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リアルタイム世代のライターが振り返る『ガンダムSEED』の記憶と魅力【PR】

あの頃は皆『SEED』に夢中だった――リアルタイム世代のライターが振り返る『ガンダムSEED』の記憶と魅力【PR】

2024年1月26日より、いよいよ全国ロードショーとなる劇場アニメ『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』。

2002年に放送され大きなムーブメントを巻き起こしたTVアニメ『機動戦士ガンダムSEED』、その続編として2004年に放送された『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』の約2年後を描いた「ガンダムSEEDシリーズ」の最新作です。

元々は2006年に劇場版の制作は発表されていましたが、そこから長らく情報がなく、『SEED DESTINY』の続きがどうなったのか気になって仕方なかった方も多かったと思います。今回公開される『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』は、まさに長年のファンにとっては待望の作品と言えます。

筆者もリアルタイムで「ガンダムSEEDシリーズ」を視聴し、その虜となって劇場版の公開を待ち望んでいた一人。ここではそんな一ファンの視点から、シリーズの魅力や思い出をお伝えしていければと思います。

アニメについて語り合う楽しさを教えてくれた『SEED』

筆者が『SEED』及び『SEED DESTINY』を観ていたのは、だいたい中学~高校くらいの年頃でした。その頃にはすでにガンダムシリーズ自体のファンにはなっていたのですが、筆者にとっての『SEED』は、初めて自信をもってリアルタイム世代だと言えるようになった『ガンダム』作品でもあります。

というのも、筆者は小学生の頃に『機動戦士Vガンダム』や『機動武闘伝Gガンダム』も視聴していたのですが、ガンダムシリーズって物語が複雑なので、幼い頃はモビルスーツの活躍くらいにしか興味がなく、肝心のストーリーをほぼ理解できてなかったんです。それは自分に限らず、当時アニメを観ていた同級生の友人たちも同じだったので、アニメの内容について話したりしたことはほぼありませんでした。

そこから歳を重ねて、ある程度ストーリーを理解できる年頃になってきたタイミングで放送された最初の『ガンダム』が、TVアニメの『機動戦士ガンダムSEED』でした。当時は、ある程度アニメが好きならほとんど皆と言っていいくらい『SEED』を見ていたので、「OPの曲と映像がマッチしすぎ」「ラクスとフレイとカガリ誰が好きか」「フリーダムのサーベル切り抜けが超カッコいい」「アズラエルは悪党だけど正論」みたいな話題を、毎週共有して盛り上がることができたのは嬉しかったです。

加えて、インターネットの存在も大きかったです。『SEED』は、インターネットが本格的に普及してから初めてTVアニメとして放送された『ガンダム』作品ともよく言われますが、実際当時のネット上の盛り上がりも、それはもう凄まじかったですね。

当時の筆者はガンダムシリーズや『スーパーロボット大戦』のファンサイトによく入り浸っていていたのですが、そうしたコミュニティでは『SEED』は絶対に話題に出てくるので、「知っているのが当たり前」という必修科目に近い状態でした。毎週『SEED』の放送時間になったらチャットルームに集まって、複数人でリアルタイム実況みたいなこともやっていました(今なら、Xで同じようなことをやっている人も多いと思いますが)。

当時は、今ほどアニメを見るのが一般的ではなく、リアルでは話ができる友人も限られていたのもあって、ネットで同じ『ガンダム』好きの仲間を見つけて、真剣に作品についての話ができたこと自体もすごく新鮮でした。とくに『SEED』でアニメの放送の度に話題を共有して盛り上がれたお祭り感は、本当に楽しかったのを覚えています。

あの時に自分以上にコアなファンの人たちと作品について毎晩のように語り合ったおかげで、より深いシリーズの魅力に気づくこともできました。改めて考えると、自分にとっての『SEED』は、いろいろな意味でオタクとしての“沼”にハマるきっかけを与えてくれた作品だったんだと思っています。

これでもかとキラと視聴者を追い込んでくる容赦ないストーリー展開

自分が『SEED』に惹かれた理由は、キャラクターの魅力、カッコいいMS、西川貴教さんが歌うOP主題歌等いろいろあるのですが、要因として一番大きかったのが、視聴者や登場人物を容赦なく追い込んでくる、ハラハラするストーリー展開です。

とくに『SEED』の序盤は、連合側にはアークエンジェルとストライク、メビウスゼロしか味方がいないのに、アークエンジェルを追撃するクルーゼ隊の戦力は連合から強奪したガンダム4機にクルーゼのシグーにヴェサリウスやガモフといった戦艦や名無しパイロットたちの乗るジン数機と、何をどうすれば勝てるんだと思えるくらいに戦力差がありました。

アスラン達のチームワークが最悪だったことに助けられた面もあったり、先遣隊や第8軌道艦隊など払った犠牲も少なくはありませんでしたが、キラはよくアークエンジェルを守り切って地球までたどり着いたと思います。

その上、キラは本当の意味で心を許せる存在がいない状態で、たった一人のコーディネイターとして親友だったアスランと戦わないといけないという、メンタル的にも超ハードモードなんですよね。トールたちヘリオポリス組は紛れもなく友人でしたが、キラにとって弱音を吐き出せる相手ではなく、一人でどんどんストレスを溜め込み続ける状態になっていました。

そんな時に、キラを利用するためとはいえ優しい言葉で近づいたフレイに心を開くという流れはすごく自然で、あの状況ならフレイに縋るしか道はなかったと思えます。当時はあまりにもサイがかわいそうだと感じた「やめてよね」の下りも、今考えるとキラの心境がすごく理解できるなと。

あのあたりは顕著ですが、全体を通してシナリオの展開が「人の心がないんじゃないか」と思えるほどに容赦がないので、見ていてモヤモヤした感情が溜まっていくのは間違いないのですが、その分それがひっくり返った時のカタルシスも凄いんです。

『SEED』の屈指の名エピソードである「舞い降りる剣」でフリーダムがアークエンジェルの窮地を救うシーンも、トールとニコルが死に、キラとアスランが本気で憎しみのまま殺し合うという“溜め”の展開があったからこそ、あの気持ちよさを演出できたんだと思っています。

ただ、さらに『SEED』がすごいのは、その逆転のカタルシスのまま気持ちよくは終わらせてくれないこと。終盤の展開は、結局キラがどれだけ強くて活躍をしても、戦争の狂気に染まっていく世界を変えることはできない無情さみたいなものが感じられます。

『SEED DESTINY』のシンのラストシーンも、シンにとっての救いこそあるものの戦いには敗北しているという、無情さと救いのバランスが『SEED』ラストのキラと通じる部分があったり、華々しくてヒロイックに描かれる戦闘シーンとは対照的になっています。このあたりのエンタメとリアリティのバランス感は本当に絶妙なところを突いているなと。

2006年のOVA『機動戦士ガンダムSEED C.E.73 STARGAZER』も含め、そういったビターな結末を迎えるのが「ガンダムSEEDシリーズ」の通例でもあっただけに、劇場版ではどうなるのかも気になるところ。

個人的には、そろそろナチュラルとコーディネイターの憎しみの連鎖を終わらせる希望が見えて欲しいという希望がある一方、「そんな簡単に解決できたら『ガンダムSEED』じゃないよな……」という想いもあったり、現在も複雑な心境で公開を待っています。

放送後もコミックやゲームで盛り上がり続けた『SEED DESTINY』

アニメ本編以外の楽しみがたくさんあるのも、「ガンダムSEEDシリーズ」の特徴。アニメ作品こそ、HDリマスター版を除くと、『STARGAZER』以降の新作はないのですが、コミック・小説・ゲーム・ホビーといった幅広いジャンルで展開が継続されていました。自分もそういった作品に触れ続けていたので、アニメの展開が終わった後も、「ガンダムSEEDシリーズ」が途切れているような印象はまったくないです。

そうして展開された作品の中で個人的に好きだったのが、久織ちまき先生によるアスラン視点での『SEED DESTINY』本編のコミカライズ『機動戦士ガンダムSEED DESTINY THE EDGE』です。

大筋はTV版の『SEED DESTINY』を踏襲しているのですが、最初はアスランに反発していたシンが戦いを通して次第に心を開いていき、最終的には敵として対立することになる、二人の悲劇的な関係性がめちゃくちゃ丁寧に描かれているんです……!同じシーンでもTV版から台詞が変わっていたりして、ここまで受ける印象が変わるのかと驚かされました。

コミカライズとしての完成度もかなり高く、12月には劇場版の公開を記念して新装版が発売されたばかりで手に入れやすいのもポイント。劇場版の前にTVシリーズを全部見るのは大変という人は、こちらで『SEED DESTINY』の流れを振り返って熱を高めておくのもオススメしたいですね。

また、公式作品とは少し違うのですが、歴代のロボットアニメが共演するゲーム『スーパーロボット大戦』シリーズなどで、TVアニメとは異なる“IF”のストーリー展開が多数描かれたのも思い出深いです。

自分はキャラクターの中で『SEED DESTINY』の主人公であるシン・アスカへの思い入れが強いのです、『スパロボ』シリーズだとシンが救済されるストーリーを見ることができるんです。

中でも『SEED DESTINY』のメインストーリーを再現しつつ、シンが自分の意思でデュランダルと袂を分かち、デスティニープランを食い止めるためにキラやアスランと共闘したり、ステラが生存する展開が用意されていた『スーパーロボット大戦Z』をプレイした時は、自分が夢見ていたものを見ることができた喜びが半端なかったですね。

『SEED DESTINY』のストーリーが終わった段階から物語が始まるパターンも結構あり、『スーパーロボット大戦UX』では、キャラクターデザインの平井久司さん繋がりの『蒼穹のファフナー』の面々の頼れる先輩としてシンが大活躍したり、『スーパーロボット大戦V』では、福田己津央監督繋がりの『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』のロザリーとクリスに一目惚れされてタジタジになるアスランなど、印象深いクロスオーバーを上げていけばキリがないほど。『スパロボ』に出る度に新しいキャラクターの魅力に気付かされることも多く、放送から時間が経てば経つほど好きなキャラクターが増えていきました。

『スパロボ』に限らず、とくに『SEED DESTINY』には、様々なクリエイターが自分なりの想いを作品にぶつけて表現し、ファンも自然とそれを受け入れて楽しむ空気感のようなものがあり、放送終了後にここまで長く盛り上がり続けたアニメ作品は、アニメ史を通してもほとんど存在しないんじゃないかなと。

『SEED』の放送はもう約20年前ではあるのですが、まだまだガンダムシリーズの中では新しめの作品という感覚をもっているガンダムファンって、結構多いんじゃないでしょうか。

自分の中でも「キラやシン達に久しぶりに会える!」みたいな感覚はあまりないのが正直なところでして、それにはゲームやコミックなどで、何らかの新しい要素が提供され、その熱が維持され続けていたという点が大きいんじゃないかと思っています。

解釈一致のPVで膨らみ続ける劇場版への期待

公開も間近に迫りつつある『SEED FREEDOM』ですが、発表から公開まで、新たなPVが公開される度にファンの間で大きな盛りあがりが起こっていたことも記憶に新しいです。

筆者もPVが公開される度にまったく同じ心境になっていて、相変わらず別行動をとってそうなアスラン、皆と一緒に頭を下げないシン、まだ踏み込みきれていなさそうなキラとラクス……映像の節々から読み取れる情報に納得感があるというか、いわゆる“解釈一致”的な感覚が凄まじく、めちゃくちゃテンションが上がっていましたね。

一点、キラの精神状態だけは心配している部分で、記事内でも触れた「弱音を吐き出す相手がいない」という『SEED』の頃の状況は、実は今も続いているかもしれないと思っています。ラクスもアスランも、支えてはくれるけど弱った時に優しい言葉で慰めてくれるタイプではない気がしますし、キラが自分の本当の弱い部分を曝け出せたのはフレイくらいだったんじゃないかと。やっぱり劇場版でも、キラには容赦ない展開が待ち受けていそうで、心して見る必要がありそうな予感がしていますね。

「キラを止めて」というラクスの発言の意味は何なのかとか、シンはどの機体に乗っているのかとか、現存しているはずのストライクフリーダムやインフィニットジャスティスはどうなっているのかとか、インパルスのSpecⅡには誰が乗るのかとか、他にも気になることは山のようにあります。

ですが、『SEED』や『SEED DESTINY』がそうであったように、劇場版も10年、20年と長くファンに愛され続ける作品となっていることは間違いないでしょう。『ガンダムSEED』と共に長い時を過ごしてきた一人のファンとして、キラ達の物語が行き着く先を、しっかりと見届けたいと思います。

[文/米澤 崇史]

『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』作品情報

機動戦士ガンダムSEED FREEDOM

あらすじ

C.E.75、戦いはまだ続いていた。
デュランダル議長の死により、デスティニープランは消滅したが、同時に大戦終結後の世界を安定させる指標は失われた。
各地で独立運動が起こり、ブルーコスモスによる侵攻はくり返され、人々はさらなる戦乱と不安の最中にあった。
事態を沈静化するべく、ラクスを初代総裁とする世界平和監視機構・コンパスが創設され、キラたちはその一員として、各地の戦闘に介入する。
そんな折、ユーラシア連邦からの独立を果たした国・ファウンデーション王国から要請があった。ブルーコスモス本拠地へのコンパス出動を求めるものだ。
要請を受け、キラたちはラクスを伴い、ファウンデーション王国へ向かう。

キャスト

キラ・ヤマト:保志総一朗
ラクス・クライン:田中理恵
アスラン・ザラ:石田彰
カガリ・ユラ・アスハ:森なな子
シン・アスカ:鈴村健一
ルナマリア・ホーク:坂本真綾
メイリン・ホーク:折笠富美子
マリュー・ラミアス:三石琴乃
ムウ・ラ・フラガ:子安武人
イザーク・ジュール:関智一
ディアッカ・エルスマン:笹沼晃
アグネス・ギーベンラート:桑島法子
トーヤ・マシマ:佐倉綾音
アレクセイ・コノエ:大塚芳忠
アルバート・ハインライン:福山潤
ヒルダ・ハーケン:根谷美智子
ヘルベルト・フォン・ラインハルト:楠大典
マーズ・シメオン:諏訪部順一
アウラ・マハ・ハイバル:田村ゆかり
オルフェ・ラム・タオ:下野紘
シュラ・サーペンタイン:中村悠一
イングリット・トラドール:上坂すみれ
リデラード・トラドール:福圓美里
ダニエル・ハルパー:松岡禎丞
リュー・シェンチアン:利根健太朗
グリフィン・アルバレスト:森崎ウィン
ギルバート・デュランダル:池田秀一

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