
『東島丹三郎は仮面ライダーになりたい』連載インタビュー第2回:岡田ユリコ役・茅野愛衣さん 前編|ユリコがやらねば誰がやる! 熱量の高いアフレコは、余力を残しておけない“チーム戦”
アフレコ後の感想は「今日も生き抜いた」
ーーキャラクター的にも大切なところではないでしょうか。
茅野:ユリコは小さい頃からずっと「タックル道」を歩んでいて、何度もタックルの活躍を見ていると思いますけど、私自身はタックルを勉強中の身なんです。
「仮面ライダー」を通ってこなかった私は、短い期間で色々なことを見聞きしました。原作のタックルの資料を観たり、映像を観ながら物語の流れを追ったりとか。名乗りに関しては、とりあえず何度も聞くしかないと思ったので、タックルの名乗りを聞き続けて。
茅野:それでも、最初は難しかったですね。特に回想シーンでは、タックルの「ル」は発音しないことを教えられる場面から始まります。子供の頃のユリコと大人になってタックルへの愛が深まったユリコ。どちらも演じる必要があったので、助走がなかったというか。第2話にして、突然フルスロットルで始まった感覚があります。ただ、そのスピード感が面白さでもあるので、楽しいアフレコでしたね。
ーー他のキャストの方々とはどんなお話をされましたか?
茅野:鈴村健一さんはグルメな方なので、スタッフさんからも差し入れをいただくたびに、小西さんが「それはどんなお菓子なの?」と毎回聞くんですよ。そうしたら、鈴村さんが「これはこういうお菓子で……」と丁寧に説明してくださって。鈴村さんが買ってきた訳ではないんですけど(笑)、みんなで「鈴村さんに聞いてみよう」っていう流れができていて、ちょっとした話のネタになっていました。
ーーお話を伺っていると、現場の雰囲気の良さが伝わってきます。
茅野:小西さんは穏やかな方ですし、座長としてみんなをまとめてくださっています。みんなで輪になってお喋りできるような雰囲気です。
茅野:もちろん本番は本気で、私たちはチーム戦だと捉えています。とにかく勢いのある作品なので、マイクワークも激しいんです。特に後半に入ってくると、声が出なくなるくらい叫びましたね。あんなに叫ぶことって、もうないんじゃないかなと思います(笑)。
この現場に限らず、アフレコで叫びすぎて、酸欠で倒れる人もたまにいらっしゃるんですよ。実はそれくらい体を張っている仕事なんですけど、「この作品も倒れる人が出るんじゃないか?」というくらい。そうならないのも技術のひとつではありますけど、気持ち的にはそれくらい本気でやっているので、終わった後の達成感はすごいです。アフレコ終わりにみんなで打ち入りをした時、色々おしゃべりしながら「この作品の後は何てお酒が美味しいんだ……!」って(笑)。みんなで「沁みる〜!」と言いながら、お酒を飲んでいました。
ーーそれこそ戦いのあとのような感じですね。
茅野:実際に戦うシーンが多いので、収録が終わると「今日も生き抜いた」みたいな気持ちになります。それでいて、ギャグやコメディのある作品でもあるというのが面白いところです。ただ、この作品の収録のあとには、他の仕事を入れたくないですね(笑)。
茅野:エネルギーを使い果たしちゃって、余力を残しておけないというか。繊細な声を出す部分が出なくなってしまうので、ユリコをやった直後は、すごく儚いキャラクターはできないです。「まだいける!」と言っていたのは、ファイルーズちゃん位じゃないかな(笑)。実際にアフレコを生で収録を聞いて欲しいと思うくらい、どのキャラクターも力強い魅力を持っていると思います。
[インタビュー/小川いなり]






















































