
『東島丹三郎は仮面ライダーになりたい』連載インタビュー第24回:監督・池添隆博さん×音響監督・山口貴之さん×音響効果・小山恭正さん後編|「ぜひ皆さんも“東島丹三郎”になって、熱いことを探していただきたいです」
アニメの音は“嘘”、だからこそ……
ーーアフレコ現場には、ショッカーの「イーッ!」を知らない世代の方もいらっしゃったようですね。
池添:そもそも『仮面ライダー』を知らない人からすれば、「ショッカーって何!?」だと思うんですよ。
山口:特に女性の若い役者さんは最初はわからず、教えてもらっていました。。男性は若くても知っている方が多かったので、どこかで見ているんでしょう。
池添: もちろん、僕らも『仮面ライダー』は当然知っていますけど、時代的に熱狂的なファンではなくて。子供の頃はちょうど放送されていない時期でした。
山口: 僕から小山さんくらいまでは、ちょうど放送がポカンと空いている世代の気がします。
小山:池添さんとも世代が近いので、多分同じくらいじゃないですか。もちろん「おもちゃを買ってもらった」みたいな思い出はありますけど。
山口:そういう世代ですね。
ーー最終回での音周りのお話もお聞かせください。
小山: 2025年3月公開のPVの時点で「仮面ライダーの音がする」とコメントもありましたけど、実は1つも使っていません。池添さんから「“本物の音”は最終回だけにしたい」と言われていたので、それまでは「似てるけど違う音」にしていたんです。僕自身に昔のイメージが刷り込まれていないからこそ、そういう音を作れたのかもしれないですね。
山口:実際、そういう物語ですから。
小山:そうですね。変身ベルトの音もいただきましたけど、使ったのは、最終回で蝙蝠男に一度やられた後だけ、“本物の音”を付けています。最後の最後で東島は「ちょっと本物に寄ったんじゃないか」みたいな意味合いです。
山口:皆さんにも盛り上がっていただきましたが、真相はそういうことでした。
小山: 面白かったのは、池添さんも「ショッカー関連の音は本物を使っている」と思っていたみたいです(笑)。実際、「イーッ!」の音もご提供いただいていたのですが、それも最後の決戦時だけ使っています。
山口:仮面ライダーはある種の「概念」だと思いますが、音も「概念」なんですよ。「こういう音だろうな」と思って聴いたら、全部本物に聞こえる。
ーーそれこそ『東島ライダー』のキャラクターたちは、概念の塊ですよね。
山口:そうなんです。だからこそ、色々な表現も全部受け入れてくれる、懐の広い作品なんですね。
アニメの音は基本的に嘘をつくもの。本物の音って面白くないんですよ。リアルな音はつまらなくて、心の中にあるリアルが良いんです。「みんなの中にある音」が正しくて、本物の音は“本物”じゃない。
小山:分かりやすい例を挙げると、銃撃音を実際に録ったところで、イメージするような音ではない訳です。『東島ライダー』に関して言うと、殴り音は、映像作品で「リアルだ」とされている音を付けても、きっと乗らないと思います。
山口:実際、「みんなの心の中の音はそうじゃない」ということは多いですね。そういう意味で、アニメの音は“嘘”だらけですよ。
ーーだからこそ、熱くなれる。
山口:心の中の音を再現してこそ、視聴者も共鳴してくれるんです。
ーー最後に『東島ライダー』を観てくださった視聴者へのメッセージをお願いします。
小山:やっぱり第2期は期待したいですよね。。自分は元々原作のファンなので、皆さんと同じ気持ちで2期をお待ちしております。
山口: 「僕らの世界にもショッカーっているんじゃないかな」と思っていただけたんじゃないでしょうか。そのワクワクを伝えられただけでも、すごくいい作品でしたし、柴田先生がやりたいこともそれだと思うんですよね。 「熱くなる人にはちゃんとその人に合う世界が待っている」みたいな熱さ。そういうものを自分の世界に落とし込んでもらって、熱くなれるものを探すのもいいんじゃないかなと。
池添: 商業監督としてもクリエイターとしても、やっていて楽しかったですね。 プロが楽しめるタイトルというか。 「アニメって楽しい!」と思えるタイトルだったからこそ、最初に「やらなきゃダメだ」と思ったんだなって。そう思えるくらいに楽しかった。
山口:おかげさまで、どの現場に行っても「『東島ライダー』観てます!」と言っていただけるくらい、業界内視聴率が高いんですよ。
池添:本当にありがたいです。多分「楽しそう」と思ってくれているんでしょうね。
山口:感想をくれる方は、やっぱり『仮面ライダー』の世代の方が多いので、「皆こういう作品がやりたいんだろうな」と感じました。この作品に携われて、感謝しかないです。まさかこんなにご好評をいただけるとは……。
池添:海外からの反響もすごいですよね。本当に世に出るべき作品だったと思います。
山口:ぜひ皆さんも“東島丹三郎”になって、熱いことを探していただきたいです。
[インタビュー/小川いなり]

























































