音楽
『ツイステアニメ』OST発売記念|作曲家・尾澤拓実インタビュー

『ディズニー ツイステッドワンダーランド ザ アニメーション ~エピソード オブ ハーツラビュル~ オリジナル・サウンドトラック』発売記念インタビュー|作曲家・尾澤拓実が語る『ツイステ』音楽のゲームとアニメーションの違い

 

ハーツラビュル寮「Obedience」の制作秘話

──改めて、『ツイステアニメ』をご覧になっての感想をお聞かせください。

尾澤:アニメーションの画がすごく綺麗で印象的でした。バトルシーンの動きもカッコいいですし、何より枢やな先生のあの美しい絵をアニメーションに落とし込むのはすごくハードルが高いというか、素人目線でも難しいんじゃないかなと思うんです。それが見事に落とし込まれていて、髪の毛のグラデーションまでひとつひとつがすごく綺麗で、ゲームを楽しんでいる皆さんも感動したのではないでしょうか。

私自身もゲームでは描かれなかった部分がアニメーションで見られるので「こういうことをしていたのか」「こういうシチュエーションだったのか」ということがわかり、ストーリーをより深く楽しむことができました。ゲームでも結構キャラクターの表情が豊かで十分伝わりますが、アニメーションではさらにそこから動きと表情が豊かになっています。なので、自分としては、ゲームとアニメーションの両方を楽しんでもらいたいですね。

あと、日本語版だけでなく、英語版やドイツ語版なども見ているんですけど、日本語版ボイスキャストの声や表現を結構再現してくれていますし、グリムの声優さんは皆さん揃って“こういう声で話すんだ”と共通しているのがとても面白かったです。新たな発見もあって新鮮に感じられると思うので、ぜひ皆さんも外国語版を楽しんでみてください。

──魔法を繰り出すときの音や効果音もすごく印象的ですよね。

尾澤:効果音は魔法少女っぽいと話題になっていました(笑)。リドル・ローズハート(以下、リドル)のユニーク魔法の効果音が“キラ〜ンッ”みたいな感じになっていて、ゲームのほうではそういう効果音がついていないので、改めてつけるとこういう音になるんだなと面白かったです。

──ご自身の楽曲がアニメの各シーンにあてられた状態をご覧になって、どのように感じられましたか?

尾澤:ゲームで使われている曲も出てくるので、画がすごく動いているシーンにゲームの音楽があてられているという、ちょっと不思議な感覚でした。音響監督さんには良い具合に音楽をふんだんに使っていただいて、すごく感動しましたし嬉しかったです。

──アニメーションといえば、オープニングテーマ「Piece of my world (The Animation ver)」とエンディングテーマ「Obedience (The Animation ver)」も今回のオリジナル・サウンドトラックに収録されています。

尾澤:ゲーム主題歌にもなっているオープニングテーマは、ゲームのチュートリアルを終えてすぐに聴く曲ですので、それをアニメーションでも使用していただけて嬉しかったです。この曲を作ったのが2018年だったので、未だに監督生の皆さんに楽しんでいただけていること、さらに今回のアニメーションを通して世界中のいろんな国の方が聴いてくださることが本当に嬉しいですね。

オープニングはゲームでも映像が付いていましたが、エンディングで動く映像を見るのは初めてだったので「おお……!」と感動しました。

 

──エンディングテーマ「Obedience」は、どのような点に重点を置いて作られたのでしょうか。

 
尾澤:エンディングテーマはハーツラビュル寮をイメージして作ったもので、寮生1人1人の心情を表現するというよりは、寮生たちが寮長の顔色をうかがいながら淡々と従いつつ、駆け引きをしているようなイメージを歌詞に込めた曲です。

歌唱されているボイスキャストの皆さんにも「1人1人の感情を込めてください」というようなディレクションはせず、トランプ兵としてピシッとしている感じ……ある意味、無表情のような感じの歌い方にしてもらいました。ただ、リドルだけはちょっと偉そうというか、ドヤってほしい感じがあったので「ここは女王の庭だよ」「お分かりかい」みたいな雰囲気を出してもらいながら歌っていただいた曲です。

 

──基本的に、ボイスキャストの皆さんにお任せしているんですね。

尾澤:そうですね。その場でディレクションはさせていただきましたが、細かくこうしてください、感情を入れてくださいということはしていません。大筋はお任せして、ニュアンスを変えたいところはその都度調整してという感じです。

──さらに、今回はボーナストラックとして劇伴2曲も追加収録されています。

尾澤:ボーナストラックとしてジングルが入っているんですが、実はああいった短い曲というのはすごく難しくて……。4〜5秒の楽曲という指示を頂いていたのですが、その短い時間で印象づける曲にするために結構悩みました。ひとつは『ツイステ』のメロディーを使ったものを作りましたが、どちらも本当に難しかったです。

──作曲家としては、長い曲よりも短い曲のほうが作るのは難しいのでしょうか。

尾澤:そうですね。長いものは長いもので途中で飽きてしまわないようにする難しさはありますが、短いものは一瞬でインパクトを残さないといけないので難しいです。だから、CM曲を作る方は本当にすごいと思いますね。

 

楽曲の発想の源は?

──今回のオリジナル・サウンドトラックには、シーズン1「エピソード オブ ハーツラビュル」で使用された音楽が収録されています。ハーツラビュルを音楽で表現するにあたり、ゲームのときと今回のアニメーションで変わった点は何かありましたか?

尾澤:アニメーションでは、より怒りや寂しさ、やるせなさみたいなものを意識しました。ゲームよりもリドルの過去といった、キャラクターに寄せたような作り方になっています。一方で、このシーンしか使えないという限定的な曲にしているわけではなく、ハーツラビュル全体でも使える雰囲気にしています。

ただ、最終決戦のようなシーンでは、リドルの怒り、抑圧された感情が爆発したみたいなところにイメージを集中して作りました。

──リドルの爆発的な怒りが最終決戦の楽曲に反映されているんですね。

尾澤:壮大な曲にはコーラスを使うことが多いので、混声合唱の皆さんに思いきり歌っていただきました。激しめな怖い感じもあり、怒りもあり、ちょっと物悲しさもある曲になっています。

──ちなみに、楽曲の収録中、演奏者やコーラスの皆さんに尾澤さんのほうから何かディレクションはされたのでしょうか?

尾澤:1曲1曲、そこまで細かいシチュエーションを説明することはほとんどありませんでした。日常曲だったら「爽やかに」、バトルや怒りを表現したいところでは「激しめに」「ここから盛り上げてください」「ここは抑えてもらって後半から爆発してください」というディレクションをして、ちょっとイメージと違った場合は説明を加えてという感じです。

──収録されるなかで印象に残っている出来事、手応えを感じた楽曲がありましたら教えてください。

尾澤:皆さん、素晴らしい演奏家の方々なので全てに手応えがありましたが、印象的だったのは、やはり「Theme of Twisted-Wonderland」を新たに録り直したことでしょうか。当時の演奏家の方たちとは違うチームだったんですけど、6年ぶりに録り直すということで、またすごい迫力で生まれ変わったことに感慨深いものがありました。自分で言うのもあれですけど、「この曲すごいな!」と(笑)。やはり『ツイステ』の中でも代表的な曲だと感じましたね。

 

──本当に『ツイステ』の代名詞とも言える楽曲だと思います。そんな素敵な楽曲たちは、どこから生まれるのか、どこから発想を得るのか気になります。

尾澤:やっぱりディズニー作品や映画などを見てきて、自分の中に残っているイメージみたいなところから拾っているんじゃないかなと思います。

あとは基本的に絵からイメージすることが多いですね。キャラクターデザインや背景美術の設定資料、絵コンテなどからシーンを想像して作っています。今回はコミック版がベースになっていたので、漫画がイメージをつかむ助けになりました。

──最初の構想と仕上がった楽曲がしっくり一致したと感じた曲はありましたか?

尾澤:そうですね……デュースが結構ブチギレるシーンが多かったんですけど、顔芸担当というぐらい表情が怒りにガラッと変わるときにかかる曲(「Inner Blaze」)のハマり具合が本当に面白くて(笑)。そのシーンをイメージして作ったわけではありませんでしたが「こんなに面白くハマるんだ!」と。「あっ怒りがくるな」と思った瞬間に始まる曲です(笑)。

 

──確かに、第5話の先輩からぶつかられて卵が割れたシーンでは、デュースの怒りに合わせて曲が見事にハマっていましたね。

尾澤:うまく使っていただいてありがたかったです。あんなに綺麗にハマるとは思っていなかったので、第5話のシーンは面白くて何度も見ちゃいます(笑)。

──最後になりますが、尾澤さんから『ツイステアニメ』オリジナル・サウンドトラックを楽しみにしている方へメッセージをお願いいたします。

尾澤:すでに手に取ってくださった方、これから聴くよという方、本当にありがとうございます。音楽を聴きながら『ツイステアニメ』のシーンを思い浮かべていただけたら、とても嬉しく思います。ちょっとしたお出かけのときに、ドライブのお供に、『ツイステ』の世界に入り込むような気持ちで楽しんでいただけたら幸いです。

曲を聴いてシーンを思い出し、またアニメを見返して……そんなふうに行き来しながら楽しんでください。ぜひ日常のひとときに『ツイステアニメ』オリジナル・サウンドトラックを添えていただけたら嬉しいです。

商品情報

『ディズニー ツイステッドワンダーランド ザ アニメーション ~エピソード オブ ハーツラビュル~オリジナル・サウンドトラック』CD発売中/デジタル配信中
品番:UWCD-1143/4
価格:¥4,400(本体 ¥4,000 税率10%)
仕様:2CD、クリアスリーブケース付き

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作品情報

ディズニー ツイステッドワンダーランド ザ アニメーション

あらすじ

<ツイステッドワンダーランド>、ここは魔法が存在する世界。
この世界で伝説として語り継がれてきた偉⼤なる存在が<グレート・セブン>。
ハートの⼥王、百獣の王、海の魔⼥、砂漠の魔術師、美しき⼥王、死者の国の王、茨の魔⼥。
そして<ツイステッドワンダーランド>において、名⾨魔法⼠養成学校として君臨し、これまで優秀な魔法⼠を多く輩出してきたのが「ナイトレイブンカレッジ」。
学園⻑の下には「グレート・セブン」に倣った7つの寮が存在し、それぞれを7⼈の寮⻑が束ねている。
7寮⻑の⼀⼈が<ハートの⼥王>の厳格な精神に基づく・ハーツラビュル寮の寮⻑・リドル・ローズハート。
“真紅の暴君”・リドルは、寮⽣たちを“ハートの⼥王の法律”によって厳格に⽀配し苦しめていく。
リドルはなぜ“暴君”となってしまったのか、彼が囚われているものとはーーー

キャスト

【ハーツラビュル寮】
リドル・ローズハート:花江夏樹
エース・トラッポラ:山下誠一郎
デュース・スペード:小林千晃
トレイ・クローバー:鈴木崚汰
ケイト・ダイヤモンド:小林竜之

【サバナクロー寮】
レオナ・キングスカラー:梅原裕一郎
ジャック・ハウル:坂泰斗
ラギー・ブッチ:市川蒼

【オクタヴィネル寮】
アズール・アーシェングロット:田丸篤志
ジェイド・リーチ:駒田航
フロイド・リーチ:岡本信彦

【スカラビア寮】
カリム・アルアジーム:古田一紀
ジャミル・バイパー:二葉要

【ポムフィオーレ寮】
ヴィル・シェーンハイト:相葉裕樹
エペル・フェルミエ:土屋神葉
ルーク・ハント:糸川耀士郎

【イグニハイド寮】
イデア・シュラウド:内山昂輝
オルト・シュラウド:蒼井翔太

【ディアソムニア寮】
マレウス・ドラコニア:加藤和樹
リリア・ヴァンルージュ:緑川光
シルバー:島﨑信長
セベク・ジグボルト:石谷春貴

【ナイトレイブンカレッジ関係者】
ディア・クロウリー:宮本充
デイヴィス・クルーウェル:伊東健人
モーゼズ・トレイン:小山力也
アシュトン・バルガス:竹内良太
サム:木村昴

【その他】
闇の鏡:堀内賢雄
チェーニャ:濱健人

円満雄剣:阿座上洋平
グリム:杉山紀彰

(C)2025 DISNEY ENTERPRISES, INC.

 

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