうです。そんな方針の象徴として副題に「チェンジ ザ ワールド」と付けられたのでしょうか?

鈴木:副題を付けないという考えは最初から無かったんです。これまで『新幹線変形ロボ シンカリオン』『新幹線変形ロボ シンカリオンZ』ときて、今回が『シンカリオン チェンジ ザ ワールド』。「チェンジ ザ ワールド」ではない別の副題を付ける案もありましたが、この「チェンジ ザ ワールド」という副題は「今までと世界を変える」という自分たちの決意もあると思います。

自分たちに言い聞かせている部分もあるし、リアルとメタバースの世界を相互に行き来するという設定を物語っている部分でもある。そういうことを総合的に考えていくと、最終的に「チェンジ ザ ワールド」が良いかなと決まりました。

 

 

――副題がついたことで「チェンジ ザ ワールド=世界を変える」と壮大さを感じました。

鈴木:だからロゴにはもちろん『新幹線変形ロボ』と入りますが、それよりも『シンカリオン チェンジ ザ ワールド』が目立つようにしているんですよ。おかげさまで世間的に「シンカリオン=新幹線変形ロボ」と認識していただいているので、あえてそこは強調する必要はないよねと考えた結果です。

ロゴのデザイン的にも「新幹線変形ロボ」の部分は小さくしていますし、逆に『シンカリオン チェンジ ザ ワールド』の部分を大きくしています。

――余談で恐縮ですが、壮大つながりでひとつ大きな質問をさせてください。鈴木さんがJRに限定せずに好きな電車や新幹線を劇中に出せるとしたら何を登場させたいですか?

鈴木:なんだろう(笑)。そろそろ海外の電車を出してみたいですね。

――台湾新幹線とかですか?

鈴木:台湾もいいですが、ドイツのICEやフランスのTGVといったヨーロッパの電車を出してみたいです。
ただ、どういう風に劇中に組み込むかとなると難しいです。ドイツに行かなきゃいけない話って何だろうとか、そう簡単にはできないとは思いますけど。

でも、僕としては海外の電車を出してみたいなと思いますね。やはりヨーロッパの電車は日本とは全然デザインが違うんですよ。アジアだと日本のデザインに少し近しい部分もあるので、ヨーロッパの電車を出したいなと思ったりします。

 

 

――この記事が公開されるのは第1話の直前です。第1話で注目してほしいポイントなどがありましたら教えてください。

鈴木:これまでの『シンカリオン』を知っている方はそれをイメージしながらご覧になるかもしれないし、初めて『シンカリオン』に触れる方はまっさらな気持ちで見ると思います。

いろいろと大きく変わった部分があるとしても『シンカリオン』らしさや要素を感じられる作品になっていると思いますので、そういうところを楽しみにしてもらえたらなと思います。

[取材・記事/岩崎航太 編集/石橋悠 写真/小川いなり]

 

作品情報

シンカリオン チェンジ ザ ワールド

あらすじ

かつて、突如として現れた正体不明の敵・アンノウン。

「超進化鉄道開発機構」通称「ERDA(エルダ)」は、対抗手段として新幹線が変形するロボット「シンカリオン」を開発し、脅威に備えていた。

「何かを守れる、カッコイイ人に…僕は…」

中学2年生の大成タイセイは、2年前に失踪した姉の手がかりを求めて、進開学園中等部に転入する。

その矢先、10年ぶりにアンノウンが出現。偶然にもタイセイがシンカリオン運転士として高い適性値を持つことが判明し、闘う決断を迫られることとなる。

アンノウンの正体、そして目的は何なのか…。闘いの末に見えてきた真実とは…。

少年たちの決意と成長の物語が、今、始まる―。

キャスト

大成タイセイ:石橋陽彩
フォールデン アカネ:小野賢章
九頭竜リョータ:土屋神葉
ビーナ:集貝はな
青梅マイ:本渡楓
浜カイジ:田中正彦
高輪カドミチ:小林親弘
津川アガノ:村井雄治
岩見沢ソラチ:渡辺紘
落合ミヨシ:石井未紗
川越タンゴ:斉藤次郎
大成イナ:喜多村英梨
魚虎テン:藤原夏海
五稜郭シオン:田澤茉純

(C)プロジェクト シンカリオン・JR-HECWK/ERDA・TX

 

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