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『TO BE HERO X』監督が作品に込めた思い – SNS社会・ネット社会の矛盾を考える

『TO BE HERO X』リ・ハオリン監督が作品に込めた思い「情報が溢れる社会でも自分の軸をしっかりと持って、容易に影響されないことが重要なのかも」

 

澤野弘之さんの楽曲は期待通り。この一言に尽きます

──メインキャラクターとなるヒーローは10人。最初からその人数で進めようと考えていましたか?

Haolin:「信頼値」が力になるという世界観となると、力が数字化されることになる。そうなると自然とランキングというのが頭に浮かんできました。それならトップ10が分かりやすいと思い、10人のキャラクターたちをメインで物語を作ろうと構築していきました。

 

 

──メインキャラクターそれぞれの掘り下げの分量や配分はどのように決めましたか?

Haolin:最初に、本作の世界に至ったのにはどういう事件があったのかなどを考えて年表を作りました。その後、キャラクターごとの年表も作って、その人物がどんな事件に関わるのかを考えていったんです。そのなかで、配分も決めていきました。例えば、ロリに関しては分かりやすい成長をするので、少なめの話数にしています。

だからといって、キャラクターを深掘りしないというわけではありません。他のヒーローがメインのストーリーにも登場して交流することも考慮して、各キャラクターを適切な話数で分配しました。

──2D・3Dの融合も本作の特徴です。その制作方式にしようと思った理由を教えてください。

Haolin:本作の世界観を思いついたあと、「この世界でいちばん強いヒーローはどういう能力を持つ者なのか」という質問があったんです。そこで、違う次元を行ったり来たりできる能力がカッコいいのではないかという発想になって。それなら2Dと3Dを融合させる映像表現がいいのではと考えました。

加えて、我々が一緒に仕事をしてきたスタジオはそれぞれに2D・3Dと得意ジャンルがあるんです。それならみんなが得意なことを活かした作品を作れないかと思い、2022年にひとつのPVを制作しました。それの反響がよかったので、本編でも同じような表現にすることにしたんです。

 

 

──音楽の面についてもお聞かせください。今回、澤野弘之さんの参加は監督からのリクエストだったとお聞きしました。

Haolin:はい。澤野さんを指名した理由は3つあって。一つ目は、以前に一度仕事をしたことがあって、そのときに分かり合ってスムーズにお仕事ができたこと。二つ目は澤野さんの楽曲はテンポ感がよくてリズムに勢いがあるので、ヒーローものにふさわしいと思ったから。そして三つ目は、中国国内でも有名な作家さんなので、各所から「ぜひ一緒にやりたい」という声が挙がったからです。

──実際に澤野さんが作った楽曲を聞いたときの印象はいかがでしたか?

Haolin:期待通り。この一言に尽きます。リズムがよく、聞いたらすぐにノリノリになれますし、一度聞いたら頭から離れません。作品の雰囲気にもすごく合っているし、いい音楽を作ってくださいました。

 

情報が溢れている社会でも自分の軸をしっかりと持つことが重要かもしれない

──本作をはじめ、中国のアニメスタジオが制作された作品を日本で目にする機会も増えてきたように思います。ぜひ監督から、中国のアニメーション事情についてもおうかがいできればと思います。

Haolin:日本のアニメといちばん異なる点がテレビ放送ではなく、最初から色々なプラットフォームで配信することが前提になっていることです。あとは、2Dよりも3Dアニメーションの発展のほうが早いのも特徴ですね。2Dの作画をするアニメーターさんは何年か勉強や経験をしないと一人前にはなれず、人材が育つまで時間がかかります。3Dももちろん勉強や経験は必要ですが、2Dよりは比較的マシなんですよね。加えて、モーションキャプチャーなど、技術の進化により制作もしやすくなっています。それが3Dのほうが発展している理由ですね。

さらに、日本では1クール12話の作品が多めだと思いますが、中国は年間で配信される3Dアニメの作品が増えてきているのも特徴だと思います。

 

 

──本作はヒーローが題材の作品ですが、監督はヒーローとはどういう存在だと思いますか?

Haolin:落ち込んでいる人たちに希望を与えたり、エネルギーを与えたり、励ましたりできる人が真のヒーローではないかと思っています。最近、街中で赤の他人なのに助ける、問題が起きたら手を差し伸べる人の姿を映す動画を見かけることがあります。そういった姿を見ると、思わず感動しますね。ああいう行動はすごくヒーローっぽいなと思います。

──監督が本作を通じて伝えたいこと、伝わればいいなと思っていることを教えてください。

Haolin:ネット社会、SNS社会になっている昨今は、色々な情報が溢れていると思います。そんな中でも自分の軸をしっかりと持って、自分がやりたいこと・大切にしている考え方はブレずに、あまり容易に影響されないことが重要かもしれない、ということをメッセージとしては込めています。

──改めて、今後の見どころを含めたメッセージをお願いします!

Haolin:引き続きヒーローそれぞれの物語が描かれていきますが、それがどんどんつながっていきます。どんなクライマックスを迎えるのか、ぜひ楽しみにしながら、最後まで作品を見ていただけたら嬉しいです。

 
[M.TOKU]

 

作品情報

TO BE HERO X

あらすじ

異彩を放つヒーローたちが喝采を浴びる世界。
ここでは、「信頼」がスーパーヒーローを生み出す。

人々が「彼は空を飛べる」と信じれば、その男は飛行する能力を手に入れる。
逆に特殊な力を持つヒーローでも、信頼を失えば能力もまた失われる。

信頼はデータとして集計され、その数値によってヒーローのランキングが変動する。
2年に一度、トップランクのヒーローたちが集い繰り広げるヒーロートーナメント。
そこでのパフォーマンスによって「信頼値」が更新され、ランキングは再構築される。

ランキングの頂点に立つ絶対的なヒーロー、人はそれを「X」と呼ぶ――

キャスト

X:宮野真守
クイーン:花澤香菜
梁龍:内山昂輝
黙殺:中村悠一
リトルジョニー:松岡禎丞
ロリ:佐倉綾音
ラッキーシアン:水瀬いのり
トラ:山寺宏一
魂電:島﨑信長
ナイス:花江夏樹

(C)bilibili/BeDream, Aniplex

 

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