
『東島丹三郎は仮面ライダーになりたい』連載インタビュー第23回:監督・池添隆博さん×音響監督・山口貴之さん×音響効果・小山恭正さん中編|滑稽な人を格好良く見せる!? “リアル”を起点に生まれるアニメならではの演出
「何かをしてやろう」というプロが集まる現場
ーーアクションシーンの泥臭さも本作の大きな魅力だと感じました。本作のアクションについて、制作の際に意識されていたことはありますか?
池添: 絵コンテに魂を込めた意図として、やっぱり絵で違いを見せたかったんです。止め絵にするからこそ「パンチした時の筋張った筋肉」「本当にこの世のものならざるパンチ力」などの表現を頑張りたかった。加えて、昭和の『仮面ライダー』のアニメ映像を流してるわけだから、それにシンクロするように「ライダーの所作を頑張りましょう」と。絵に関して、こだわるべきところは絶対にそこだと思っていました。
山口: 実を言うと、音も「本当は監督はこうしたいんだろうな」という音の付け方なんです。
池添: 本当にそうですね(笑)。良いところをちゃんと突いてくれるんですよ。
山口: 「音で盛った方がやりたいことに近づくのかな」「ここは絵を見せたいから、引いてあげた方がいいんだろうな」とか。僕らは完成品を見ないで音をつけているので、予想の塊なんですけど。
音響効果・小山恭正さん(以下、小山): 先ほど池添さんが言ったように、「何かをしてやろう」というプロが集まっているから、その中で一人だけ何もやらないと取り残されていくんですよ。 毎週テストで笑ってもらったり、「おっ」と思われなきゃという気持ちで音を持っていきました。
池添:小山さんは毎回“らしさ”をくれるんですよね。
小山:お笑い芸人が「スベらないように、新ネタを毎回作らなきゃ!」みたいな感じです。
山口:こちら側から無言の圧力もかかるから(笑)。
小山:(笑)。「なんでここには音楽がないんだろう? これだけ埋まってるのに」みたいな。
池添:山口さんからのプレッシャーもあるんですね。
山口:音楽がないのは、「ここはSEでなんとかしてほしい」というメッセージを込めているつもりなんです。
池添: この関係性もすごくいいですね。ダビングは本当に楽しかったです。音に注目していただけることって、なかなか珍しいじゃないですか。
東島たちさえ恐れ慄く「異質な怖さ」を出したかった
ーー戦闘員や怪人など、ショッカー周りの演出はどのように考えていきましたか?
池添: もともとの『仮面ライダー』にも怪奇ホラー的な演出があるからこそ、アニメでもやってみたいなと。空気がガラッと変わる瞬間は、照明や色味も含め変えようと思っていました。
ーー第5話で雲田が蜘蛛男に変身するシーンも異質な雰囲気が出ていましたね。
池添:シリコンのお面が取れて、ちょっと頭でっかちになっているのが可愛くも見えるけど、実際に考えると怖いですよね。東島たちでさえ、恐れ慄くみたいな。そういう人たちがパワフルに頑張る話だけじゃない、異質な怖さを出したかったんです。
ーー 音の面では、ショッカー関連のシーンで流れる、淀むような効果音も印象的でした。
池添:そうなんです。僕もすごく気に入りました。「小山さん、ありがとう!」って思います。
小山:ああいう音はもともと好きなんですけど、今回は池添さんから「ライダーっぽい音」というオーダーもいただいたので。それらは相反する音なのですが、自分の中でも「混ぜてみる」という試みは面白かったですね。
小山:正直に言うと、「昭和っぽい音」というのは自分の引き出しにあまりないところでした。どちらかと言えば、ディストーションなどの「歪む音」が好きなタイプなんです。逆に『スター・ウォーズ』的な昔の音は、あまりやったことがないんですよ。 なので、そこと混ぜるのが面白くもあり、難しかった点でもありました。
ーー来週はいよいよ最終話が放送されます。視聴者に向けて、注目してほしいポイントを教えてください。
池添: テーマとしては、「好きを持って生きるって楽しいよね」「別に思い込みが強く、わがままに生きてもいい時があるんじゃない?」とか。そういう方を応援する番組として作ってきました。
原作はまだまだ続きますし、先生が言いたいテーマとは違った視点かもしれません。ただ、「自分もそういう気持ちを持っていていいんだな」と思っていただければいいなと。ぜひ温かい目で観ていただきたいと思います。
[インタビュー/小川いなり]
























































