
『東島丹三郎は仮面ライダーになりたい』ドランクドラゴン・塚地武雅さん×はりけ〜んず・新井義幸さん×東島丹三郎役・小西克幸さんインタビュー前編|アラフィフ世代は“変身”したい!? 特番収録で生まれた「ライダー愛」の循環
第13話までの名シーンを語り尽くす
ーー番組内で語りきれなかった作品の魅力や「ここもいい!」と思ったシーンはありますか?
小西:いっぱいあるんですけど、個人的に好きなエピソードの一つは、第6話の冒頭で「蜘蛛男にライダーパンチを放つ」シーンですね。あのライダーパンチは一番いいライダーパンチだったと思います!
一同:(笑)
小西:一葉も同じことを言っていましたが、アフレコでも「今日、一番いいライダーパンチが出たな」と。
新井:やっぱりそうなんですね。
小西:「仮面ライダーは逃げない!」と言ったあとで怪人に放つ、想いのこもったライダーパンチ。気持ちの強さというか、個人的にも一番気合が入りました。
塚地:あれで確信に変わりますよね。
新井:蜘蛛男にも仮面ライダーが見えているというのも堪らないです。
塚地:第1話で学生時代の東島が不良グループに絡まれるシーンも好き。「戦うなら悪と戦え!」のセリフで、説得力を感じたというか。それまでは東島が滑稽な人間に見えていたけど、小西さんの声が乗って「東島の方が正しいんじゃないか」と思わされました。あれは割と芯を食っている言葉ですよね。
新井:僕は第10話のタックル(ユリコ)と仮面ライダー(東島)の戦いが好きですね。最終的にはタックルが勝つじゃないですか。上映会の時に、声を担当された茅野愛衣さんにお会いしたのですが、気遣いのある素晴らしい方だったんですよ。 そんな方の声で、東島に向かって「このおっさんが!」って言うんです。 こんなことを言うのは問題かもしれないですけど、僕のMっ気が……(笑)。
塚地:むしろ言ってほしいくらい?(笑)
新井:茅野さんご自身は絶対言わないでしょうけど、タックルの「このおっさんが!」は最高でしたね。
小西:僕もあれだけ泥臭い茅野さんの叫びは初めて聞いたので、びっくりしました。普段は綺麗な女性の役を演じられることが多いと思うので、「こんなお芝居をされるんだ……!」って。この作品はテストの時から、割と100%でやっているんですよ。なので、本番の時には声が出なくなってくるんです(笑)。 でも茅野さんはテストを100%でやりつつ、本番は更に上を行く。200%くらいの叫びを出されるので、「本当にすごいな」と。
新井:東島にかける「電波投げ」の叫びも凄まじかったですよ。
小西:その後の第11話で描かれたユリコと三葉の戦いも良かったですね。三葉のヘルメットが脱げちゃうシーンで「うわっ!変身解けた」って。
新井:その時点で「気持ちが負けている」という。
塚地:三葉が合気道を使うのもいいんですよ。
小西:分かります!
塚地:「受け流す方の勝ち方」をするみたいなディティールも最高です。
ーー番組内では、三葉が目指すライダーマンのカッコ良さを語られていましたね。
塚地:タックルもそうですけど、いわゆる本編においては不遇というか、ちびっこの眼中にはいりにくいというか……。
そういう人たちに焦点を当てているのも、この作品の面白さだと思います。そんな三葉と一葉の戦い(第9話)も良かったです。 V3とライダーマンの対決でもありながら、兄と弟の対決にも綺麗にリンクして。
小西:ライダー愛の叫び合いがいいですよね。
新井:「らぁあああああ」って。
小西:東島が釣られて「らぁあああああ」と叫ぶシーンを録ったんですけど、音響監督から「ここはビブラートさせてください」みたいな指示があって(笑)。
新井:どういう注文なんですか!?(笑)
小西:すごくこだわって演じました。
ーーそれこそ電波人間タックルも、本編でそこまで勝つことは少ないですよね。
新井:そうですね。戦闘員には勝つんですけど、だいたい怪人には負けてしまいます。
塚地:変身はすれど、ライダーには数えられなかった時期もあるから。
新井:そんなタックルが一番強いというのは、しびれる展開ですね。
ーー一方で、中尾のストーリーには感動させられます。
塚地:この作品には欠かせない人物ですよ。「正義のショッカー」になる人たちが現れる展開も面白いですし、その理由が「愛を知ったから」というのも深いですよね。バトル漫画でありつつ、「愛って何なんだ」という話になってくるというのは。
新井:まさか泣かせにくるとは思いませんでした。
小西:お父さんの話もいいですよね。
塚地:言ってしまえば、どのキャラクターも「変態」みたいな人たちじゃないですか(笑)。
新井:俯瞰から見ると(笑)。
塚地:ただ、そうなるまでの過去の経緯を知れば、「なるほど、そりゃそうなるよね」と思えます。
ーー中尾を演じる津田健次郎さんのお芝居も光っているなと。
新井:「たい焼き美味しかったよ」というセリフなんて、一瞬で子供の頃に戻っている感じがしました。
小西:そうなんですよね。「通りすがりのショッカー戦闘員です」もすごかったです。
中尾のストーリーを見ていると「ショッカーってこういう風に作られているのかな」という裏側が見えてきます。 サンダーライコが戦闘員を狩っていましたけど、実はそれぞれに家庭があったり、野菜を育てていたりとか。「ショッカーの戦闘員はこうやって生活しているのかも」みたいなことまで見えてきて。
新井:「戦闘員よりも家庭をやっていく方が大変だ」と言っていましたね。
塚地:そこにある種のリアリティがあるからこそ、特撮の世界とも違った魅力がありますよね。
小西:そうですね。この先も色々な展開があるので、期待していただきたいです。原作の“あのシーン”も“あのキャラクター”もちゃんとやりますよ!(笑)
[インタビュー/小川いなり]























































