
『おそ松さん』10周年:第4期で描く“6人一緒”の夏と生活感|小高義規監督インタビュー
『雷雨と角刈り』には、すべての感情が入っている
──第4話『縁日』は、赤塚先生の命日(8月2日)にあわせたメモリアルなエピソードでもありましたが、作画のカロリーがかなり高かったのではないかと感じました。
小高:第4期は、赤塚先生の生誕90周年というタイミングで放送しているので、この回は赤塚先生への感謝も込めて、最終回くらいの勢いでやってしまおうと思っていました。ただ、メインで演出をしてくださった方含めて、作画さんも「描いても、描いても終わらない」状況になっていたと思います。お神輿を担いで全国を回る場面も、キャラクターに合わせて歩調を変えなければいけませんから。
──全員同じ動きで良ければそのぶんカロリーも減ったでしょうけど、そういうわけにはいかないですものね。
小高:お祭りをテーマにした夏らしい回にできましたが、その実、相当大変だったと思います。なので「第5話では箸休めのようなパートを作りたいね」という話になり、『安静』が生まれました。
──劇中で言っていた通りの意図なのですね(笑)。しかも第5話でははじめて2本立てになっていましたよね。
小高:そうですね。今期では日常を描いていますが、とはいえ『おそ松さん』らしいショートショートも好きなので、できる範囲で第3期までのスタイルを踏襲させてもらいました。ただ、これまでのショートショートはずっと走り続けているような勢いを感じるものでしたが、今期はいたって“平和”。『安静』だけでなく『つり仙人』も含めた第5話全体がホッと一息入れられる“休憩回”になればいいなと思っています。
──ところで、ここまで放送されたなかで、小高さんのお気に入り回はありますか?
小高:第3話『雷雨と角刈り』はやっぱりシュールでしたね(笑)。シナリオを読んだとき、「なんで角刈り?」と思ったのですが、松原さんのセンスが光るエピソードになっていて面白かったです。突然角刈りにしたくなるくらい、一松の心のなかには爆発させたい何かがあるのだなと。かくいう僕も、爆発させたい気持ちは持っていると思うので、共感できる部分もありました。それに、このエピソードひとつにすべての感情が入っていると思うんですよ。笑いも、怒りも、悲しみも、恐怖も。
──言われてみれば……。
小高:さらに感動や優しさ、不思議まで詰まっていて、“何を見せられているんだ感”がすごいんですけど(笑)。それが面白くて笑ってしまいますよね。
──この回も、テンポが肝になっているのだろうなと感じます。
小高:そうですね。松原さんと話していく中で、「角刈り回はやりすぎちゃいけないですね」という共通認識が生まれました。見せすぎてはいけない、いいところで隠して、見る人に想像の余地を与えてこそ面白いエピソードになると。コンテを描いて松原さんに見てもらうときも、「やりすぎているかどうか」を念入りに見ていただけていたような気がします。そうして、積極的に“引き算”をすることで出来上がったエピソードですね。
『おそ松さん』は共に歩んできた存在
──第4期を制作してみて、改めて感じている“『おそ松さん』を作る醍醐味”を教えてください。
小高:自然と『おそ松さん』の世界に入れて、自然と『おそ松さん』の空気を感じられて、自然と『おそ松さん』が終わっていく――。そんなアニメを作れているところでしょうか。時間の感じ方は人それぞれだと思うので、「えっ、もう終わっちゃったの? 早い!」と思う人もいれば「長い1日が終わったな」としみじみ浸る人もいるはず。僕としてはどういう尺感で捉えたてもらってもいいので、1日が終わる感覚をこの作品で感じてもらえたらいいなと思っています。そして、全話通して時間の流れをちゃんと感じられる第4期になればいいなと思いますね。
──では、この先もずっと夏を感じられる?
小高:はい、そうですね。ぜひこの先も楽しんでください。
──では最後に。小高さんにとって『おそ松さん』はどんな存在ですか?
小高:“ともに歩んできた存在”でしょうか。思っていた以上に同じ時間を過ごしている気がします。一緒に年を取っているというか(笑)。僕自身、この作品に関わり始めたときはまさかここまで長い付き合いになると思っていなかったですが……今も一緒にいるのは紛れもない事実。それが、不思議なようでうれしいですね。
作品情報
あらすじ
赤塚不二夫の名作ギャグ漫画「おそ松くん」を原作に、
大人になった6つ子たちを描いたTVアニメ「おそ松さん」。
20歳を過ぎてもクズでニートで童貞…
だけどどこか憎めない彼らが繰り広げる予測不能な日常を描き、
気付けば日本一有名な6つ子となってしまった!
あの衝撃の放送開始から今年で10周年。
新たな仲間? 新たな騒動? そして、新たな6つ子の一面も…?
4度目の大暴走を見届ける方も、初めての方も、
どうしようもない彼らと、また笑おう。
10年分の笑いと愛を込めて、
「おそ松さん」第4期、ここに開幕!
キャスト
(C)赤塚不二夫/おそ松さん製作委員会






























