
バンド初となるアニメのエンディングは「タイアップらしくない曲にしよう」──アニメ『グノーシア』リレーインタビュー第2回 エンディングテーマ担当・凛として時雨
「90秒の中にバンドの全部を詰め込む」
──今回、TVアニメ『グノーシア』に関わる中で、刺激を受けた点を教えてください。
中野:僕の場合は、TKが作ってきた楽曲に対してどうドラムを入れるかという視点なので、直接的に作品から刺激を受けたということではないのですが……。
完成したアニメを見て「この人(TK)はやっぱり天才なんだな」と実感することが多かったです。「これを表現したいから、こういうドラムを求めていたんだ」と理解できた瞬間は大きな刺激でしたね。
タイアップ作品では必ず作品のニュアンスがどこかに反映されるので、その要素と時雨の世界が掛け合わさったものに触れられるのは本当に貴重です。今回は『グノーシア』の世界でのTKの音楽を目の当たりにできたことが、一番の刺激でした。
TK:刺激を受けたことか……僕は、木村さんの熱量に圧倒されました(笑)。
木村:恐縮すぎます……。
中野:でも実際、熱量ってすごい大事だよね?
TK:そうそう。本当に大事。たとえば木村さんからある提案をいただいたとき、僕の中では「ちょっとこれはうまくいかないかもしれない」という部分もあったんです。
でもそういう時に僕の意見を伝えると、木村さんは「じゃあ別の人に確認してみます」じゃなくて、「大丈夫です、僕が決めますので」と言ってくれる。座組みや手順も大事ですけど、それ以上に「どうすれば作品がよくなるか」にみんなの視線が向いているから、クリエイティブのキャッチボールがすごくスムーズなんです。
普通に考えれば「プロデューサーと音楽を作る人が話して作品をよくしていく」って当たり前のことのように思われるかもしれません。でも実際には、色んな人を経由して誰の意見かが見えづらいこともあるんです。
その中で、木村さんは僕たちの作るものや仕掛けを信頼してくれていて、「どう使ったら面白いか」を一緒に考えてくれるんです。そういうやりとりができる現場は本当に貴重で、気持ちがすごくブーストされました。
──アニメ作品では音楽も含めて本当に多くの人が関わる制作になりますよね。今回のようなタイアップでの楽曲制作において、そうした環境ならではの難しさや課題を感じる部分はありますか?
TK:そうですね。やっぱり関わる人が多いので意図を汲むのに時間が掛かる時もあります。でも何を創り出すのが作品にとって1番なのかという目的地は一緒ですから、たくさんの人を経由しながらもそこへの焦点をずっと保ちながら、楽曲を研ぎ澄ませることが大事ですね。
でも今回は、かなりダイレクトにやり取りできた感覚がありました。通常ならフルサイズの楽曲をアニメ側に提出することはあまりないと思うんですが、僕はフルも聴いてもらいたいと思ったんです。使われるわけではなくても、言葉や世界観まで含めて共有した方がいいだろうと。
それで送ってみたら、木村さんの側から新しいアイデアが返ってきたり、「ここに懸念があるから、どう解決していこうか」と具体的なやり取りに発展したり。良い意味で、ここまでシンプルなやり取りができる現場は、実はなかなかないんじゃないかと思います。
──アニメのオープニング・エンディングは約90秒という時間的な制約がありますが、この点についてはどのように捉えていらっしゃいますか?
TK:僕は好きですね。短い方が作りやすいし(笑)、取捨選択が面白いから。むしろフルにする方が大変かもしれないです。例えば先にフルを作ってしまうと、そこから90秒にまとめるときに「ここを削ると意味が通じなくなる」と自分の中で感じ過ぎる箇所が出てしまうので。
でも最初から90秒で作れば、それがアニメサイズにおいては完全体じゃないですか。だから僕はまず90秒の中にバンドの全部を詰め込むことを優先しています。
ただ、そこにも難しさはあります。90秒を先に作ってしまうと、そのテンションのままフルに広げられるのかという問題が出てくる。しかも制作のタイミングも難しいんです。例えば、去年の12月にデモを作ったとして、その楽曲の確認に時間が掛かったりすることもあります。
フルサイズを作るまでにタイムラグがあると、時間差で1分半の熱量の続きを取り戻すのが難しい時もあります。そのお陰で全然違うエッセンスを加えられることも多いんですが(笑)。
──映像制作のスケジュールも影響しそうですね。タイアップとなると、作品の映像資料が完全に揃っているケースの方が珍しいのではないでしょうか。
TK:映像が来るのは、基本、本当に最後の最後で。今回はゲームが原作だったのでありがたかったのですが、絵コンテのみを見て作り始めることもありますね。
人によっては文字だけでもイメージを浮かべられるかもしれないんですけど、僕は文字だけだと難しいタイプで(笑)。時には10秒くらいの「アニメ化決定!」的なPVしかない状態から作ることもあります。
だからこそ、できる限り情報をかき集めて、キャストさんの声色や作画のトーンを想像しながら作っていく。その上で、本編の最後に聞く音楽、残る余韻として成り立つようにする……という感じです。
中野: TKがどんな引き出しを開けてくるかには、毎回驚かされます。俺が最初に(アニメタイアップ作品の)デモを聴いたのは『PSYCHO-PASS サイコパス』主題歌の「abnormalize」だったと思うんですけど……あのときは衝撃でしたね。「とんでもないな」って思ったし、「これからも一緒に(バンドを)やろうね」ってその場で言いました(笑)。
プロデューサー・木村さんが考える“本当に強い曲”
──ちなみに映像制作といえば、TKさんと中野さんに制作中(※取材時)のエンディング映像も観ていただきましたが、いかがでしょうか?
TK:今はCG周りの作業中なんですよね? 完成がめちゃくちゃ楽しみです。
木村:ありがとうございます。今回のエンディング映像は、作中に登場する「銀の鍵」というアイテムをモチーフにしていて。
さまざまな情報が「銀の鍵」の中で処理されているというニュアンスを、市川監督と相談して、映像の中に込めてもらっています。原作をご存じの方は「あれ、この絵は?」と気になるカットもあると思うので、そのあたりも楽しんでいただけたら嬉しいです。
中野:本編ならともかく、エンディングでもCGをここまで使うってすごいですよね。
木村:実はアニメ『グノーシア』はCGをすごく効果的に活用していて。会議の舞台として登場するメインコンソールをはじめとして、さまざまな場所が3DCGで組まれています。
キャラクターは作画ですが、どういうカメラワークでキャラクターを映すのかは、1回CGでキャラクターを仮置きしてみたりと、技術を活用しながら制作を進めています。アニメーション制作のドメリカさんがCGに強いスタジオということもあって、僕自身、こういうアニメの作り方があるのか!と驚かされる場面が多いです。
TK:なるほど。本編の延長線上でありつつ、また本編とは違うCGを使った映像が見られるのはいいですね。次の話数の動線としても、ここからまた新しい世界が始まっていく感じがしますし。
木村:楽曲が本当に素晴らしいので、それに負けないエンディング映像にしよう!とスタジオとは会話をしていました。エンディングでありながら、オープニング的な役割も担っているので、映像としても「続きが見たい!」と思わせる余韻をどう表現していくのかは大きなテーマの1つでした。
そして曲のイントロが本編の絵に食いこんでスタートすることも、今作のこだわりの1つです。アイデアを出してくださったのはソニー・ミュージックの田坂(健太)さん(主題歌協力)なのですが、そのアイデアを聞いたときに、昔ある作品で「アニメで1番強いのは挿入歌だ」と教えてもらった話を思いだして。
アニメの好きなシーンや、ワクワクした瞬間を思いだすときに、自然と頭の中で曲が流れるようなものが、本当に強い曲なのだと。
これをアニメ『グノーシア』で試そうと思ったときに、作品のクリフハンガー方式との相乗効果も狙って、新しい乗員が登場するところにイントロを重ねるのは、すごくいいのではないかと思いました。
視聴者の皆さまのワクワクする気持ちに“チッチッチッ”という音楽が重なって、すごく気持ちのいい映像体験になるかもしれないなと。そういった部分にも、是非注目していただければと思っています。
──最後に、第2話をご覧になった皆さんへ向けてメッセージをお願いします。
TK:この先、予測不能なエンディングから何が始まるのかを楽しみにしていただきたいです。ぜひ最後まで目を離さずに見届けてもらえたら嬉しいです。
中野:僕らも現時点では、この先アニメで何が描かれるのかはまだ知らないんです。だからこそ、ぜひ一緒に楽しんでいただけたら嬉しいですね。
【放送情報】
2025年10月11日(土) より放送中
TOKYO MX 毎週土曜 24:00~
BS11 毎週土曜 24:00~
とちぎテレビ 毎週土曜 24:00~
群馬テレビ 毎週土曜 24:00~
テレビ愛知 毎週土曜 25:45~
MBS 毎週土曜 26:08~
AT-X 毎週月曜 23:30~
【配信情報】
ABEMA・dアニメストアにて10月11日(土)より毎週土曜24:00~地上波同時配信
ほか、各配信プラットフォームにて10月14日より毎週火曜正午以降順次配信
※放送・配信日時は変更になる場合がございます
作品情報
あらすじ
“人間に化けて人間を襲う未知の敵”─── 「グノーシア」が船内に紛れこんだことを受けて、乗員たちは疑心暗鬼の中、毎日1人ずつ疑わしい者を投票で選び、コールドスリープさせることを決める。
グノーシアを全てコールドスリープさせることができれば人間の勝利。
逆にグノーシアを当てられなければ、乗員たちは襲われてしまう。
正しい選択が求められる中、なんと主人公・ユーリは、どのような選択をしても、最初の1日目にループする事態に。
はたして乗員たちは正しい選択をすることができるのか?
タイムリープに隠された秘密とは?
そして明らかになる、乗員たちの隠された素顔とは──?
わずかな時間を繰りかえす、一瞬にして永遠のような物語が、いま、幕を開ける。
──それでは、良い旅を。
キャスト
(C)Petit Depotto/Project D.Q.O.

















































